───マナ集め強行編───
【ケース16:提督猫/学園ゆーとぴあまなびドラゴンフィッシュブロー(再)】
前回までの! 少年陰陽師は!
やあ僕博光。
少し前、風精霊が住まう渓谷、ハローナル渓谷へ行ってきました。
そこには風の精霊がやっぱり居て、何を話し掛けられても無視してマナだけいただいたらボコボコにされました。
ええ、さすがのカイくんも呆れを通り越して怒りまくりです。
さっくり見せるならこう。
提督猫『ここが暴風荒れ狂う風の谷ハローナル渓谷か〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!
どおれ今日は大暴れしてやるとするか〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!』
カイ 『あの。マナが目的なんですよね?』
提督猫『え? ───やあ博光うっかり! そうだよね! マナ採りに来たんだもんね!』
シルフ『強者よ。我が聖堂に如何なる用か』
提督猫『うっせ! 話し掛けんな!
この博光はここにおわすカイ様の命により、マナを採りにきたのだ!
その他一切はどうでもいいのよ!』
シルフ『マナを……!? 貴様……!《ギロリ》』
カイ 『あれぇ!? なんだか僕が一瞬にして悪の親玉に!?』
提督猫『集え風のマナよ! そして我が内に眠る精霊に真の姿を与えよ〜〜〜っ!』
シルフ『って人の許可もなくなにをやっておるかぁあーーーーーーーーっ!!!!』
提督猫『はっ!? か、風がギャアーーーーーーッ!!!』
風で切り刻まれました。最強。しかししっかりとマナは頂戴したので、その場はとりあえず逃げて次。
罪深きノーム先生が住まうドワーフの洞窟奥地に行きました。
すると就寝中だったので、さっさとマナだけもらって逃げようとしたらカイくんが怒って、その声に目覚めたノーム先生にボコボコにされました。
さっくり説明するならこう。
提督猫『ここが地の精霊ノームが住まうドワーフの洞窟の奥地か〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!
どおれ今日は大暴れしてやるとするか〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!』
カイ 『大暴れはしなくていいですからっ!
今度はきちんと話し合いをしてからですねっ!』
提督猫『ハッ───お黙り! 見ろ! ノームの野郎、寝てやがる……!
寝ているお子を起こすのは失礼ってもんだよね。じゃあマナを《ズゾゾゾゾ》』
カイ 『だからっ! どーしてあなたはそうなんですか!
失礼無礼の話ではなく、もっと誠実にですね!』
ノーム『ん……んあー……? おまえら、なにやってんだー?』
カイ 『わわっ!? あ、いえ、これはそのっ!』
提督猫『マナを盗んでおる!!』《どーーーん!!》
ノーム『…………なにー!? おまえ誰の許可得て人のマナ盗んでんだー!
てっぺんきたー! おまえのことどっかんキメて倒したるーーーっ!!』
提督猫『ふ〜っ、採れた採れた、新鮮なマナだぜ〜《ゾゴチャア!》つぶつぶーーっ!!』
ロックブレイド(巨大な岩の剣)をモノスゲー勢いで落とされ、潰れかけたところをボコボコにされたわけですハイ。
しかしあくまでマナを頂戴することが目的だった僕はそれを無視し、次なる場所を目指したのです。
そんなわけで次、戻りに戻ってサウザーントレント。
ドリアードが「四大元素のマナばかりを先に採ってしまうと、世界の均衡が崩れてしまいますので」と仰るので戻ってきました。
……正直、然のマナは僕の中にもワーオってくらい存在するのですが、均衡のためならば致し方なし。サウザーントレントでグルグリーズにきちんと説明をしてから、然のマナをこれでもかってくらい吸収。
ユグドラシルが綺麗な花を咲かせてしまうほどのマナを吸収してもまだ、続けて吸収した結果───なんとユグドラシルが果実を実らせました。吸収しきれなかったマナを果実にしたものだそうで、たとえ何かが起こってマナが枯渇しそうになったとしても、この果実が弾けてマナを生むんだとか。素敵。
今回は、きちんと段階を得たのでカイも怒らなかった。
しかしそんなことを聞いていなかった他の然の精霊が突っ込んできなすって、マナ泥棒のレッテルを張られたまま説明する時間もなしにボコボコにされた。あの……然の精霊って温和なんじゃなかったっけ……?
そんなわけで、秋でもないのに木々の葉が緑色を無くした景色。
その中で、ドリアードの説得のもとに事情を理解してくれたニンフの皆様の案内で、他の然の聖域へと案内してもらう。
確かに緑が増えすぎたという理由もあって、ニンフの皆様はマナを吸収することを許してくれましたさ。ていうかうん、ユグドラシルが果実だらけで大変。
空や水や大地が輝かしいほどに潤い、霊章の中の精霊たちがマナ酔いをしたりしないか心配になってきた。
そんなわけでルドラ側のニンフさんも復活。黒から元の色に戻って、ほっとしておった。
しかしさすがに連続での全力デスティニーブレイカーは辛く、ここで休憩入ります。
精霊の色を元に戻すためとはいえ、全力は辛い。辛いのです。
そんなわけでさっくり。
提督猫『ここが緑溢れる空界を担う自然の聖域サウザーントレントか〜〜〜〜〜〜〜〜っ!
どおれ今日は大暴れしてやるとするか〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!』
カイ 『お願いですから大人しくしてください……』
提督猫『いやそんな泣きながら言わんでも。
まあまあ、貴様が苦労することなんて前世っつーか、
元の頃から続いてることなんだからさ。
今からそんなの気にしてると穴空くよ? 胃どころかいろいろな臓器に』
カイ 『人の胃を苦しめない努力をまずしてくださいよ』
提督猫『ヤ。だって俺が俺らしく生きるのは、俺に許された唯一だもん。
俺が俺をやめたらただの无だよ僕。
好き勝手に生きるのが俺。で、好き勝手に消えるのが周囲。OK?
解ったら早速吸収開始! ……いくよ、ドリアード、黒ドリアード、黒ニンフ』
カイ 『……! す、すごい……!
風……じゃない、マナが物質になったみたいに肌や木々を撫でて、
ヒロミツさんに流れていく……!』
提督猫『ゴーホホホ、まだだ、もっとだもっと〜〜〜〜〜〜〜っ!
いっそこの世界の緑を食い尽くすほどに吸収するのだ〜〜〜〜〜っ!
な、なにせ我が力は然が基礎! この世界に満ちたマナを大量に吸収すれば、
ブラックノートン先生の不可能を可能にする力も使えるに違いねぇ〜〜〜〜〜っ!
そしたら僕、とうとう人間に……あの頃の僕に戻れるんだ───!
あ、でも4千年生きた内に一回分くらいマナ溜まったかな?
いやでも意思体だから、元の姿ほど力がないやもだし……うむ!
