───冒険の書72/準備期間をバトルで過ごそう───
【ケース243:中井出博光/ヒロミチュード・セプテントリオン】
───ドドン。
中井出「これは非常事態である」
麻衣香「あ、ヒロちゃん、コーヒーに砂糖入れる?」
中井出「おお頼む」
凍弥 「おお、俺にも頼む」
由未絵「と、凍弥くんにはわたしが入れてあげるよ!」
柿崎 「あ、じゃあついでに俺にも」
由未絵「ヤ」
柿崎 「一言で、しかも即答で打ち切らないでくれよぅ……」
敵をコロがしたことで手に入れたアイテムを売って手に入れた金で、
宿利用期日を延期した俺達は、今はテーブルを囲んでコーヒータイムだった。
クィッと飲むほどよい熱さのコーヒーが、冷えた身体にありがたい。
中井出「翌朝、謎の勢力と戦うことになった。
謎の勢力が何処に居るのか、どんな勢力なのかは謎だ。
だがしかし、俺達は決して立ち止まってはいかんのだ。ナギーとシードのために」
藍田 「おお、もちろんだ」
丘野 「腕が鳴るでござるな」
鷹志 「どんな相手だかが解れば、作戦とか練れるのにな」
凍弥 「作戦……フフフ、作戦か。作戦なんてものは弱者が試行錯誤すればいいのだよ。
そして俺は弱者だから練りに練りまくりたい」
柿崎 「いちいち格好つかねぇヤツだよな、お前」
凍弥 「カッコつける男より自然体の男を目指してます」
来流美「それでも日頃から結構重たいものとか運んでるから腕力だけはあるのよね」
真由美「あはは……ヒロラインでは全然意味がないんだけどね」
だからこそ他の皆様の強さの基準も平均的になってるから、
我らとしてはありがたいんだが。
さて……
中井出「明日の朝までセントールかエトノワールに居ればいいらしいから、
問題はそれまでなにをするかだ。ちなみに俺は夜までバトってレベルを上げる。
で、手に入れたアイテムをセントールかエトノワールで売って、
入った金でアイテム買って───翌朝まで寝るわ」
藍田 「理想的だな。俺もそうすっか」
丘野 「拙者も異存なしでござる」
鷹志 「俺達はどうすっかな」
凍弥 「本音を言えば、謎の勢力の強さが解らない以上、
好奇心で手を出せるレベルじゃないんだよな」
柿崎 「コロがされて金奪われるのも癪だしな」
真由美「それなら必要なものだけ買って、倉庫に預けておいたらどうかな」
柿崎 「それが妥当か」
中井出「ちなみに我らの総合的な金は全てナギーに預けてある」
藍田 「武器強化とかに使った金は全部ポケットマネーだしな。
それ考えると……相当な金額預けてるよな、ナギ助には」
もしや、それが原因で誘拐を……!?
ああいやいや……そんな風に思いつめている暇があったら突き進むが吉だ。
中井出「うしゃー!」
総員 『むしゃー!』
中井出「うだうだしてても埒も無し!早速レベル上げに向かうぞぉ!ヒヨッ子どもぉ!!」
ザザッ!
