───彰利02:さわやか3組彰利───
───……。
キィンッ!!
彰利 「あい到着───うぐぐぅぉおっ!!?」
夜華 「彰衛門っ!?」
到着した途端、とてつもない気持ち悪さがアタイを襲った!!
こ、これは……一度体感したことのあるこの気持ち悪い感じは……!!
彰利 「ま、間違いねぇ……!神の領域……!
な、なんて場所に飛んでくれたんや冥月はん……!!」
冥月刀『わ、わたしも適当に飛んでみただけなんですが……う、うう……!!』
なんてことだ……!頭痛がする……吐き気もだ……!
ていうかマジでキツイですよこりゃ……!
彰利 「め、冥月!どっか別の場所に転移して!お願いよ!」
……キ、キキ……ィ……ン……───
冥月刀『ご……ごめ……なさ……───意識が……保てな……い……』
……キ……ン……
彰利 「……あれ?め、冥月!?アレレェーーッ!!?」
なんてこと!冥月刀が反応しなくなってしまった!!
しかもなんだか熱い……。
もしや熱!?中の冥月が風邪引いて万年!?
しかも……アタイの月操力も約70%は抑えられておるわ……!!
こりゃあおめぇ……アレだ。
かなりヤベェぜ?
夜華 「彰衛門?だ、大丈夫なのか?」
彰利 「いや……ンマー、丈夫かと」
しかしまだ30%の力がある。
戸愚呂だってフルパワーじゃなくても強かったんだ、なんとかなるでしょう。
それに、苦手なものは克服してこそ華!!
彰利 「さぁ旅立ちましょう夜華さん!これから我らは、自力で生きてゆくのです!」
夜華 「───ああ!望むところだ!」
なにはともあれ動かんとね。
ではまず、何処へ向かいましょうかね……。
………………。
…………。
……。
彰利 「ンマー、まいった……道がまるっきり解んねぇ」
旅をするにも、目的地とかも決めてないから進みようがない。
自分を見つめ直すって、どうすりゃいいんだ?
彰利 「グウ……あ、そか。古い言い伝えがあったな」
確かこうだ。
『自分が何かに行き詰まったら、他の誰かの悩み事を一緒に解決すること』。
すると、いつの間にか自分の悩み事も解決してるってやつだ。
どうしてそうなるのかは解らんらしいが、そんなことが起こり得るのがこの世界らしい。
夜華 「なかなか静かな街だな。それに……不思議と空気も美味い」
彰利 「んー……夜華さん、体とかダルくないの?」
夜華 「うん?……確かにいつもより少し体が重い気がするが……何故だ?」
彰利 「いや、だって……その体って浅っちのものだろうし、
浅っちっていったら月清力の家系の……」
……あれ?でも待てよ?
俺、浅っちが月操力使ったところを見たことは確かにあるけど、
夜華さんはそこまで家系の身体能力を持っているようには見えない。
……つーことは、だ。
もしかして、浅っちを生き返らせる時、椛が普通の人間として甦らせた、とか?
って!ピーンと来ましたよ!?
彰利 「夜華さん!つまりアナタは夜華さんとして甦ったわけです!」
夜華 「な、なんだいきなり」
彰利 「いやいや、確かに肉体こそは浅っちのものだ。
だが、魂の中から前世を引っ張り、
家系の子ではなく人間として甦らせたのですよ!
そっかそっかー、浅っちの人格じゃなくて、
夜華さんの人格が頻繁に現れる意味が解った気がするよ」
家系の能力使えるのは浅っちの魂が浮上した時のみ、魂が家系に傾くからってわけか。
ふむふむ、なかなか便利な蘇生するじゃないのさ椛ってば。
夜華 「……?わけが解らないぞ」
彰利 「ンマー、夜華さんと俺は似てるってことさね」
夜華 「……?」
そう、前世がベースだって意味では、俺と夜華さんは似ている。
……ほんと、それだけだけど。
彰利 「ンマー、それじゃあ適当に歩きますか」
夜華 「あ、ああ。そうだな」
わけが解らんのなら、解らんなりに行動!