ならばもっともっと吸収するのだ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!
そしてまずは精霊たちがもう黒く染まらんことを願おう!
いくら既存破壊だからって、いつまで効果が続くか解らん!
そして次! 僕を人間に……いや、武具に宿る呪いをとってもらう?
それとも………………そだな、うん。ブラックノートン先生!
不可能を可能にする力ってどのくらい溜まってるー!?』
カイ 『あの、急になにを?』
提督猫『ままま、ちょっと待ってなさい? え、えー……現在一回分?
このまま吸えば、二回くらいは使えそう? ───ベネ!!
ならば───え? でも実行には無のマナも必要?
あ、あー……なるほど、確かにそれは……。
つーとノートン先生の聖域……北のエルフの里に行かなきゃならんのか』
カイ 『北?』
提督猫『そ。ベリっ子さん……ヤムベリング=ホトマシーって魔女が居る場所の近くだ。
まずはノートン先生以外の聖域のマナを吸収して、
それが済んだらベリっ子さんのところに挨拶に行こう。
……そういや、俺ってウェルドゥーン山って行ったことあったっけ?』
カイ 『知りませんよそんなの』
提督猫『だな。レブロスト山ならあるけど、ウェルドゥーンは覚えてない』
カイ 『あなたは自分のことを、まるで何も解っていないんですか?
訪れた場所くらい覚えていそうなものですが』
提督猫『適度にとぼけるクセをつけとかんとね、記録者なんてやってられんのです。
“見たもの”が多すぎると、自分の記憶を疑っちまうからね。
意思が知ってる景色までを、俺が見た知ったなんて思いたくないのよ、俺。
だからこれで───おや? なにやら遠くからこちらに近付いてくる。
この気配は───まずい! ギニュー特選隊のやつらだ!』
カイ 『え? え? 牛乳がなに───って、あれは!』
提督猫『ニ、ニンフだァーーーーーッ!!』
その後、ボコボコにされて現在に至ります。
……ちょっとだけ期待したけど、アルセイドもやっぱり忘れたままだったよ。
ニンフたちもドリアードに注意をしていっただけで、素直に戻っていった。
別れる前に、最後に一度だけ……頭を撫でてやりたかった。
もはや見えない小さな然の精霊に向けて、手を振ってさよなら。
あとはもう休むだけだった。
いい加減、吹っ切れよう。
過去を思い出して暗くなる自分が、本格的に嫌いになりそうだ。
───……。
べつに夜に寝たわけじゃあなかったから、目覚めたのは妙な時間だった。
辺りは少し暗い。
夜が来ようとしているのか、それとも……いや、うん、空気から察するに、朝だ。早朝。
見上げてみたって赤いだけなんだから、空気を感じなきゃ解らない。
提督猫『……うし、疲れも取れてるな』
全力ブレイカーは本当に疲れる。
しかしやってくれようガノトトス。じゃなくてホトトギス。
提督猫『よし、じゃあ行こうかカイ。キミの体にもマナが戻りつつあるし、
多分全部のマナを揃えればステキなラグナロクになれるよ』
カイ 『いえ。僕は剣ではなく刀がいいです』
提督猫『そか。じゃあ最強の剣は無しで、最強の刀になりなさい。
意思の皆様が言うには、最強の刀の名は“千里刀”こそが相応しいらしい。
ミサワの加護が得られるらしいぞ』
カイ 『誰ですかミサワって』
提督猫『いや、俺もなにがなんだか』
ただ皆様が口々に言っているから、きっとそうなのだ。
マサムネじゃないの?って思った僕は、きっとFFをやりすぎていたのだろう。
人の数だけ最強の武器なんてあるんだもの、それでいいじゃない。
提督猫『そんなわけだから次だ次。イドとかセルちゃんとかゼクンドゥスとか、
とにかくそれらの聖域行って聖堂からマナをかっぱらうンだッ!!』
カイ 『あの……素直にお願いしてから貰いませんか?』
提督猫『なにを言っとるんだこの男は……』
カイ 『なんでここで僕の人格が疑われるみたいな対応を!?』
提督猫『精霊ってのはみんな頑固なんだから、強引にやらなきゃだめなの。
いーから行くよ。ラピュウタにも行かなきゃいけないんだから、さっさとする』
カイ 『ラピュウタって……?』
提督猫『サーフティールの上空にある空飛ぶ塔。
サーフティールが浮遊島……島って書くほうの“とう”ね?
で、光の聖堂が浮遊塔。……なんたらの塔とか書くほうの“とう”。解る?』
カイ 『ええまあ、理解だけは一応』
提督猫『じゃあ行こう』
カイ 『えぇええっ!? 準備とかいらないんですか!?』
提督猫『準備……ほっほ、所詮、スポーツマンじゃな』
カイ 『スポーツマンじゃなくても準備くらいするでしょうが!
頭あったかいんですかあなたは!!』
提督猫『え、え? あ、あったかかったらダメなの!?』
知らなかった……! じゃあ雪女とか最強じゃん!
こりゃあもうセルシウスに足向けて眠れぬな……!
これからは尻尾向けて寝よう。うむ。
イーディンジルド氷河はあっち側だったな。気を付けないと。
提督猫『じゃあ行こう』
カイ 『いえ……もういいですけどね……』
理解してもらえた……僕の熱意が伝わったらしい。
まあそげなわけで行動開始。
僕らは召喚したロドリゲスに乗り、地を駆け空を飛び、時には水に潜ったりしてマナを集め続けた。水の中ってのは海底神殿……ゼクンドゥスの神殿へ行くためだね。
カイ (あ、あのぉ!? 大丈夫なんですか!?
さすがに海の底に潜るのにこの動物に跨ったままなのは……!)
提督猫 (ロドリゲスナメんなよてめぇ! 言っとっケドヨ!!
ウチのロドはヨ!? そんじょそこらのロドと違うかンヨ!?)
ロド 『───……ゴエェエエ……《ゴバハァッ……!!》』
提督猫&カイ(ゲェエエーーーーーーッ!!!!)
さすがにロドリゲスが窒息してプカーと浮いた時は焦ったが。
やっぱり意思体だろーが酸素は必要らしかった。
そりゃそうか、一応火闇で“召喚”してるんだから。
───……。
で、そうして行き渡ってしばらく。
残すはエルフの森、サーフティール、ロプロスト砂漠、ロジアーテ鍾乳洞、マナの大樹のみとなったマナ集めの旅。
カイの血色がこころなし良くなった気がするのは気の所為でしょうか。
チャイルドエデンは……もうニーディアの雷の聖域に無理矢理転移することで済ませました。あそこはもう……入りとうない。入る資格もありゃせんだろう。元々資格云々なんて関係ないなんて言えばそれまでだけど、それでも。
あ、ちなみに北の大地……イドの聖域にはしっかりとイドが居て、因縁つけてきたのでハラショー同士ザンギエフってくらいに(?)ボコボコにしました。イドもオリジンも嫌いだバッキャロー。
で……
提督猫『ここが蝙蝠がごっさりと住まう闇の洞窟ロジアーテ鍾乳洞か〜〜〜〜〜〜〜〜っ!
