───忘例───
某所、彰利部屋。
彰利 「FUUUUM、今日もなんて最強なんだろうか。
グレゴリ男にプレゼントも渡したしこっちも落ちついたし。
さて、今日はこれからどうするかねぇ。
愛しのダーリンやハニーはどうしてるかのぅ。
……うむ、ダーリンを驚かせるためにこのキャミソールを着ようか」
ゴソゴソ……いやーん、アタイったら美しすぎ♪
俺様美麗、超美麗♪
彰利 「……む?寒気?なんじゃいこのぬるま湯のぬくもりを感じれそうな日に」
…………て…………い…………
彰利 「おお、幻聴まで!?ヤバイな、俺としたことが何かの病気か?」
…………いを……いて…………さい…………
彰利 「……チィ、どうやら幻聴ってわけでもなさそうだな。
また隣人が小音量でエロビデオでも観てるのか?」
…………話を……きいて……ください……
彰利 「歯無しを利いてください!?馬鹿野郎!あ、いや……野郎?
とにかく俺は生まれてこのかた歯無しになったことなどないわ!」
…………話を……
彰利 「…………話が進まんな。
ツッコミ入れてくれる人が居ないとボケるのも寂しいものだ。
そんで?誰ザマス?」
…………話を
彰利 「姿ぐらい見せろこのタコ!いくら温厚なアタイでもキレますわよ!?」
……───しくしくしくしく……
彰利 「うあっ!俺こういうヤツ駄目!まるで未練たらしい亡霊じゃねぇの!」
(*注:人のことを言えた義理じゃない)
彰利 「泣いてないで姿見せろっての!堕とすぞコラ!」
───……は、はい……
ボウ……!
彰利 「………」
???「あ、あの……ぼくは」
彰利 「おばけーーーっ!!」
???「えぇっ……?」
彰利 「来るなぁ寄るなぁ!お前なんか怖くないぞぉ!だから寄るなぁ!」
???「あ、あの、ぼくは」
彰利 「黙れ!貴様のことなど訊いとらん!」
???「ええ!?」
彰利 「ええい悪霊退散悪霊退散!古今東西お払いグッズの威力を知れ!
お札ハリケーン!破魔矢ブラスト!招き猫インパクト!茶柱スプラッシュ!」
???「あの……」
彰利 「ギャア効かない!?助けてダーリーン!」
???「話を」
彰利 「ならばこれでどうだぁ!フェイスフラーッシュッ!」
ギシャアアアアア!!
???「うわっ!?」
彰利 「効いた!?ふはははは!弱点が解ればこっちのもんよ!フラッシュ!
フラッシュフラッシュフラァアアアアアアアアアアッシュ!」
ギシャア!ギシャシャア!ギシャアシャァアアアアアアア!!
???「…………あの」
彰利 「ギャア慣れた!?こうなったら援軍を!」
がちゃっ!じーころじーころ……
───ブツッ。
声 『ハイ!こちらピッツァーラ!』
彰利 「え?」
声 『はい?』
彰利 「…………」
声 『…………』
彰利 「あ、えっと……カレーモントレーをLで」
声 『はい!ご住所は?』
彰利 「月詠街5番の晦神社で」
声 『ゲッ……!』
彰利 「…………許容範囲内ですぞ」
声 『は、はい……30分以内に……』
かちゃん。
彰利 「はふぅ、これだからピッツァの注文はやめられねぇ」
???「あの」
彰利 「キャーッ!?しまった!なに呑気にピザ注文してるのよアタイ!
やめれー!来るなー!おばけなんてだいっきらいじゃー!」
???「話を聞いてください!」
彰利 「聞いてほしいか?」
???「は、はい!」
彰利 「どうしてもか?」
???「どうしても!どうしてもです!」
彰利 「だめだ」
???「ええっ!?そんな!」
彰利 「まったくねィェー、なんだって朝からYOU-REI?に会わなけりゃならんのよ。
こちとら怪奇現象は間に合っとんのよ。失せろ」
???「ひ、ひどい……!なにもそこまで言うことは……!」
彰利 「だぁりゃあ!」
???「だぁりゃあ!?」
彰利 「オナゴの霊だったらあげなことそげなことって考えてたのにまったく!
