───放浪精神『第十二章◆骨々の巻』───
───……。
彰利 「いつもそうなのよ!わたしが居ると、必ずみんなが困ることになるのよ!
お願い、わたしを放っておいて逃げて!お願い」
夜華 「うるさい!!」
ズパァーーーン!!
彰利 「ぶべぇーーーっ!!!!」
夜華 「そんなことを言っている暇があったら歩いたらどうなんだ!」
彰利 「ごめんなさいごめんなさい!!謝るからぶたんといて!」
夜華 「まったく……!!」
……さて。
只今、俺と夜華さんが何処にいるかというと───実はまだ、学校に居たりします。
途中で目覚めた夜華さんは夜華さんじゃなくて浅っちになっていて、
それを負ぶっていたアタイに、
いきなり『な、なにしてるんですか』などと怒りおったから、
アタイはギガスブリーカーで浅っちを気絶に導いた。
◆ギガスブリーカー
相手を持ち上げ、肩に担いでジャンプ。
落下速度と着地の反動を利用して、相手に思いっきりバックブリーカーをかける技。
よーするにキン肉バスターも、
ジャンプしてから叩きつけないと高い威力は望めないのと同じ。
それがバックブリーカーになっただけ。
*神冥書房刊『アインスツヴァイドライエンデのヒューゴ』より
───で、再び現れた夜華さんの人格が急に『納得出来ん!』と叫び、
アタイを連れ添わせて、理科室への案内を頼んできおったのだ。
どうやらエネルに負けたのが相当に悔しいみたいです。
しかも、なんとなく暇だったからやってみた、
漂流教室の西さんの真似に付き合ってくれました。
……ビンタの威力が通常の10倍は痛かった気がするけど。
彰利 「あーあ、何気に歯が飛んでるよ……。
どういう勢いとタイミングで引っ叩けば、ビンタで歯が飛ぶんだか……」
夜華 「……なにか言ったか?」
彰利 「ステキな星空ね、高松くん」
夜華 「わたしは『たかまつ』とかゆう名前ではない」
彰利 「じゃあ低松?」
夜華 「……馬鹿にしているのか貴様」
彰利 「馬鹿とはなんだコノヤロウ!!」
夜華 「……はぁ。もういい、いいから歩け」
彰利 「グウムッ……」
歩けって言われたってね……歩きづらいんじゃがねぇ……。
夜華さんってば、なんだって俺の背中に隠れるように歩いてるんだか。
やっぱ怖ェんでないの?
あー、でも理科室までは一直線に来てたみたいだし───実際のところどうなんだ?
彰利 (……月奏力)
ちょっくら試してみましょう。
まずはほん怖クラブの吾郎さんテーマ。
ニィニュゥニニ〜ニュゥ〜〜……
ニィ〜ニュゥニニ〜ニュゥ〜〜……
夜華 「うわっ!?な、ななななんだっ!?」
彰利 (月奏力・幻惑の調べ)
続いて、口から糸と風を吐くカルボーンおばけ。
もちろんマボロシですが。
夜華 「ひっ───!?」
ごしゃあ〜〜〜っ!!
カルボーンおばけの口から、糸と風が吐き出される!!
夜華 「うわっ!うわわぁああああっ!!!!」
その糸と風が夜華さんを襲い、
その後ろに作っておいた、ほん怖クラブの幻影のひとりの眼鏡がマヒューンと飛ぶ。
シャキィン!
吾郎さん『イワコテジマイワコテジマ!!ほん怖!五字切り!!』
バッバッバッ!!
夜華 「っ!?な、何者!?」
で、いきなり叫んで五字切りをする吾郎さんの幻影に、本気で驚く夜華さん。
子供1 『怪(!』
子供2 『祷(!』
子供3 『怖(!』
子供4 『無(!』
吾郎さん『弱気!退散!』
バッ!フォンッ……フォンッ……フォンッ……!
やがて吾郎さんがスーパー吾郎さんジャンプを見せる中───
夜華 「紙細工の妖か!!なにをするつもりか知らんが、させると思うか!」
夜華さんまでもが床を蹴り、吾郎さんを追ってジャンプ!!
