───剛田───
───。
ジ、ジジ……ザザーッ。
悠介 「……むう、なかなか手強い。なんだってあいつはこういうことが得意なんだか」
ルナが持ってきてくれた廃棄処分行きのバッグの中身を組みたて、俺は格闘していた。
ルナには早々に退散してもらい、
我ながら勝手ではあるが最低人間に成り下がることを決意する。
うむ、最強。
ザザッ……ガギギ……
声 「……ぇ、……し……」
悠介 「お?おお聞こえる聞こえる」
ようやく上手くいったのか、屋上に座り込む俺は歓喜した。
さてさて、内容は───
───。
粉雪 「ねぇ、彰利……好きな人、綺麗なの?」<…………>
彰利 「………」<自分で言うか?>
粉雪 「彰利?」<どうして黙るの……?>
彰利 「ま、まあその……カワイイ、かな」<気付いたのは昨日だが……>
粉雪 「と、年下?」<やっぱりわたしじゃないの……?>
彰利 「いや、その……」<ぐあっ……!上目遣いはやめれ……!>
粉雪 「───なんか今日の彰利、変だよ?
いつもみたいにキッパリ言えばいいじゃない」<でも、怖い……>
彰利 「は、ははは……」<言えるかボケェ!>
粉雪 「え?なに?」<……?>
彰利 「ナンデモアリマセン」<あ、あぶねぇ、口に出てたか……>
粉雪 「………」<どうして誤魔化すのかな……>
彰利 「…………」<こ、この俺が場の空気をこんな沈め方に導いちまうなぞ……不覚!>
粉雪 「あ、あのさ」<……そうだ、聞きたかったコト……>
彰利 「へ?」<ぬおっ!?どうしてこうポンポンと訊くことが浮かぶ!?>
粉雪 「もしかして、わたしと一緒に居るの息苦しかった?」<お願い、否定して……>
彰利 「な、なななんで」<ゲェッ!微妙に核心!?>
粉雪 「だって……ご飯食べてるとき、なんかわたしのこと避けてる気がした……」
<そう、話し掛けてくるのは晦くんばっかりで、彰利は……>
彰利 「そ、そんなことはないぞ?」<ええ、意識して避けてました>
粉雪 「………」<……ああ、ウソつく時の癖だ……やっぱり……>
彰利 「そ、そうだ、粉雪はどうなんだ?好きな人とか」<話題を変える!変えねば!>
粉雪 「えっ……う、うん……居るよ」<また、誤魔化した……>
彰利 「へ、へぇ!?そ、そうなんだ」<!?>
粉雪 「………」<……どうして気付いてくれないのかな>
彰利 「………」<ったく……!人の雰囲気で察してくれてもいいじゃねぇか……!>
粉雪 「………」<だめ……沈黙は辛いよ……>
彰利 「………」<っ〜〜ああもう!言うぞ!こんなの俺じゃねぇ!>
がたんっ!ごしゃっ!
彰利 「あ、あのなっ、粉雪っ!───ごしゃ?」
粉雪 「?」
彰利 「……なんだこりゃ、なんかテーブルの裏に……───!?」
粉雪 「……なに?コレ」
彰利 「……ふ、ふふふ……そうか、そういうこったか……!……野郎……」
メキメキ……ぐしゃっ。
こうして盗聴機は無残に握り潰されたのでした。
───。
ガガー、ピー……ザーーーーー…………。
悠介 「……あら?」
電波がズレたかな。
イカンなぁ、いいとこだったのに。
しっかし妙だよな。
どうして呼び方が変わってたんだ?
なんてことを考えてると、校内から騒音が聞こえてきた。
声 「クソガキャーッ!でてこいッラァーッ!!ブチクラワスゾラァーッ!!」
聞こえたその声は紛うことなき彰利の声。
ああ、キレてる。
てことは電波が悪かったんじゃなくて盗聴機が見つかったのか。
なんだそっか。
はははは……。
やばいじゃん。
でも剛田先生の真似が出来るあたり、まだまだ理性に余裕があるようだ。
しかし『今日から俺は!』とは懐かしい。
悠介 「ってこと考えてる場合じゃないよな。ここだと見つか」
キィンッ!