総員 『Sir!!YesSir()!!』
凍弥 「レベル稼ぎに行くのか。俺達も便乗していいか?」
丘野 「拙者たちの走行速度はルルカにも負けんでござるが、それに付いてこれるなら」
凍弥 「何者だよお前ら!!」
柿崎 「それなら俺達ゃルルカに乗っていきゃいいだろ。
一応でも仲間ってことになってりゃレベルは上がるわけだし」
来流美「姑息ね……」
凍弥 「うだうだ言ってられないのはこっちだって同じだろ。レベル少ないと何も出来ん」
中井出「今までなにやってんたんだ?」
鷹志 「お国のために雑用ば〜っかやってた。お蔭でレベルなんて低いもんだよ」
丘野 「もしやまだ60にも達してないでござるか?」
凍弥 「……空が蒼いな」
図星だったらしい。
凍弥 「そんなわけで、少し貴様らのバトルの経験値の恩恵を授かりたいんだが」
藍田 「そりゃ構わんが。かなり強いヤツらが居るところに向かうんだ。
戦闘に入ったら守るとかそういうことは一切しないから、そこんとこよろしく」
凍弥 「おお、そりゃあもちろんだ。限界までルルカに乗って逃げ回る」
麻衣香「レベルが高くなってきたら、素直に戦闘経験積んだほうがいいと思うけど」
凍弥 「いや……違うな。男ならレベルより武器にこだわるべきだ」
鷹志 「レベルなどそのための地盤!男なら武器だ!」
中井出「おおさすが我が親戚筋!貴様も解るか橘よ!!」
鷹志 「当たり前だ!!だが国のために働いた期間が武器の成長を許さなかった……!」
藍田 「お前は徴兵期間の所為でアライ流戦法を極められなかったマホメド・アライか?」
鷹志 「喩えなんてどれでもいいや。ともかくそういうわけだから便乗させてくれ」
藍田 「よっしゃ、そんじゃあ早速行くか?」
鷹志 「ああ。猫に鍛えてもらってる武器もそろそろ出来上がりみたいだし」
中井出「うむよし!では準備が整い次第、レタロプルガ地方へゆくものとする!!」
凍弥 「レタロプルガって……」
真由美「ナビによると、バトルアント族の本拠地だね」
鷹志 「バトルアント?戦う蟻……か?」
中井出「その通り!強い、硬い、多すぎるの三拍子が揃った場所での狩りをするのだ。
ヘトヘトになるまで戦えば相当の経験値が入ってると予測される」
来流美「予測、って。行ったことは?」
総員 『初めてである!!』
鷹志 「ウワァ……」
物凄く嫌な予感がする、という言葉を顔で表現された。
だが今さら逃げることは許されん。
中井出「ストックは万端かー?ちゃんと確認しておけヒヨッ子どもー!」
藍田 「イェッサー!ストックの補充、完璧であります!!」
丘野 「イェッサー!ストックの点検、完璧であります!!」
凍弥 「そもそも宝玉自体を持っとらん」
中井出「そこまで気を回すことは出来んよ。我らは一刻も早く、
1レベルでも経験値1でも多く手に入れなければならんのだ。
全てはナギーとシードを取り戻すため。そのためになら俺は手段を選ばんぞ」
藍田 「お……おお……!提督が熱くなっている!」
丘野 「“あの頃の提督”が帰ってきたでござる!!」
来流美「……?なにその“あの頃の軍曹さん”みたいな名称」
藍田 「え?いや、なんとなく言ってみただけだから俺のほうこそ知りたい」
来流美「……あんたたち原中って、ほんと凍弥と気が合いそうだわ……」
───そんなこんなで。
話し合いもそこそこに、俺達はバトルアント族が待つ、
辺境にある山岳地帯を目指して駆け出したのだった。
【ケース244:橘鷹志/今までならば信じないことも、いつしか信じてる僕ら】
で。
ノースノーランドを離れた俺達が、そのしばらく後になにをしているのかと言えば。
藍田 「“九頭竜闘気───弧竜閃”!!
ハァーーーイハイハイハイハイハイハイハイ!!鳳凰!烈爪ォオオオオ脚!!」
ゾシャゾシャゾガシャズバシャゾシャシャシャシャアアッ!!!
