桜吹雪を見ると、あの日のことを思い出す。 自分達は自分達なりに馬鹿をやりながらお互いの青臭い春を支えて。どこかくすぐったかったけど、それはとても幸せなことだった。 今だから思えること。 あの日だから思えること。 その全てを“希望”という形で胸に抱きながら、“わたし達”と“僕達”はずっと生きてゆく。 悔やんだり泣いたり、立ち止まったりもするけれど、人間はどういう方向であるにしろ、進むしか選択肢がないのだから。 だけど、今。 この春という季節の中でだけは、あの日の夢を見るとしよう。 この街で一番空に近い、この桜の木の下で─── ───変えられない過去よりも可能性のある未来のコト─── 12/モーニングってイベント満載だよね ……りりりりりりりりりり……………… けたたましく耳障りである音が耳に響く。 ───もう、朝か─── はっきりとしない意識の中で、手を伸ばして目覚し時計を探す。 「うー、うー……」 伸ばした手が、ポフポフペタペタとフトンの感触から木質の感触へと変わる瞬間、意識が一気に浮上しかける。 急な熱の変化はびっくりするものだ。解っていても、眠気を吹き飛ばすのはなんだかもったいない。 三大欲求と言われるだけあってなかなかに強い。 (……おかしいな……ここらへんに置いた筈なんだけど……) けれど遅刻は嫌なので探すのだが……無い。 はて、目覚まし時計といえば、いつの間にかアラームも止まってる。 無意識に止めたのか? いつの間に意識の外で行動をすることを会得したんだ、俺。 …………まあいいや、おやすみ。三大欲求万歳、遅刻はしたくないという意志はあっさりと欲求に負けて、散りかけていた眠気が一気に頭を重くした。 その重力に抗うのはとても大変なことで、すぐにやわらかな枕へと俺の頭と意識は沈んでゆく。 さあいざ、時計を探すために彷徨わせていた手を布団へと戻して《ふに》 (───) ふに? ナニコレ。 急速に意識が浮上してゆく。 重力など知らぬとばかりに、水に沈めようとした発泡スチロールが浮上するかのごとく、ジョパーンと勢いよく。 ───で、布団をまくってみれば、何故かご在中のノアさん。 「………」 あー、こりゃ夢だな。 夢ならまだ寝てていいんだ。 あははー。 ………………ぐー。 「って、そうじゃないだろぉおおおおっ!!」 起きあがりつつ叫んだ。 そう! そうじゃない! どうしてノアが俺の布団に潜り込んで熟睡してるんだ!? ていうかなに!? 目覚まし止めたのってノア!? 叫んでいいか!? いいよな!? 構わないよな!? でも性別や状況を考えるとどうして自分の地獄絵図しか浮かばないんだ!? レディーファーストってなに!? ジェントルメンは永遠のセカンドですか!? 浮かばれないぜジェントルメン! ……頭の中は大絶賛混乱中だった。自分でも何を考えているのかが上手く纏まらないほど。 「中尾さん───中尾さん! この状況を貴方ならどう対処なさいますか!?」 蒼木が昨日、俺にくれたぬいぐるみに話しかける。 友達の証だそうだ。なにかしらの動物らしいが、中尾さんと名づけられたそれがなんの動物なのか、俺にもよく解らない。 観咲も持っているのだそうだけど、観咲にもよく解っていないらしい。 しかしながら話し掛けたところで、しかばねでもないが、返事も無い。 バニ山バニ夫とまでは言わんから、せめてギャーとでも言ってみてほしい。そんな和みこそが今はほしいというのに。あ、ダメだ、実際にされたら余計に混乱して絶叫とか放ちそう。あとバニ山バニ夫って誰だ。 「───落ち着こう、まずはそれからだ。……それからだよな?」 大きく人工呼吸……じゃなくて深呼吸をして、ひとまずベッドから出る。 さらに着替えをして部屋を出───待て。 その前にノアをどうにかしようとか思わないのか俺。 「《ぽくちーん》いいや別に」 頭の中の計算機が“ぽく、ぽく、ぽく”と三回鳴る前に答えが出た。 起こしたら起こしたで、お得意の腹黒さで朝からぐったりマイハートになるのは目に見えている。 それならもうこのまま出てしまおう。 うん、それがいい。 なんてステキな案なのだろう。 君子、危うきに近寄らず。 なんか違う気もするけどそれすらもどうでもよし。 今はノアが起きる前に一刻も早くこの部屋から出ることを考えよう。 いや、実を言えば既に出ているのだが。 (アー、サワヤカダナーット) トタトタと階段を降りると、広間(広間以外の部屋があるわけでもない上に茶の間だとかリビングだとか様々な名前がついている)に辿り着く。 ああもちろん、サクラとノアの部屋くらいはあるわけだが……その他には特にない。風呂とトイレくらいじゃないだろうか。 一応その場で辺りに注意しながら広間に進入する。 サクラの朝ご飯は出来れば食べたくない。 ていうか朝からあんなに入らない。 はっきり言ってしまえばアレは食べ物じゃない。 この点に関しては、憎き天界とやらのレイルさんには感服する。 そしていつから憎き相手になったのかは想像に任せたい。 「なにやってるです?」 「ああ、実はサクラからッヒャーーーオ!!?」 「ふやぅっ!? な、なにですか!?」 後ろをとられた! むしろ退路を塞がれた! そしておかしな声が腹から出た! 今まで出したことのないようなヘンテコな声だった! ……歌などのレッスンで腹から声を出せというのは、こういうことか……! などと妙なところで発声のコツを掴みそうになっていたけれど、目の前にある危機に意識を向け直してみれば、そんなコツはあっさりと霧散した。 「サッ……サクラ……! ……その、いつからそこに?」 「今です」 疑問はあっさり解決。「それよりおはようです」と言われて、俺も言葉を返した。 挨拶、大事。 「ところで与一、朝から独り言ブツブツは怪しいです」 「ああ、俺もそう思う」 「与一、朝ごはんどうするです?」 「───」 いきなり話題が変化した上に、心配していたことが来たぁあああああん!! ああなんか今一瞬にして俺の心の中に雷鳴が轟いたさ! ど、どうする!? あんなの、朝から食すようなものじゃないぞ!? えーとえーとどうする!? 嫌がらずに食ってやればいいじゃないかなんて優しい言葉が朽ち果てるくらい、味覚やお腹にやさしくない味を朝からは勘弁だ! もちろん昼だって夜だって勘弁だ! 頭を動かせ! この状況から逃れるためには……! 逃れるためにはぁああ……! 「………………きょっ……!? こほんっ、今日は、その。……あー……ノ、ノアが作ってくれるー……らしい、ぞ?」 ───だからか、出ちまいました、嘘八百。 今日は、の部分で声が裏返って自分自身が驚いたのはあえて無視する。無視するとも。 作ってくれる相手には心苦しいけど、これも朝のさわやかさを死守するためなんだ。 弱い俺を許してくれサクラ……。 「ふや? ノアが、です?」 「です」 「珍しいです。そいえばサクラもノアの料理なんて見たことも食べたこともなかったです」 ……サクラの瞳がだんだんとキラキラになってくる。 