───黄昏を紡ぐ者。骨への疑問───
───……。
凍弥 「………」
悠介 「───……そっか。聞かないか」
凍弥 「あ、いや……何がなんだか。どういう話だか見えないんで……」
目の前の凍弥は目を伏せながらごにょごにょと呟く。
聞くか聞かないかをまだ悩んでいるようだが───
悠介 「ああ、迷うくらいなら聞かないほうがいいかもな」
凍弥 「え……?」
考えてみれば、そりゃそうだ。
まさか……あいつが喜兵衛の転生体だなんてこと、知らない方がいいに決まってる。
悠介 「───じゃあな、俺はちょっと神社に戻る。お前は好きにしてろ」
凍弥 「は、はぁ……」
俺はそれだけ言うと虚空にブラックホールを創造し、
晦神社へと繋ぎ───その中に飛び込んだ。
───……そして、その景色が開けた刹那、俺はその嫌な気配に気づいて駆けた。
駆けた先に居たのは椛と───剣を手にしたあいつだった。
悠介 「───椛!」
椛 「え?おじい───はっ!?さ、佐古田さん!?」
佐古田「死ねぇっ!!」
フィンッ───ガキィンッ!!
佐古田「───……なんだ?急に壁が……」
椛 「おじいさま!」
悠介 「させるかよっ……喜兵衛!」
椛の目の前に闇の壁を創造し、その攻撃を防いだ。
それに安心する暇もなく間合いを詰める!
佐古田「なっ───ちぃっ!!」
ゾフィィンッ!
悠介 「甘いっ!」
振り下ろされる剣を避ける。
その剣は───ルナカオス!?
やばい……ルナカオスは地界人でも月操力が使える───!
悠介 「くそっ!」
まさかもう覚醒してたなんてな……予想外もいいところだ。
ったく、面倒かけさせやがって!!
佐古田「はぁっ───!!」
フィンッ!!
悠介 「月醒力か……ダァホ」
佐古田「なに……!?」
飛翔する月醒力の塊を軽く避ける。
月操力は月の家系の者以外がそうそう操れるものじゃない。
なにより『殺そう』と思うと力が入りすぎる。
そんな攻撃があたるもんか。
佐古田「くそ───当たれ!当たれ!」
ブラストでは当たらないと悟ったのか、ガトリングブラストに切り替えてくる佐古田。
それを避け、さらに避け───って!
悠介 「しつこいわぁっ!!」
バジュンッ!!
佐古田「ッ───!?」
ガトリングブラストを月蝕力で完膚なきまでに蝕み、ズカズカと歩み寄る。
まったく!こういうしつこいヤツって大嫌いなんだよ俺は!!
悠介 「あーのーなぁ!!お前なんぞにその剣を扱いきれるわきゃねぇだろが!!
喜兵衛だか孫六だか知らねぇがとっとと返せ!!」
佐古田「……フン。何故貴様などの言葉を受け入れねばならぬのだ……?
私はなぁ、禊隆正と神の子……そしてあの男に復讐できればそれでいいのだ!」
悠介 「あの男……?───彰利……いや、彰衛門か」
佐古田「名前など知ったことか!私は……私はあの男の所為で死んだのだ!!
殺してやる……フヒヒヒ、全て滅ぼしてやる……!!」
悠介 「───……つくづく」
つくづく……むかつく野郎だ。
逝屠といい、どうしてこう……!
悠介 「───練習させてもらうぞ。“創造の理力”」
佐古田「……?」
『佐古田』を傷つけるわけにはいかない。
となるとあれしかないわけだ。
創造の槍、“聖災を誇る無情の兵槍(”……。
あの槍を使って、佐古田の中から喜兵衛ってゆう異物を引きずり出す!
悠介 「───……なっ……!?」
───だが。
黄昏が創造……創造されない。
悠介 「くそっ!どうなってんだよ!」
イメージが足らない!?
場所に問題が───!?
佐古田「なんだ……なにかをしようとしたんじゃないのかぁ……?」
悠介 「く……!」
一度同調できたってのに、なんで創造が確立されない……!!
力不足……!?
それとも……逝屠の言う通り、
精神体でなきゃルドラの力を引き出すことは出来ないのか……?
佐古田「くははははっ!!殺し合いの最中に考え事か!?」
フィンッ!
悠介 「───っ!?しまっ……」
剣が振り下ろされる───!