どおれ今日は大暴れしてやるとするか〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!』
カイ 『……………』
カイくんはもうぐったりしてました。気の所為か、顔が少しコケてる気がします。
提督猫『今日ご紹介するのはこれ! 簡単! 苦労人ダイエット!』
カイ 『簡単にDieEndできますよ……』
提督猫『ええっ!? 死ぬの!?』
はい、こんな外国通販風の会話も余裕の元気っぷりのダイエットです。
ただし胃に穴が空く可能性が高いので注意が必要です。
提督猫『ねぇカイくん?
それはそれとして、鍾乳洞前になんか奇妙な踊りを踊ってる変態が居るんだけど』
カイ 『え? って、彰さんじゃないですか!』
提督猫『え? 彰? ピーカースポイトじゃないの? レンタヒーローの』
カイ 『誰ですかそれ!』
提督猫『え? 誰って………………誰?』
あのよく解らん踊りを踊る薬を開発した人だっけ? それともただの被害者だっけ?
4千年も経つといろいろあって覚えて……いや、そりゃ発掘すれば解るけどさ。
いいじゃない? 僕の記憶が覚えてないかもって言ってるんだから。むしろこれしきで掘り起こしていたらキリがございません。
ともかく、彰くんが居る。何故かヘンなダンスを踊って。
……え……ほんとなに?
提督猫『あのー……なにやっとんのキミ』
彰 「よっ、はっ、ほいっと……! って、猫、丁度でもないけどいいところにっ!
ヘンなモンスターに鱗粉くらわされて、それ以来ずっと踊りっぱなしなんだよ!
助けてくれ! 一日中このままなんだよもう!」
提督猫『………』
彰 「怯えた顔して逃げんなぁああーーーーーっ!!
大丈夫だよ! ビッグとかスモールは出る瞬間にこう、転移させてるから!」
提督猫『おぉおおおおおおおおおっ!!? おぉおおお前っ!
この次元が大変な時にそんなもん転移させたらどうなるかっ!』
彰 「う、うるせーーーっ!
そんなもん自分が十字架背負うことになるよりよっぽどマシだ!
この歳でおもら神とか冗談じゃねぇぞ!!
そんな十字架背負わされるくらいなら、僕は悪にでもなる!
キミが笑ってくれなくても悪にでもなる!」
提督猫『ところで家なき子でガケから落ちた犬って、どう見ても人形だったよね』
彰 「いいから助けてぇええええええええっ!!!」
もはや泣いていた。
なので鱗粉の毒成分を分析、その情報をユグドラシルに流し、解毒剤を調合すると───それを飲ませる前に、僕はその様を、一緒に創造したヴィデオキャメラに納めることに───
彰 「やめてぇえええええっ!! いやぁああああやめてぇえええええっ!!!」
……したんだけど、泣いて頼まれたので本気でやめておいた。
ダンスくらいいいじゃない。
しかし埒も無し。
わざわざフラスコと一緒に作成した解毒剤を、彼の口の中にガヴォガヴォと流し込んだ。
こう、花山さんが酒を呑むみたいに豪快に。
彰 「ガホッ! ゴッホ! ゴベバッ!!」
ハッ!? い、いかんムセている!
提督猫『大丈夫かー! しっかりしろー! 傷は浅いぞー!』
彰 「ぞぼぞぼけがっぼげっほごほっ! そもそも怪我なんかぶぼっ! ごぼぼっ!」
提督猫『おいやめろ馬鹿! 喋るな!
しっかり飲まないと治らない絶妙な量しか作ってないんだから!』
彰 「微量で治るもん作れよなぁああーーーーーっ!!?
この量をイッキとか、死ぬだろ! 溺れるだろ!
スピードワゴン財団の青年みたいに砂漠で溺れ死ぬわ!!」
提督猫『私は一向に』
彰 「構えよ!!」
被せるように言われてしまった。
しかしながらそうこう言っているうちにダンスは止まり、疲れ果てた彼は、一気飲みに失敗した4年1組起立のブーのように「うじゃああ〜〜」と言うと、ゴシャアと倒れてしまった。
彰 「はっ、ひっ、ひぃい……! だっ、だぶっ……ぶっは……!
身体能力高くても、こりゃこたえるぞっ……!?」
提督猫『産まれ持ってのギフトに甘えすぎるからそうなるのよまったくこのお子は。
たとえそうでなかったとしても、それはまだ根性が足りぬ証拠です。
ほらお立ちになって? まだ立てるでしょ? 倒れたのはキミの甘えです。
この世でせめて命だけはと思うのなら、倒れ続けることなど捨てなさい』
彰 「相変わらず言うことキッちぃなぁお前……。って、そーだよ。
なぁ猫、俺お前のこと探してたんだけどさ。えーと、なんつったか。
…………あ、そう、ニンフッ! ニンフと契約してるんだよなっ!?」
提督猫『契約? うん、してるよ?』
してるっつーか、黒ニンフたちがウンディーネ同様、勝手にユグドラシルと契約していきやがったのですが。
彰 「ミアがさ、ウェルドゥーンの赤い魔女……だっけ? そいつに攫われたらしいんだ。
で、そいつとのコンタクトを容易にするために、
アルセイドを始めとするニンフの紹介がほしいって、ポリットイーターの二人が」
ウェルドゥーンの赤い魔女って……ベリっ子さんじゃないか。
うへー、やだなー。
話題が出た途端に、内側のアルセイドが怯え始めちゃったよ。
提督猫『いや待ちなさい。ポリットイーターってフォード=ゼルブライトだよな?
あいつも結構ベリっ子と関連あるぞ? あいつ自身の紹介でも十分な筈だ』
彰 「へ? でも……」
…………野郎、まさか係わり合いたくなくて、自ら無関係者を装ったか?
いやー、でも気持ち解るわぁ……。
提督猫『まあ、ならば仕方ないか。我らもあとでエルフの里に行くつもりだったから、
そのついでに拾っていこう』
彰 「お前ってほんと、他人に容赦ないよな……」
提督猫『失礼な。僕は誰にだって容赦ないぞ。恋人を愛の渋川流で気絶させたほどだ』
彰 「ほんと容赦ねぇなおい!!」
カイ 『あーのー、そろそろいいですか?
鍾乳洞の方から、嫌な音が聞こえてて、気味が悪いんですけど……』
提督猫『ほれみぃやぁ〜! ほれみぃ〜! お前が悪いってよぉ〜!』
彰 「キミが悪いじゃなくて気味が悪いって言ったんだよ!!