悠介 「はっ!?」
彰利 「居たーッ!おどれぁらなにナメくさったことふざけっじゃオラァーッ!」
悠介 「お、お前月操力使えないんじゃないのか!?
なに空間翔転移みたいなことやってんだよ!」
ていうかマジでキレてる!?
彰利 「今治った!だから使う!お前!文句!無い!」
悠介 「なんでカタコト!?」
彰利 「制裁を受けよ!汝、極刑に値する!」
悠介 「だぁあすまん!今回ばっかりは悪かった!
だって仕方ないだろ気になるんだから!」
彰利 「反省の色無し!天誅ゥウウウウッ!!」
悠介 「だぁああああああっ!!」
ドガァアアアアアアアアアアンッ!!
───。
…………。
夕焼けが綺麗だった。
そんなことを憶えている。
彰利は遅れて来た日余と出入り口の上に座っていた。
そんな中で数時間の沈黙と途切れ途切れの会話をし、そしてついに───
彰利 「だ、だからっ!俺が好きなのはお前なんだよっ!」
その口から言葉は放たれた。
彰利の告白を受けた日余は、やがてぽろぽろと涙をこぼして泣いた。
粉雪 「あ……あきとしぃ…………」
彰利は泣きじゃくる日余を抱き締めて頭を撫でていた。
粉雪 「わたしも、彰利が、好きだったんだよ……!
それなのに……約束忘れたり、邪険にしたり……!」
彰利 「……ごめんな」
粉雪 「ごめんじゃないよぉ……!」
穏やかな世界だった。
願わくば、こんな風景がいつまでも続いて欲しいと、そう思った。
そんな綺麗な風景の屋上。
その片隅でボロ雑巾のように転がりながらその風景を眺める俺。
ひどく滑稽だったが、まあ……結果オーライ?
あー、めでたしめでたしぃ……。
───。
ミズノ「へぇ、今日中に決着がつくとは思わなかったねぇ」
悠介 「でしょ?彰利のヤツ、ひどいんだぜ?
人を散々ブチノメした挙句、日余が来るなりラブコメフィールド展開してさぁ。
そんで告白して『わたしも好きだったの』だよ?これじゃあ俺ピエロじゃん」
彰利 「よっ!ドナルド!」
悠介 「やかぁしぃっ!」
粉雪 「ご、ごめんね晦くん」
彰利 「いーのいーの、今回はこやつが盗聴なんかしてたのが悪いんだし」
悠介 「お前に言われたかないわぁあっ!!」
彰利 「なにおう!?」
粉雪 「わわっ、やめてよっ!」
彰利 「なに、ただのパイレーツシップぞ」
ミズノ「それを言うならスキンシップ」
悠介 「いやしかし、日余が噂の幼馴染だったとはな。
これで彰利が嘘吐きだってことがよぉっく解った」
彰利 「仕方ないでしょダーリン!俺は粉雪に口止めされててだなぁ!」
悠介 「それだよ。する必要があったのかがまず解らん」
彰利 「そうですな。どうして?」
粉雪 「彰利の幼馴染って知られたら、わたしまで変態だと思われるじゃない」
彰利 「そんな理由だったんかい!」
悠介 「なるほど」
彰利 「そこで納得するかっ!?」
悠介 「ええい、やかましいぞラヴゲッター!!」
彰利 「ラヴゲッター言うな!」
悠介 「よかったなー、幸せになれそうでいて豆村にもなれるし。
これで恋人に夢中になれば名実ともに変態オカマホモコン卒業だぞ」
彰利 「勝手につけられらあだ名に卒業もなにも無いだろ!?」
悠介 「まあそう叫ぶな。これでも祝福してるんだぞ?