夜華 「紅葉刀閃流刀技───飛燕龍-昇-!!」
シュフィンッ───スカッ。
夜華 「なっ───!?て、手応えが無い───!?」
吾郎さん『喝ぁーーーーつ!!』
ギシャアアアッ!!
夜華 「うわぁあああっ!!?」
吾郎さんが掲げた、謎の物体が輝く!
するとカルボーンおばけの額に『五』という文字が刻まれ、
ズゴゴゴゴ……とカルボーンおばけが消えてゆく。
吾郎さんも役目を終えたため、空中で消えていった。
ドササッ!
夜華 「はっ……はっ……!?」
夜華さんは尻餅をつくような体勢で着地して、訳も解らずにその場を見渡した。
当然、なにもござんせん。
夜華 「な、何者なんだあの男……!」
彰利 「ふむ。覚えておくがいい夜華さん。
あの男こそ、伝説のほん怖クラブのリーダー、吾郎さんなるぞ」
夜華 「『ごろーさん』……?」
彰利 「そう、吾郎さんだ。凄まじいほどのジャンプ力を持ち、
あの通り幽霊も退散させる実力を持つ」
夜華 「……わたしの───いや。
母上が鍛え上げた紅葉刀閃流の刀技が通用しなかった……。
わたしが未熟なのか……?それともごろーさんが強すぎるのか……?」
彰利 「吾郎さんが強すぎるのだ。
ヤツが本気を出せば、オリンピックで銀河記録が出るだろう……」
夜華 「おりんぴっく……?」
彰利 「なんでもありません。さ、行きましょう」
……尻餅をついている夜華さんに手を差し伸べる。
夜華 「う、あ……」
しかし夜華さんはその手を取ろうとしない。
ぬう、オラが手ェさ差し伸べるだなんて、滅多でねぇぞ?
って、あれ?
彰利 「あのー、夜華さん?もしかして……腰抜けてる?」
夜華 「〜〜っ……!!」
うお……顔真っ赤。
恐らく武士として、そげなことはバレたくなかったんでしょう。
しかも吾郎さん相手に腰抜かしたわけだし。
ほんに武士ってのは、こだわる存在ですなぁ……。
彰利 「しゃあのない……ささ、お嬢さん。あっしの背に負ぶさりなせぇ」
夜華 「なに……?」
彰利 「なに、あっしは足腰が丈夫やさかい、
おなごのひとりやふたり、支えられますぞ」
夜華 「…………いいのか?」
彰利 「へぇ、もちろんでさぁ!」
まさか腰抜かすとは思わんかったし。
考えてみれば、小僧の心を試すためにシェイドと結託してバケモノの幻影出した時、
気絶までしちまった夜華さんを思えば……肝試しなんてやりすぎだったでしょう。
ひでぇことしちまった。
夜華 「……そうじゃない」
彰利 「ウィ?」
夜華 「わたしを『女性(』として認めてしまっていいのか……と訊いているんだ」
彰利 「だって夜華さん女でしょ?いくら武士を名乗ってたって、
産まれたときから武士なヤツなんておらんのだし」
夜華 「………」
アタイの背にトサ……と、軽い重みが乗っかる時。
アタイの耳に『違いないな……』という声が聞こえた。
でも聞こえないフリをする。
夜華さんたら弱気になってるだけなのよ。
雰囲気に流されるの、よくないこと。
でも、場のノリとツッコミ、これ、人類の至宝。
大事にする、イイコト。
……なんでカタコトなんだ?
まあいいコテ。
アタイは夜華さんを負ぶったまま、ゆっくりのんびりと理科室を目指し、歩き始めた。
───……日常、か。
不思議だ。
何故、彰衛門からは『日常』を感じられるのか。
およそ、この男の居なくなった世界など考えられない。
夜華 「………」
景色がゆっくりと流れる。
薄暗い場所は昔から苦手で、特にこの場所は、奇妙な寒気がした。
……わたしが居るべき時代では、こんな建物はなかったな……。
夜華 「……はぁ」
小さく溜め息が出る。
何故わたしは、この男に恋心を抱いたのだろうか。
不思議だ。
……なんの気兼ねもなく接することが出来るからか?
だとしても、あそこまで馬鹿にされて、好いた惚れたの感情が産まれるだろうか。
……解らない。
だが間違い無く───わたしはこの男に惹かれている。
それは……なんと喩えればいいのか。
『日常』があるから、だろうか。
自分が自然でいられる日常があるから……?