アーマーアント『ギャアアアアアアアアッ!!!!』
どんな原理なのか、振るいまくる脚から弧を描いたような衝撃波を出す藍田。
しかもその攻撃はKOFのジョン・フーンの技のように敵を切り刻みまくっていた。
それがまた蟻の大群には効果的のようで、
敵一体ではなく周りの蟻まで巻き込むもんだから、一気に敵をコロがせていた。
その一方では丘野が25体に生分身。
さらにそれぞれが分身を使って100人になると、
群がるアント族をこれでもかというほど切り刻みまくりコロがしてゆく。
さらに一方の女性陣は綾瀬がチェーンスペルで
メテオスウォーム、シューティングスター、ビッグバンを実行。
弱った相手を分身丘野がコロがし、
それでも群がる敵を殊戸瀬が駆る飛竜がレーザーやブレスで撃破。
で、俺達を狙う蟻は───
ランサー『ハッ、撹乱した蟻の行列とは良く言ったもんだ。
お蔭で暇だけはしそうにない……
死を覚悟する意思がてめぇらにあるなら、まずはそこからだ。
死んでも責任取れねぇからな。現世にお別れだけでも言っておけ』
七夜 『爆ぜろ。弔毘八仙───無情に服す!!』
ヒュゴゥンッ!!ゾバシャアッ!!
アント×22『クギャアーーーーッ!!!』
ランサー 『……チッ、おいアサシン、人のエモノを奪うんじゃねぇよ』
七夜 『一時の宴の中で謳うより滅することを望む者が一矢を先んじる。
奪うな、と言うのならな、ランサー。謳う前に槍を閃かせればいい』
ランサー 『殺人貴に正論ぶつけられる趣味はねぇんだが……ハ、まあいい。
一理は一理だ、ありがたい忠告を受けた結果は行動で示してやるよ』
バーサーカー『■■■■■■■ーーーーー!!!!』
ヴオッ───パガシャゴバキャア!
ボゴシャベキャバキャアア!!
アント×42『ギャアアアアアアア!!!!』
ランサー 『……一振りで景色が開けるのかよ。英霊として立場がねぇな、ったく。
それこそどうでもいいか。───その心臓、貰い受ける!!』
夏子 「ランサー!宝具発動禁止!!英霊なら槍の威力だけで突き進みなさい!!」
ランサー 『なっ───チッ、難儀なマスターに捕まっちまった。
女運がねぇのは英霊になっても同じか、くそ……』
木村が召喚したどっかで見たことのあるサーヴァントたちが、
これでもかってくらいの勢いで屠りまくってくれている。
お蔭で安全なんだが、だんだんと敵が可哀相に思えてくるのはどうしてなんだろう。
つーかバーサーカーが強すぎだ。
群がる敵がどんどんと死んでゆく。
それでも敵の数が尽きないのはどういうカッパーフィールドだ?
藍田 「まったく、場所を選んでおいてなんだけど数が尋常じゃねぇな!!」
凍弥 「遠慮するでない、麿のために闘うでおじゃる」
藍田 「闘ってもいねぇのに滅茶苦茶偉そうだなお前!!」
来流美「この馬鹿の言ってることは全部無視していいから!
ペース崩さないよう頑張って!」
藍田 「言われるまでもねぇって!“悪魔風脚”()!!」
言葉とともにジュワァッ、と大地が焦げる。
何事かと視線を下げてみれば、藍田の具足が緋白く変色していた。
しかも足元の地面が躍動すると、藍田の脚を竜の形をした気流が螺旋を描いて昇ってゆく。
藍田 「“九頭竜闘気、竜撃砲”!!“空軍画竜点睛()シュートォッ”!!!」
ドゴギシャァアアアォオオオオオゥウンッ!!!
振り抜く足刀から放たれるのは巨大な竜の形をした波動砲。
灼熱色をしたマグマの弾丸が、
壁のように立ち塞がっていた敵を景色の見える限りに滅ぼしていった。
柿崎 「あ……が、がが……?」
凍弥 「……知ってるか、パーシモン。執事を極めるとあんなモンまで出せるんだぞ?」
柿崎 「初めて知った……」
そりゃそうだ。
そしてそれはこの世界じゃなくちゃ通用しない無駄知識だから、
今すぐにでも忘れてしまえパーシモン。
で……ところで中井出のヤツは何処行ったんだ?