避けるんじゃ間に合わない……イメージ!
……ダメだ!間に合わ───ガキィンッ!!
悠介 「……?」
佐古田「つぅッ!?誰だ!」
佐古田の持つルナカオスが突然飛んできた黒い光に弾かれる。
今のは……?
骨 『武器は反則ほね……戦いたいなら素手でいけ』
椛 「………」
視線を移した先に、骨とその小脇に抱えられている椛。
……骨?───骨ぇっ!?
骨って……
椛 「あの……突然現れて……なんなんですかこの骨……」
悠介 「そんなの俺が訊きたいが……」
骨 『───おいそこの男』
悠介 「なに……?」
骨の突然の発言。
しかも俺を見ての。
……でも、なんでか嫌な予感とか気配は感じない。
骨から感じる気配は死神のものだっていうのに……
骨 『貴様に足りないもの。それは……危機感だ』
悠介 「危機感……?」
骨 『そういうことだほね。
だから───ひとりくらい殺せば創造も出来るようになるんじゃないかぁ?』
トンッ。
椛 「ひうっ!?」
悠介 「な───おいっ!!」
カタカタと顎を動かす骨が椛の喉に指先を───!
悠介 「てめぇっ!なにする気だぁっ!!」
骨 『なにって……くすぐるだけほね』
悠介 「へ……へぇっ!?」
こちょこちょこちょこちょ……
椛 「ひやっ!?ひゃっ───あにゃぅっ……く、くふふ……!!」
骨 『危機感満点』
悠介 「どこがじゃあっ!!」
骨 『おめぇカルシウム足りてねぇんじゃねぇのかほね?
ダメほねよ?カルシウムは摂取しないと。───ほら!ぼくの骨をお食べよ!』
悠介 「食うかっ!!」
骨 『食わず嫌いか……いい大人が情けねぇほね。
さすがモミアゲが長いだけのことはあるほねねぇ〜〜〜〜っ!!
ほ〜〜ねほねほねほね!!ほ〜〜〜ねほねほねほねほねほね!!』
ぉおおおおムカツク!!この骨なんか異様にムカツク!!
骨 『ほぉ〜ぅれぇ〜……。俺なんかに構ってていいほね?
そっちから喜兵衛が来るほねよォ〜〜〜ッ?』
悠介 「なにっ!?」
佐古田「死ねぇっ!!」
振り上げる腕!
そしてその手にはルナカオス!───ってしまったぁああっ!
馬鹿やってる内に拾われちまったぁああっ!!
悠介 「くっそ!イメージを!!」
創造を開始する。
一瞬にして創造しないと、やられるのは俺の方だ!
一瞬の思考の乱れも許されない!!
骨 『コサックダンスは楽しいなぁ〜♪』
ケッショケッショケッショ……
悠介 「ってぇ!気が散るわボケェッ!!」
骨 『ツッコミ入れるのはいいけど、後ろ』
悠介 「へ?って、しまったぁああああああああっ!!!!」
ああもう今の俺ってすっげぇ馬鹿!!
それもこれもあの骨が出て来てからだ!!
ただの骨なのにあいつのことが気になってしょうがねぇ!!
なんだってんだよくそっ!
悠介 「日本武道の神よ───俺に力をっ!!はあっ!!」
バッシィイイイン!!!
骨 『おおっ!!』
椛 「ああっ!!」
佐古田「なに───馬鹿な!!」
悠介 「っ……!!」
骨 『あれは伝説の───真剣白刃取り!!
あんなもん写真でしか見たことねぇ!!』
悠介 「く、っはぁああ……!!」
あ、危ねぇ……!
失敗してたら頭から一刀両断だった……!!
成功してくれてよかった……!
よかったけど……
悠介 「………」
日本武道の集大成(?)を成功させたところで、骨に実況されてもなぁ……。
佐古田「驚いたな……まさか受け止めるとは。だぁがぁ……!!」
───ググッ……
骨 『いかんな……普通、ああなってしまったら白刃取りをした方の負けだ……』
椛 「え……?どうしてですか!?あんなにしっかり掴んでいるのに!」
骨 『解らねぇかほね?立っている者と屈んでいる者の差が。
相手は上から体重をかけられることに対し、掴んだ者は耐えることしか出来ない。
剣先から逃げようと別のところへ力を込めれば、その瞬間に真っ二つほね……』
椛 「あ───ああっ……!!」
骨 『真剣白刃取り……誰が考えついたかは知らんが、
掴む場面を誤ればなんの役にも立たぬ博打よ……ほね』
手で挟んでいる剣に体重が込められる。
いきなりの重力───手のひらの皮が少しだけ削がれた。
悠介 「っ……てめぇ!!」
佐古田「あともう少しだ……。あとほんの少し力を込めれば貴様は死ぬ……!