夜華 「………」
やはり解らない。
けれどもわたしは、この男の傍は嫌いじゃない。
誰よりも、楓さまよりも、一番にわたしの傍に居てほしい。
自分を好いてくれるのなら、刀も捨てよう。
大人しい女性になれというのなら、努力する。
だから……
夜華 「………」
……馬鹿な。
彰衛門には既に帰りを待つ女性が居る。
もしわたしがその女性だとするのなら、
彰衛門が別の女性のもとにゆくのは我慢できない。
だが……だが、だ……。
初めてなんだ、こんな感情を持てた男は……。
わたしは、わたしは彰衛門が……───
彰衛門「そういやさぁ」
夜華 「っ───!?な、なんだ……?」
彰衛門「こうして夜華さんと一緒に居ながらも、静かなままの時間って久しぶりだよね」
夜華 「……そう、だろうか。わたしは……五月蝿いか?」
彰衛門「滅法」
夜華 「……少しは遠慮を知れ……馬鹿者」
彰衛門「馬鹿とはなんだコノヤロウ!!」
彰衛門はいつもこれだ。
馬鹿と言われると、こう返してくる。
言われれば癪に障る言葉なのに、
何故……言われなかった時に、あんなに寂しさを感じたのか。
夜華 「……解らないことだらけだ。わたしはどうしたらいい……」
彰利 「……?なに悩んどんのか知らんけど、悩むのはやめといたほうがええよ?
小僧みたいに道を迷うから」
夜華 「いや……わたしは……」
『……迷いたいのかもしれない』。
喉まで出掛かった言葉を止める。
言ったところでどうとなるわけじゃない。
彰衛門の意思は強固だ。
わたしがわがままを言ったところで、頷いてくれる彰衛門じゃない。
だったらやはり……この想いは成就しないものなのだ。
諦めるしかない。
諦めるしか……
───ポタッ。
彰利 「おひゃああああああっ!!!!?」
夜華 「───!」
彰利 「な、なになになんぞ!?い、今首筋に謎の感触が!!」
夜華 「振り向くなっ!!」
彰利 「ウヒョオ!?で、でもね?首筋がね?ポタッてね?」
夜華 「振り向くな……!振り向いたら……わたしは貴様を許さない……!」
彰利 「……?別にやましいことしてるわけじゃあねぇよね?」
夜華 「するものか、馬鹿者……」
彰利 「馬鹿とはなんだコノヤロウ!!」
夜華 「……いいから、振り向かないで……くれ……」
彰利 「…………ほい。んじゃあ、の〜んびり行きますかぁ」
夜華 「ああ……」
やがてまた、ゆっくりと景色は動く。
日常に背負われ、その景色をのんびりと眺めながら。
わたしは……その想いを、ずっと心の中にしまう覚悟を決めた。
───……。
夜華 「すまない、もういい。下ろしてくれ」
理科室が視界に入り始めた頃、夜華さんがアタイの背から降りた。
ちと気になったけど、その顔を覗くのはやめておいた。
無粋……あまりに無粋。
背負った状態で震えられれば、泣いてたってことくらい解るってもんですし。
彰利 「んじゃ、理科室に乗り込みますぞ。覚悟はいいか?俺は出来てる」
夜華 「───ああっ、わたしもだっ」
顔をぐしぐしと拭い、夜華さんが刀に手をかけた。
なんぞ悩んでおったかは知らんが、どうやら吹っ切れたらしいです。
夜華 「なにをしてるんだ彰衛門っ!置いていくぞっ!」
勇んで前に出る夜華さん。
その手が理科室のドアに掛けられ───
まるで、自分はもう大丈夫だと言わんばかりの勢いで、それが開かれた。
夜華 「は───う、うわぁあああああああっ!!!!!!」
───で、夜華さん絶叫……って、絶叫?
彰利 「どぎゃんしたとよ夜華さん!」
アタイは床をギャオッ!と蹴って、夜華さんに続いた!