ムハー!とんだ期待損じゃわい!失せろ!貴様なんぞに用は無い!」
???「お願いします……!今まで話を聞いてくれたのは貴方だけなんです……!
これを逃したらぼくは……もう消えてしまうだけの存在に……!」
彰利 「消えろ。俺が許す」
???「…………うわぁああああっ!ぼくは……ぼくはなんて不幸なんだーっ!」
彰利 「やかましぃいっ!」
ばちぃいいん!
???「うわぁっ!」
彰利 「人の部屋に無断に入りこんだ上になにトチ狂ってんのさアータ!
失せろってのが聞こえないの!?その耳は飾り物か!?それともロバの耳か!?」
???「うわー!どうしてぼくはこんな人と波長が合ってしまったんだー!」
彰利 「合わせたのはてめぇでしょうがこのボケ!失せろボケ!ボケ!このボケ!」
???「なんかすごい勢いでののしってるーっ!」
ズバーン!
彰利 「なにぃ誰!?人の部屋のドア思いっきり遠慮無しに開け放つ人は!」
悠介 「くぉら彰利ぃっ!お前だろ人ン家にピザ届けさせたの!」
彰利 「ダーリン!?ていうかピザ早ッ!」
悠介 「石段の下で担当の人が泣いてたぞ!?カワイそうな事するなよな!
……ていうかなんつぅ格好してんだよお前!変態か!?」
彰利 「このキャミソール姿でダーリンも悩殺♪
って、そんなことよりダーリンヘルプ!なんかこの人がさぁ!」
悠介 「……誰そいつ」
???「! あ、ああああ良かった!他にもぼくのことが見える人が居るなんて!」
悠介 「……霊体か?」
???「はい、そうです。ぼくは阿部浩人(あべ ひろと)といいます。
実はお願いがあって人を探していたんですが……」
彰利 「一番最初に出会った霊視出来るヤツがどうやら俺だったらしい。
なんてラッキーなヤツだ」
悠介 「災難だったな」
浩人 「解ってもらえますかっ……!」
彰利 「……なに結託してアタイを落とし入れようとしてるっすか兄貴」
悠介 「黙れエセハマー」
彰利 「エセハマー!?なんか横浜っぽい響き!」
悠介 「それで?どうしたんだよ」
浩人 「はい……実は僕、前にこの部屋に住んでいた者なんですが」
彰利 「曰くつきの部屋だったのかよ!道理で家賃が安いわけだよ!
なんかどっからともなくラップ音が聞こえるし椅子が動くし!」
悠介 「その時点で曰くつきって気づけよ……」
浩人 「今日になって、僕の存在自体の消滅が迫っていることに気づいたんです。
霊体は消滅が近づくと人の目に映ることが多いらしいです」
彰利 「はーん?なんだかデマカセっぽい話っすねぇ」
悠介 「お前はこの際聞くな」
彰利 「アタイの部屋の問題でしょ!?アタイこんなヤツと同居なんてイヤよイヤイヤ!」
浩人 「僕だって冗談じゃない、このカスが」
彰利 「なんだとこの野郎!」
悠介 「落ち着け!」
彰利 「だってダーリンが来た途端に手の平返すように言いやがって!
大人しそうな顔して『カス』ですよ『カス』!!」
悠介 「うるさい」
彰利 「ダッ……そんなぁ……ダーリン……キミまでそんなぁっ……!
