───FantasticFantasia-Set09/決戦、蒼竜王マグナス───
【ケース20:リヴァイア=ゼロ=フォルグリム/飛翔の先に】
検察官がマグナスへ向けて走り、やがて飛翔する。
その姿を見て、いてもたってもいられなくなったわたしはバルグへと向き直って言った。
リヴァ「バルグ!ルーゼン!わたしに魔力を分けてくれ!早く!」
バルグ「断る!他人の魔力などをエクスカリバーに換えれば、
それこそおぬしの腕は消滅するぞ!」
リヴァ「腕二本を命に代えられるか!?
そんなものでこの戦いが終わるならそれでいい!!早く!」
こんな戦いはどんな手を使ってでも終わらせるべきだ。
やっぱり検察官たちを巻き込むべきじゃなかったんだ。
このままでは検察官が死んでしまう───!!
ジジッ───
リヴァ「……───!?」
焦りが心を支配しかけたその時だった。
耳に届く違和感を感じた。
これは───送話?検察官か?
リヴァ「“受信”───検察官、どうかしたのか!?」
声 《リヴァイアか!?こちら───って言うのも変だが悠介だ!!》
リヴァ「───な、なに!?悠介!?生きていたのか!」
声 《いっ───!?か、勝手に殺すな!!鬼かお前は!!》
リヴァ「うるさい!そんなことはどうでもいい!!今何処に居る!!」
声 《───お前らのすぐ横だ!!》
リヴァ「なにっ───!?」
ゴォォオオッ───バサァッ!!
瞬時に魔導船の横を見れば、雲を裂いて現れた飛竜とその背に乗る悠介が。
悠介 「“戦闘開始()”!いくぜリヴァイア!彰利!全力だ!全軍突撃ぃいいいっ!!!」
彰利 「ゆっ───!?」
悠介が叫ぶ───と同時に検察官が驚愕の顔で向き直り、すぐにわたしの傍に転移した。
そうした次の瞬間には見えていた景色の全てが黄昏へと染まり、
完全に枯渇していた筈の魔力が、わたしの魔力の波動として補給されてゆく。
リヴァ「なっ……こ、これは……わたしの魔力を───場にしている!?」
そうとしか考えられない。
この黄昏にはわたしの魔力パターンが融合させられており、
わたしの魔力は尽きることなく補充されてゆく。
驚愕を胸に再度悠介を見る、と───
悠介 「“伎装弓術()!草薙の叢雲()”!!」
ギシュンッ───キヒャァアーーーンッ!!!
瞬時に構えたおかしな造型の弓と剣を構え、それを轟音とともに放っていた。
純粋な風を切る音があるのだとすれば、きっとこういう音なのだろうと思うものだった。
蒼竜王『ぬ───!?』
バガァッ───チュゥウウウウウンッ!!!!
蒼竜王へと放たれたその剣はしかし、蒼竜王が放ったレーザーによって相殺される。
いや、相殺じゃない───レーザーはまだ生きて……!
悠介 「“具現創造───神槍、是総てを無限と穿つ()”!!」
キヒィイイイィ……ンン───ガォオオオオオンッ!!!!
剣を射るだけでは止まらなかった。
悠介は次に槍を創造し、それを弓で弾き射ったのだ。
その槍は今度こそレーザーを殺し、蒼竜王の肩の鱗へと突き刺さった───だが。
蒼竜王『───小賢しい!』
蒼竜王はレーザーによって勢いを殺したソレを簡単に弾いてみせ、さらに口に光を込めた。
悠介 「ディル!」
ディル『解っている!!ルォオオオオオォオッ!!!』
バガァッ!!!ゴガガガォオオオオオンッ!!!!
飛竜の口から大気を震わせるレーザーが放たれる。
しかし攻撃はそれで終わるわけではなく、
悠介を乗せた飛竜はそのレーザーを追うように飛翔する。
悠介 「“伎装剣術()”!!」
悠介がそう唱えた途端、持っていた弓が剣に変わる。
悠介はそれを構え、レーザーとともに蒼竜王へと突っ込んだ!!
蒼竜王『消え去るがいい!!』
しかし放たれる極光がレーザーをいとも簡単に滅ぼす。
だが悠介と飛竜はそれよりも先に次の行動に移り、
悠介は跳躍、飛竜は下降することでレーザーを避けた。
蒼竜王『甘いわ───!中空では身動きが取れまい!!』
そう───跳躍した悠介はあまりに隙だらけだ。
それに気づいた時にはその姿に向けてレーザーを放っていた。
悠介 「さらに甘いっ!“時操反転()”!!」
蒼竜王『なにっ───!?』
滅茶苦茶だ。
悠介は眼前に迫った極光を、あろうことか猫に変わることで避けてみせた。
確かに跳躍の軌道を狙ったためにレーザーは高い位置に放たれたが───
あんな攻撃の避け方は初めて見た───いや、ボゥとしている暇なんてない。
世界猫「“時操回帰()”!!」
蒼竜王『おかしな術を使うようだな……だがそれがなんだ?