どうだぁ……死に向かう気分はどうだぁっ!?フヒヒハハハハハッ!!!」
……あぁムカツク……。
こいつもそうだが、あの骨もだ。
解ってて()言ってやがるのが気に入らねぇ……。
楽しんでやがるんだ、この状況を……!!
骨 『決まったほねな』
椛 「そんなっ!おじいさまは負けません!そんなことがあるわけ───!」
骨 『そうじゃないほね』
椛 「え……?」
考えてきたら余計にムカツいてきやがった……!!
なんで俺がてめぇみてぇな非力()なやつに梃子摺らなけりゃなんねぇんだ!!
骨 『悠介の目に、不良として孤独を噛み締めていた頃の光が戻ってきたほね。
こうなったあいつは強いほね』
椛 「不良───……どうしてあなたがそんなことを……?」
骨 『企業秘密ほね』
邪魔くさい……!鬱陶しい……!
興味本位で俺に近づくんじゃねぇ……!
全てが邪魔だ……!失せやがれ!!
佐古田「では……死ねぇっ!!」
悠介 「……───寝言は寝て言え」
佐古田「なっ───!?」
金色が広がる。
染まってゆく。
赤く……さらに赤く。
ああそうだ染まれ……染まれ染まれ染まれ染まれ!!
赤く紅く朱く緋く!!
佐古田「なんだこれは……!?神社が……形を変えて───!?」
悠介 「───……“創造の理力(”」
───バジュンッ!!
佐古田「は、ああ……!!」
全ての景色が金色へと変わる。
遠く続く空の赤に、約束の木を真っ赤に染める黄昏。
───ようこそ、遙かに遠く儚き黄昏の世界へ───
佐古田「なんだ……なんだこれは……!」
悠介 「御託の時間はやらない。今すぐその体から出て行きやがれ───!!
───我紡ぐは聖災の槍。例外無きその光は異物を貫く災いの一撃なり!!
ロンギヌ───」
骨 『ちょぉっと待ったぁーーっ!!ほね』
ガクッ。
いきなり聞こえた素っ頓狂な声に、思わずイメージが掻き消されてしまった。
椛 「あ……ズッコケました」
悠介 「いきなり変な声出すからだ!!
おい骨ぇっ!!なんなんだよお前はさっきからぁっ!!」
骨 『まだロンギヌスは撃つなほね。【この世界】に自分を慣らせ』
悠介 「なに───?」
骨 『でないと……おめぇはここ一番って時にルドラを呼び出せず、
自分の命も弦月彰利の命も、また無くすことになるほね』
悠介 「なん……だと……?」
彰利の命も、自分の命も……『また無くす』……?
まるで、一度見たような口ぶり───どういうことだ?
骨 『ルドラとの同調を確かなものにするのはこの世界自体ほね。
なんにでも【熟練度】というものがあるのは解るほねね?
まずはそれを溜めることほね。
貴様はこの創造世界の維持だけでも、
まだまだスキルアップは図れるくらいに未熟ほね。
この世界の維持をして、この世界を自分の頭にイメージとして叩き込むほね。
そうすれば───きっと未来は開くほね』
悠介 「どういうことだ……なんでお前はそんなことを俺に……」
骨 『フッ……この場は既に俺の知らない歴史よ───。
だからこそ、俺はこの歴史に賭けてみたくなったのさほね……』
悠介 「骨……お前……」
骨 『ところでキミ、後ろ』
悠介 「へ?なぁっ!!」
ジュフィンッ!!
悠介 「おぅわっ!掠ったぁっ!!」
ルナカオスが髪の毛数本切っていきやがった……!
危ねぇ……避けなかったら死んでた……!!
骨 『ほねほねほね!!死合い中に余所見とはまさに愚考!ほね!』
悠介 「てめっ……!」
椛 「おじいさま!危ない!」
悠介 「っ!?くそっ!」
ゾフィィンッ!!
悠介 「くぁはっ……!」
服を斬られた。
おまけに皮一枚もってかれたか……!