ドッゴォオオオオオオオンッ!!!!
鷹志 「オワッ!?」
などと思ってた時、ひとつの蟻塚が吹き飛んだ。
……ちなみに蟻塚()ってのは、
土が空に向かって大きく伸びて塚のようになっている蟻の巣のことで、
アリクイなどがそれをほじくって蟻を食う様は案外有名である。
ともかく通常の蟻塚に比べたら山みたいな蟻塚が吹き飛んだ。
それとともに大量のアント族が吹き飛んでゆき、地面に落下して死亡。
やがてその空いた穴からは───中井出の姿が。
中井出「チイ!女王蟻は何処だァアアアアアッ!!!」
……どうやら女王蟻を探して特攻中のようだった。
無謀なのではなかろうかと思うのだが……
赤い残像に包まれた中井出はアント族を巨大双剣で薙ぎ払うと、
猛然と次の蟻塚へと潜り込んでいった。
硬い筈のアント族は中井出の一撃で豆腐のように切られ、さっさと絶命。
これはいったいどういう提督マジックなのかを是非教えてくださいカッパーフィールド。
藍田 「ははっ、絶好調だなー提督。蟹キラーってアント族の甲殻にも効くのな」
アント『ギミミァアッ!!』
藍田 「っと!こっちも集中集中!!」
パパァンッ!!
アント『ギミィッ!!』
鷹志 「おおっ!コンパクトなジャブ!」
柿崎 「蹴りはしないのか!?蹴りのほうが強いだろ!」
藍田 「最近拳も鍛えてんだ。だから───」
パァン!パァン!パァン!パァン!!
ズパパパパパパパパパパパパパパパパァンッ!!!
アント『ギミミィーーーーッ!!!《ボシュゥンッ!!》』
凍弥 「おお……あっという間に塵に。
蹴りほどではないにしろ、かなり熟練が高いと見える。
でも大勢に対しては通用しないな。大勢向けの技が無いと見える」
藍田 「う、うるせー!!」
鷹志 「ところでさ、もうセバスチャンにはなったのか?」
藍田 「え?あ、あー、あれな。そういや───忘れてた。よし!!」
キチ、チチチチモゴシャァアアアンッ!!!!
藍田 「セバスチャァアーーーーーーンッ!!!!」
藍田がナビを操作し、点滅していたジョブシステムをいじってラストクラスチェンジ!!
ジョブシステムが武器によって左右されて以来、
黒くなって選択も出来なくなっていた文字は、
条件を満たした故か点滅していたようだった。
しかし……ラストを終えた今、点滅は完全に消え、ジョブの文字は項目から消滅していた。
で───それに習うように、次々とラストクラスチェンジをする原中の猛者ども。
そんな中、藍田が木村にニコリと微笑みかけると───
藍田 「うおお!アンタに続くぜ提督ーーーーーっ!!」
セバスチャンのアビリティ、独立執事発動!!
藍田は蟻塚に特攻し、そこから炸裂音を高鳴らせ始めた!!
鷹志 「あ、あわわ……!!」
凍弥 「主人の手から自由になった執事がここまで怖いとは……!!」
ヒュフォンッ───ゾフィフィフィフィフィフィフィィインッ!!!!
アント×326『ギャアアアアアアッ!!!!!』
柿崎 「ひぇいっ!?な、ななななんだぁああああっ!!?」
それは突然のことだった。
まず目の前に迫っていたアントが斬り飛び、次の瞬間には遠くのアントの首が飛んだ。
その次は全く別の場所に居たアントが。
これは───
凍弥 「み、見たことあるぞこれは……!!」
来流美「これは───ONEPIECEに存在した、
序盤の一式使いと呼ばれた百計のクロの“杓死”!!
六式の一、“剃”とは違った俊足走法“抜き足”を使った無差別攻撃……!!」
ゾバシュゥッ!!