ああ、こりゃ嫌な予感が元気百倍アンパンマーンだ。 自分で思っといて意味が解らんが、バッファローマンが元気百倍とか言うよりは超自然的だと思う。 「……まあ」 嘘を貫いて目先の災厄からは逃れられた。 それはいいということにしておこうか。 けどここに来て、もうひとつの不安が浮かび上がってきた。 「………………ノアってさ、料理上手かな」 これである。 「さあ……サクラも食べたことないですからなんとも言えないです。なんだかわくわくして……あ」 「うん?」 「思い出したです。たしかレイン兄さんが食べたって言ってたです」 「レイン? ああ、レイルって人の兄弟だっけ」 「です」 「それで、感想は?」 「その話を切り出すといっつも黙りこくってましたです」 「───」 ───さあ、どこに出かけようか。 北海道に興味があることは確かだが、金が無いし学校がある。 「───まてよ? そうだよそう、そうじゃないか」 「?」 「サクラ、実はノアはまだ寝ているんだ。だから───」 そう、この方法があった。 「俺が、料理を作ろう」 「与一が、です?」 「おうともさ」 「……楽しみです〜♪」 なんとも説明しがたい表情をするサクラ。 別に嫌というわけではないみたいだが、ええと、喜んでくれているんだよな? 「ところで、です」 「うん?」 「なぜ、与一がノアがまだ寝ているって知ってるです?」 「───」 ギャーーーアーーーッ!! ───……。 ……。 「フケツですーーーーーーーーっ!!」 サクラが咆哮した。 狭い家にその声はよく響く。 ああ、どうして俺も馬鹿正直に説明するかな。 まあ言ってしまえばチャレンジ精神ってやつだろうか。 俺は今、勉強づくめの生活から抜け出した先にあるであろう新たな物事に飢えている。 理由はまあそんなところだろう。 「与一! なぜノアを起こしてこなかったです!? ワイフ気取りです!? 仲間外れです!? イチャイチャです!?」 「落ち着いてくれ、頼むから……」 言葉に表せば“サクラが怖い”。 そもそもワイフ気取りってなんですか。 「わかったです! サクラが起こしてくるです! カチコミです! こんな状況でのんびり寝てるノアを思い浮かべるだけでハラショーです!」 「今がチャンスです!」とか言って自室に戻った後、なにやら長い筒のようなものを持ってきた。 とりあえずこの状況でハラショーは関係ない。 「ちょっと待った。……それ、なに?」 「なにですっ!?」 「あ、いや……まずは落ち着けって……大体なんでそんなに怒ってるんだよ」 「極道モンが殴りこみに行くときはいつだってこうです!」 「……|喧嘩意地《ゴロメンツ》?」 「なにですか! 用が無いならサクラ、行くです!」 なんかキレてる。 なんとも珍しい少女の一面を目の当たりにしているわけだけど、はぁ。こういう時の人には何度落ち着いてくれと言えば届くのだろうか。 「落ち着けって。ひとまずそれ、見せてくれ」 「うー……」 サクラが唸ったのちに、その筒のような物をギャアアアアアア!!! 「サクッ……サクラッ!? これ……これドスじゃないか!」 「ドスじゃないです! |匕首《あいくち》です!」 「同じじゃあっ! 何考えてるんだ! って、あーあーあー! ノアをダンボールから出す時に使ってたやつか! ───じゃなくて!」 「|漢魂《メンソウル》に憧れる者なら必ず手にしたい物です。ファンが携帯して当然です」 「──────」 ───前略お袋さま。 お元気ですか? 俺は元気です。 そして今ほど、レイルという人物を恨んだことは無いと思います。 脈絡がないのは勘弁してください。 俺も頭が混乱してます。 「とにかく! こんなもん振り回したら危ないだろう!? 没収!」 ドス……もとい、匕首を取り上げる。 「ノアは俺が起こしてくるから、ここで待っててくれな。それと料理も俺が作るからサクラはのんびりテレビでも見ててくれ」 「ヤです」 む。 あっさりと即答してくれちゃったよサクラさん。 「じゃあどうしたいんだ」 「オジキの仇はサクラがとるです」 「却下」 サクラに負けじと即答。 そして誰だオジキ。 「そんなことしたらシャレにならないだろう?」 「ふにゅぅぅ……」 「いいからここで待つ! ……いいね?」 「……わかったです」 しゅんと俯いたサクラの頭をぐりぐりと撫で、階段を上ることにした。 まいった、言うことを聞かない強情な妹を持った気分だ。 それもふたり同時に。 そんでもってふたりとも厄介な性格だ。 かたや、極道好きの勝負事好き天然ピンク。そのくせ弱い。 かたや、陰謀好きの腹黒暗黒キンピカメイド。 ……どちらも手に負える性格じゃないのは目に見えて明らかだ。 それにしても……どうしたもんかなぁ。 階段を上りきった先にある平凡な木質のドア。 その先に待つ、小さな魔王。 その存在をどう扱うべきか。 「………」 少し嫌な予感を憶えて背後の階段へと振り返ると、不安げな表情で俺を見上げるサクラ。 ここで階下に降りたりしようものなら、その表情が“阿修羅面・怒”に変貌するのは想像に容易い。 目前に魔王、背後に修羅を背負った感覚に襲われる。 大袈裟だな、と。 わざと首を振ってみるも、嫌な予感は依然として消えないから厄介なものである。 「……っと、こんなことしてたら遅刻するな。ノア、入るぞ」 一応ノックをして中に入る。 自分の部屋に入るのにどうしてこんなに遠慮しなければならないんだろうか。 そんな疑問と理不尽さをうっちゃりして、ベッドを見据えた。 「……う……ん……」 そこには丁度、心地良さそうにころんと寝返りをうつノアが居た。 「……呑気なもんだなぁ……」 苦笑する。 小さく伸びをしたのち、ノアの肩を揺する。 「ノア、朝だぞ」 「………」 返答はない。 ただ、ほにゃぁ〜とした表情で眠っている。 「………」 そんな顔を見て、そういえばフレアもこんな風に寝てたっけ……と、感傷にひたった。 あの日、耳が聞こえない少女は確かに言った。 “天界”、と。 発音が上手くなかったし、あの時は意味が解らなかったけれど、今なら───信じられる。 人間が干渉することの出来ない、どこかに存在するという世界……天界。 自分はそんな世界に澄む少女ふたりと、こうして暮らしていて─── 「ん……マスター……?」 「あ……起きたか?」 「…………?」 目を開けても相変わらずほにゃあ〜としているノアの表情を覗く。 ───途端、ノアの顔が《ボボンッ!》と真っ赤になる。 「まっ───マママスタァッ!? あ、わ、わたしとしたこと《ズリャア!》がぁっ!?《ドグシャア!》はうっ!!」 無理に俺から距離をとったノアがベッドから落下した。 ノアはその落下地点で、「ふぅううぐぅうう……!」と唸っている。 どうやら思いっきり頭から落下したらしい。 「も、申し訳ありませんマスター……! メイドたる者、先に起きて朝をお報せするのが《ガドォッ!》くひぃぅいゆ!? はうっ───くぅううふぅうう……っ!!」 