貴様らの力では所詮、私に傷をつけることさえ出来ん!』
リヴァ「そうかな───!?“LuminousDestory()───Fill agains Fill. Sword of SupremeRuler()”!」
蒼竜王『なに───!?』
この世界がわたしの魔力を無尽蔵に汲々するのなら、
魔力の枯渇によってコントロールを失うことなんてない。
それはつまり───この世界でのみ、わたしの『究極』は完成に至るということ───!!
リヴァ「“魔導()ッ……極光剣()ァアアアーーーーッ”!!!!」
バガァッ!!ギシャァアアォオオオオオンッ!!!
空気さえも切り裂き、竜さえも屠る極光を放つ。
それは確かに他の竜ならば一撃で殺せる威力があっただろう。
蒼竜王『鬱陶しいわ!人間!!』
だが、流石は竜王。
瞬時に圧縮して放たれた光は魔導の究極を受け止めるほどに強大で、
気を抜けばこちらがやられてしまいそうだった。
リヴァ「ッ───検察官!!」
彰利 「任せろっ!!」
検察官が転移をして、瞬時に蒼竜王の眼前に出現───すると同時!
彰利 「月醒光!!」
ガカァッ!!───掲げた鎌から鋭い光を放つことでマグナスの視界を塞いだ!
蒼竜王『グォオオオッ!!?』
刹那、本当に数瞬とも呼べないくらいの蒼竜王マグナスの怯み。
その拍子にレーザーは消え、抵抗するものが無くなったエクスカリバーが鱗を裂いてゆく。
それに次いで───ザキャァアアンッ!!!
蒼竜王『───ギッ!?グォオオオオッ!!!』
まるで検察官ならばきっとそうするだろうと読んでいたかのような悠介の攻撃。
飛竜に乗って一気に間合いを詰めて振り切られた剣は、
確かに異常に硬い筈だったマグナスの目を瞼ごと切り裂いてみせた───!!
蒼竜王『ルァアアォオオオオオンンッッ!!!』
咆哮。
左目を潰された屈辱からだろうか、魔導船さえ軋ませるほどの咆哮をそいつはした。
リヴァ 「バルグ、ルーゼン、ここはいい……他の船のサポートをしてやってくれ」
ルーゼン「リ、リヴァイアさん……!?
そんなこと言ってわたしに面倒ごとを押し付ける気じゃあ……!!」
リヴァ 「震えるヤツが居ても邪魔なだけだ!
それなら王以外と戦っていてくれる方が効率がいい!」
ルーゼン「っ……くっ!」
バルグ 「おぬしらだけで本当に大丈夫か?」
リヴァ 「……そんなこと知るもんか。けど、やるしかないだろう。
あいつらはひとりひとりがおかしなヤツらだが、
ふたり合わされば奇妙に強い。わたしはそれに賭けることにした」
バルグ 「…………おぬし、変わったのう」
リヴァ 「そうか?目でも腐ったんじゃないのか?」
ルーゼン「いーえ。
以前のリヴァイアさんなら微笑むなんてことは絶対にしなかったものね」
リヴァ 「笑み……?」
そんなことはした覚えがないが───
なんてことを思っている内に、ふたりはさっさと別の魔導船へと移っていってしまった。
彰利 「んじゃああとはお若いモンに任せて……」
リヴァ「待て。検察官、何処に行く」
彰利 「馬鹿キングならひとりで逃げ兼ねないからな。
そうしないようにさっさと水晶奪って縛り付けとくさ。
あとは───ザコとは呼べないザコの始末。
キミらにそれだけの破壊力がありゃあこいつの相手は平気でしょ。
つ、つーわけで───うあっ!」
リヴァ「検察官……?お前、泣いて……」
彰利 「泣いてないっ!信じてたんだから泣くわけねぇだろうが!!
あぁくそっ!!目にゴミが入った!だから別の魔導船行って取ってくっから!!」
ビジュンッ───!!
バルグとルーゼンに続き、検察官がこの魔導船を離れた。
この魔導船には既に大きな穴が開いている───そう長くは保たないだろう。
リヴァ「───面白い」
───さあ始めようか。
手加減無しの、死と隣り合わせの戦いを───!!