それくらい言葉の発声段階で解るだろ普通!」
提督猫『や、僕猫だけど聴覚は人間並みなのよね。だから聞き間違いくらいするよ?』
彰 「めっちゃウソくせぇんだが……?」
提督猫『当たり前さ、ウソだもの』
彰 「カァアアーーーーッ!!」
提督猫『《マゴチャア!》つぶつぶーーーーっ!!』
なんと! カッとなった彰がこの僕の横っ面を千堂くんのスマッシュばりの低空アッパーで殴り飛ばす!! しかし僕はギュルギュルと自ら回転し、大地へと華麗で美麗で心霊チックにおどろおどろしく着地した。
提督猫『フフフ、これしきの拳ではこの博光、びくともしねぇぜ?《ズキズキズキズキ》』
彰 「めちゃくちゃ痛そうなんだが!?《ズキーーーン!》ギャアーーーーーッ!!」
そしてここで僕のヘッジホッグスキルが発動。
彰くんはその場で横っ面を押さえてもんどりを打ちました。
提督猫『じゃ、行こう』
カイ 『ものすごいスルーですね……』
提督猫『それが私の天命! ウソだけど。ホホ、僕はキミらに様々を教えよう。
だから自信を持ったら僕の隣に立って?
僕はキミたちに偉そうに教える存在のままで居たくないの。
もっとさ、こう、肩組んではしゃげるくらいになろうぜ?
僕さ、もう……ずっと、それこそ四千年近くもそんな関係に憧れてたんだ。
シリアスとかはもうどうでもいいから、楽しいが欲しい。
つーわけでさっさと行こう! マナを集める! そしてミアを取り戻す!』
彰 「《シャキィンッ♪》OK賛成だ。
けど、取り戻すって。相手さん、えらい狂人らしいじゃん。だいじょぶなのか?」
提督猫『刺し違えてでも取り戻すから大丈夫。…………違ったらごめんね?』
彰 「意味違くね!?
刺し違えるって、刺す相手を間違えるとかそーゆー意味じゃねぇからな!?
言っとっけど!!」
提督猫『え? なに言ってんの?
ハッハッハ、自信満々に言ってるところ悪いけど、それ違うよ?
グフッシュ、あんなキリっとした顔でゴフォルシュシュシュシュ……!!』
彰 「いやほんとちげぇから!! お前こそ自信満々で恥ずかしいこと言ってるぞ!?」
提督猫『ん……そうかい、よかったねぇ』
彰 「ぐぅうううっあぁあああムカツクゥウウウッ!!!
でもあんまりにも哀れで殴る気にもならないこの切ない思い!」
やあ、彰の来世はツッコミが好きなようだ。
こりゃあボケ甲斐もあります。
でもどうせなら僕もツッコミたいから、早く対等になりたいです。
まだベイベーって目でどうしても見てしまうから、もっと頼もしく……!
そう、たとえばなんでもいいから、能力アップモードの僕よりも優れているものを見せてくれれば……!
彰 「……はぁ。まあお前がいいならいいけどよ。
それに、ミア救出も……やるっきゃねぇらなやるしかねぇもんな。
よっしゃっ!《パチンッ》いっちょやったるかぁ!
───…………え、あ、あー……なぁカイ?
なんで猫のヤツ、尊敬の眼差しで俺のこと見てんだ?」
カイ 『え……あの。知りませんけど』
……す、すげぇ……! 指パッチンだ……!
馬鹿な……よもや、よもやフルバーストモードのこの博光でさえ出来ない神技()を、斯様なヒヨッコが……!
彰 「お、おい……猫?」
提督猫『な、なぁ彰? 貴様……逆上がりとか、出来る!?』
彰 「へ? さか───へぇっ!? 何故この状況で逆上がり!?
やっ……そりゃ、出来っけどよ《ガッシィッ!》ウオッ!?」
出来る……その言葉を聞いた瞬間、僕は彼の肩まで飛翼をはためかせて一瞬で近付くと、その肩を肉球でこう、掴むようにして……掴めなかったので両前足で挟んで、ニコリと笑った。
提督猫 『俺達……友達だよな!』
彰&カイ『…………エ?』
……その日から、僕の見る目は変わったのでした。
───……。
己に出来ないことをやってみせる者を敬う。
それは人々の心からいつしか無くなってしまった大事なモノ。
敬うどころか羨み、妬むばかりで、人ってやつはとことん悲しき生き物になってしまったのだ。だが私達はもう悲しむまい。残されたものの中にこそ。幼い日の思い出の中にこそ。見い出すのです……力を。
だから僕は細かいことは気にしない人間を目指そうと思ったのです。
それは今だって変わらないから、自分に出来ないことをする者は素直にスゲェと思うのですよ。相手から見た僕がそんな存在だったりしたら知ったこっちゃねぇぜ〜〜〜ってなもんなんだろうけど。
そもそも、敬われる自分って想像出来ないよね。
コーーー……ン……
コーーーーーン…………
……で、だけど。
相も変わらず、精神世界のように断続的に嫌な音が鳴るこの鍾乳洞。
晦たちの記憶の中で見たことも聞いたこともあるし、実際に映写能力を学んでる最中に来たこともあるんだが……この音はいつまで経っても慣れない。
彰 「……なんつーかYO、この音聞いてると気持ち悪くなってくるんじゃけんど」
カイ 『はい……心の奥底にある不安を、
乱暴に撫でられているみたいな気持ち悪さが……』
提督猫『漠然とした不安感が煽られるのですね』
カイ 『いえ素直に違いますけど』
なんだかきっぱり言われたのがちょっぴりさびしか───さ、寂しくなんかないんだからねっ!?《ポッ》
と、一人ノリツンデレやってないでと。
彰 「しかしまぁ、なんぞ? 猫よ」
提督猫『提督、もしくは中井出と呼んで?』
彰 「…………んじゃあ中井出で。
…………って、呼んでみるとモノスゲーしっくりくるのは何故?」
提督猫『それは僕がスィックぷろてくたー3Dをヒゲソリに愛用しているからニャ』
彰 「猫がヒゲ剃ったらマズイだろオイ」
提督猫『大丈夫大丈夫、猫には永久ヒゲってものがあって、
一回抜けると次に出てきたヒゲは屈強。
畏敬を込めて永久ヒゲと《ブブチャア!!》ウギャアいたやぁあーーーーっ!!』
テコーン♪と目を輝かせて語ってたら、隣を歩いていた彰にヒゲの一本を引き抜かれました。おおぉおお……! この思わず平衡感覚を無くしてしまいそうな痛み、まさに国宝級である……!
提督猫『な、なにをなさるの?《ブシャーーーーァアアア!!》』
彰 「いや、ホントに永久ヒゲなのかなって……つーかスゲー血が出てらっしゃる!?」
提督猫『フッ……やはり隠していても解ってしまうか、
この血湧きミートダンスな僕の熱き胎動……!