柿崎 「おぅわ危ねっ!!今髪の毛切っていったぞ!?無差別にも程がある!!」
声×100『いや、実はわざとやったでござる』
柿崎 「ヒィ!?声だけが物凄くダブッて聞こえる!?つーか危ないことすんな!!」
ビジュンッ!!───あ、姿見せた。
って、一人だけだな。あと99人の分身はどうした?
丘野 「フヒュウ、ジャスト30秒でござる。
……ややっ!?生分身と分身の効果が切れてるでござる!!
もしや杓死を使うと自動で解除されるでござるか!?」
凍弥 「そりゃそうだろ……。一時だけとはいえ、
100人一気に高速移動斬殺ショー出来るだけでも十分だ」
鷹志 「あ……なるほど、確かにこの惨状見るだけでも十分だ」
周りの景色からアントの姿が消えた。
おお……ここってこんなに見晴らし良かっ───
アントども『ギィミミィイイイイッ!!!!』
男衆 『だぁあまた来たぁあああああっ!!!』
麻衣香 「はいはいお任せぇっ!“テトラスペル───コメッティックミサイル”!!」
キュィイイイイイイイッ───ズガガガガガガガガガガガォオオオオオンッ!!!!!
綾瀬の周囲に火球が現れ、次々と物凄い勢いで飛翔してゆく!
魔法使いって離れて攻撃出来る分、
VITに気を使わなくて済むからMNDマックスで撃ち放題……
ある意味おいしいジョブだよな。
殊戸瀬「エル、好きなだけ暴れてて!“竜騎槍”!!はぁあああっ!!!!」
ゾガァン!ゴプシィン!ゾガァン!ゴバァンッ!!!
アント『ギミィイイイッ!!』
向うでは殊戸瀬が、
飛竜から飛び降りると同時に槍に力を込めて、思う様に振り回して敵をコロがしてる。
その上空からは飛竜がレーザーだのブレスだのを吐いて、コロがしている。
……強いなぁ、提督軍。
……〜〜〜〜っ……
鷹志 「お?」
やはり相手のほうが可哀相に思えてた時だった。
なにやら地面から声が聞こえた───と思ったら、
地面から竜の形をした波動砲が飛んでいったのは。
……藍田、だな。
さっきの竜撃砲とかいうのをまた使ったんだろう。
ゾガフィフィフィフィフィフィィインッ!!!!
凍弥 「あ」
で、次はそこから離れた蟻塚が、金色の剣閃の嵐によって粉微塵に吹き飛んでいた。
地面から空目掛けて飛んでゆくそれは、
まるで記憶の映像の中で見た晦の黄竜斬光剣だった。
しかしそれよりも小さく、だが連続で放たれた光は容赦なく地面を切り裂いていっていた。
中井出「オーレーのパンチーはー!ダイナマイトー!!
ふははははは!!女王蟻見つけたぞ女王蟻ー!!」
そんでもって破壊された地面から出てくるのは原中が誇っているらしい伝説の提督。
不適に笑う我が親戚筋の片腕には、巨大な女王蟻が抱えられていた。
女王蟻っていっても……まあその、人型なんだが。
もちろん女王蟻を守ろうと、
アント族はそれこそ甘いものに群がる蟻のように中井出に向かってゆく!
中井出「よっしゃあ!飛び込んでこぉーーーーい!!」
中井出がむしろその群れに向かって大激走してゆく!!
か、考え無しかあの馬鹿!!
アント『ギミィッ!!』
モンクアントの攻撃!!
ドガシィンッ!!
中井出「フゥウッ……!!」
アント『ギミッ!?』
顔面直撃!───しかし!中井出は怯まない!!
ってまさかあの野郎!!
中井出「ふっはっはっはっはっは!!ハイパーアーマー発動!!