【ケース21:晦悠介/黄昏空の抗戦。蒼竜王対黄竜王】
悠介 「ディル!」
ディル『チィイイッ!!!』
───光が飛び交う。
幾多ものブルードラゴンが飛翔し、俺とリヴァイア目掛けてレーザーを乱射する。
リヴァイアはその度に信じられないくらいの威力の極光を放ち、
相手のレーザーごとブルードラゴンを薙ぎ殺してゆく。
悠介 「“輝剣、一閃ニテ滅竜()───”!!」
俺もディルとともに飛翔し、
上空で狙い撃ちをしていたブルードラゴンの横を通り過ぎるように屠竜剣を輝かせる。
その極光は竜のみに対し、恐るべき威力を発揮した。
───ザパァンッ!!
青竜 『───……!!』
竜の首の、刀身の届く限りの部分を一気に切り裂く。
威力は凄まじいがそれが剣の届く範囲のみなのは流石に辛い。
だが、それに見合うほどの威力が確かにあった。
蒼竜王『どういうことだ……!我が眷属()がこうも容易く……!?』
蒼竜王の驚愕。
しかしすぐに目の色を変え、ヤツは翼を広げた。
───その時だ。
声 『総員恐れず進め!!この黄昏を恐れるな!魔力使いたいなら腐るほど使え!!
てめぇらの中に誇りがあるなら、全力を出し切ってから誇りやがれ!!』
この船を通して、空に響く声があった。
───彰利だ。
声 『リヴァイア!馬鹿キングは黙らせておいた!後はそれを励みにして目一杯やれ!』
リヴァ「───解った!!」
声 『悠介!───っ……生きてるって信じてたぞ!あんまり心配かけんな馬鹿!!』
悠介 「馬鹿は余計だっ!」
もっと言い返してやろうと思ったが、通信はそれで切れた。
その途端だ。
景色の中に存在する破損した幾つもの船が、みるみる内に新品同様のものに戻ってゆく。
月癒力か?無茶しやがって───!!
青竜 『おのれ!人間ごときに───!!』
悠介 「ハッ───そう言うヤツが一番足元掬われやすいんだよ!!“屠竜剣()”!!」
一直線に飛翔してきたブルードラゴンを前に、屠竜剣を輝かせる。
悠介 「ディル!」
ディル『応ッ!!』
飛翔。
ブルードラゴンに向かって突撃し、虚を突かれたその表情を一撃で屠り去る。
蒼竜王『何故だ……!何故我らがこうも……!?』
悠介 「人を見下すことしか出来ないなら永久に解らないさ!
お前には竜族としての気高い誇りが決定的に欠けてやがる!!」
蒼竜王『ほざくな人間!!
貴様らがいくら束になろうと、我ら竜族が負ける道理など───!!』
声 『───ならば。人間以外が束になればどうかな?』
蒼竜王『なにっ───!?』
声が聞こえた。
人のものじゃない、それは───!!
黄竜 『加勢するぞ、新たな王よ。今ここに、汝を我らの王と認める』
悠介 「イ……イエロードラゴン!?」
そう、イエロードラゴンだった。
遠くの景色から次々と飛翔し、ブルードラゴンへの攻撃を始める。
蒼竜王『貴様らぁああ……!!我ら竜族を裏切る気か!!』
黄竜 『心外だな。我らは王を守ろうとしているだけだ。
貴様の家臣がそうであるように、我らがそうして何が裏切りだ?』
蒼竜王『人間だぞ!人間ごときの下に就くなど!誇りを失ったか!?』
黄竜 『誇りならある。新たな王は竜族のために命さえ賭けてくれたのだ。
緑竜王が言っていたぞ、貴様こそ誇りを忘れたか?
竜族ともあろう者が人間相手に群れで攻撃を仕掛けるなど。
それこそ黄竜王シュバルドラインを屠った者を怖れた故ではないか?』
蒼竜王『ッ……小僧がぁあっ!!いいだろう!貴様らもろとも皆殺しにしてくれる!!』
刹那に戦いは再開した。
いたるところで青と黄が衝突し、鱗を裂き、体を焦がす。
声 《悠介!これはいったい……》
悠介 「リヴァイアか!?丁度良かった!
ブルードラゴンには攻撃してもイエロードラゴンには攻撃しないでくれ!