はぁあっ……!あぁ……っ!……あぁあぁあっ!───ばかぁあああッ!!」
彰利が急に踵を返して走り出した。
そして窓ガラスをブチ破って外へ飛び出しダイレクトに車に撥ねられてお空の星になった。
悠介 「……二階だってこと忘れるなよバカ……」
浩人 「あの……僕の願いを聞いてくれますか?」
悠介 「……興味無い」
浩人 「そんな!」
悠介 「他の人が来たからって態度を変えるようなヤツは大嫌いだ。
霊体のまま一生後悔してろバカ」
浩人 「う……!」
悠介 「お前、生前は『僕』とか言うヤツじゃなかったし、
泣くようなヤツでもなかったろ」
浩人 「チッ……なんでそこまで……」
悠介 「人を見る目はあるつもりだからな。
逝屠みたいな顔したお前が人に頼みごとを聞いてもらうようなヤツとは思えない」
浩人 「………」
悠介 「彰利に憑りついたのはいつからだ?」
浩人 「答える義務はねぇよ。チッ……あの彰利って野郎に憑依して、
ヤリたい放題しようって思ってたのによ……」
悠介 「……あのさ。ムカツクからもう消していいか?お前」
浩人 「あ?お前バカか?人間に霊体が消せるわけねぇだろうが。
逆にお前を呪ってやるよ。お前の体使って……ヒッヒッヒ」
悠介 「……なんだ、俺達のこと知ってて来たわけじゃなかったのか」
浩人 「ああ?」
悠介 「俺達がお前のことを見えるのはお前が消えかかってるからじゃない。
俺達がそういう人間だからさ」
浩人 「───あぁ?なに言って」
悠介 「……それからその口調。腹が立つから直しやがれ」
ボガァッ!
浩人 「ギャッ!?」
悠介 「人間に霊体が消せるわけがない。そう言ったな?
なんなら今から実践してやろうか……お前の体で」
浩人 「な、ナメんじゃねぇぞ?オ、オレオレは霊体にナッテ長いんダ!
てめぇごときにテコずるヨうな人生ハ送っちゃイネェ!」
目の前の馬鹿者が目を見開くと、彰利の部屋の家具が一斉に俺に向かって飛んできた。
彰利 「月閃光!」
ガガァッ───キィン!!
突然現れた彰利が冥月刀で空間を断った。
そこに触れた家具がことごとく滅ぶ。
彰利 「フッ……決まった……。待たせたな悠介!」
彰利が俺の背中に背中を預けて構える。
彰利 「お前の背中、俺が守るぜ……ってギャア!お、俺の家具が!」
閉じてゆく空間。
その空間に触れて滅んだ家具の中には洋服ダンスもあった。
彰利 「………」
彰利の顔から滝のような汗が出る。
彰利 「ア、アタイ……ずっとこの格好のまま……!?」
キャミソール姿の変態オカマホモコンが呟く。
やがて血の涙を流しながら浩人に向き直る。
彰利 「ア、アルファレイドォオオッ!!」
悠介 「ばっ、待て!そんなのこの部屋で、しかも冥月刀で発動させたら!」
彰利 「カァタストロファァアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!」
ギカァアッ!!
ガァアアアアアアアアアアォオオオオオオオオオオオン!!!!!
悠介 「あ、あ゙ぁああああああああああああああっ!!!!」
ああ、世界が白い……真っ白だよママン……。
───さて。
馬鹿な霊のおかげで始まってしまった騒ぎもそいつの消滅とその周囲、
約半径50メートルほどを破壊して終わった。
人が全員出かけていたのが究極の幸いで、危うく殺人犯になるところだった。
いやむしろ爆弾テロと呼ばれても言い逃れ出来ないくらいの破壊っぷりだ。
目を覚ましたら目に見える世界が崩壊寸前のナメック星に見えたほどだ。
瞬時にヤバさを視覚全体に感じた俺は近くで半ケツさらして気絶してた彰利を起こし、
転移してルナを連れてきてその周囲を修復。
しかしキャミソール姿の彰利に今更気づいたルナが爆笑。
それにキレた彰利が───……ああもうエンドレス。
完。
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