結婚式には呼んでくれよな、盛大に台無しにしてやる。仲人は任せろ」
彰利 「こ、こんガキャ……!」
悠介 「仲人の話で赤裸々トークするのも面白そうだな」
彰利 「ギャア!なんかすっげぇギャア!悠介がデビルに見える!」
悠介 「この俺がデビル?違う、俺は悪魔だ」
彰利 「一緒じゃあ!いまさらブロリーの真似しても誰も解らねぇよ!」
悠介 「はっはっは、まあおめでとう」
彰利 「心から祝福してねぇだろ……!」
悠介 「してるって。でもまさか相談されてから1日経たずに解決するとは。
こんなオチ、夢にも思う暇も無かったな」
彰利 「オチなのか!?俺の成功ってオチなのか!?」
悠介 「いちいち叫ぶな。さてと、俺はそろそろ帰るわ」
彰利 「あれ?そうなん?」
悠介 「ああ。今日は晩飯早めにしてくれって若葉に言われててさ」
彰利 「へえ……そっか、そんじゃな」
悠介 「ああ、お幸せに」
彰利 「おだまりゃあ!」
悠介 「はっはっはっは、ではな、ラヴゲッター」
彰利 「人にあだ名つけるのはやめろーっ!」
叫ぶ彰利を無視って、俺は学校を出ていった。
しっかし……彰利がねぇ。
世の中解らんな。
まあなんにせよ吉報には違いないよな。
話のタネにでも使うか。
…………。
さて、そんな訳で夕食である。
今日の晩飯は俺の上機嫌もあってか、かなりの上出来でブフゥッ!
悠介 「ぎゃあああっ!!」
若葉 「お、おにいさま……いま、なんておっしゃりました……?」
悠介 「……まず人の顔に味噌汁噴き出したことに対して何も思わんのかお前は」
木葉 「冷静に味噌汁を拭うお兄様も相当だと思いますが」
悠介 「ん?そうか?」
春菜 「うん、かなり」
まあ、な。
今日の出来事以上のことが起きない限りはそう驚かんだろ。
若葉 「おにいさまっ!」
悠介 「ああ、だからな?彰利が日余に告白して、しかもOKをもらった」
若葉 「───」
悠介 「若葉、ハニワ化してるぞ」
若葉 「あ、あの天然記念超絶オカマホモコンを好きな人が居るなんて……!」
悠介 「俺も相当驚いたクチだけどな。
驚いている最中はボロ雑巾と化してたから感動は3分の1以下だった」
水穂 「ボロ雑巾、ですか?」
悠介 「ボロ雑巾だ」
野郎、まさかあの局面でカウンターを極めてくるとは思わなんだ……。
ヤツめ、闘い慣れておった。
俺が典型的なインファイターじゃと読んでおったんじゃ。
ていうかまあ、毎回殴ってる俺が相手じゃあ誰だって解るか。
アホですな。
ルナ 「ふーん、あの後にそんなオモシロイことがあったんだ。
悠介がなんて言おうが帰らなきゃよかったなー」
悠介 「馬鹿言っちゃいかん。彰利のヤツがキレててそれどころじゃない。
とてもじゃないが落ち着いて見ていられるシーンじゃなかった」
ボロ雑巾だったし。
セレス「まあ成功だったのなら良しとしましょう。
あまり冷やかすのも亀裂を入れることになりますよ」
悠介 「だがな、これがまた面白くて」
セレス「……なんだかんだ言って、結構ヤジウマ根性あったりしますか?」
悠介 「いや、相手が彰利だからだ」
ルナ 「だと思った」
ゼノ 「女に走り、牙を捨てねばよいがな」
悠介 「大丈夫だろ。あの馬鹿に限って」
ゼノ 「ふむ……そうだろうか」
悠介 「俺が保証するよ。彼女が出来たからって変わる馬鹿じゃないよ」
春菜 「ひどい例えだね」
悠介 「だって馬鹿だし」
木葉 「馬鹿です」<邪魔者、消えた……>
若葉 「馬鹿」<これで邪魔者が消えました……>
春菜 「わぁヒドイ。でも確かにそうだね」<そういえばこれで邪魔者が───>
ルナ 「そうそう、馬鹿なんだから馬鹿でいいじゃない」<邪魔者リタイア……>