これ、人間の知恵。
───……さて。
カレンダーを見たお蔭で、この時代が俺が高校二年の頃だということが解った。
しかも秋───とくると、思い出されるのは夏の後半に出没した無人島の先住民。
彰利 「まだ居るんかな……」
ふと気になる。
しかし───それよりもまず。
彰利 「腹……減ったなぁ……」
夜華 「そうか?わたしは全然だが……」
どうやらこの街───神降は、死神属性の者に対してはほんとに容赦ないらしい。
まさかハラヘリーまで早いとは……!
くうう、名前通りの街だ……どうしたものか。
彰利 「よ、よし。まずはアレだ、メシの調達を───はうあ!」
夜華 「どうした?」
彰利 「……金……ていうか路銀が無いや……」
夜華 「な、なに……!?では食事は───」
彰利 「……現地調達?」
つまり食い逃げなわけだが……。
いや、これは生存競争ぞ。
恐れるな、俺!
昂風街や月詠街でやった、あの食い逃げや泥棒の日々を忘れたか!?
ここで常識に捕らわれ、食を逃すくらいならば…………俺は喜んで食い逃げ犯となろう!
彰利 「ラグナロクコピーで創造の理力って方法もあるがね……体力続かんよこりゃ。
というわけで夜華さん、メシをかっぱらいましょう」
夜華 「なに───?金を払わずに盗むというのか?」
彰利 「そうです。だってこのままじゃ餓死ですよ?」
夜華 「だめだ、そんなことは許さん。楓さまの名に懸けて、わたしが許さんぞ」
彰利 「ウググ……」
何気に刀を抜こうとしている夜華さん。
……思いっきり脅迫じゃないですか。
彰利 「って……あれ?夜華さん、その刀……」
夜華さんの刀を見て、ふと疑問をぶつける。
夜華さんは一瞬首を傾げたが、すぐに『ああ』といった表情をして軽く説明してくれた。
夜華 「宝刀-炎紅諡()-。
紅葉刀閃流・免許皆伝の証たる刀だ」
彰利 「んー……それって過去で夜華さんが持ってた刀だよね?
なんで持ってんの?隠してたとか?」
夜華 「ああいや、これにはいろいろと事情があってな……待て、話が逸れたぞ。
わたしたちは路銀の話をしていたんだぞ」
ヌ……むう。
彰利 「食い逃げがダメならどうしろと?」
夜華 「簡単だ、路銀は稼げばいい」
彰利 「……どうやって?」
夜華 「………」
夜華さん、沈黙。
彰利 「しょぉおお〜〜〜がねぇなぁあああ〜〜〜っ!!
まったくよぉ〜〜〜っ!!しょぉおお〜〜〜がねぇえなぁあああ〜〜〜っ!!
結局なんにも考えてなかったんじゃねぇかよぉおお〜〜ナランチャ〜〜ッ!!」
夜華 「だ、黙れ!わたしは『ならんちゃ』とかいう者じゃない!!」
彰利 「でも結局、なぁ〜〜んも考えてなかったんでしょ?」
夜華 「か、考えてなかったわけじゃない……そこまで考え至らなかったんだ……」
彰利 「苦しい言い逃れだのぉ〜〜ほほほ」
夜華 「言い逃れじゃない!真実だ!」
……ム?待てよ?
路銀を稼ぐ、か……。
彰利 「おお夜華さん!いいことを思いつきましたよ俺は!」
夜華 「な、なにっ!?そうなのかっ!?」
彰利 「うむですじゃ!ちと疲れるが、それが売れれば儲かります!ではまず───!」
───……。
───……。
彰利 「グビグビ……」
凄まじい頭痛と体力消耗に襲われたアタイは泡を噴いていた。
なんとかなるとは思っていたが、鎌を出現させた途端に結構な圧力がかかってきましたよ。
この街で使う創造の理力って、なんだか割りに合いません。
彰利 「……そういや、創造の理力って創造神の力だとか言ってたっけ……」
ソード、とかいったっけ?
でも神界って漢字の名前が主だったよね?