イエロードラゴンは味方だ!」
声 《なにっ!?───いや、解った!皆にそう呼びかける!》
悠介 「頼む!」
通話が切られる。
そういえばリヴァイアに送話を繋げてから繋げっぱなしだった。
ディル『王?』
悠介 「いや、なんでもない!それより───」
ディル『ああ。善行とやらは竜族の誇りにも届くようだな。
さて……どうするのだ新たな王よ。私は当然、お前とともにある』
悠介 「そんなの決まってるだろ───全力であの王サマをブッ潰す!!」
ディル『承知!!』
ディルゼイルとともに蒼竜王マグナスのもとに飛翔する。
俺達に気づいたマグナスは忌々しそうに俺たちを睨む。
蒼竜王『よもやな……貴様がシュバルドラインを屠った者か』
悠介 「だからどうってこともないだろ。シュバルドラインとあんたは違う」
蒼竜王『無論だ。シュバルドラインがどうだろうと私に関係は無い。
だが解せぬ……人間ごときに何故我ら竜族が傷つけられねばならぬ』
悠介 「人間にも人間の技術があるってことさ。見下すだけじゃ抗えやしない」
蒼竜王『面白い。ならばその技術とやら、私が砕いてみせよう───!』
オォオオン、と咆哮が放たれる。
俺はディルゼイルとともに飛翔しようとしたが、
それは横から飛翔してきた飛竜に阻まれた。
悠介 「飛竜!?」
ディル『アーガスィーか!』
アーガ『久しいなディルゼイル。頭の中が忠誠で出来ているのは相変わらずか?』
そう、飛竜だ。
青というよりはあまりに濃い青の体色をした飛竜が俺達の前に現れたのだ。
悠介 「ディル、こいつは?」
ディル『蒼竜王の家臣、アーガスィー。私と同じく、王とともにある飛竜だ』
悠介 「こいつが蒼竜王の……」
アーガ『王がどうだろうと俺には関係ないな。
俺はただ───強いヤツと戦えればそれでいい!』
コォァッ!───光が込められる。
俺とディルゼイルは瞬時に目を合わせ、
俺は船に飛び移り、ディルゼイルは飛翔によってその光をかわした。
アーガ『家臣の戦いに王が混ざるなんて無粋だぜ!お前はそこで見てな!』
ディル『王!蒼竜王はお前に任せたぞ!』
悠介 「っ───たく!いつも無茶な注文しやがって!」
飛翔し、争いを始めるワイバーン二体に悪態をつくとともに、
船の先で飛翔する蒼竜王を見据えた。
リヴァ「気をつけろ、生半可な相手じゃない」
悠介 「解ってる。通達は?」
リヴァ「もう終わった。イエロードラゴンには攻撃は加えない筈だ」
悠介 「悪いな、助かる」
船に居たリヴァイアとともに蒼竜王と対立する。
俺は剣を構え、リヴァイアは光を構える。
悠介 「彰利は?」
リヴァ「あっちだ。鎌を駆使してイエロードラゴンとともに戦っている」
悠介 「無茶しなきゃいいけどな……」
リヴァ「無茶はお互い様だろう。お前が言うには不相応だ」
悠介 「ひどいな、それは」
くだらない遣り取りをしながらも、見据えるのはただ一体の竜王のみ。
青と黄がぶつかる黄昏の景色の中で、視界の先に居る蒼竜王は俺達を睨みつける。
悠介 「来るぞ」
リヴァ「解ってる。空界で育ったわたしがお前みたいに判断ミスばっかりするもんか」
悠介 「ははっ───違いない!」
笑みとともに甲板を蹴って疾駆。
屠竜剣を手に一気に船の先へと駆け上がり、その先に居る蒼竜王に切りかかる!!
蒼竜王『遅いわ!』
ガギィンッ!!
───しかしその一撃は蒼竜王の爪によって弾かれ、俺は甲板へと吹き飛ばされた。
悠介 「づはっ───!!」
ダンッ、という音とともに強い衝撃。
しかしすぐに体勢を立て直すと、言を唱えて剣を弓に変えていた。
悠介 「“伎装弓術()!大蛇屠る長柄の神剣()”!!」
光の武具を創造。矢として放ち、空気さえも捻り穿つ。
だが蒼竜王はそれを飛翔でかわし、ついでだとでも言うかのように口から光弾を放つ。
悠介 「“天地斬離剣()!創世、是即ち乖離也()”!!」
放たれた光弾にエアを放ち、光弾をこの世界から切り離す───ザギャァアンッ!!!
蒼竜王『ッ……!?』
その刹那に後方から極光が放たれ、蒼竜王の角を削ってゆく───!!
蒼竜王『ッ……貴様ァアアアアアッ!!!』
リヴァ「余所見は禁物だぞ蒼竜王。相手はふたりだ、その意味を違えるな」
リヴァイアだ。その手から放たれた極光は、恐らくグングニル以上。
放たれた極光を紙一重で避けた蒼竜王だったが、
竜族の誇りである角を削られたことに激昂した。
蒼竜王『殺す!!貴様らは塵も残さず消し殺すと誓おう!!