水穂 「みなさん言いすぎですよぅ……」<……あれ?でもこれでおにいさん……>
……なにやら彼女らの周りに妙な空間が訪れる。
ゼノ 「ぬ……?なにやら異様な黒い思念を感じたが」
水穂 「黒い?気の所為じゃないですか?」
ゼノ 「我に限って気の所為などということは皆無。
なんらかのイメージがこの場に展開されたことは事実だ」
いえ、俺もなんとなく感じました。
かなり濃いイメージでした。
何故か身の危険を感じるほどです。
悠介 「しかしアレだな、彼女が出来て少しでも変わるとしたらさ。
あの馬鹿はどう変わるんだろうな」
ルナ 「悠介、味噌汁臭い」
悠介 「ほっとけ」
第一コレは俺の所為じゃない。
水穂 「そうですねー……。案外、日余先輩以外に目がいかなくなったりして」
悠介 「はっはっは、まさか。でもそうだったら面白そうだな。
雪子さんの時は時折夢中にはなったけど何かが憧れ的だったんだよな。
だから今回はどうなるか解らないな」
ルナ 「わたしと恋人どーしになれば解るかもしれないよ?」
悠介 「え?ははは、そうかもな」
べきゃぁっ!
悠介 「うおっ!?」
若葉 「……失礼、椀がヤワになっていたようです……」
木葉 「おにいさま、それでしたらわたしが恋人役を駆ってでましょう」
メキッ!みしみしみし……!
若葉 「───そう出るわけ?木葉……」
木葉 「出ます」
水穂 「あ、それじゃあボクも」
ギシャア!
水穂 「ひぃいっ!なな、なんでもないですぅ〜っ!」
春菜 「まあまあ、ここは長女のわたしがその役を請け負いましょう」
木葉 「チッ……年増が何を……」
春菜 「聞こえてるよ、木葉ちゃん」
木葉 「当然です、聞こえるように言いました」
春菜 「───」
木葉 「───」
例のごとく大気がモシャーァアアと震える。
ていうかいつの間にそういう話になったんだ?
ただ笑いネタかと思って『そうかもな』って言っただけなのに……。
悠介 「姉妹でいがみ合っててもしょうがないだろ?仲良くしなさい仲良く」
ルナ 「わたしは姉妹じゃないからいいんだよね?」
木葉 「何をほざきやがるこの超年増がぁあっ!」
ルナ 「ちょっ……!?な、なんですとーっ!?」
若葉 「もう勘弁なりません……!表へ出なさい脳天気死神……!」
春菜 「参戦するよ。これでその死神を屠れば邪魔者がまた消えるからね……!」
ルナ 「ふーん?わたしを消せば悠介も死ぬけど?」
木葉 「半殺し確定」
春菜 「意義無し」
ルナ 「わっ……ちょ、ちょっとたんまーっ!」
木葉 「調子こいてんじゃねぇぞですよーっ!?」
ルナ 「紅蝙蝠!?スカーレット・ザ・スーパースターがここに!?」
若葉 「なにを訳の解らないことを言ってますか!」
木葉 「復活するたびブチノメーション!」
春菜 「意義無し!」
水穂 「わわ、待ってくださいお姉さん方!そんなことして、もしも」
若葉 「安心なさい水穂……!少しお灸を据えてやるだけですよ……!
なぁに、ちょぉっと彼女の力の全てを奪い取って、
その上でお姉さまの神屠る閃光の矢で貫くだけですよ……」
春菜 「新たなる開花の力、今使わずにいつ使おうか……!」
水穂 「わ、わぁあっ!ちょっとどころの目じゃないですよそれぇえっ!」
木葉 「ふしゅるるる……!」
ルナ 「ね、ねえ悠介……?この人たち、目がイっちゃってるんだけど……」
悠介 「よく解らんがお前が悪い」
ルナ 「えー!?」
木葉 「この期に及んでお兄様と会話してんじゃねぇですよ!?」
ルナ 「ああっ!いまちょっとホモっちの気持ちが解ったぁあっ!」
春菜 「ふ……ふしゅる……ふ……ふしゅ……」
悠介 「シコルスキー!?」
春菜 「うふふふふ……この大いなる光の前に滅びなさい……!