聖を思えばそげなことは予想出来る。
だから多分……『剣(』とか、そういう名前なんでしょうな。
それか偽名か。
どちらにしろ別の世界では呼ばれ名が違ったとか、そういうこったろう。
───さて。
それはそれとして、アタイの目の前には幾つかの瓶詰めの液体がある。
それぞれ、『格闘家の雫』、『レタスが好きになる薬』、『体を大人にする薬』、
『惚れ薬』、『ニ倍速薬』、『筋肉増強薬』、『パルプンテドリンク』などなど……
格闘家の雫 :格闘を極めた格闘が出来るようになる薬。
といっても、攻撃のみがスローに見えるだけだけど。
レタスが好きになる薬:そのまんま。ただしレタスをかじるだけで、
どんな重症も治るっていう優れものよぅ!
体を大人にする薬 :体格にお悩みのアナタ、これはオススメです!
一日だけだけど、自分が理想とする体系になります!
惚れ薬 :飲んだら、一番最初に見た人を好きになってしまう薬。
危険ゆえ、効果時間は短い。が、体質によってまちまち。
ニ倍速薬 :自分の全てがニ倍速になる薬。
思考はもちろん、行動も速さも。
筋肉増強薬 ;これであなたもマッスルマン!筋肉が一時的にアップします。
パルプンテドリンク :飲む人により、なにが起こるか解らない薬です。
その人の本能に賭ける。
忘却の薬 :飲む瞬間から数時間のことを忘れる。
人によって効果範囲時間は謎。ただし一日で思い出す。
最後エリクサー :ラストエリクサー。
HPとMPと状態異常をことごとく回復させます。
その他にもいろいろあるが……まあ、それの説明は適当ということで。
全ての薬の効果は約一日……とイメージしてあるが、人によってまちまち。
最後エリクサーはその飲んだ瞬間に回復して終わるから効果時間などありませんが、
これはお買い得です!
彰利 「あとはこれを創造したリヤカーに乗せて、と」
ガコッ、ゴトゴト……。
彰利 「ささ、夜華さん乗りたまえ。売る場所を探しますよ」
夜華 「あ、ああ」
ギシッと夜華さんがリヤカーに乗る。
それを確認してから、ゆっくりと引き始めた。
彰利 「薬〜〜〜、え〜〜薬〜〜〜っ。薬〜〜〜いらんかね〜〜〜。
どんな用途にも応えましょう〜〜〜。え〜〜〜薬〜〜、薬〜〜〜。
お値段たったの千円ポッキリだよ〜〜〜っ」
ギシッ……ギシッ……。
彰利 「薬〜〜〜、え〜〜〜薬〜〜〜」
ギシ……
───……。
彰利 「ムウウ!どうしたことじゃ!ちっとも売れん!
アタイが手間隙かけて創った薬を買わんとはなにごとじゃ!」
アタイはリヤカーを離し、そこいらの家の壁に背をもたれかけた。
彰利 「なにが悪い……?俺だったら迷わず買うと思うのに……」
夜華 「その前に信じないと思うが?」
彰利 「はっはっは、なにを馬鹿な。信じるに決まっておるべよ!
俺だったら信じるね!そして買うね!」
夜華 「……彰衛門。
貴様、なにかいろいろと説明されると物を買ってしまう性質だろう」
彰利 「へ?なんで知ってんの夜華さん」
夜華 「……はぁ」
うお……夜華さんが溜め息を吐いた。
夜華 「いい、ここらで休憩しよう。ずっと荷車を引いていて疲れたろう」
彰利 「ンマー、確かに。普通ならこの程度じゃ疲れねぇんですけどねぇ」
まいったなぁ、前途多難だぜ?
溜め息を吐きつつ、壁にポンと手をついた。
すると、なにかに当たる。
彰利 「なんぞ?って、なんだ表札か……」
なにかと思ったじゃない、まった……く?
彰利 「あら?あらららら!?」
その表札には聞き覚えのある苗字が刻まれていたッ……!!
その苗字とは───『咲桜』!!
彰利 「は、ああ……!!」
す、すげぇ!
咲桜なんて苗字、そうそうあるもんじゃあねぇぜ!?
しかもここは都市伝説のある神降街!!
ということは!と、いうことは───!