そして理科室を覗いてみると───
骨格標本『………』
……見ちまった。
今度は骨格標本の鈴木人骨くんが歩いていたのだ。
彰利 「こ、こいつはまさか……
ある地方に出現したという伝説の死神───!?」
夜華 「なっ───し、死神なのか!?」
彰利 「間違いがなければ間違いない……!その名も───出ュ浮=東郷(!!」
夜華 「でゅーく……?」
彰利 「う、うむ……!」
◆出ュ浮=東郷───でゅーく=とうごう
骨に鎌という典型的な死神像を誇る死神。
冥界の深層にあるという溟界(に存在する者。
人型の死神とはあまり接点はないが、
シェイドは人型の死神より骨型の死神との接触の方が安心できるらしい。
*神冥書房刊『神降の伝記-第三記第一章-』より
彰利 「というわけなんだ……!」
夜華 「よく解らないが……強いのか?」
彰利 「ああ……ヤツが骨型死神だとしたら、ちと厄介だぜ……!
シェイドの話じゃあ、
骨型死神は自分の体と相手の体を交換する術を持っているらしいんだ……!」
夜華 「なっ───冗談じゃないぞ!あんな骨などと体を交換するなど!」
彰利 「俺だって嫌じゃい!……っと、それにね。
人型の死神は感情を捨て去ってるけど、骨型死神には変わり者が多いんだ。
大体のヤツが感情を持ってる。───よいかね夜華さん。
感情の無い死神より感情のある死神の方が強いって考えていい。
気を抜いてはいけませんよ───先手、先手じゃ!」
夜華 「ああ、心得た!」
彰利 「ではいくぞい!」
床を蹴り、鈴木人骨くんへと疾駆する!
その足音で鈴木人骨くんがアタイたちに気づいたが、
気づかれた頃には間合いを詰めていた。
彰利 「“排撃(ォッ”!!」
骨の顔面に掲げた手から月壊力を発動!
その瞬間に手が爆発したような感覚とともに、鈴木人骨くんの顔が吹き飛ぶ!
夜華 「やったかっ!?」
彰利 「油断するな夜華さん!まだだ!」
カコンカコンカコン───ガブッ!!
夜華 「うわっ!?」
吹き飛んだ鈴木人骨くんの顔面が壁にぶつかり、
器用に反射して───夜華さんにかぶりついた!!
人骨 『必殺!入れ歯カミカミ!』
夜華 「ぐあっ!いたっ!いたたたた!!な、なにをする貴様!!」
パカァーーンッ!!
人骨 『ギャーーッ!!!』
夜華さんが腕に噛み付いた鈴木人骨くんを叩き落した。
なんとも乾いた音が鳴り、
また鈴木人骨くんの顔面が、コカッ!コカカカカッ!!と、壁に反射する。
人骨 『オエエ……!目が回るほね……!!』
ガッシィンッ!!
やがて胴体と体が合身すると───
人骨 『おええええええ……』
びちゃびちゃびちゃ……
夜華 「うわっ!?」
彰利 「うおおっ!?」
なんと!鈴木人骨くんがゲロを吐いた!
───どこからゲロが出てるんだ!?
人骨 『ウウ……き、貴様ら……この俺になんの用ほね……』
彰利 「貴様に用などない!俺達は肝試しに来たのだ!」
人骨 『用もないのにこの南無に攻撃をしたほねか……』
彰利 「ナ、ナム?」
人骨 『名乗らせてもらおう……俺の名は南無。
天空×字(=南無(ほね。ボーン=ナムと呼んでくれほね』
彰利 「ドラゴンボールなのかジョジョなのか……どっちかにできないの?」
南無 『それは無理だ。
俺は飢えている祖国の皆のため、天下一品武道会で勝たなくてはならぬほねよ』
彰利 「それ、天下一武道会ね」
よく解らんが、発せられているのは死神の波動。
間違いなく、骨型死神だ。
彰利 「ところで……器官もないのにどうやって喋ってんの?」
南無 『それはコウモリだけが知っているほね』
彰利 「……黄金バットかよ」
どうしてこう、変わり者の死神って地界のことに詳しいんだか……。
彰利 「そんで?なんのためにここに居るんだハゲ」
南無 『数十年前、出ュ浮と始めたデスノート遊びの延長ほね。
どうにも面白いヤツが居ないから困っていたほねよ。
出ュ浮は数十年前にパートナーを見つけたみたいだったほねが、俺はまだほね。
これでは勝負にならないほね。出来れば女がいいほね。恋に焦がれる女が。
じゃなければ南無という偽名も輝かないほね』
彰利 「……あー、その、なに?