この蒼竜王マグナスの角を傷つけたこと───万死ですら生温い!!』
悠介 「角だの誇りだの……そんなもののためにしか怒れないお前が王だって?
───寝言は寝て言え!仲間の死に対して驚きこそしても、
怒ることさえしなかったお前は王の器なんかじゃない!!」
蒼竜王『ほざくな!!力こそ全てだ!力を持つ者が上に存在するのは当然のことだ!!』
悠介 「ッ───それがお前の言う誇りか!!ふざけんじゃねぇっ!!」
甲板を蹴り、再び疾駆。
勢い任せに跳躍し、弓を引き絞った。
悠介 「───イメージ!超越にて解放!!“七刃統べる古の至宝剣()”!!」
七支刀を最初から超越とともに創造。
放たれた刃は瞬時に七つの極光と六十一の光となり、蒼竜王に向かって降り注ぐ。
蒼竜王『人間ごときがぁっ!!』
バガァッ!!バガァッ!!バガァアアアッ!!!
蒼竜王は視界を埋め尽くさんとする幾筋もの光へと連続してレーザーを放つ。
俺は極光と光とともにそのレーザーを掻いくぐり、
光の中から現れた俺を驚愕の表情で見た蒼竜王の角に一閃を落とした。
悠介 「“伎装剣術()!屠竜剣()ッ”!!」
ザギャァアアアンッ!!!!
蒼竜王『グォオォオオオォオッ!!!!』
宙に舞う巨大な角と、絶叫にも似た咆哮。
屈辱と激痛を孕んだそれは俺の目の前で放たれ、
それとともに蒼竜王の口に光が圧縮されてゆく。
悠介 「───!!」
弓を構えようとした時にはもう遅い。
その身に七つの極光と六十一の光を浴びてなお怯まぬドラゴンは、
無防備だった俺に極光にも劣らぬ波動砲めいた光を放った───!!
リヴァ「魔導───転移の式!」
だが、確実に喰らうであろうその光は空を裂くのみ。
リヴァイアが行使した転移の式が、俺を虚空から甲板へと移動させた。
蒼竜王『〜〜〜……!!忌々しい蝿どもがぁあっ!!!』
リヴァ「意味を違えるなと言っただろ。
人間で言えばクズでしかないその愚考がお前の言う誇りなら、
そんなものは性根から根絶やしにしてやる───!!」
再度の極光。
両手を掲げたリヴァイアの手に眩い光が集い、
リヴァイアはそれを地から天に振り上げるように放つ!!
蒼竜王『おのれ……!おのれおのれおのれぇええっ!!!
人間風情が竜族の王である私にくだらん説教を!!』
───だが。
真に怒り狂った蒼竜王は極光にレーザーを幾度と無く重ねてゆき、
最後にその爪で裂き殺した。
リヴァ「チ───竜王の名は伊達じゃないっていうことか?
勇ましいじゃないかマグナス」
蒼竜王『黙れ小娘が!!王に対するその軽々しい口、今すぐ滅してくれる!!』
蒼竜王が飛翼をこちらに向けて振り下ろす。
巻き起こる凄まじい風圧が俺とリヴァイアの行動を止め、
視界の先では光を溜めている蒼竜王。
蒼竜王『ルォオオオオォォンンッッ!!!!』
バガァッ───ギシャアァアアアアアアンッ!!!
聴覚をつんざく撃音。
放たれた巨大な光は足場である船さえ滅ぼしてゆき、
ようやく風圧から解放された俺とリヴァイアの眼前に迫る。
リヴァ「悠介!」
悠介 「了解!」
ふたりで同時に構えた。
頭の中で『言』を唱え、イメージを超越にて解放───!!
リヴァ「“魔導極光剣()───”!!!」
悠介 「“伎装弓術()”!!“神槍、是総てを無限と穿つ()”!!!」
互いの手にある極光を揃え、向かってくる眩い光へと───
悠介&リヴァ『貫けぇええええーーーーーっ!!!!』
───一気に放つ!!
蒼竜王『馬鹿めが───!!』
悠介 「───!?」
エクスカリバーとグングニルがレーザーを破壊してゆく中で蒼竜王は空高く舞い、
見下ろす俺達に向かって再度のレーザーを解き放つ!!
悠介 「リヴァイア!」
リヴァ「───!ダメだ!極光を溜める暇がない!!」
悠介 「……くそっ!!」
光が舞い降りる。
それこそこの船丸ごとを飲み込み消してしまうほど巨大な光が。
───迂闊だった。
蒼竜王が溜めていた光は、どうやらこちらこそが本命だったらしい……!!