ここが!ここがあの伝説の『乱闘殿様』の家!!
彰利 「は、はああ……!!」
俺は慌てつつ色紙とマジックペンを取り出した。
鬼梨憲竹()氏に会えたらサインしてもらおうと、いつでも持ってるものだ。
そして、その玄関を見る。
彰利 「サ、サイン貰えないかな……?」
ついでに後楽園遊園地でボクと握手!じゃなくて……普通に握手を!
あ、い、いや、いきなり押し掛けてサインくださいってのもな……。
いや待て。
情報通の美都氏によれば、咲桜純殿は義を重んじる漢と聞いた。
ならば……ここで男意気を見せれば自ずと現れてくれるのでは……!?
彰利 「そ、そうか!ならば問題はどう伝えるか───!」
キッと、その佇まいを見上げた。
そして意を決した!
歌おう、友よ!
彰利 「月奏力スタート!曲を流せ!」
ちゃんちゃんちゃん♪ちゃーんちゃ、ちゃかちゃっちゃっちゃ♪
彰利 「さんッさんっさんッ♪たいよ〜の〜光〜♪」
ちゃんちゃんちゃん♪ちゃーんちゃ、ちゃかちゃっちゃっちゃ♪
彰利 「ぼっくっらの肩に〜♪ふりそ〜そぐ〜♪」
ちゃかちゃ〜んちゃちゃ〜ん♪
彰利 「さぁっ、手をつな〜ごぉ〜♪
一緒にっ走〜ろぉ〜♪ぼくらはっなか〜ま〜だ〜♪」
ちゃんちゃんちゃん♪
彰利 「さんッさんっさんッ♪さわやか三組〜♪(さわやか三組〜♪)」
ツッチャーン♪ちゃんちゃんちゃん♪ちゃーんちゃ、ちゃかちゃっちゃっちゃ♪
ちゃんちゃんちゃん♪ちゃーんちゃ、ちゃかちゃっちゃっちゃ♪
彰利 「………」
しーん…………
彰利 「る、留守ですか?」
やべぇ、すっげぇ恥ずかしい。
い、いや!もしや居留守なのかもしれません!
それとも俺の男意気が届かなかったのか!
さわやか三組でダメなら、他の歌でいくしかねぇ!!
夜華 「彰衛門……なにをやっているのだ?」
彰利 「この家に居る漢に用があるのです!是非ともサインが欲しいのですよ!
あ、いや……サインより手形だな。
殿様なんだから、筆で書いてもらうのも……うっふっふ」
夜華 「……迷惑人間にしか見えぬのだが?」
彰利 「え?」
迷惑?───馬鹿な!
俺はただ殿様と会った証が欲しいだけパガシャッ!!
彰利 「ぐおおーーーっ!!!」
夜華 「うあっ!?」
いきなりだった。
いきなり視界に何かが飛んできて、俺の目を完全に閉ざした。
このぬるぬるした感触に硬い物体……こりゃ卵だ!!
彰利 「あぁあ〜〜〜っ……目がぁ〜〜……目がぁあ〜〜〜……!!」
ムスカくん、キミは英雄だ───って、
こんな場所に来てまでムスカくんやるとは思わなかったわ!
───ガラガラガラ……!!
彰利 「ややっ!?こ、これ!!」
音───リヤカーがアスファルトを走る音を聞いてアタイは駆けた!!
だがゴコォンッ!!!
彰利 「ニーチェ!!」
凄まじい衝撃とともに意識が遠退く。
あ……電柱?
うわ……痛いよこりゃ……───ドサッ。
───……。
彰利 「ウ、ウウ……」
目を開けてみれば、そこはさきほどの家の前だった。
卵は夜華さんが拭ってくれたらしく、視界もハッキリしております。
彰利 「薬は……?」
夜華 「……盗まれてしまったようだ」
彰利 「ゲッ……」
ひでぇ……せっかく創造したのに。
神降にはそげなことする人がたむろしてるのですか?