そう……今ボクは、とっても熱いハートを胸で焦がしているニャ!
例えるなら、朝の片手間に目玉焼きを焼いていたらうっかり忘れて焦がしてしまう
ほどの熱き胎動! そう───!
一言で言うなら血気盛んなお年頃なのニャ!《ブシャーーーーーッ!!》』
彰 「盛んとかそういう問題じゃねィェーーーッ!!
えーからキミちょっとこっちきんさい! 治療してやっから!」
提督猫『し、失礼な! 治療が必要なほどおかしくないもん僕!』
彰 「そんな返答の時点でおかしいって自覚しなさいこのタコ!」
提督猫『猫をつかまえてタコとな!?』
でも、ボクの名前を呼んでからは随分と口調が崩れたよこの人。
やっぱ前世の経験って、魂に宿ってるもんなのかな。健全な魂が健全な精神に宿る〜とかみたいに。
けれどもしっかり治してくれました。やあ、誰かに癒されるってなんか嬉しい。
ずっと殺されかけてばっかりだったし。
彰 「ほいでさ。キミが進む道に適当についてっとるけど、こっちでいいん?」
提督猫『うむ。道はこっちでいい。きちんと道訊きながら歩いてっからね』
カイ 『道? ……どなたにですか?』
提督猫『あぁほれ。壁とか天井に生えてる夜光草。草花はソウルフレンドだ。
マナレベルでのお友達さ』
ちなみにボクが踏んづけた草は決して折れたり潰れたりはしないという、不思議なマナパワーまであるくらいさ! ステキ!
まあ……ね? そりゃあ、霊章の中を然のマナだらけにしてりゃあ、そりゃあ外の木々や草花にだって影響は出るってものだ。
提督猫『というわけでと。
ここを抜けたこの真っ暗闇が、闇の精霊シェイドの聖域でございます』
と案内してみれば、黒しか存在しない場所。
鍾乳洞の中にはまだ露明石があったが、そこから先は完全に闇しかない。
こう、黒の霧が密集してるみたいに黒い。
ためしに手(前足)を突っ込んでみても、露明石の光で微かに照らされた肌が完全に見えなくなるのだ。スゴイよね、これ。つーわけでハイ、シェイドさんいらっしゃるみたいです。
提督猫『さ、さあ彰! 出番だよ! 黒っていったらキミだ!』
彰 「なにが!?」
手を突っ込んだ途端に、その闇の向こうで動く気配を感じた。
つーかこっち来てます! 気配を隠そうともしないよこの精霊!
カイ 『中井出さんって、ふだ───』
提督猫『違う! 提督! もしくは中井出で! さんもくんもちゃんもさまも結構!』
カイ 『…………じゃ、じゃあ提督で』
提督猫『ベネ! で、なに?』
カイ 『…………えっと』
彰 「解る……解るぞカイ。こいつと話してると、イロイロ疲れるよな」
カイ 『まあ……いやな気はしないんですけど』
彰 「それが不思議なんだよなぁ。で、どした?」
カイ 『あ、はい。提督って、普段は偉そうというか、相手を選ばない態度なのに、
どうして相手が敵となると引け腰になるんだろうって。少し気になったので』
提督猫『だってボク怖いニャ!』
彰 「どのツラ下げて言ってやがるこの詐欺ネコ!」
提督猫『詐欺ネコとな!?
…………グフェフェフェフェ、旦那ァ……!
いい品があるんでがすが、一個一万でどォオゥよォ……!』
彰 「あっさり詐欺を受け容れやがったよこいつ!」
詐欺だどーだと言われてもボク平気ニャ。だって立派な嘘吐き目指しているのニャ。
たくさんウソをついて、たくさんの方向で我が人生を楽しみ尽くす!
後悔も痛みも全てを受け容れよう! なにせそれらは過去となる!
過去は受け容れる! 現在は歩く! 未来には抵抗する! それがこの俺中井出博光!
提督猫『というわけで、彼が闇の精霊シェイドです。あ、こんにちは。マナください』
彰 「ストレートだなオイ!」
提督猫『だっ……だってカイくんが訊いてから奪えって……!
俺、嫌だって言ったのに……! “問答無用で盗もう?”って言ったのに……!』
彰 「おーい。辛そうに言ってるとこ悪いけど、
どっからどう聞いてもテメーが極悪だってこと以外なにも解らないからなー?」
提督猫『………………え? なにかヘン……?』
カイ 『だからどうしてそう極悪が当たり前状態になってるんですか!!』
シェイドをほったらかしにして、僕らは賑やかでした。
……ちなみに。こうしている間にも影を伸ばしてマナを盗んでおります。最強。
シェイド『───《ギラリッ!》』
そしてしまった気づかれた!!
提督猫『ホワァーーハハハハハ!! 気づかれてしまっては仕方がない!!
───犯人アイツですニャ。ボク、彼に脅されてやったニャ』
彰 「うぉおおおおおおおおい!!!? そこでいきなり人になすりつけるか!?」
カイ 『とことん最低ですね……』
提督猫『ワオ、褒められた』
カイ 『褒めてませんよ!』
提督猫『で、あの、なんの用ですか? 僕ら忙しいからあとにしてくださる?』
彰 「ひっで! 勝手にマナ採っておいてそれ言うか!?」
言いますとも。だって最低ネコですもの。
そんなわけでなにやらゴリリと眉間を寄せる彼を前に、ニコリと笑う。
シェイド『用件か。
伝えるだけで行為を止めるというのであれば、いくらでも説いてくれよう』
提督猫 『よし受け容れよう。存分に説いてくれ。
納得できないと吸い取り続けるからきちんと説き伏せてね?』
シェイド『対等な条件ではないな。汝が納得しなければ吸われるだけだろう』
提督猫 『じゃあこうしましょう。キミの要望を一つ受け容れる。
なんでもいいよ。ああ、なんなら今すぐマナ抽出をやめろ、でもいい』
彰 「って、おいおい猫───じゃなかった、中井出、それって!」
提督猫 『いーからいーから。で、どうするシェイちゃん』
シェイド『…………考えさせているうちに吸い取る算段か?』
提督猫 『ゲェーーーッ! バレた! 彰の作戦が!』
彰 「そこでまた俺を巻き込むなよ!!」
シェイド『なら要望を唱えよう。マナ抽出をやめろ』
提督猫 『いいよ? だってこれ強奪だし。抽出っていうか存在ごともぎ取ってるし』
総員 『屁理屈だぁあーーーーーっ!!!』
シェイちゃんも合わせた三人に絶叫されました。
ってなわけで強奪完了!
提督猫 『グオッフォフォ……!! ではこれで失礼させてもらう!