で、勢いよく起き上がったと思ったら開けっ放しだった引出しに頭をぶつけ、悶絶。ああ、角だったよ。 そんな光景を眺めつつ、素直な感想などを一言。……なんかカワイイ。 「す、すぐに登校の準備を───あっ、あぁあああああっ!!!?」 そう思ってしまったことが失敗だったんだろうか。 大慌てで、落ち着きもないままに開け放たれていたドアから走って───ノアが、階段から落ちた。 「ノアッ!?」 階段の下で倒れているノアに呼びかけながら階段を降りる。 自分も落ちてしまうんじゃないかってくらい勢いよく。 「あ……いたた……だ、大丈夫ですマスター……」 嫌な予感の正体はこれだったのだろうか。 かつての自分が頭の中に浮かんで、吐きそうになるほどの後悔が胸にじわりと浮かんでくる。 ノアの言葉にホッと安心するのも、ほんの一瞬程度だった。 「お騒がせいたしました、マスター。マスターの部屋であることを忘れていました。気づいた時には重力にやられていました」 「状況説明はいいから。どこか痛いところとか無いか?」 「ご心配は無用です。こう見えて、頑丈ですから。それよりも取り乱してしまいました。わたしとしたことが……修行不足ですね」 小さく俯き、ぽそぽそと喋る。 …………そっか。 どうやら俺は、ひどい勘違いをしていたらしい。 どんなに凛としていても、サクラもノアも子供なんだ。 寝坊することもあれば、落ち込むことも喜ぶこともある。 ……妙な出来事からか、あんまりな先入観を持って接してしまった。 けど、それはそれだ。相手が誰だろうとどんな年齢だろうと、今の状況を見過ごすことは絶対に出来ない。 「すいません。今、制服を───あ、痛ッ!」 じくりじくりと襲い掛かる息苦しさをなんとかしようと呼吸を繰り返す内、立ち上がろうとしたノアがすぐにバランスを崩し、屈み込む。 ……大丈夫だ、落ち着け、俺。 あの時とは違うから。 間違うことさえしなければ、大丈夫だから。 だから、手を差し伸べるんだ。時間なんて気にするな。 「───ノア、無理するな。ほら、掴まれ」 「あ、だ大丈夫ですから、気になさらないでください」 「───いいから、掴まれ」 落ち着け、落ち着け、落ち着け。 震えるな、吐くな、強くあれ。 俺はあの時、兄であろうとしたじゃないか。兄であろうって誓ったじゃないか。 ……だから、と伸ばすのに、落ち着いて、声が震えそうになるのを耐えながら差し伸べた手も、遠慮される。 頼むよ、ノア。拒んだりしないでくれ。もう、俺は───俺は……! 「ほ、本当に大丈夫───」 「っ……大丈夫じゃないっ!!」 「っ!」 じわりと浮かんだ後悔が胸を埋め尽くした時、もう我慢なんて出来ず、叫んでいた。 口から放たれた本気の怒声に、ノアの身体が跳ねるのが解る。 それを見て、別の罪悪感が浮かぶのに……もう、それを気にしてやれるほどの余裕さえ、俺にはなかった。 「なにを意地になってるんだよ! 怪我した時くらい思いっきり甘えたり誰かを頼ったりしろ! ばか!」 だから、そんなノアを小さく小突くと、両手で抱えあげた。 「なっ───マスター! 主人がメイドの助けなど───!」 「はぅ! おひめさまだっこです!」 「………」 『《ごがすっ!》はぴゅうっ!?』 抱きかかえたノアの頭を、遠心力を以ってサクラの頭に激突させる。 余計なことを言う輩や融通の利かない奴にはこれくらいが丁度いい。 そうして黙らせたのち、抱えたままの状態でノアの部屋のドアを開けて、ベッドに寝かせた。 「……マスター……?」 ノアが、俺の顔を覗きこんで、不安げな表情をする。 ……言われなくても解ってる。 多分───今の俺の顔は、怖いだろうから。 「サクラ、|氷嚢《ひょうのう》を作ってくれ。それと湿布もあったら頼む」 「は、はいです……」 返事をしてすぐに行動をしてくれるサクラだけど、まだ痛むのか、頭を押さえながら駆けていった。 それを見送って……腕に引っ掛けていた鞄を放り投げて、ベッドの上に寝かせたノアの傍に椅子を置いて、どかっと座る。 「あ、の……マスター、学校が───」 「休む」 「な、何を考えているのですかっ! いけませんそんなっ!」 「俺のことはいい。だから、動くな」 「マスター……」 言いつつ、ちらりと時計を見てみれば、確かにもう時間的にもやばい。 今から用意して、急いで食べて、すぐに向かえば間に合うだろうけど……そんな気にはなれなかった。 ノアに気づかれないように静かに溜め息を吐くと、時計から目を逸らす。 もう、気にする必要はない。 蒼木達が道の途中で待っていやしないかと心配はしたけれど、それよりも大事なことが目の前にある。 心の中で蒼木と……むしろ“待っていよう”、なんて言い出しそうな観咲に謝りながら、俺に学校へ行ってくれと訴えるノアの頭を優しく押して、枕に沈めた。 いいから寝てろ、と。 それから、救急車も呼ぼう───と立ち上がろうとしたところで、ピンポーンと鳴るチャイム。 「はいです〜っ」 サクラがチャイムの音に反応して、玄関へと向かう。 間もなく玄関が開く音と、元気な声が聞こえてきた。 「ホギッちゃ〜ん! 朝ですよーっ!!」 観咲だ。間違い無い。 待っているどころか特攻を仕掛けてきた。どこまで人の予想を裏切れば気が済むのか。 こういう時に、“断る側の罪悪感も考えて欲しい”、なんて考えてしまうのは、俺が今まで効率なんてものばかりを求めすぎてきた結果なのだろうか。 「───行ってください」 「……いい」 「マスター、学生の本分が学業であることをどうか忘れないでください。ただの捻挫かなにかです。わたしは大丈夫で───」 「いいから」 「マスター、ですが」 「いいって言ってるんだよ!」 「!《びくっ》」 聞き訳が無いのは俺も同じ。 けれど、今はノアの言葉の全てを受け入れたくない。 大声でノアの言葉を遮って、驚きに瞳を揺らす彼女へ言葉を発する。 いつものように言葉を選んだりはしない。 どうすればどう話が進むか、なんて考えもしない。 自分の我が儘を押し付けて、ノアに無理矢理納得してもらう。 「やめてくれ、根拠も証拠もないのに“大丈夫”だなんて言うのは……! 俺はこの世界でそれ以上に信じられない言葉なんて無いんだよ……!」 「マスター……ですが、今日はテストが……」 「掃除だってなんだってやってやる。だから、俺はなんて言われようとお前を看病する。……いいな?」 「………」 ノアは答えない。 ただ申し訳ないというよりは、悲しそうな顔で俺を見ていた。 そんな状況でも、物事っていうのは待ってはくれないもので。 「ホギッちゃん? あがるよー」 玄関方面から聞こえる観咲の声。 俺のことは気にせず、行ってくれたらよかったのにと……勝手なことをどうしても思ってしまう。 「あっ、なにですか勝手に上がりこんで! 何様で《がぽしっ》むぐっ!? むぅううっ!」 「お邪魔しまーす。ごめんねー、サクラちゃん」 「むーっむむーっ!」 