轟け!神屠る閃光の矢!」
ギシャアアアッ!!
悠介 「わー、すごい光だー。って姉さん!滅ぼしちゃだめだって!」
俺の声などまったくと言っていいほど聞こえていない姉さんが両手を輝かせる。
その輝き、構え、予想威力はまるで極大消滅呪文メドローアだった。
ああ、ポップとマトリフ師匠の大いなる遺産がここに。
悠介 「なんて呑気に思考解説してる場合じゃねぇーっ!
姉さんストップ!死ぬ!そりゃ死ぬって!アルファレイド考えれば死ぬだろ!」
春菜 「大丈夫、虫の息になるように調節するから。
これでも死神相手に練習したんだから」
悠介 「ウソだぁ!調節って部分がすげぇ怪しいぞーっ!」
春菜 「死ねェェエエィイイイッ!!」
悠介 「思いっきり殺す気じゃねぇかっ!や、やめれーっ!」
ア、アカン!こりゃヤバイで!
おいちゃん死んでまう!
おおわたしの友達!アナタひどい人!
わたしに死ねと言いますか!
ルナ 「提案。悠介に選んでもらうっていうのは?」
春菜 「───!」
ピタッ。
ルナの一言で光は薄れ、やがて消えた。
悠介 「は、はぅう……」
危機は去った……?去ったよな?
思わずその場に倒れる。
いや、寝転がる、か?
まあいいや、そんなことどうでも……。
なんか絶対に聞き捨てしちゃいけない言葉があった気がしたけど、どうでもいいや。
あー、助かったー……。
春菜 「……後腐れなし、だね」
若葉 「いいでしょう、呑みます」
木葉 「幸いお兄様も覚悟を極めているようですし」
悠介 「……ん?」
覚悟?
え?なに?俺、ただ寝転がってるだけですけど……。
ルナ 「ねぇ悠介?この中で誰を恋人にしたい?」
悠介 「───はい?」
なにやら胸の奥に戦慄が走る。
逃げろ、逃げなければ死ぬ。
逃げることも時には勝利に繋がるのだ。
───誠実さだ。
人間の仔よ……誠実さが肝心なのだ……。
悠介 「って、なに訳の解らんことを唱えてやがる思考ォーッ!フクロウかお前は!」
若葉 「訳が解らないのはおにいさまですっ!」
悠介 「ふっ、そうかもな。だがいくら俺でも彰利には勝てん」
春菜 「慌てるかと思ったけど……案外冷静?」
悠介 「うん冷静。俺冷静。妖精さんは何処に居るの?」
春菜 「……冷静に慌ててるね」
彰利 「妖精はね?ボクらの心の中に存在するんだよブラザー」
悠介 「なっ───てめぇいつの間に!?」
彰利 「いきなりてめぇ呼ばわりかい!」
悠介 「丁度尾良かったよブラ〜ザ〜!ここに居る人々をなんとかしてくれ!」
彰利 「な、なにぃ!?とは言ったものの、いったいなんの話で?」
ルナ 「この中で誰を恋人に選ぶかって話だけど」
彰利 「俺だ!」
返答早ッ!?
彰利 「そりゃアンタ、俺しかいねぇだろ俺しかYO。
唯一無二にして最強の親友、弦月彰利以外に悠介の恋人になれる逸材など皆無!
もう一度言う!皆無!やっぱもう一度!皆無!ワンモア!皆無!」
木葉 「しつけぇですよてめぇ!」
彰利 「裏モード!?まあいい!さ、ダーリン?俺様と血が煮え繰り返るような接吻を」
ボギャア!