夜華 「少女が盗みを働かなければ生きてはいけない街か……辛いな」
彰利 「え……おなごだったん?」
夜華 「ああ、間違いない。数瞬しか見えなかったが少女だった」
彰利 「なんとまあ……マジすか」
夜華 「小さい声だったが、
『これを売りさばいて金にする』とかいうことを言っていた」
彰利 「不憫な……」
思わず涙が出た。
少女がタオチェイをしなければ生きていけないとは……
夜華 「どうする?探すのか?顔は覚えているから、見つければどうにかなる」
彰利 「いや……なにも言わずに譲ってあげましょう……。
アタイは我慢出来ますから……」
ホロリと涙をこぼし、アタイは歩いた。
夜華さんが『さいんとやらはいいのか?』と訊ねてきたが、
そんな気分じゃなくなっていた。
───……。
夜華 「なぁ彰衛門」
彰利 「ウィ?なんザマス?」
公園を見つけて休んでいたところ、夜華さんが語りかけてきた。
アタイはブランコの反動に身を任せたのちにキュリキュリと回転して着地した。
ムハァ、10点満点!
彰利 「で、なに?」
夜華 「提案がある……いや、提案ではないな。頼みだ」
彰利 「だからなんぞね」
夜華 「ああ。わたしを貴様の居るべき時代に連れて行ってくれないか」
彰利 「───………………なんと!?」
夜華さんからの突然の提案!
驚くアタイ!
そして、薬をかっぱらっていったおなごとは何者なのか!?
次回、超光戦士スァンズェリウォン!……サブタイトルが思いつかん!!
彰利 「ンマー……本気ですか?」
夜華 「本気だ。一度は断られた身だが、
旅に同行させてくれたのは頷いてくれたということだと解釈させてもらう。
どうだろうか」
彰利 「………」
思考展開!───……はうあ!
彰利 「そ、そうかっ!その手があったっ!!」
今よりこの手を『オペレーション:堕ちたサンクチュアリ』と名付ける!!
やっぱりワイルドアームズって1が一番よかったと思うんですよ!
キャラとかストーリーとか!
彰利 「よかですよ夜華さん!一緒に参りましょう!」
夜華 「───ほ、本当かっ!?」
彰利 「彰衛門、ウソつかない!」
夜華 「嘘をつくな!散々虚言を吐いたではないか!!」
彰利 「即答ですか!?ヒドイよキミ!!」
だが……オペレーションは既に始まっているのだ!
作戦とは夜華さんを連れているアタイを粉雪に見せて、
ヤキモチ妬かせてなんとか仲直りに持ち込むという作戦ぞ!
って、待て。
この作戦、夜華さんに失礼すぎる。
やっぱ取り止めに……
夜華 「だが……そうか、そうかぁ……。わたしを連れていってくれるのかぁ……」
……無理です。
こげな嬉しそうな顔をしてる夜華さんをどうして落胆させられようか。
彰利 「は〜ぁ……」
アタイはもうちょい考えてから行動した方がよいのかもしれません。
が、しかしだ。
本能のままに行動するっていうのは、思いついたら即行動ってのが定である。
彰利 「ンマー、アタイの時代に行くとしたら、この神降街を出なければならんよ?
使った月操力の回復力が遅くて、月空力発動させるくらいの余力が無ェザマス」
夜華 「そうなのか……それなら早く出てしまおう。何処へ行けばいいんだ?」
彰利 「知らんよ?」
夜華 「………」
彰利 「………」
思いつきで始めた旅は、とても前途多難な旅だった。
───……。
彰利 「夜華さーーん!神社見つけたぞ神社!ここでこの街からの脱出法を訊くべーや!」
夜華 「うるさい、騒ぐな」
彰利 「あらヒドイ……」
沈んだ空気を払拭しようとしただけなのにのぅ。
夜華さんたらヒドイよね、うん。
……しかもどんどんと先に行っちゃうし。
彰利 「おーい待っておくれよ!アタイも行くってばよ!」
慌てるフリをしてそのあとを追う。
……慌てるフリする意味がないな。
などと心の中で溜め息を吐いた───その時だった!
彰利 「はうあ!?」
ピキィンと来た!
ここはおめぇ……アレだ!
ジャスティスレイザーが現れるっつぅ神社じゃねぇか!!