口を押さえられているのか、サクラの声は言葉になっていなかった。 そんな気配がとたとたと移動して、やがてはこちらへ向かってくる。 開けっ放しだった扉の先からひょいと顔を覗かせてきたのは、やっぱり観咲だった。 その後ろに蒼木も居る。 「やっほぅホギッちゃん」 「おはよう、穂岸くん」 サクラは観咲に口を塞がれて、うるるぅと泣いていた。 補足してみれば、その目が“無念です……”と語っている。 「どったのホギッちゃん。そろそろ出ないと遅刻確定だよ? って、はれ? まだ制服にも着替えてなかったの?」 「………」 きょとんとした顔での問いに、せっかく来てくれた友人に一緒に行けないことを告げなきゃいけない罪悪感が浮かぶ。 蒼木はそんな俺を見てからちらりとノアに視線を移すと……やさしい笑みを作ってから、何故か少しコホコホと堰をした。 何かを言うつもりじゃなかったのか? なんて考えて、けれどそれよりもと言葉を届けようとする。 「あ……あの、さ。ふたりとも。その───」 「げほげほ。あー……ええと、雪音。僕、なんだか熱が出てきたみたいだ」 「え───」 「ほえ? どらどら?」 ───すると、蒼木がわざとらしすぎるほどに“げほげほ”と口で言ってまで、そんなことを言い出した。 困惑する俺をほっぽって、観咲が蒼木の額に手を当てるけど…… 「べつになんともないよ?」 わざとらしさの答えがそこにある。 けれど蒼木はにっこりと微笑むと、「わぁ、雪音も熱があるみたいだね」なんて言って、その行為が逆に行われ……というか昨日見せたあの恐ろしい笑顔とともにアイアンクローをされた。 「《ゴリッ》いたっ!? あ、ちょ……澄ちゃん!? 痛!? なに!? ちょ!? やめっ《ミリミリミリミリ》あぁああああああっ! あります! 熱があります! 痛い痛い爪が痛いよぅ! 離して澄ちゃぁあああん!!」 一瞬、あんなに細いのに握力だけはあるのか、なんて思ったけど、どうやら爪らしい。 そこはせめて握力にしてやれ、と言ってやりたいけど、それよりも…… 「うん。というわけで僕と雪音は欠席になるみたいだけど。穂岸くんはどうする?」 「……蒼木……お前……?」 「あはははは、熱出すのなんて何年ぶりかなぁ」 欠席の理由を作った蒼木に、感謝ばかりが浮かんだ。 二人に休まなきゃいけない理由なんてないのに、“俺だけじゃ自分の過去に押し潰されそうだったから”なんて理由で、休む必要なんてないって言葉さえ言わずに。 「…………悪い、俺も熱があるみたいだ」 「うん、そうだと思ったよ。辛そうな顔をしているからね。ほら、雪音なんてこんなにぐったりだ」 「きゅう……」 「……蒼木。お前、実は握力とか結構あったりする……?」 「病弱だった頃にツボの勉強をしたんだよ。どこを押せば痛い、とかそういうのをね」 「ああ……なるほど」 そこにさらに爪とくれば、痛いだろう。 ともあれこうして、俺と蒼木と観咲は居残り掃除決定となった。 どのみち誰かがやるものが自分達になっただけの話だ。 そこまで嫌というわけでもなかった。 「それで、ノアちゃんの具合は? 熱、っていうことでいいのかな」 「階段から落ちたんだ。動くなって言っても聞こうとしないから無理矢理寝かせた」 「あの、マスター……わたしは本当に大丈夫で───」 「やかましい、いいから寝ろ」 「うぅ……」 起きようとするノアを再び枕に沈めて、お説教。 そうするといい加減観念したのか、外してあったメット型の……魔器、だったか。をいじくって、長く息を吐いた。 「ノア、それは?」 「……他の方が居るとマスターがまたうるさくなりそうな効果が得られます」 「…………なるほど」 言いつつ、小声で“治療の役目も果たしてくれるので、艦病は本当に必要なかったんですけど”と呟く。 そんなことを知ったからって、俺がその魔器に置く信頼はそう高いものじゃあない。 トラウマ、なんてものは、どれだけの高性能を誇るものの前だって強すぎるものなのだ。 「…………、……すぅ……」 それから少しもしない内に、ノアは息を整えて眠ってしまった。 魔器から妙な細いコードみたいなものが伸びて、ノアの頭や頬にくっついて、ピコピコと点滅している……けど、これが治療なのかと訊かれても俺には解らない。 休んでおいてなんだけど、俺に出来ることは……ないのだろう。 なにやってるんだか、なんて思いが浮かばないわけでもないけれど、どうしても放っておけなかったのだ。 「……穂岸くん。ノアちゃん、寝たのかい?」 「ああ、寝てる」 「……うん。こうしてるとノアちゃん、本当に風邪を引いたみたいだね」 「そうだな。誰かが看病するなんて、それこそ風邪みたいだ」 苦笑が漏れるけど、ただの風邪であったならどれほど安心だろう。 過去を思い出せば心が砕けそうなほどの後悔と寂しさが溢れ出して、膝の上に置いていた手が勝手に握り拳を作り、口も勝手に歯を食い縛り始める。 蒼木はそんな俺を見て、未だに痛がる観咲を見てから……そっと俺の耳元で呟いた。 「…………理由、訊いてもいいかな。それとも、訊かない方がいいかな」 「………」 自分の心細さを理由に巻き込んでしまった。 それを考えれば、理由を伝えることくらい、当然だった。 13/心の行き先 -_-/ノア・エメラルド・ルイード …………。 ふと目を開けると、そこにマスターの姿はなく。 代わりにサクラが、そのピンク色の髪を揺らして「あ……目、覚めたです?」なんて訊いてきた。 時間を見ると……結構な時間。 「サクラ……。マスターは……、んっ……自室に戻ったのですか?」 言いながら体を起こす。 けだるさは残っているけど、こんなものは寝起きに感じる程度のものだ。 実際寝起きなのだから当然だけれど。 「戻ったです。……何か訊きたいって顔ですね、ノア」 「……初めて、ですね。マスターが本気で怒ったのは」 「ノアがあんなこと言うからです」 あんなこと───“根拠も無いのに大丈夫と言ったこと”でしょうか。 解らない。解らないからこそ─── 「ええ、そうですね……。訊きたいことは、それです」 「…………そですか。……実は、天界の資料に書いてあったことがあるです」 「天界の……?」 「与一、妹さんを死なせてしまってるんです」 「───え?」 一瞬、背筋に冷たいものが走った。 自分は、興味本位でとてもひどいことをしているんじゃないかと。 「もちろん、与一がそうしようとしてそうなったわけじゃないです。今日みたいなことが、数年前にあったです」 「…………続けてください」 発言のうちに心を硬くする。 どうか挫けませんようにと。 なにかを知ろうとすることは、知識欲を満たすだけでは済まないことがよくある。 そこに存在する気まずさや罪悪感、本人からではなく他人から聞いてしまったという申し訳なさも、当然のように存在する。 それらを受け入れるために、心を硬く。 「与一のご両親さんは仕事で家を空けていることが多い人達で、与一はいつも妹さんと二人きりで過ごしてたようなものだったです。