血は出てない……大丈夫だ。
佐古田「なんだ……?なにをしたのかは知らんが、景色を変えただけで終わりかぁ……!」
悠介 「やかましいっ!慣れろとか言われなけりゃお前なんてなぁっ!!」
骨 『ほねほねほねほねほね!!創造が出来なきゃ弱ぇええええなぁああああ!!!』
悠介 「なっ───お前が慣れろって言ったんだろうが!!」
骨 『ほねっ!?そうは言ったが抗うなとは言ってねぇほねよ?』
悠介 「───じゃあこの状況でどうしろってんだよ!」
骨 『働げーーーっ!!』
悠介 「訳解んねぇよっ!!」
ゾフィンッ!!
悠介 「とわっ!?───っ……お前も!話の最中くらい黙ってろ!」
佐古田「殺してやる……!殺して───……?」
骨 『ほね?』
悠介 「うん……?」
佐古田───喜兵衛が骨を見て動きを止めた。
佐古田「殺す……殺す殺殺……
殺す殺するる……すりりりり……ギリィイイイヌゥウウウゥツ!!!」
骨 『ほねぇっ!?』
ゾフィィンッ!!
骨 『甘いっ!』
骨がルナカオスの一撃をかわす。
悠介 「チィ惜しい!」
骨 『ほねぇっ!?惜しいってアンタ!』
佐古田「貴様から忌々しい気配を感じる───!!貴様───貴様は!!」
ババッ!!ゴキュリ!!
佐古田「ふぎゅっ!?」
骨 『狼髏館()───回頭閃骨殺()!!』
悠介 「へ?」
椛 「あ……」
突然のことだった。
なにかを喋ろうとした喜兵衛に気づいた骨が凄まじい速さで疾走し、
喜兵衛……というか佐古田の首の骨を折ったのだ。
骨 『……ほね?』
骨の腕の中でぐったりと力を無くす佐古田の体。
悠介 「うわっ───うわぁーーーっ!!人殺しーーーっ!!」
骨 『ほねぇっ!?い、いや違うほね!生きてるってほら!』
ぐいっ……ぐったり。
持ち上げてみるが、佐古田の体はぐったりしたままである。
骨 『…………えーと』
悠介 「………」
椛 「……あの」
なにやら……洒落にならん状況が……
骨 『あの……誰か回復とか出来ませんほね……?』
悠介 「お前は?」
骨 『死神に回復術なんてゆうプラスエネルギーが出せるわけねぇほねでしょう』
椛 「妙なところで現実的なんですね……」
悠介 「現実とかそういう問題じゃない気がするんだけどな。椛、頼む」
椛 「えぇ……?回復した途端に斬られたりしませんか……?」
骨 『俺が押さえててやるからとっととやれほね』
椛 「…………骨に指図されるとどうしてこう腹が立つんでしょうかね」
悠介 「さあなぁ」
椛 「でも……骨ってことを抜きにすると、そう嫌な気分じゃないんですけどね」
骨 『俺から骨をとったら何が残るってゆうほね?』
悠介 「…………マント、だけだな」
ぐったりと倒れている佐古田を囲み、
俺達は溜め息をひとつ吐くと……佐古田を回復させることにした。
───……。
悠介 「なぁ……いつまで世界の維持をしてればいいんだ?」
骨 『さあ』
悠介 「さあって……」
黄昏を創造してからしばらく。
頭に痛みが走ってきた俺は、骨に疑問をぶつけていた。
初めての体験だが、黄昏を維持し続けるのにも限界ってのがあるらしい。
頭がじくじくと痛み始めていた。
骨 『俺もラグナロクの先のことは知らないからねぇほね。
だがしかし、維持を続ければ続けるほど慣れるほね。
解るほね?走っていればスタミナがつくように、慣れるというのは大事なこと。
貴様がこの黄昏の創造に完璧に慣れれば、
深いイメージをするまでもなく創造を完了することが出来るほね』
悠介 「ほんとかよ……」
骨 『ただの予想ほねが、きっと上手くいくほね。さて……後ろ』
悠介 「うん?ってまたかぁああああっ!!」
ゾフィンッ!!
振られたルナカオスが髪の毛を数本持っていく。
悠介 「〜〜〜〜っ!!いい加減にしろぉっ!!ハゲるだろうがっ!!