間違いないよ!うん!塚本神社って書いてあるし!
◆ジャスティスレイザー
正義の味方とは名ばかりの自称正義の味方。
参拝に来る者を襲っては、財布を盗んだりしているらしい。
盗みの主犯は塚本芽衣という、塚本神社の娘らしい。
ジャスティレイザーは正義の名を振りかざして塚本芽衣とともに盗みを働いている。
その正体も塚本神社の娘かもしれないというが……?
*神冥書房刊『略称、その名はジャス子』より
彰利 「こうしちゃおれん!生ジャス子を見るんだ!」
アタイは足早に階段を駆け上った!
考え事してる最中に夜華さんは登っていってしまったらしく、既にその姿は見えない。
いかん……いかんぞ!
噂ではジャスティスレイザー……はともかくとして、
『塚本芽衣』はかなりの残虐超人と聞いた!
金のためならば人をも殺すという噂だぜ〜〜〜っ!!
や、夜華さんが───危ないかな?
夜華さんもそれなりに強いし……ああいやいやいや!とにかく追わねば!!
彰利 「夜華さんっ!!」
なかなかに長い石段を登りきり、その佇まいをザッと見渡した。
するとその先で───ゴインッ!
夜華 「わがっ!?」
ガランゴロゴロ!!
神社の参拝名物『振り鈴』が落下してきたようだ。
見事に夜華さんの頭に直撃していたように見えたが……
夜華 「くぅうおおお……!!」
何気に痛かったらしく、蹲る夜華さん。
そりゃねぇ、あんなもんが落ちてくりゃ痛いよ。
彰利 「FUUUUM……」
妙だねぇ、ジャスティスレイザーが襲ってこないではないか。
もしかして留守?
別の何処かで盗みを働いてるとか?って……
彰利 「あ───あぁああーーーーーーーっ!!!!」
夜華 「うぐぐ……!?」
そうか……!盲点だ!!
さっき実際、薬を盗まれたじゃねぇか!!
しかも『これを売りさばいて金にする』って……思いっきりじゃないですか!!
しまったぁああ……!!!涙なんぞ流してる場合じゃなかったんじゃねぇか!!
彰利 「行きますよ夜華さん!この街を出るンだッッ!!」
夜華 「くわががが……ま、待て……!!鈴を直さねば……!!」
彰利 「無視ですよそんなもん!この街……予想以上にカオスな街だぜ!?
そう、まるでオーガストリートだ!!
スピードワゴンの旦那もそりゃあもう雪原を全力疾走してくるわ!!」
夜華 「す、すぴ……?」
彰利 「よいから!とっとと行くんですよ!
とっとと……ターーッ!!!まだるっこしい!走りますよ!!」
がばぁっ!!
夜華 「わぁあっ!!?こ、こらっ!どこを触って───!!」
彰利 「担いだだけですじゃ!!
あんま暴れとるとマッスルリベンジャーで叩きのめしますよ!?」
夜華 「な、なんだそのまっするなんとかというのは」
彰利 「黙秘!!」
夜華 「なっ……こ、こらぁっ!!」
アタイは夜華さんを担いだ状態で地を蹴って走り出したッ!!
アタイが甘かったわ!
この街は実に───『カオスな街である』だ!!
───……。
さて。
なんとか遠路はるばる逃げ出してきたわけだが……
彰利 「……冥月?」
刀に語りかけてみる。
すると───
冥月刀『……は、はい……意識はあります……』
彰利 「そかそか、そりゃよかった」
聞こえた声にホッと一息。
いんやぁ〜、近くに交番があってよかったよ。
あのまま自分で走ってたら絶対に道に迷ってた。
彰利 「んじゃ、いきますか」
冥月刀『はい』
夜華 「あ、ああ」
緊張した面持ちで夜華さんが頷く。
クォックォックォッ、アタイの時代へ行くことに緊張を感じておるよ。
その先でどんなことになるか、楽しみじゃわい!
彰利 「時の刀よ!僕の時代へ!」
キィンッ!!
こうしてアタイ達はクレス=アルベインの真似をしつつ、
アタイの時代へと飛んだのだった!!
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