与一はその時から頑張って立派なお兄ちゃんになろうとしてて、料理だって勉強だって運動だって頑張ってたです。でも───ある日、今日のノアみたいに妹さんが階段から落ちたです」 「………」 「その時は妹さんも意識はあって、でも立ちくらみとかがするから学校は休んだそうです。もちろん与一は“俺も休んで、看病する”って言いましたです。でも妹さんは“大丈夫”の一点張りで、与一を送り出したそうです。だけどそのあと学校に電話があって、倒れている妹さんを帰ってきたお父さんが見つけたらしいです。妹さんはすぐに病院に運ばれましたが、家で発見した時にはもう息はなくて、それで───」 「………」 「ノア……与一が二階の部屋、絶対に俺が使うって強情に言ってたの、憶えてるです?」 「……そういうこと、だったんですね」 マスターがそんな思いの果てにあんな態度を取っただなんて知らなかった。 いや、解ろうともしなかったんだ。 天界の資料だったらわたしも知っている。知ろうと思えば知ることが出来たはずなのだ。 なのにわたしは自分の目で見て知った人でなくてはと、それらを詳しく見ることをしなかった。 「ひとり暮らしがしたかったのも……本人は気づいてないようですが、その家から逃げ出したかったかららしいです」 「……家族の居ない自分の家なんてもの、子供だったマスターが耐えられるわけがなかったのですね……。それも思い出がある家なら、なおさらです……。だからいっそ、本当のひとりになって、偽りの幸せに埋もれていたかった……」 「……そうです。与一には“幸せを集めるため”って言ってあるですけど、サクラの本当の目的は“与一に本当の幸せを集めること”、です。そしてノアは───」 「……わたしは、マスターを“負”から守るのが本当の目的……。ですが、こんなことでマスターを傷つけてしまった……。こんなわたしが、今更マスターに何を……」 「……知ってるです?ノアの顔って、亡くなった与一の妹さんによく似てるですよ」 「え……?」 言われて、そうすることで見ることが出来るわけでもないのに、自分の頬に触れた。 「まあ性格は180度違うと思うですが」 「……ひとこと多いですよ」 「与一がどうしてからかわれても笑いながら接してくれてるのか、この機に考えてみるといいです」 「……その答えは……簡単です。それはマスターがわたしを妹と重ね合わせているだけでしょう」 言ってみて寒気が走った。 自分でもこんな答えが間違っていると解っているんだ。 けど─── 「ハズレです」 「え?」 まさかサクラに否定されるとは思ってなかったわたしは、どうしてか心を突かれたようにギクリとした。 「“家族だと思ってくれているから”に決まってるです」 「───」 「与一、言ってたです。サクラたちはただ居てくれるだけでいい、って。それってやっぱりサクラたちのことを……“帰る場所”だって認めてくれたってことだと思うです」 「………」 半ば強引に始まったこんな生活を、ただいまを言える場所として選んでくれたのだろうか。 わたしなんてそれこそ、会って一週間も経っていないというのに。 一人暮らしがしたくてこんな生活をしているというのに、そんなに簡単に受け入れられるものなのだろうか。 そんな思いをサクラに対して投げてみれば、サクラはきょとんとした顔で返した。 「サクラ、ノアはもっと頭のキレるコだと思ってたですけど」 「やかましいです」 けれど、自分で言葉を投げた途中で、わたしも解ってしまったのだ。 マスターはけっして、賑やかさから逃げたかったわけじゃない。巻き込まれるような形だったとしても、人が傍に居ることを喜べる人だった。 むしろ騒ぎに巻き込まれている時の方が、普段の表情よりも生き生きとしていたじゃないか。 それが、質問するまで解らなかった自分が恥ずかしい。 いや……恥ずかしいというより悔しくて、そっぽを向いて俯いた。 鏡を見れば、真っ赤な顔の自分が見れるだろう。 それでもこの心が暖かいのはきっと─── 「…………あとで、与一にありがとうを言いに行くです」 「そうですね……」 わたしの心にとても暖かいものが溢れた。 もう大丈夫だ。 わたしは彼を……マスターを心から信頼出来る。 そう、とても自然に思えたことが嬉しかった。 -_-/穂岸遥一郎 ───……。 「……そっか、そんなことが……」 二階の自室にて。 過去に起きたことを蒼木に話すと、彼は悲しそうな顔をして頷いた。 ……ちなみに観咲は広間に置いてきたから居ない。 さすがに悪いとは思ったけど、多少でも茶化されたり笑い話みたいに扱われたら、自分を保っていられるか解らない。 「こんなことを話したのは……蒼木が初めてだな」 「それは、僕が友達だからかな」 「……さあ」 なんとなく照れくさくて視線を逸らすと、蒼木は「ふふっ……そっか。ありがとう」なんて、笑ってお礼を言った。 会ってまだろくに時間も経ってない相手にこんなことを話すのはどうしてだろう。そんなことを小さく考えたけれど、たぶんそれは───友達だからとかじゃなくて、なんか…… 「礼を言うのはこっちだろ。付き合わせて悪かった」 「ううん、僕は別に構わないよ。これでも掃除は好きなんだ」 「……ヘンな奴だよ、お前」 「よく言われるよ」 ……なんか。 出会った頃を思い出して、ああなるほど、なんて思えてしまうのだ。 現代に鳥が肩に留まるような人間が居る。 野生が気を許してしまうくらいに気安い相手だ、人なんて存在が気を許すくらい、案外簡単なのかもしれない。 空気って言えばいいのかな。安心出来るんだ、こいつの傍は。 天界ってところから来たサクラやノアを受け入れられたみたいに、蒼木からは……いっそ、そんな空気よりも落ち着くなにかを感じた。 「はぁ……けどさ、改めて考えると……スマン、巻き込んで。無断欠席して、掃除程度で済めばいいな」 「はは、そうだね」 「………」 「あ、そういえば昨日、ごはんをご馳走するのを忘れていたね。良かったら今日、作ろうか?」 むん、と腕まくりをして言ってくれる。おお似合わない。言っちゃなんだから言わない。似合わない。 まあ、それはそれとして、蒼木の提案にゆっくりと首を横に振る。漏れるのは苦笑だ。 「……いや、今日はいい。たぶん、来るから」 「うん? ああ、あっはは、そうだね。なんとなく解るよ。似たような経験があったかもしれない」 「……その時に来たのは、もしや観咲か?」 「ううん? 僕の好きな人」 「!?」 好きな人!? 居たのか!? あっさりととんでもないことを言う友人に、目玉が飛び出る思いだった。 ──────。 ……。 そして昼。 予想通り、ノアが料理を作っていた。 テーブルに置かれた料理は想像していたよりまともで、別にこれといって食したくないと思うようなものじゃあなかった。 レインという人は偏食だったとか、そういうオチだろうか。 そう思いながら料理を口に運び、停止。 ───前言撤回。 これは……ひどく独創的な味だ。 