つまり出ュ浮も南無も、デスノートのリュークとレムを真似たもの……?」
南無 『そうほね、出ュ浮は本名じゃないほね。俺は本名ほねが』
彰利 「………」
そんなことするって言ったら……すっげぇ暇人なんじゃねぇか?
夜華 「な、なにをしている彰衛門!そいつは敵なのだろう!?
呑気に会話していいる場合かっ!」
南無 『ン───?』
ギヌロ。
ハゲが夜華さんを睨む……というか目が無いから睨んだかどうかも解らん。
南無 『貴様、確か───雨霧とかゆう女だったほねか?』
夜華 「雨霧……?誰だそれは!」
南無 『違うほねか。確かに顔が違う気もするほね。
では……キミは……ラファティくんだったほねねね?』
夜華 「違う!わたしは夜華!篠瀬夜華だ!」
南無 『夜華ほねか、よい名だほね。貴様、デスノートの持ち主になってみないほね?』
夜華 「断る」
南無 『一番最初にドアに手をかけたのは貴様ほね。
そこのドアにはデスノートの破ったものを一枚挟んでおいたほね。
そのために貴様は俺が見えるのだほね……』
彰利 「……俺は?俺も見えるけど」
南無 『雰囲気くらい読めクズが!ほね!』
彰利 「なんだとハゲてめぇ!!」
南無 『デスノートは凄いほねよ?このノートに書かれたことを、俺が現実にするほね。
貴様はただ書けばいいほね。これは遊びなのですからほね』
無視かよ……。
夜華 「その書物に書いたものが、現実に起こるとでもいうのか?」
南無 『そうほね。そして、それを書くのは貴様ほねよ。この意味が解るほねな?』
彰利 「解った。俺が貴様の主だ!」
南無 『女がいいと言ったほねよ』
彰利 「骨のクセに色気づいてんじゃねぇハゲ!!」
南無 『なんだとてめぇほね!!出ュ浮だって設定無視しておなごとツルんでたのに、
なんで俺だけ男とツルまなきゃならねぇんだほね!!』
彰利 「ついに本性現しやがったこのエロッパゲ!!ちょっとツラ貸せこの野郎!!」
南無 『ほれ』
───ポンッ。
彰利 「うおっ!?」
あっさりと、自分の頭を投げ渡す南無。
どうやらノリはいい方らしい───が。
彰利 「カミソリパスやぁ〜〜〜っ」
コパキャァアアーーーーッ!!!!
南無 『ほねぇえええーーーーーーーッ!!!!』
俺は受け取った南無の頭を手放し、丁度良い高さの時に思い切り蹴った。
南無ヘッドは空気を切り、やがて窓ガラスをブチ破り───……帰ってこなくなった。
しかし……骨だからって叫び声が『ほねぇーーっ!』とは……
彰利 「まあよし。このボーン・ナムボディを縄で縛って身動きとれなくして、
焼却炉にでも放り込んでおこう」
夜華 「焼却か?よし手伝おう。
誰と間違えたかは知らんが、わたしは誰かと間違われるのは嫌いだ」
彰利 「うし。んじゃあ適当に縄を探して、と……」
───……。
彰利 「これでよし、と」
カタカタと動く骨ボディを雁字搦(めに縛り、
焼却炉に放り込んで蓋を閉めた。
彰利 「悪霊ってわけじゃなかったから、災狩も必要ないデショ」
夜華 「『さいか』とやらがなんなのかは解らないが、
このバケモノにはこれがお似合いだ」
彰利 「んむ。で、夜華さん。これからどうする?また理科室行く?」
夜華 「……いや、もういい。あの妙な格好をした無礼者が居なかった。
わたしはあいつに用があっただけだからな。戻ろう、彰衛門」
彰利 「ウィ、りょ〜かい」
そうして、俺と夜華さんはゴタゴタと揺れ動く焼却炉を無視して、その場を後にした。
……余談ではあるが、後日。
聖、椛、子浅っちの三人が、
掃除の時間に『ほねぇええーーーーーっ!!!』という奇声を聞いたそうな。
……もちろん、焼却炉方面から。
南無阿弥陀仏。
Next
Menu
back