蒼竜王『ふわははははは!!消えろ!跡形もなく消えてしまえ!!』
レーザーの第一撃目が完全に消滅する頃、無情にも光は俺達へと舞い降りた。
だが───
蒼竜王『馬鹿めが!この蒼竜王に挑むなど───なに?』
落下する眩い光を創造したもので押さえ、さらに押し上げてゆく。
蒼竜王『なんだと!?馬鹿な!この一撃に耐えるなど───』
悠介 「ッ……〜〜、ぐぅ……ぁあああああああああっ!!!!!!」
纏めるイメージは俺の中で最大のもの。
幾多も創造し、それを融合させ、さらに超越させる最大の創造。
光の粒子を撒き散らしながら襲う極光に抗い、さらに押し上げてゆくその青白い光は───
悠介 「イメージ!超越、凌駕にて解放!!“架空・雷迅槍()”!!!」
雷光を秘めた最大の破壊、ヴィジャヤ。
完全に放たれたイメージは極光さえ弾き殺し、果てに飛翔する蒼竜王目掛けて空を裂く!!
蒼竜王『こんな馬鹿な───!!おのれ人間!!』
蒼竜王は飛翼二枚を盾にしてそれを受ける───!
虚空に火花が散り、雷迅槍は比類も無いほどに硬いに違いない飛翼や鱗を穿たんとする。
蒼竜王『有り得ぬ───!!
私が───この蒼竜王が防御に徹するだと!?有り得ぬわ!!』
ギヂヂィイィインン……!!───バガァアッシャァアアアアンッ!!!
悠介 「なっ───!?」
蒼竜王『ガァアアアアアアアッ!!!!!』
咆哮。
飛翼を一気に広げ、ヴィジャヤを数瞬弾いた蒼竜王は、
ヴィジャヤに再度のレーザーを放つことで無理矢理軌道を変えさせた。
刹那、怒りを纏った飛翔で俺達に向かって降りてくる。
リヴァ「いい的だ!“魔導極光剣()ァアアーーーーッ”!!!」
既に距離にして数メートル。
一瞬にして俺達の眼前へと飛翔した蒼竜王目掛けてエクスカリバーを振るうリヴァイア。
轟音が高鳴り、極光が蒼竜王を襲う。
蒼竜王『ぬるいわ!小娘ぇえっ!!!』
リヴァ「───!?」
それでも蒼竜王は弾丸のような速度を緩めない───!!
俺は再びイメージを解放して───バガァアンッ!!!
悠介 「ぐあぁああああっ!!!!」
リヴァ「がはぅっ───!!?」
───否。
解放する前に、巨大な弾丸によって吹き飛ばされた。
いや……『弾丸』に喩えるなんて生易しい。
歪な棘が出た岩石を高速でぶつけられたような感覚だ。
俺とリヴァイアは血を撒き散らしながら甲板の壁に叩きつけられ、数瞬意識を飛ばされた。
悠介 「っ……が、ふっ……!!」
たった一撃でこの有様だ。
だらしなく血を吐き、立つことでさえ難儀する。
まるで頭の中が泥水になったかのように直立出来ず、その場に崩れ落ちてしまう。
悠介 「くそっ───俺とリヴァイアを回復させる霧が出ます───弾けろ!」
すぐさま創造を展開。
俺とリヴァイアの体を回復させ、旋回してくる蒼竜王を見上げた。
リヴァ「っ……まさかそのまま突進してくるとはな……!」
悠介 「やる時はやるってことだろ……。
踏ん反り返ってるより今のあいつの方がよっぽど竜族らしい」
リヴァ「慢心が消えたってことか……厄介な。
───悠介、この魔導船から離れるぞ。このままだと爆発する」
悠介 「そんなことしても足場が無いだろう───ってそうか」
リヴァ「───?」
上空を飛び、俺達を見下ろす蒼竜王をもう一度見上げる。
口に光を溜め、今度こそ滅ぼさんとさらに光を込めている。
リヴァ「くそっ!レーザー好きなヤツだな!
足場を無くせば自分が勝つとでも踏んだか!?」
悠介 「言ってても始まらないだろっ!リヴァイア掴まれ!飛び降りるぞ!」
リヴァ「なにっ!?足場が無くなるって言ったのは───」
悠介 「いいから!!」
バガァッ───ッチュゥウウウウウウンンッ!!!!
巨大なレーザーが空から降りる。
今度こそ魔導船ってヤツを完全に破壊するだろうそれを、
俺とリヴァイアは魔導船から飛び降りることで避けた。
あとは───
悠介 「頼むぞフェンリル!出番だ!!」
自分の中にリヴァイアの魔力のイメージを流し、フェンリルを召喚!!