サクラの比じゃない。 一瞬、意識が遠退いたのは気の所為などでは断じてなかった。 なかったが─── 「マスター、その……ごめんなさい」 「………」 手をキズだらけにしながら俯くノアを見たあと、無言で箸を進めた。 一気に食うなんてことはせずに、ちゃんと味わって。 胸にこみあげるもの(気持ちとかじゃなく)を必死で堪えながら、涙目になって食べる。 「………」 「……ん」 茶碗をノアに差し出し、おかわりを促す。 ノアは黙ってご飯をよそると、茶碗を渡してくる。 それをおかずとともにたいらげて、席を立った。 「……25点」 「あ……」 ノアがしゅんと俯く。 あとすまん、お世辞でもご馳走ではなかった。 言ってやりたいが、逆の意味でキッパリ言わないと成長出来ないことを、僕らはサクラの料理で知ったはずだ……! なので厳しい言葉……なのだけれど、蒼木はそんな俺を見てにっこり笑顔だ。 厳密に言えば、俺が食べたあとの食器を見て、だ。 「ふふふっ……その割には綺麗に食べたね、穂岸くん」 「ぐっ───!」 「ノアちゃん、安心してほしいな。穂岸くんね、照れてるだけだよ」 「こ、こら蒼木っ!」 「素直にごちそうさまって言えばいいのに」 ほっとけ! ほんとほっといてくれ! 言ってやらなきゃ毎食地獄を見ることになるんだよ! 卒業前に胃の病気で死ぬだろそれじゃあ! 「マスター……。わ、わたし、頑張って練習しますから! また───食べてくれますか……?」 「……うっぷ……! ……あ、ああ……うん……ろ、65点以上ならな……」 また、という言葉にこみあげるもの(感動の類ではない)を抑えつつ、一応は頷く。 正直もう勘弁願いたい……上達したものなら是非とは思うものの、その上達具合にも寄るってことでいいだろうか……。 「いつでも食べてあげるって」 「うぉおい蒼木!?」 「自分で作ったノアちゃんの味見だけで、穂岸くんが決める点数が解るわけないよね。そういう意味での点数付けじゃなかったのかな」 うぐっ……! 確かに65点以上って言ったって、俺が決めた点数をノアが解るわけがない。 それはつまり、ノアがこれならいけると思った時点で差し出されたものは食べなきゃいけないわけで。 「そっ……! く、ぅう……っ……そ、そういう意味じゃ、ないぞ……?」 「素直じゃないね」 「……ほっといてくれ。……はぁ。それよりだ。ノア、もう歩いて平気なのか?」 「穂岸くん、それはご馳走してもらってから言う言葉じゃないと思うよ?」 「……蒼木。お前って結構ツッコミ好きだったりするのか?」 「そんなことはないよ。ただ、疑問に対して素直でいたいって姿勢は持ってるかな」 疑問に感じたらツッコまずにはいられないってことらしい。 穏やかに厄介なヤツと友達になったもんだと溜め息が出た。 「あ……その。マスター、ご心配には及びません。わたしたちは下の人より回復力がありますから」 「下? って、ああ。そういうことか」 地上人、ってことか。 次いで、頭に装着澄みの魔器もココンと突いて苦笑するノアを見れば、それが治療してくれるって言葉にも頷けた。 「そっか、それはなによりだ。でも無理はするなよ。今日は俺が当番やっとくから、ノアは寝てること」 「そうはいきません。メイドから仕事を奪うことはたとえマスターでも」 「命令だ」 「うぐっ……マスター、ずるいですよ……」 「ズルくていい。寝てろ」 「うう……かしこまりました……。けれど、いつか目にものを見せてあげますからね……? いつか、いつか唸らせるほどのものを……!」 項垂れながら自室へ戻るノアを見送ると、俺はようやく苦笑するように息を吐いた。 そんな俺に、蒼木が「ご苦労様」と言ってくれる。 言ってくれるものの…… 「人の気苦労を読み取るな」 「大体的に言ってるだけだよ」 「出会ってそれほど経ってないけど、お前を見ているとそうは思えないんだよ俺……」 *注・知人としての関係に至ったのはつい昨日のことである。 故に、この考え方は本人が異常であること意外に答えは存在しない。 結論:穂岸遥一郎は頭は回る馬鹿である。 「……勉強が全てじゃないんだよな、この世の中って」 「どうしたんだい? 突然」 「いや……己の愚かさと思考回路との論争と、神とは呼べない悪魔の声との論争に涙を流ざるをえない状況に、本気で涙を流すところだったというかなんというか。むしろ俺はキャベツよりもレタスを敬愛してやまないわけで」 「僕もキャベツよりレタスが好きだよ。雪音はなんでも好きだけどね」 そういう問題じゃないとか、そういったツッコミを入れずににこやかに己の好物をさらけ出す彼を見て───僕ァ、彼が天然であることを一方的に自信過剰に決め付けた。ツッコミはなかった。つまり疑問なぞなかったのだ。素晴らしいレタス愛だった。 「そうか。やっぱりレタスは美味いよなぁ」 「うん、僕は一日一個くらい食べちゃうよ、あははは」 「ほほう、お主、通だな」 「そういう穂岸くんこそ、結構食べてそうだね」 「ふふふ、よくぞ訊いてくれた。遥か昔より伝統されしレタスの秘法。伝説の効能と俺が呼びしレタスの安眠効果を利用し、寝る前に食することは一日たりとも忘れたことなどありはしないのだよ」 「へぇ、よく調べてるんだね」 「俺の記憶が確かなら“あるあ……ねぇよ大辞典”か“昼は○○、フルパワーTV”で得た情報だ」 「僕はあまりテレビは見ないんだけど……効能がどうかは解らなくても、僕はレタスが好きだよ。それは恋にも似た感情か。僕はレタスを見た途端、心を奪われたんだ」 「───」 「冗談だけどね」 「紛らわしい言い回しはやめいっ! お前が言うとどこまでが冗談か解らないんだよ!」 「まあ、たまにはいいんじゃないかな」 「だめだ! たまにだと人が信じるだろ!?」 「あ……そっか。じゃあいつも言ってればいいんだね?」 「───」 冗談好きの───蒼木澄音……? =_=/イメージです 「やあ雪音、今日もめちゃくちゃベッピンだね」 「ふえうっ!? え? そ、そうかな」 「HAHAHAHAHA! もちろん冗談さ! 僕の中のキミはいつでもツムリーかマイーマなんだからね!」 「え、えっ!? えぇっ!?」 「そう、つまりだよユッキー。……キミは醜くはないがカワイクもない」 「な、なっ、な───なんですってぇええええっ!?」 -_-/ホギー ───…………。 「……いや、俺も同意見だぞユッキー」 ノアを見送った広間のテーブル。 そこで無言のまま食事を続けていた観咲に言葉を投げた。 こいつが静かなのも珍しい。 珍しいっていうほど認識があるわけでもないものの、どうしてだろう。こいつはなんというか予想を裏切らない気がするのだ。 「ユッキー? なにそれ。あ、それはそれとして、やっぱりホギッちゃんもこの料理は危険だと思うよね? その同意見だよね?」 「それもだけど別の意味もある」 「雪音。ユッキーに関しては、穂岸くんはキミにニックネームをつけてくれたんだよ」 「ホント?」 「違う。