長寿と繁栄を! 貴様の未来に幸おおからんことを別に願わん!』
シェイド『───! 逃がすと思うか!』
提督猫 『じゃあ逃げません。その常識を破壊します』
シェイド『なに!?』
提督猫 『はい彰! ここで輝く笑顔!』
彰 「かがや───OK! 俺、今とっても輝いてる!!」
瞬時に理解した彰がこれまた瞬時にフェイスフラッシュ!!
“黒”など身に宿していない彼のそれはまさに閃光! 闇の光ではない純粋な光が根暗精霊の目を襲い、彼に痛烈な視覚異常をもたらす! いやなもたらしものですね、はい。
シェイド『ぐっ……あぁあああっ……!! き、きさまぁあああっ!!!』
提督猫 『で、あとはと。無惨弾!! 憤激じゃぁあああい!!!』
武具能力から無惨弾を解放!
霊章から溢れ出た金灼が巨大な仏陀さまとなり、カイを握り絞めると振り上げ、そのままシェイド目掛けて叩き落とす!!
カイ 『え───えぇええええええっ!!?』
提督猫『あ、カイー、一応硬質化しとけー? 痛いぞー』
カイ 『言われるまでも《マゴッチャアアッ!!》
ギャアアアアアアアアーーーーーーーーーッ!!!!』
精霊さまとは思えない絶叫を放ち、カイくんとシェイちゃんが潰れた。
いや、潰れたのは何気にシェイちゃんだけだった。
仏陀に解放されたカイはというと、硬質化(武器化)が遅れたためか、頭を押さえてもんどりを打っている。
提督猫『俺達の戦いは───』
彰 「始まったばかりだ───!」
カイ 『少しは心配くらいしましょうよ!
自分がもしやられたらとか考えないんですか!?』
あ、でもすぐ起きた。なかなかのタフガイだ。博光感心。
でもボクと彰は顔を見上げて見下ろして、肩を竦めたのニャ。
そして少し見下した苦笑いでトルネコさんのように一言。
猫&彰『誰だって自分が一番可愛いのさ……あんただってそうだろ?』
カイ 『ギッ……ギィイイイイイーーーーーーーーッ!!!』
いやぁ……やっぱこれって何かのあとに言われるとこたえるよね。
解る。うん、解っちゃいるんだけど、言える時には言いたくなるのよ。
彰 「つーかさ。まあ素直に悪かった。ちゃんと心配してるからそう怒るなって。
それよりもさ、こいつどーすんだ? 精霊なんだよな?」
提督猫『おお、何故かこんなところに油性ペンが』
カイ 『貸してください。僕がやります』
猫&彰『わお、積極的』
ハイとペンを渡すと、キュポリとキャップを外すカイくん。
そして気絶中の闇の精霊にソレ───白インクのペンを走らせると、黒い体、黒い顔のシェイちゃんフェイスにはアートが……!
カイ 『こういう時、額に肉はセオリーだと言ってましたよね』
彰 「ああ、暴露話の時やね。そーそー、肉は基本。
だがここで素直に肉に走るのはまだまだ初心。
こういう場合はいっそ大胆に走ることこそリバースジャスティス!
……では達人、どうぞ」
提督猫『うむ』《どーーーん!》
ハイと渡された白ペンを手に、仰向けシェイちゃんの傍らに歩み寄る。
そしてシュバババババっとペンを走らせると───!!
彰 「コレモンよ」
カイ 『ぶはぁあーーーーーーっ!!?』
ダークドナルドの完成である。
黒部分が普段は赤いところだから、黒ドナルド。
つまり様々な部分を白く塗り潰したのです。
彰 「達人、ここで一言」
提督猫『ハッピー・セェッ♪』
カイ 『ぷぐふっ……ぷぶっ……ぶっ……ぷはははははははは!! あはははははは!!』
そして笑い出す創造の精霊さん。
提督猫『今日も誰かに楽しいを与えられました。僕は満足です』
彰 「ヘンな猫だなーとか思ってたけど、なるほど。これ結構面白いな」
提督猫『でしょ? でもやったらやりっぱなしなのはダメよ?
仕返しをされたならきちんと受け止めること。
仕返しがないなら無視していいけど』
彰 「あ、そか。だからお前、反撃とかってよけないんだな」
提督猫『やったらやった分を返されるのは当然ですよ。
そこだけはきちんと受け取らないと、素直に笑えないじゃん』
彰 「そっか、ははっ、そっかそっかぁ! いいなそれっ!
それがお前の言う“楽しい”かっ!」
提督猫『そうそう! 笑う角には福を引っ張り込む! それが僕らの原ソウル!
楽しい時は素直に笑っていよーじゃないか! うわーーははははーーーっ!!』
彰 「うわーーはははははーーーっ!!」
笑う角を大爆笑な大通りにして僕らは笑うのです。
なので腰に手を当て胸を張り、笑う。
ナギーとよくやったな、懐かしい。
提督猫『よし、心も新たに次行くべーヨ』
彰 「あ、そのことなんだけどさ、中井出YO」
提督猫『なんだYO』
彰 「フォードさんが言ってたんだけど、
いろんな場所からマナ取るのってヤバイらしいじゃん。大丈夫なのか?」
提督猫『ああ大丈夫。その分、然のマナを大量に取ったから。
ほら、夏だってのに周りの葉が茶色でしょ?』
彰 「え……いや、この場所独特の葉色なのかと思ってたよ……。
だってほら、この世界の在り方とか知らねーもの」
提督猫『ああ、俺も来たばっかりの頃はそんなこと思ってたよ』
彰 「その頃は人間だったんだよな?」
提督猫『ああ。近所でも有名な、果てしなくどこまでも世界最強の普通の人だった』
彰 「…………そういや中井出ってさ、やけに普通にこだわるよな。なんで?」
提督猫『なんでって。姿はこれでも心が人間だからだろ?』
きょとんと返してみる。
なーにを当たり前のことをと。
でも、そうだね。俺にとっての当然が他の人の当然とは限りません。
これは博光うっかり。
提督猫『俺、人間が嫌いだけど好きだったからなぁ。
それが人間ってもんだって無駄に決め付けてたし。
あ、決めつけだったとしても、
俺はそれが間違いだったーなんて今でも思ってないぞ?
俺は俺の信念を貫く。
もちろん、自分の理解よりも強い理解があるならそれを新たな理解にするけどさ。
それを信じるも受け取るも、つっぱねるのも各自の自由。
だから僕は相手が誰でもこうやってまずは知ってもらおうとするのですよ。
話って大事だもんね。そういう意味では基本、
話も聞かずにつっぱねてばっかなヤツは嫌いです』
彰 「お前って説明っぽくなると無駄に饒舌になるもんなぁ。
それも知ってもらうための努力?」
提督猫『努力かどうかは知らん。
俺が自分の意思でやった努力らしい努力といったら、
武具強化くらいだった気がするし』
彰 「武具強化かー……自分強化は?」
提督猫『───彰よ。貴様なら一度は夢みたことがある筈だ。
己の力ではない。レベルアップと武具強化だけで世界を救う夢を!