この博光の猛攻……止められるものなら止めてみよ!!」
アント『ギ、ギギギギミィッ!!』
アント『ギミミィーーーーッ!!!』
ああ……なんだか今なら蟻どもの言ってることが解る気がする。
多分、“ひ、怯むなぁっ!”“おぉーーーっ!!”あたりのことを言ってたんだろう。
───群がる蟻!
その蟻の大群のド真ん中で双剣を構える中井出!!
……そしてその背中に括りつけられている、恐らく気絶中の女王蟻!!
中井出「散ィれぇえええええええええぃいっ!!!!」
ゴゥンゾバシャアッ!!ブフォンパガシャアッ!!!
アント『ギギミィイイーーーーッ!!!!』
ザクシュウッ!!
中井出「効かんわぁ!!」
アント『ギッ!?《ゾフィィンッ!!》ギミィーーーーーッ!!!』
女王蟻を救おうと向かってくる蟻の大群……だが相手が悪いなこりゃ。
向かってくるって解ってりゃ、AGIにステータスなんぞいらない。
中井出はSTRとVITだけにステータスを振り分けて、
向かってくる蟻どもを片っ端から斬り捨てている。
しかも斬りつける度に爆発が起きるわ鎌鼬が発生するわ、近寄れないにもほどがある。
半端な攻撃をしようとすれば火の輪に燃やされるだけだし。
中井出「こりゃあいいや!ダメージはあるものの衝撃らしい衝撃も来ないし、
痛みを感じないからそのまま全力で攻撃を振り切れる!!」
柿崎 「おおすげぇ!」
丘野 「おぬしこそ!万夫不倒の豪傑よ!!」
中井出「はっはっはっはっは!任せてくれー!!───て、あ……」
30秒経過……効果が切れた。
中井出 「あ……えーと。話し合わないかキミたち」
アントども『ギィミャアアアアアアッ!!!!!』
中井出 「取り付く島もねぇーーーーーーっ!!!お、おぉっと近づくな!?
近づいたらてめぇらの大事な女王さまの喉をブツッ、だぜ!?」
総員 『うぅわ!きったねぇえーーーーーーーっ!!!』
藍田&丘野『提督てめぇ!このクズが!!』
中井出 「じょ、冗談だよ!?ちょっとした冗談だよ!!
真に受けないで真に受けないでぇええ!!」
それからはガチンコバトルというか。
双剣をこれでもかってくらいに振り回して、群がる敵とのバトルを続けた。
もちろん1分が過ぎてアビリティがチャージされれば再びハイパーアーマー発動。
鬼のような形相で、まるで真・三國無双の呂布のように暴れまくっていた。
……俺達の周りは相変わらずサーヴァントたちが守ってくれていて安全。
それに比べて提督軍の男たちが居る場所は蟻一色で、荒れるに荒れまくっていた。
ああ……この蟻族は今日、滅びるんだろうな。
───……。
……。
コーーーン……
総員 『成敗!!』
ややあって……アント族は滅びた。
といっても巣の中には卵もあるし、中井出の背中には女王蟻も居る。
中井出はそれをおろすと、ムッファアアーーーーーと息を吐いた。
凍弥 「すげぇ……レベルが一気に16も上がったぞ……」
藍田 「こっちはたった1レベルだが」
柿崎 「つーかさ、そっちの女性陣、いつの間に150レベルに?」
麻衣香「ルシファー、九頭竜、サタン戦でレベルあがってたし。
それにノースノーランドでのヒロちゃんたちの試し斬りでもレベル上がってたし」
鷹志 (このレベル帯でノースノーランドでレベルアップ……?)
来流美(いったいどれだけの敵をコロがしたのかしら……)
中井出「よーし次行こう次!殊戸瀬二等!