あとお前に“なんですって”は恐ろしく似合わないことが判明しブハァアア……」 言ってる途中で溜め息が溢れ出た。 「え? わたしそんなこと言ってないよ? え? あれ!? なんでわたし想像の中で落胆されてるの!? それ明らかにわたし悪くないよぅ!」 「泣くな」 「泣いてないもん」 「そうか、感動してるだけか」 「あぅう、それも違う」 「あれも違うこれも違うで人生通ると思ってるのか馬鹿者!」 「むぅうう! ホギッちゃんにどうこう言われなくても解ってるもん!」 「観咲……お前、自分でも認められるほどに人生に迷ってたのか……」 「しみじみ言わないでよぅ!《ゴポリ》うっぷ!? う、うぅうう……気持ち悪いのがこみあげて……!」 観咲がうんうん唸っている。 やったなノア! いつかきっと唸らせるという夢、叶ってるぞ! そう、これは……─── 落ち込んだノアの念願が、彼女の知らぬところで果たされた瞬間であった……! 「穂岸くん……たぶんノアちゃんはそういう意味で言ったんじゃないと思うなぁ……」 そしてあっさり否定された。 そりゃそうだとは思うけど、とりあえず人の表情からどんなことを考えているのかを予測するのはやめてくれ。 「うぅ……大体だよホギッちゃん。わたしはべつに今のわたしに後悔なんて感じてないし、毎日楽しく過ごせてるよ? そりゃあ、周りからみれば“ばか〜”とか言われるくらい頭はよくないかもしれないかもだけど。そんなの、本人が楽しんでるなら周囲に関係ないよね?」 涙目の観咲が……ああえっと、断じて俺の言葉で泣きそうだからではなく、気持ち悪さの所為で涙目な観咲が、真っ直ぐに気持ちを伝えてくる。 俺はといえば……最近の自分の暴走気味な意識に呆れを抱きつつ、反省とともに“それじゃあ”とテーブルにあったメモとボールペンで適当に文字を連ねる。 で、それを観咲に見せつつ言うのだ。 「よし、この問題を解いてみてくれ。ウチの高校で出た基礎問題のひとつだ」 「わかりません」 「解ってないじゃないかこの馬鹿!」 「バカってゆーなぁあっ!!」 「やかましい! 大体問題に目も向けずに解りませんって言う奴があるか!」 「わたしが世界初になったってかまわないもん!」 「……そりゃお前、そんなに自分の落ち度に自信があるってことか?」 「もっと言い方選んでよぉっ! 落ち度って言い方はあんまりだよ!」 「勉強教えてって言ってきたやつがそれで、俺に迷惑がかからないわけがないだろ! いーからほらっ、きちんと向き合って解く努力をしてみろ!」 「う、うー……」 渋々だけどメモとペンを受け取って、うーうー唸る観咲。……から視線を外して、蒼木に向き直る。 座りながらでは“向き直る”というのは多少とっかかりを感じるけど、この際どうでもいいだろう。 「じゃあ俺達は他愛ない世話話でも。……前にも訊いたような気もするんだけどさ、空が好きなのはどうしてだ?」 「ああ、そのことかい? そうだね、物事を疑問に思うのは大事なことだよね」 にこにこと笑う。 答えは返ってこなかった。 「いや、俺はそういうことを訊いてるんじゃなくてだな」 「じゃあ話そうか。ええとね……うん。別に生まれた頃から好きだったわけじゃないよ。僕は生まれた時からずっと病院で生きてきたから、病院の自室しか世界を知らなかったんだ。そんな僕が外界に憧れるのは当然だと思って欲しいかな。でも病弱だった僕は部屋から眺めることしか出来なかった。それだけじゃあ満足出来なかったんだよ。自分の足でしっかりと大地を踏みしめて、その上で、仰ぎたかった」 「ふんふん」 「だけど、さっきも言った通り僕は病弱だった。自分では立つことがやっとで、歩くことなんて夢のまた夢だった。……正直、自分の境遇を恨んだよ。どうして僕だけがこんな風に、ってね。寝転がっているだけの人生だったから、僕は天井ばっかり見ていた。天井にあった汚れだって数え飽きていたよ。生きる喜びすら、その世界には無かった。親はさっさと僕を見放して、街を離れていったしね」 「…………蒼木、悪い。ストップ」 「? ……どうかしたのかい?」 「その場の勢いみたいに自分で訊いといてなんだけどさ。これ、俺が聞いても良かった話か?」 「……ありがとう、やさしいね、穂岸くんは」 「ばっ、バカいえっ」 俺の目をまっすぐに見て笑う蒼木。 その表情はとても嬉しそうだった。 「でも、安心してほしい。僕は自分が話したくないことは話さないよ。それにこれは、キミだからこそ聞いて欲しい。僕はね、穂岸くんを本当に友達だと思ってる。もし、僕らがあの高校で出会わなかったとしても、きっと僕はキミに声をかけていたよ」 「いや……それはないんじゃないか? そんなこと奇跡でも起きない限り───」 「穂岸くん? 奇跡っていうのはね、案外身近にあるものなんだよ。僕らはそれを遠くのものだと思い込みすぎてるだけなんだ」 「……それも、否定されている思考か?」 「そうだね。自分がそう思っていないことを認めるのは難しいから」 「特に、今の世の中だとな」 一定化されつつあるこの世界で、自分以外の理論を認めようとする輩は多くない。 負け惜しみだとか、そういうものなんじゃなくて……ただ、それに見合う説得力が無いものに自分の理解力を向けるのが大変なんだ。 否定をするなって言うんじゃない。 でも否定だけしてても何も生まれないし進まない。 それなら、自分だけの理論のみで明日を目指した人が居るとして、その人が辿る道には果たして───終着駅というものは存在するのだろうか。 ……そんなことを、小さく考えてみた。 もちろん、そこに終着点などなかった。 延々と続く思考の中で、自分が“これが答えだ”と思うまで、それは続くんだろう。気の長い話だ。 「さてと。穂岸くん、ちょっといいかな」 「うん? なんだ?」 「昨日教えてもらった部分で、ちょっと解らないことがあってね。話の続きはまた今度ってことでいいかな。一応、サボってしまった身としては、予習くらいはしていたんだって見栄を張りたい」 「……そか。ああ、わかった」 「あ、ホギッちゃん、わたしもわたしもっ」 「お前はその基礎テストが終わったらな」 「あ、そっか。じゃあほい、8」 「………」 メモにゾシャーと8が描かれた。 ちなみに答えとは全然違う。 「……ちなみに。どうして8だと思ったんだ?」 「え? 好きな数字だから! エイトー!《ヴァアーーーーン!!》」 右手で五本指、左手で三本指を突き出した彼女は笑顔だった。 さて困った。終わったら勉強を見るという約束なのに、正しく困ったことに“終わったら”という意味では不正解で終わっている。ついでにこいつの頭の中も終わってる。 「観咲。正解じゃなきゃ基礎の意味が───」 「不正解でも終わりは終わりだよ? さあ教えてホギッちゃん! 言っておくけどわたしは手強いよー!?《どーーーん!》」 「一休さんかお前は! とんちの才能ばっかりあっても屁理屈馬鹿って言われるだけだぞ!?」 「むぅううーーーっ! ばかってゆーなぁーーーっ!! 