俺はやったぞ、やり遂げた!
俺にとってのラスボスを倒し、世界ではないが確実に月詠街の危機は救った!!』
彰 「月詠街の危機って……俺の住んでる場所じゃねーかよ!
え? じゃあなに? お前って俺の住む街の英雄!?
そんなこと言ってなかったじゃねーのよ暴露話の時!」
提督猫『あ、僕英雄大嫌いなので英雄呼ばわりはちょっと。
呼ぶなら魔王にして? もう慣れたから。
どの道僕、正義じゃなくて悪を貫くド外道さんだから。
うしおととら風に呼ぶなら、“ド外堂さんよ……在れ”です』
外道じゃなくて外堂ね。間違いやすいから気をつけようね?
ともあれいい加減シェイさんが起きそうなので、移動開始。
彰とカイに適当に次どこいこーかーなどと話しながら、次を目指した。
───……。
チャララッチャッチャーン♪
提督猫『腕〜を〜高くあ〜げてみる〜♪ ここから始められるっよっお〜♪』
やあ僕博光。
今日はここ、マナの大樹からお送りするよ?
提督猫『いやぁ〜〜〜あ、やっぱここはいいねぇ。
癒しの力は霊章から溢れ出てるから、そこに別のマナが加わるとこう……ステキ』
カイ 『解ります。なんかいいですよねぇ、ここ……』
彰 「そして俺だけが解らねぇ」
精霊であるカイと、霊章に精霊や精霊武具を取り込んだ僕だけがこの感覚を理解できた。
彰にゃ悪いが、これは本当に心地良いものです。
思わず歌ってしまったが、なんのコメントもありゃしないよまったく。
提督猫 『ここまで煮汁のごとく溢れ出てると、回収するの簡単そうだな。
んじゃオリジン、用意いい?』
黒オリジン『ああ』
彰 「……見事に黒いよなー。シェイドっつったっけ?
あいつは元々黒かったから解らんかったけどさ。
彼、マナ……だっけか? それ吸収すると色が変わるの?」
黒オリジン『貴様は………………まあ、いいだろう。終わったことだ。
今のマスターはこの者なのだからな』
提督猫 『殺意とか向けないでくれよ、オリジン。
俺、お前とイドなら全力でブチコロがしそうだから』
黒オリジン『解っている、私はそれだけのことをした。
四千年もの間、あの生き地獄を見せられればさすがにな。
人は嫌いだ。が、お前は違う。それは胸を張って言えよう。
私も力に飲まれなければ、本来争いなど好まぬ』
提督猫 『ん、オーケ。じゃ、始めますか』
デスティニーブレイカーを取り出す。
マナはオリジンに吸収してもらい、俺は振りかざした鎌を全力で解放し───
声 『待ってもらおうか』
───突如、俺達を止める声に動きを止める。
提督猫『お前が黒である既存を破壊する! デスティニーブレイカー!』
声 『なっ……!? まっ……きさ───』
───わけがありません。
ブゥハハハハハハ愚かめ! この博光、目的のためならばわざわざ声をかけられたからと動きを止める物語りの世界のアホゥに非ず!
さあ! 満ちていたマナが黒オリジンさんに吸収され、ブレイカーが黒の輝きを見せると───!! ついに! この場に普通色のオリジンが降臨するッッ!!
オリジン『…………戻った…………か……? …………!! 戻った……!!』
提督猫 『調子はどぅお?』
オリジン『好調だ……好調だとも! 感謝する、マスター!
私はこれより、今こそ汝に礼を返すと誓おう!
汝の敵は私の敵だ! 今後ともよろしく頼む!』
提督猫 『そうか。では背中は任せろ。いつでも好きな時に刺してやる』
オリジン『よっ……よろしくと言った精霊に対してこの返答ッッ!!』
彰 「お前ってこの……オリジンだっけ? には容赦ねぇよな……」
カイ 『イドさんの時もひどいものでしたけどね……』
彰 「……聞きたかねーけど、でも聞きたいお年頃。どうなったんだ?」
提督猫 『説得しました』
カイ 『体の金色の模様から竜の上半身が出たんですよ。
その上半身の竜の両の拳でゴッシャメシャに……』
提督猫 『あ! これ! 秘密って言ったのに!
僕は頭の中でさえ誤魔化してたんだぞ!?』
彰 「竜って、殴れるの?」
提督猫 『竜の形のエグゾディアを連想してみて?』
彰 「あ、一発だったわ。そりゃ死ぬわ」
ところでまあ、ある意味敢えてなんだけどさ。
僕らってとことん、聖堂聖域の精霊を無視してるよね。
ほら、目を向けてみれば、血管ムキムキで震えるオリジンさんが。
提督猫 『ややこしいから元黒オリジンはイソジンって呼ぼう』
イソジン『なっ!? い、いやだぞ! 私はいやだからな!』
彰 「どこぞの大妖みたいだな。
とらって呼んでいい? あ、やっぱ外見あまりにも違うからいいコテ」
提督猫 『で、オリジンさん。僕らになにか用? ていうかどうしたのそんなに震えて』
彰 「どうしたの? なにがそんなに悲しいの? 奥歯にもやしでも挟まった?」
カイ 『いつ、誰が悲しいなんて言ったんですか』
彰 「お前解ってねぇねェ〜〜〜ィェ。
奥歯にもやしのあのヘリョヘリョした部分が挟まると、
モノスゲーストレス溜まるんよ?」
提督猫 『というわけであなたのあだ名はヘリョスさん。
ゲリョスと違って、頭と鼻をぶつけると光じゃなくてもやしが飛び出るの』
彰&カイ『それもう精霊の次元越えてるよね!?』
提督猫 『やあ、敬語を忘れるほどのツッコミが炸裂だ』
そして再び無視されるヘリョスさん。
こころなしか、顔からビキッバキッミシッと、W淵さんが鳴らしそうなSEが聞こえる。
ヘリョス『〜〜〜……私がもう一人居る、ということに関して、私はどう反応すべきかな』
彰 「や、“もやし飛ばす”一択だろJK」
提督猫 『JK? JKってなに? 邪気眼・カノッサ?』
彰 「誰だよ。“常識的に・考えて”の略だって」
提督猫 『僕、なんでも略すのよくないと思うな。僕個人の考えだけど』
彰 「日本人だからなぁ、そりゃしゃーないだろ」
提督猫 『今の日本人はよく解らんなぁ……まあいいや、じゃあはい、もやし飛ばして?』
ヘリョス『飛ばすかっ!!』
そりゃそうだった。
提督猫 『おいおいこのヘリョスさん、
もやしも飛ばせないんだってよブフォフォハハハハ……!!』
彰 「とんだヘリョスさんだなクォックォックォッ……!!」
ヘリョス『だまれたわけども……!