敵が密集している地帯のリストアップは済んでいるか!?」
殊戸瀬「オーケーボス。次は羊型モンスターが群れを成しているメルメリアス高原に。
ここから西に真っ直ぐ行ったところにあるわ」
藍田 「っしゃあ!今すぐ行こう!!ナギ助たちを助けるために!!」
総員 『助けるために!!』
鷹志 「………」
ゴッドよ。
彼らのレベル上げはどうやら時間ギリギリまで実行されるらしい……。
生きて帰れるかな、俺達……。
───……。
……。
……それから羊の群れ、トカゲの群れ、蟹の群れなどと激戦を繰り広げ、
いい加減精神が疲れてきた俺達は食事を取る。
もちろん現地調達で、蟹鍋だとかラム肉だとかで空腹を満たした。
で、それが済むと再びバトル。
いい加減頭が痛くなるような戦いの果て、
ようやくセントールについた頃には既に空は白みかけていた。
鷹志 「信じらんねぇ……レベルが一日と経たずに92まで上がっちまった……」
凍弥 「寝ていい?」
柿崎 「まあ……その代わりにアイテムは全部提督軍行きだけど。べつに文句はないな」
凍弥 「ねぇ、寝ていい?ボク眠たいアル」
来流美「なんでエセ中国語なのよ」
真由美「でもいい加減眠たいよね」
ガンゴンガンゴンガン!!
藍田 「起きろーーーっ!!起きろ道具屋ァーーーッ!!居留守かぁーーーっ!!?」
丘野 「こちとらアイテム底尽きてんでござるオラァーーーーッ!!
素材なら腐るほどあるから買い取って金を寄越してアイテムを売るでござる!!」
鷹志 「……提督軍は底無しか……?こっちは眠たくてしょうがないってのに、
元気に道具屋のドア叩きまくってるぞ……?」
中井出「ナギーとシードを助けるまでは、この狂気を収まらすわけにはいかんのだ……。
何処の誰だか知らんが絶対に後悔させてくれようぞ……!!」
鷹志 「もし力が及ばなかったら?」
中井出「ナギーとシードだけでも奪取して、置き土産に爆弾仕掛ける」
鷹志 「……ああ、なんつーかお前らしいと思う。うん」
やっぱどれだけレベル上がっても基本的には凡人なんだよな、俺ら。
アイルー『入り用ならウチで買うニャ!!』
中井出 「オワッ!?」
藍田 「猫!?貴様いつのまに!───って、もしかしてついてきてたのか!?」
アイルー『ザッツラァ〜イ……!!《ギシャア》』
柿崎 「こ、怖ェエ!!ロシア猫ばりの歪んだ顔だ!!」
凍弥 「眠気飛んじまった!!なんて迫力ある顔しやがる!!」
鷹志 「眉間にシワ寄せながら目ェ光らせるなよ!!大体なんで英語なんだよ!!」
アイルー『やってみたかっただけニャ。
で、アイテムなら僕から買うニャ。いい道具揃っているニャ』
中井出 「じゃあ“高級ニラ茶”を50個くれ」
アイルー『そんなアイテム聞いたこともないニャ』
中井出 「まあ冗談はさておき。魔物から剥ぎ取ったアイテムが腐るほどある。
まずはこれを買い取ってくれ」
アイルー『毎度ありニャ。今計算するから待ってるニャ。
ああ、これだけあるなら先に物々交換を済ませるニャ。
買い取り分からアイテムの購入金額を引いておくニャ』
中井出 「っと、そりゃありがたい。じゃあパイングミとレモングミを15個ずつと。
残った金でジークフリードを鍛えてくれ」
アイルー『ゲェエーーーーーッ!!!』
豆村 「ちょ、ちょっと待ってくれ!猫と俺ら、ろくに休んでねぇンすよ!?」
中井出 「いや……猫の『ゲェー』って言葉にはツッコミ無しか?」
アイルー『だ、大丈夫ニャ!やれるニャ!
僕の心の辞書に注文無視なんて言葉は無いのニャ!』
総員 『では我らの分全てを頼む。出発前までに』
アイルー『アンタら鬼だニャ……』
猫はそれはもうゲッソリした顔でそう言ったという。
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