その背に乗り、空を駆ける銀狼とともに蒼竜王に向けて疾駆する!
蒼竜王『召喚獣───!?貴様、いったい───』
悠介 「晦悠介……死神だ」
蒼竜王『チィッ!鬱陶しい!!』
蒼竜王の咆哮とともに、下方で魔導船が爆発を起こした。
俺とリヴァイアとフェンリルはその爆風に後押しされるように蒼竜王へと向かい、
それぞれが攻撃に備えた。
悠介 「フェンリル!飛翼だ!」
フェンリル『解っているぞ王よ!!フゥォオオオオンンッ!!!』
キシャァアアアンッ!!───フェンリルの口が開かれ、白銀の息吹が放たれる。
しかし蒼竜王はそれを避けたばかりか、俺たち目掛けて再び飛翔する。
リヴァ「またか!どうする悠介!エクスカリバーじゃあさっきの蒸し返しだ!」
悠介 「フェンリル!このまま突っ込め!!」
リヴァ「なに───!?正気か悠介!
エクスカリバーで勢いを殺した突撃だけであのダメージだぞ!
それを勢いも殺さず、わたしたちまで勢いを付けた状態で衝突すれば───!!」
悠介 「イメージ!超越、凌駕にて解放!“我が意思は擬似をも越える()”!!」
自分の中の最大のイメージをもう一度解放。
あとのことなんか知ったことじゃない───!
今はこの馬鹿野郎をブチのめすことだけを考える!!
悠介 「“四空、誓約ヨリ矛盾ヲ分カツ()!───閃空 飛翔ニ堕ツル万物()”!!!」
ドガァアッッチュゥウウウウンンッ!!!!
言とともに弓で“架空・雷迅槍()”を放つ。
轟音を掻き鳴らし、蒼竜王はその雷光を身に受けてなお飛翔する。
だがその勢いは確かに殺し、蒼竜王は中空で前進と後退の鬩()ぎ合いをする。
悠介 「“伎装剣術()!疾空 交差セシ白銀ノ閃()”!!」
ジャギィンッ!!
蒼竜王『グォオオオオオオオオオッ!!!?』
そこへ、屠竜剣の他に創造したグラムとの交差する刃で額を斬りつける!!
さらに振り下ろした刃を逆手に持ち直し───
悠介 「“烈空 無斬ガ故ニ砕ヲ齎ス()”!!!」
ザギャァアアッ!!!
蒼竜王『グゥォオオオッ!!おのれ!おのれぇええっ!!』
再びその額の傷を切り裂く!!
蒼竜王が額への傷に意識を奪われた刹那、フェンリルに指示を出してバックステップ。
次の瞬間にはヴィジャヤが穿たんとする部位へと閃速にて疾駆!
さらに式を編み、自分の体を強化する!
そして───
悠介 「“終空 是即チ歴戦ニテ敗北ヲ知ラズ()”!!!」
ヂィギィイイイイイインッッッ!!!!
屠竜剣の力を解放し、閃速の速度とともに奥義の終を見舞う!!
瞬間、蒼竜王の額と顎までの正中線が割れ、鮮血が噴き荒れる。
蒼竜王『ガァアアアアアアアアアッッッ!!!!!』
凄まじい咆哮。
大気を震わせ、空間さえ歪ませるんじゃないかと思うほどの絶叫が響く。
蒼竜王『甞めるな人間!私は王───!!
これしきの……これしきのことでぇええっ!!!』
悠介 「───!?」
その時、信じられないことが起こった。
蒼竜王は未だに己を穿たんとしていたヴィジャヤを牙で押さえ、
あろうことか噛み砕いてしまったのだ。
───瞬時に走る寒気。
やはり相手は真なるドラゴンなのだと───
シュバルドラインと戦っていた時の緊張感が蘇った。
リヴァ「真実バケモノだな……!」
悠介 「まったくだ───!!どうする……!?」
擦れ違い、旋回してくる蒼竜王を見て思考する。
否。
思考しようとした刹那、既にそれは放たれていた。
リヴァ「───悠介!」
悠介 「っ!?」
巨大な光が俺達を襲う。
しかし今度はそれだけじゃない。
光を追うように蒼竜王が飛翔し、光に己の体を重ねることで自分を最大の武器へと変えた。
どうする───!?