一休さんだって名前からして常に一休みしてるんだよ!? わたしはそれを尊敬してるだけだもん今だけ!」 「今だけなのか!? あとお前は馬鹿でも一休さんは馬鹿じゃない! 休む分だけお前が馬鹿のままなだけだろ!」 「そんなことないもん! 自分に出来ない無理難題を一休さんばっかりに押し付けるあの世界の大人達が馬鹿なだけだもん!」 「……つまり努力もせず俺に頼るお前は、それと同レベルの馬鹿ってことか」 「……ホギッちゃん。わたし、真面目に勉強するよ」 「そうしてくれ」 じゃあ、と立ち上がる。 教えるにしても、教科書等は部屋に置きっぱなしだ。なにせ休むつもりだったんだから仕方ない。 二人はテストの時間ギリギリまで予習をするつもりだったろうから鞄には入っているだろう。……観咲はちょっと怪しいけど、今さらだ。 「あれ? どうかしたのかな」 「教科書。部屋にあるから取ってくる」 「ああそっか、うん。ごゆっくり。雪音は僕が押さえておくから」 「助かる」 「え? それどういう意味?」 「雪音? 他人の家を勝手に探索するのはよくないことだよ?」 「ひぐっ!? な、なんで解ったの!?」 「真面目に勉強するって言った数秒前のお前は何処に行ったんだ」 「きっと星になったんだよ。えっとほら、夜空を泳ぐ魚〜みたいに。なんていったっけ。すたーふぃっしゅ?」 それはヒドデだ。 「そうか……お前の真面目さって海で蠢いてるんだな……」 「え? あ、あははー、やだなぁホギッちゃん、そんな、マーメイドみたいだなんて」 てれてれと頬を染めて、そんな頬を人差し指でふにふに擦る観咲の図。 彼女の頭の基礎知識では、マーメイドは海で蠢くらしい。 というか、海で蠢く自分の真面目さ=マーメイドなのか? むしろあえて星の話から離れた話題だったのに、離れたことに疑問を抱くことすらないとは……。 「なんというか……うん。悪かった」 「ん? うんん? なにが? あ、もしかして今までの無礼の数々? いーよいーよ、だってわたし、なんでも言い合える友達が欲しかったんだもん。出会ったばっかりってくらいなのに、こんなに遠慮無しに話せる人なんて、そうそう居ないよー?」 「そうだな……俺も喋る|真面目《ヒトデ》と出会ったのは初めてだ」 「え? ヒトデ? なに? え?」 きっと彼女に前世があるとしたら、魔女に騙されて人間になったヒトデだったのだろう。 人魚姫のように声を犠牲にしたんじゃなく、人間になったら触角が生えるような呪いだったのだ。いや、同じ海の生物って意味で、ウミウシだったのかもしれない。なんてことだ、ナメクジやカタツムリに近いじゃないか。やはりツムリーかマイーマだったのか……! そこまで考えると、自分の中の砕けた考え方に呆れを抱きながらも、こんな考え方が出来るようになったんだなぁと笑ってしまった。 (そうだな。もっと馬鹿になろう) そういう意味では彼女と一緒に居るのはとても気安くて、ありがたい。 立派な兄にはなりたかったけど、頭でっかちになりたかったわけじゃなかった筈なんだ。 正論を唱えて硬いことを教えたかったわけじゃない。 くだらない豆知識を面白おかしく話して、笑わせたかった筈なんだ。 (───ありがとう) 相手に聞こえないくらいの小さな声で呟くと、笑みのままに二階を目指して歩き出す。 観咲はまだ頭に疑問符をくっつけたような顔でギャースカ言っていたけど、まあその、今は悪い、ごめん。 人の純粋さをつついて遊ぶ趣味なんてないとは思うから、俺の思考回路が落ち着くまではどうか根気よく付き合ってやってほしい。 友達と言ってくれる相手をからかってばかりの、友達付き合いをまともに出来ているのかさえ自覚出来ていない自分だ。懲りず、そんな無邪気さをぶつけてほしい。 そうした感謝をとうとう口には出せないぶきっちょなまま、階段を上って扉を開けた。
ネタ曝しです。 *バニ山バニ夫 今は懐かしきONE〜輝く季節へより。 うさぎのぬいぐるみ。 *ぽくぽくぽくちーん♪ どうでもいいけどこの音を聞くと、景徳鎮を思い出すんだ。 ちなみに中国の都市の名前。文鎮などの仲間ではない。 *元気百倍アンパンマーン! アンパンマンは〜キミっさー! ヘルユー! じゃなかった、ヘイユー! 勝手にアンパンマンにされた上に正義を執行しなくちゃいけなくて、さらに腹を空かせた人に頭を食われる伝説の歌である。 そろそろアンパンマンはパンチとキックの他にアンサブミッションとかアンスープレックスとかアン機神黒掌とか覚えてもいいと思うんだ。 *機神黒掌 ゼノギアスより、ヴェルトールの武技。 ヴェルトールでこその“掌”です。ゼノギアスの機神黒掌は掌には見えないのです。フィニッシュが踵落としだし。 *バッファローマン 元気百倍とか言い出したりハゲになったり忙しい人。 敵であった頃にこれほど強かった相手は居なかったなぁとたまに考える。 二世ではなんか「昔とった杵柄」云々、ミート君を背中に乗せて走り出したら、なんか物凄くぜえぜえ言ってた。歳には勝てません。 ただ、この時の「俺もいくぜ〜〜〜〜〜〜〜っ」が凍傷は大好きです。 なぜあそこまで伸ばす必要があったのか。 ああいえいえ、べつに必要ないだろとか言うつもりは全然、ほんと全然これっぽっちもないです。 むしろ肉言語として凍傷の中に刻み込まれております。大好き。 特にマスクドアラジンとブキャナンの掛け合い時の、 「ここが|完全無比《コンプリート》超人になれるトロフィー|球根《バルブ》のある 黄金の国ジパングか〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」 「どおれ明日は大暴れしてやるとするか〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」」 の伸ばし方が大好きすぎております。 伸ばしてこそ肉言語。あと、どもりも。 *喧嘩意地───ゴロメンツ グラップラー刃牙、バキ、範馬刃牙、刃牙道、疵面などより。 花山薫のが持つ我道。 花山さんとオリバだったらどっちが握力強いんだろうか。 *漢魂───メンソウル 漫画とは関係ない、漢に生きる者の魂。 関係ないけど加藤チェンの名前がなんか頭から離れない。 |好《ハオ》。 *加藤チェン 漫画・漢魂に登場する加藤茶みたいなラヴハンター。 初登場時にカンフーっぽいポーズで|好《ハオ》と言っている。 この時の、主要キャラがアップになってる紹介っぽいのが無駄に好きです。 好きばっかですね、自分。 ◆後書きです 修正、加筆するところが結構ありました。 むしろ懐かしい話ばかりで自分でニヤニヤしております。 バニ山バニ夫とか、もう忘れてしまっておりました。ああ懐かしい。 ではでは、今日中にもう一話編集できたらまたのちほど。 え? いきなりシリアスになるな? 世の中なんて心の準備が出来ることの方が少ないという表れデスヨ? ウ、ウンキットソウ。 Next Menu back