彰利 「どっぽ!」
春菜 「日余さんに告白して恋人になったんじゃなかったの!?このホモ!」
彰利 「オウヨ!もちろんなったとも!だがそれでは終われねぇ!
天下無双の宮本武蔵のように二刀流を目指してやらぁ!」
女性郡『!!』
…………。
彰利 「?」
春菜 「そ、そうなの……?なんとなく本当にそうなんじゃって思ってたけど……。
まさかとは思ってたけど……本当に……?」
彰利 「……あの、悠介?俺ってば勢いに任せてヤバイこと言ったりした……?」
悠介 「……彰利……お前がまさか本当にソッチ系の人間だったなんて……。
友情だと信じた俺が馬鹿だった……」
彰利 「ええっ!?いや冗談だよいつもの!
な、なんでみんなそんなに真剣な目で見るの!?
俺、生粋の女好きだってば!マジで!や(ピー)じゃないってば!」
彼が本気で焦る。
冗談だってことは長年の付き合いで解るが、彼女達はそうはいかなかった。
その中で水穂だけ期待と不安に満ちた目でうるうるしていた。
……高崎さん、頼むよ……妹を洗脳しないでくれ……。
と、そんな時。
粉雪 「もう彰利……!おいていくなんてヒドイよ……!」
一緒に来ていたのか、日余がやってきた。
石段を駆けあがったのかどうかは解らんが、走り疲れてるらしい。
この際、アンローフルインヴェイジョンは了承。
彰利 「粉雪っ!丁度いいところに!
い、いいかぁ!?俺はや(ピー)じゃないんだからなぁ!
見よ!俺はこんなにも女の子が好きなんじゃぁあっ!」
がしっ!
粉雪 「え?ちょっ」
ぶちゅぅうううっ!!
粉雪 「!!」
女性郡『!?』
悠介 「………」
……なんともあとが怖い景色が溢れる展開。
俺達はただただ固まり、その世界を見送って
粉雪 「時と場所をわきまえろばかぁあああああああああああっ!!!!!」
ドッガァアアアアアアッ!!!!
彰利 「ぎゃあああああああっ!!!!」
───修羅が居た。
吹き飛ばされる彰利を眺めながら、俺達は立ち竦み、動くことさえ出来なかった。
動く人のカタチがシルエットのように見えてくる中、血飛沫ばかりが飛び散る。
修羅の拳が彰利の顔面を寸分狂わず捉える。
避けようとするのだが確実に殴られる。
そして俺は悟る。
動きを予知されていては避けることすらままならない。
それは逃げ道が無いことにイコールしていた。
彰利は生命の危険を感じたのか転移をした。
が、現われた途端に力を溜めた拳が直撃した。
ダメだ。
ありゃ勝てんわ。
彰利の断末魔を聞きながら、俺は自然に合掌した。
そして思う。
これから先、ずっとこんな状況の下で生きていくのかなぁ、と。
これが幸せだと思えるまで、自分はいったいどれだけ枕を濡らすのか想像もつかない。
だけど───そんな中で幸せを見つけられたら、ずっと大切にしていける気がする。
……血を見ることの方が多いことは確実だろうけど。
彰利 「だっ、だずげ……!だーり……!死ぬ……!死んでしまぎゃああああっ!」
血が飛ぶ。
ははは、まあその内に慣れるさ、こんな景色にも。<無茶です>
彰利 「ぐぁああっ!回復がおっつかねぇーっ!」
八雲クンの真似をしてる彼のフェイスはもうボコボコだった。
そしてついに、その回復能力も尽きる。
あの夜。
ルナの回復効果を流してもらったおかげで回復していたと思える月操力も尽きたらしい。
それでも殴りやめない日余を見て、ようやく俺達は止めに入ったのでした。
めでたしめでたし───
彰利 「めでたくねぇってばよ!どうして俺ばっかこんな目にぎゃあああああ!!」
……ちなみに、ボロボロになった彰利がこの家を去り、
翌日にミイラになって現われたのは心暖まる物語である。
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