お前の辞書には正々堂々ってゆう文字は入ってねぇのか!?」
佐古田「正々堂々……?なんだそれは……フヒヒハハハハッ!!」
骨 『正々堂々───態度が立派なこと』
佐古田「なるほど……」
悠介 「勉強すんなよな!こんな状況で!!」
椛 「おじいさま落ち着いてください!ここは堪えて!」
骨 『なに怒ってるほねかこのモミアゲは……』
佐古田「正々堂々を謳っていた割には貴様の方こそ態度が不立派なのではないのか?」
悠介 「ぉ……っ……ぉおおおおお!!こいつらに言われたってだけで数倍ムカツク!」
骨 『堪忍袋が蟻の胃袋よりも小さいヤツほねね……』
悠介 「やかましい!!」
───ズキッ!!
悠介 「ぐぅっ……!?」
頭痛……そして眩暈。
やばい……これ以上は危険だ……!
骨 『ふむ……ここらが限界ほね?』
悠介 「う、るさい……まだまだ……!」
骨 『いいや無茶はいかんほね。ほれ、黄昏が消える前にロンギヌスを放つほね。
これでこの黄昏が潰えれば、おそらく貴様は気絶か疲労困憊。
そんな状態でまた黄昏を作れるほね?
言っておくが俺は誰の味方もしねぇほねよ?
貴様が倒れたところで椛を助けたりはしない。
そんな心、とっくの昔に捨てたほねからね』
悠介 「っ……ちょっと……黙れ……!」
維持しろって言ったと思ったら次は撃てだ……!?
随分勝手なこと言いやがって……!
佐古田「フラフラではないか。そんな体で私に挑もうとは……くふふはははは!!
いいだろう!まず貴様を殺してやる!その次は───」
骨 『……ほね?俺ほね?』
佐古田「そうだぁっ!!貴様からは忌々しいあの気配がする!!
殺す!殺す殺す!!フヒヒハハハハハ!!!」
悠介 「隙だらけだ。“聖災を誇る無情の兵槍(”!!」
佐古田「───ハッ!?ぐはっ!」
佐古田が振り向くより速く。
光の槍は佐古田の胸を貫いていた。
喜兵衛『がはっ───あ、あ……!?な、なんだこれは……どうなっている……!?』
悠介 「“聖災を誇る無情の兵槍(”。
その人物の中に存在する異物を取り除くことが出来る。
お前がどれだけ佐古田にへばりついてても、この槍の前では無力だ」
喜兵衛『異物だと……!?ふざけるな!その体は私の転生先……!
なぜ私が異物として弾かれなければならない!!』
悠介 「おまけに言えばこの黄昏の世界ではどんな創造も可能でね。
もう解っただろう?槍に『喜兵衛のみを貫く』ってイメージを上乗せすれば、
前世だろうが転生体だろうが関係ない。
自我が強すぎたのが災いを招いたな。
その汚ぇ下衆な気配、実に感じやすかったぜ」
喜兵衛『お、おのれ……!おのれぇえええええっ!!!!』
悠介 「悪いな……そろそろ限界だ。長引かせずに消させてもらうぞ……」
言って構える。
想像しろ、深く、より広く。
悠介 「我紡ぐは五股の閃光……投擲されし戦の槍は万物を貫く希望の光なり───。
……へへっ、くたばりやがれ……“五肢輝く光の戦槍(”……!」
喜兵衛『は───ぁ、ぁあああああああああああっ!!!!!』
一筋の光が飛翔する。
虚空に現れた小さな光は一直線に喜兵衛へと飛び、その過程で五つの光に姿を変えた。
喜兵衛はその光の先に消滅を見たのか、身を翻させて逃げようと構えた。
が……構えただけで終わった。
その刹那に光に撃たれ、絶命したのだ。
悠介 「ザマ……みろってんだ……」
意識が飛ぶ。
様々な創造が出来るとはいえ、『槍』の創造は黄昏の持続時間を削るらしい。
槍を放った途端にひどくなった頭痛を考えて、おそらく間違いはない。
悠介 「ア───……、……」
やがて。
俺の意識は明かりの電源が消されるかのように一瞬で消え去った。
───……。
リヴァ「……なるほど?つまり、悠介の中のルドラの完全覚醒を望むなら、
悠介に黄昏の創造の回数をこなさせればいいと。そう言うんだな?」
骨 『ほね』
悠介 「なにが『ほね』だ……この馬鹿……」
気絶した俺はリヴァイアの部屋に運ばれたらしい。
運んだのは骨と椛。
佐古田も連れてこられたようで、診療台のようなベッドに寝かされている。
悠介 「なぁリヴァイア……リアクションはそんなものでいいのか……?」
リヴァ「リアクション?なんのことだ」
悠介 「いや……骨だぞ?そいつ」
リヴァ「骨型死神くらいシェイドとの付き合いがあれば見ることくらいある」
あ……そっすか。
骨 『骨だ骨だとしつこいほねねぇ。俺にだって名前はあるほねよ?』
悠介 「だったら名乗ることくらいしろよ……」
骨 『いいだろう。俺はボーン=ナム。以後……いや、よろしくしなくていい。
俺は誰の味方もしない。ただこの時間軸の未来を見てみたいだけほね。
俺にはどんな理解者も必要ないほね。孤独こそ俺が望んだ罰だからほねね』
悠介 「孤独を……?───そうだ、お前何者なんだ?