リヴァ「悠介!もう一度だ!エクスカリバーとお前のグングニルで───」
悠介 「……───!!そうだリヴァイア!エクスカリバーを!」
リヴァ「準備はもう出来てる!いくぞ!“魔導()───」
悠介 「そうじゃない!“支力解除()”!!」
屠竜剣からグラムを解除する。
次いで“支力付加()”を唱え、リヴァイアを促した。
悠介 「この剣にエクスカリバーを放ってくれ!早く!」
リヴァ「───?わ、解った。ハァッ───!!」
エクスカリバーが屠竜剣に放たれる。
しかし屠竜剣は砕けることもなくそれを完全に吸収し、黄金色に輝いた。
リヴァ「……これは───!?」
悠介 「よし───!!っ……ぁああああああああああっ!!!!!」
屠竜剣にイメージを重ねてゆく。
超越、凌駕を以って、さらに式を混ぜ。
やがて眼前に迫る蒼竜王マグナスに向け、俺の全てを込めて───!!
悠介 「“黄竜()ッ……斬光剣()ァアアアーーーーッ”!!!!」
蒼竜王『ルォオオオオオオッ!!!!!』
ザギャアアッ!!ゴガァァァアォオオオオオンンッ!!!!
鋭い轟音とともに蒼竜王が纏う光を掻き消し、鱗を砕き、血を消し殺す───!!!
蒼竜王『───……!?有り得ぬ!馬鹿な!!
我が渾身が敗れるというのか!?王が!竜族の王が人間ごときに───!!!』
悠介 「まだ解らねぇのか!!
そうやって人を見下してる限り、誰もお前のことを『王』だなんて認めやしない!
誰よりも王であろうとするなら、
そんなくだらねぇ誇りなんか持つべきじゃないんだ!!」
蒼竜王『黙れ人間!!人間ごときが誇りを語るな!!
虫ケラにも満たぬ存在が竜族に!!竜族にぃいいいいっ!!!!』
悠介 「ッ───!!寝言は寝て言え馬鹿野郎!!
力が強いだけで竜族語ってりゃあ満足なのか!?そうじゃねぇだろうが!!
お前が目指した竜族の王がそんなものなら!今ここで力に負けて消え失せろ!!」
ガカァッ───キィイイイインッ!!!!
振り切ろうとする黄金の屠竜剣に、さらに光がこもる。
それは確実に蒼竜王を滅ぼしていき、蒼竜王はその事実に目を血走らせている。
蒼竜王『ッ……おのれ……!!おのれおのれおのれおのれぇえええっ!!!
人間ごときに……!人間ごときにぃいいいいいいっ!!!!!』
ザガシャアァッ!!
悠介 「ぐぶっ……!?」
横からの爪の一閃。
それは左肩を潰し、両手で持っていた黄金の屠竜剣の勢いを殺す。
蒼竜王『ただでは死なぬ───!!貴様も道連れに───!!』
刹那、蒼竜王は突進を再開し、俺を噛み殺そうと顎()を下ろした!
が───その鱗が剥がれ、血塗れの顎を斬り殺す光があった。
蒼竜王『な……に……!?』
リヴァ「意味を違えるな、と何度言わせる。相手がふたりという事実を忘れたか」
リヴァイアのエクスカリバーだ。鱗が砕けた身で受け止めるには、その極光は鋭すぎた。
蒼竜王『こ、小娘が……!!王に向かって───!!』
リヴァ「来世があるならやり直せ。ただし……今は消えろ。今のお前は王になど至れない」
蒼竜王『ほざくなぁっ!私は!私は───』
ザキィィイイインッ!!!!
蒼竜王『カッ……!?グォオオオオオオオオォォッッッ!!!!』
悠介 「ッ……もう消えろ……!
お前は俺達が考える竜族の幻影にすら至れなかった……!」
蒼竜王『お、のれ……!おのれぇえええ……!!』
───……黄金の屠竜剣の極光にて斬りつけられた蒼竜王が塵になってゆく。
あとにはなにも残らず───……
ただ、その場に散った物凄い数の塵が、風に乗って空に溶けてゆくだけだった───。
悠介 「───……はぁっ……!」
リヴァ「……まったく。結局倒してしまったな。目的が逸れた」
悠介 「目的……?あー……そういや水晶の檻って───」
リヴァ「検察官がなんとかしただろう。疲れているところ悪いが、急ごう」
悠介 「……そうだな」
リヴァイアが先を促す中で、俺は塵が飛ばされていった空を眺めた。
黄昏の世界であるその空は蒼空じゃないが、
やがては黄昏の領域から出て蒼空へと辿り着くだろう。
悠介 「……せめてそこで蒼空の王を謳ってろ、馬鹿野郎」
最後にそう呟いて、俺はリヴァイアとフェンリルとともに他の魔導船を目指した。
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