己にも出来ないことで相手を馬鹿にすることなど、それこそ───』
提督猫 『もやしガトリング!!』
彰 「月然力! もやしを生やして指弾で弾きまくる!」
カイ 『もやしが出ます!』
この世界では数十秒の間に、フェルダール内での数時間内にもやしを発射するガトリングを猫やドワーフ、そして真桜の協力のもとに作ってもらう!
そして取り出すや、もやしを発射しまくる!!
ヘリョス『《ビビスビスビス!》いたっ! ぐあっ!
こ、こらっ! やめろっ! 地味に痛いだろう!!』
提督猫 『ワー、怒った怒ったオーコッター♪』
彰&カイ『小さい小さい精霊ちいさーい♪』
ヘリョス『ウゴロゴゴゴゴギャァアーーーーーッ!!!!《ミチミチミチ……!》』
あ、人を逆上させるダンスでヘリョスが逆上した。
ヘリョス『きききき貴様ら《ビスッ!》いい加減にっ《ビスッ!》し《ビビスッ!》
おぎゃあああああああああああああ!!!!』
提督猫 『ギャアアマジで怒ったぁあああああっ!!
やーいだっせぇー! もやしに怒ってやぁああんのぉおおおっ!!』
彰 「もやし、もやしー!」
カイ 『自分で混ざっておいてなんですけど、そりゃ怒りますよ!』
提督猫 『大変結構な笑顔で混ざってたくせに』
カイ 『エエマア……溜まってるモンもあったんで……』
彰 「お前さ、結構中身黒いだろ」
カイ 『やさしいだけの正義なんて目指しても無駄だって、この数日で学びました』
彰 「…………お前さ、絶対に将来は苦労人だわ。いや、もうなってるか」
前世の頃から苦労人でしたから。前世でもないか。
というわけでここで会話が終了しました。
何故って、僕がブチギレ精霊ヘリョス・モヤッソン教授にボコボコにされたからです。
もちろん僕は受け止めたね! …………ヘッジホッグつきで。
ヘリョス『ゲホッ! ゴッホ……! 攻撃反射能力だと……!?』
提督猫 『クックック……! そうだそうだそれでいい……! 動くなよ……!?
動けば貴様の体が大変なことになるぜゲハハハハハ……!!』
僕が殴られれば相手も痛い! でもその痛さの倍痛い僕には勝てんさ! 痛さでは!
だが知るがいい……! 覚悟とは! 決して曲がらぬ一本の芯!
貴様の攻撃程度で退くこの博光ではないわぁあーーーーーーっ!!!
彰 「相手が自由なのに相手の体が人質な状況って、スゲーシュールだよな」
カイ『シュールってなんですか?』
彰 「普通じゃ説明出来ないような状況とか、そんな感じの意味」
カイ『ああ……常識破壊してますもんね、提督……』
彰 「だよな。顔面ボッコボコでカタカタ震えてるくせに胸張って脅すかよ普通」
カイ『ボコボコなだけじゃなくて泣き入ってますよあれ』
彰 「あと二三発入れられれば折れそうだよなー……」
カイ『あ、そうそう。助けてぇええって叫びながらっ』
彰 「だよなっ、だよなー!」
カイ『………』
彰 「………」
カイ『なんか……』
彰 「懐かしい感じ……だよな。よく解らんけんども」
カイ『はい……』
脅しに屈せず、プライドが突っ込んできて僕は再びボコられた。
そんな中、彰とカイはなんだか顔を見合わせて笑っていて、僕はたすけてぇええと素直に絶叫をあげながらボコられた。
───……。
シュウウウ……!!
ゴーファ『はい……すいません……調子に乗りすぎたっていうか……。
はい……これからはもっと人の気持ちを考えます……。
あっ……親とかは関係ないんで……親はちょっと勘弁してください……。
っていうか、僕はあの、ただ他の二人に誘われただけっていうか……。
僕はやめろって言ったんですホントです……』
そしていい加減殴り続けられたため、もう反撃してもいいだろうと───ランダムルーレットを回した。のがいけなかった。あっさりと超弱体化が出た僕はゴーファとなり、スキル全てを封じられた着ぐるみ野郎になった僕は歓喜の笑みを浮かべるヘリョスさんにフルボコられた。
今はといえば正座させられて、説教されてるところです。
ヘリョス『反省してるのならマナを差し出せ』
ゴーファ「ワイの真名は博光っちゅーねん《マゴシャア!》おげぇええああーーーっ!!」
顔面に鋭い拳がめり込みました。
ひ、ひでぇ……! 真名を差し出せっていうから許可したのに……!
殴られた拍子に鼻がもげてしまったじゃないか……!
ヘリョス『マナだ。大気中、主に全属性元素に含まれる諸力を含めた力などのこと。
貴様が連れていた黒かった私は、既に着様の中にもぐったろう。
それを出すだけでもいい、さっさとしろ』
ゴーファ『ヘッヘッヘ、そんなんゆーんやったらなんかこう、
見せる誠意っちゅーもんがありますやろ? なぁ?
ワイとしてはこう、光るなにかが欲しい言いますか、なぁ!?
ヒャハハハハハ《ゴシャーーン!!》うぶるしゃああーーーーーーっ!!!』
顔面に光り輝く拳を進呈された。
確かに光っていた。ワイは満足やってん。
−50レベルのくせに気絶できねぇ体は正直心底恨めしいが。なんなんだこの能力。
彰 「いや……格好だけでもうざいのに……」
カイ『言動までもがめちゃくちゃうざいですね……』
そして仲間にまでウザイ言われるゴーファ。さすがです。
ゴーファ『あれもだめこれもだめで世の中渡っていける思とったら大間違いやでほんま!
あんさんそこまで言うんやったら納得できること言えるやろなーーーっ!!』
ヘリョス『だからマナを返せと言っているゥウウーーーーッ!!』
ゴーファ『《ボゴシャア!》そうでしたぁーーーっ!!』
そんな流れであっさり殴られました。
ゴーファ『ククク、殴るがええんや無抵抗なワイを。
そしていつか無抵抗な微生物を殴り続けた高位精霊として、
十字架を《ドゴンシャア!!》つぶつぶーーーーーっ!!!』
蹴り込まれました。ヤクザキック(勢いのある前蹴り)です。
ゴーファ『精霊がヤクザキックて、はしたないにもほどがあるでほんまぁああっ!
ワイもう付き合うてられへんわ! これで失礼させてもら《がしぃっ!》』
ヘリョス『逃がさん』
ゴーファ『やだぁーーーーーっ!!!』
頭の中でネロ造くんがおっしゃった。
出口などない。ここが貴様の終着だと。
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