一度この世界の先を見たようなことを言ってたよな」
ナム 『───……知りたがりは長生きしねぇほねよ?』
悠介 「俺はもう十分長生きしたよ。だから教えろ」
南無 『俺は骨型死神の天空×字=南無。ボーン=ナムだほね。
それ以上でもそれ以下でもないほね。
……貴様に話すことなどなにもない。言っただろう?俺は誰の味方もしないほね』
悠介 「………」
でもな……どうしてかこの骨野郎、気になって仕方が無い。
感じる雰囲気が誰かに似てるんだよな……。
確かに死神の気配も感じる。
しかしそれだけじゃない。
初めて会ったって気がしないんだ。
どこかで会ってる……そんな気が───
南無 『……?なにほね。なにを睨んでるほね。
戦う気なら容赦などしないほね……“冥府誘う深淵の災い(”』
悠介 「鎌───戦る気か」
椛 「お、おじいさま!?」
リヴァ「な───ばか!ここで戦ったりしたら!」
南無 『俺は誰の味方もしないほね。どこが壊れようと構いはしないほね』
悠介 「こいつの生き方が気に入らない……!
なんでか知らないけど悔しくて仕方ないんだよ……!」
南無 『勝手なヤツほね。そういう思考を持っていると、この時代でも死ぬほねよ』
悠介 「死───さっきも言ってたな。どうしてお前はそんなこと知ってるんだ」
南無 『教えんほね。ちったぁ自分で考えたらどうほねぇ〜〜?えぇ〜〜〜っ?』
悠介 「ぐっ……!!」
───解った。
こいつの性格、彰利に似てやがる。
だからこいつの孤独を受け入れてるような雰囲気が気に入らないんだ。
いや……もしかしたらこいつ、彰利なんじゃ……?
悠介 「お前、彰利だろ」
南無 『───ふざけるなほね!あんな男と一緒にするなほね!!』
悠介 「なっ───!?」
リヴァ「……へえ」
凄まじい剣幕……なんて殺気だ。
彰利だって言われただけでここまで怒るなんて意外だった。
違うのか……?
てっきり、別の時代から来た彰利がお得意の変装でもしてるのかと……
って、無理だよな。
体は本物の骨だし。
……勘、鈍ったかな……。
リヴァ「おい骨。少し話したいことがあるんだが……いいか?」
南無 『ほね?ほねほねほね!それは構わんが……』
リヴァ「じゃあ空界のラボへ行こう。誰にも聞かれたくないだろうしな」
南無 『……ほね?』
がちゃっ───バタン。
リヴァイアはドアを数回ノックをすると、ドアを開けてその中へ消えていった。
悠介 「…………はぁ」
気になるな……。
なんの話なんだ?
───がちゃっ。
南無 『えーと、椛とやら?また回復をお願いしたいのだが』
椛 「え?───きゃあああっ!!!」
悠介 「うおわぁああああああっ!!!」
しばらくして戻ってきた骨がリヴァイアを抱えていた。
問題なのはその抱えられたリヴァイアの首が向いている方向だ。
悠介 「な、なにやったんだよお前!」
南無 『真実に迫る者が必ずしも無事に済むと思うなほね』
椛 「真実って……あっ、それよりも月生力を!」
真実……リヴァイアは骨に向かって何を話したんだ?
───よし、回復したら訊いてみるか。
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