───冒険の書76/二刀流の戦い───
【ケース256:綾瀬麻衣香/特攻4.5】
ザッ……
獣人1『はっ……はぁ、はぁっ……!!』
獣人2『悪夢です……!たったひとりにここまで……!』
麻衣香「命まで取ろうとは思わない。だから道をあけなさい」
獣人1『ふ……ふふ……!お断りですね……!』
獣人2『ここはゴルベーザさんに任せられた場所……簡単には通しません』
ウォズトロヤ城西側二階……わたしは二人の番人と戦っていた。
けれど、相手はそう強いものではなく、
近寄らせないよう魔法を連発するとすぐに倒れてくれた。
けど───それでもしぶとさだけは満点らしい。
殊戸瀬「麻衣香、お待たせ」
麻衣香「睦月───大丈夫だったの?」
殊戸瀬「なんとか。それで───今はこの二人が敵?」
麻衣香「そう。けどそんなに梃子摺る相手じゃ───」
ダカカカカカカァッ!!!
獣人27名『獣人勢力の団体集団、テンプルナイツ!故あって加勢に来た!!』
麻衣香 「……でも、ないみたい」
奥から現れたのは傷のひとつも負っていない獣人たちだった。
この乱戦時に、どうしてこうも───?
そう思ったけど、どうやら思考に耽る時間をくれたりはしないらしい。
獣人1 『気を付けてください……あっちの魔法使い、相当に強いです……』
獣人3 『承知している。複数戦ならば敵勢力中最強だろうよ』
獣人4 『だが我々もただの獣人ではない。相手がどれだけ強かろうとぶつかって砕く』
獣人5 (提督が強すぎたからってこっちに来た俺達が言うとヘンテコだな……)
獣人4 (う、うるさいっ!!)
獣人6 (けどここが獣人領土でよかったよな。やられてもすぐ復活できる)
獣人7 (それが敵国に攻められた時の利点だな)
麻衣香 「大地の咆哮。其は怒れる地竜の双牙!“グランドダッシャー”!!」
獣人ども『あ』
ゴコッ───ドガガガガガガガォオオオオンッ!!!!
獣人ども『オーーーヒャーーーーーーッ!!!!』
獣人1 『……っ!!《バシュンッ!》』
獣人2 『あくっ……!《バシュンッ!》』
獣人3 『ああっ!ヒェイジリとズィーモミが昇天した!』
獣人4 『不意打ちとは───卑怯な!』
麻衣香 「なに言ってるの……?人の仲間を攫ったあなたたちに卑怯とか言われたくない」
獣人5 『……あれ?』
獣人6 『もしかして……キレてる?』
ゴコォッキィイインッ!!!
獣人10『景色の暗転!?秘奥義!?』
獣人9 (もしかしてまたビッグバン!?)
獣人8 (やべぇ!綾瀬を止めろ!!)
獣人11『〜〜〜せりゃあっ!!』
ゾゴォッフィィンッ!!!
麻衣香「あかっ───つっ……!!」
突如として放たれた剣閃がわたしの身体を切り刻む。
けど構わない。
秘奥義は発動してるんだ、このまま無視して破壊する!!
獣人12『怯まんだと!?続けろ!剣閃を止めるな!!』
獣人ども『おぉおおおおっ!!!』
殊戸瀬 「───!!させない!!」
獣人12『なにっ!?』
ヒュオザクシャアッ!!
獣人12『ぐあっ───つう!!このやろうっ!!』
ブンッ!!
獣人12『躱したっ!?チィ!』
麻衣香 「エナジーブラスト!イラプション!フレアトーネード!フレイムバースト!!」
獣人12『あっ───しまった!殊戸瀬は囮───!?』
キィンッ!!ドガガガガゴバァンゴバァンゴッパァアンッ!!!
獣人ども『ギャアアアーーーーーーース!!!!』
獣人7 『くそ!熱さがなんだ!ようは続きを発動させる前に潰せば───』
麻衣香 「エクスプロード!イグニートプリズン!!」
バァアアッッガァアアアアアンッ!!!!
ジュガガガガガァアアアンッ!!!!
獣人7『範囲攻撃と単体攻撃魔法なんて避けりゃあダメージなんてのはねぇ!!
くらえ我が渾身の一撃!!』
殊戸瀬「“飛竜槍”!!」
ゴォッ!ゾプシャアッ!!
獣人7 『ゲアァッ!!』
獣人17『飯───イーダイーーッ!!』
獣人16『くそぅっ!!イーダイの勇気を無駄にするな!俺達も特攻を───』
麻衣香 「メテオスウォーーーーーム!!」
獣人17『ごめん、無駄になった』
獣人16『よくやったよ俺達は……』
ゴォオッ───ドッガァッ!!バッゴォオンッ!!
ドゴォンッ!ゴバァンッ!!ドッガァアアアアンッ!!!!
獣人ども『ギャアーーーーーーーーッ!!!!』
城を砕き、落下してくる隕石から獣人たちが逃げ惑う。
だがメテオが終わる前に次のチェーンを完了させ、発動させるのはシューティングスター。
それで大半が動けなくなり、最後には───
麻衣香『ビッグバン!!』
ゴゴヂガァアォオオオンッ!!!
獣人ども『───……!!!』
避けようもない極光に当てられ、
その場に居る獣人たちは残りHP1を残して目を回していた。
そこにグミを噛んでTPを回復させてから、
コメッティックミサイルを叩き込んで全てを滅ぼした。
殊戸瀬「お見事」
麻衣香「うん。速く先に!」
さあ走ろう。
メテオの角度は外観を思い浮かべて撃ったから、
多分ナギちゃんたちに危害は及んでない筈。
この調子で進んで、あとは助け上げるだけだ───!!
【ケース257:丘野眞人/特攻2.5】
ザザッ……
丘野 「……?三階はもぬけの殻でござるか……?」
散々走りまわり、色んな部屋を探してみた。
ところが、兵士たちが無様に倒れている以外にこれといったものは発見出来ない。
この階ではないでござるか……?───!
丘野 「殺気!?」
ガギィンッ!!───ヒュフォフォフォフォフォフォフォンッ───パシィッ!!
自分目掛けて飛んで来たものを弾き落とす───と、
それは地面に落ちることもなく投げた張本人であろう獣人の手のもとに戻った。
獣人 『………』
丘野 「おお……これはまた強そうな相手でござるな……」
すぐさまサーチライトオン。
しかしレベルは自分のほうが上らしく、“練習相手にもならない”と出てきた。
ではこの不安感はなんでござろうか?
否、今は戦いに集中するのみ!
ヤバくなったら持ち前の足の速さで逃げるでござる!
丘野 「では……いざ!」
獣人 『我はモンスター大幹部No.12、ゴルダーク。
お前に恨みは無いが、潰させてもらう』
丘野 「ゴル───またでござるか!?何者でござるかてめぇ!
無限転生者!?ミハイル!?はたまたロア!?バルダムヨォン!?
アカシャの蛇!?誰!?」
獣人 『……全部同じだろ、それ』
丘野 「ややっ!?よく知ってるでござるな!さすがゲーム!!
ではいくでござる!拙者の二刀流の餌食になるでござる!!」
獣人 『二刀流なのはこっちも同じだ』
ギラリ、と見せるのは黒と白の短剣。
その造型には───見覚えがあった。
干将莫耶?何故?もしやあれも武器の一覧に入っているのでござるか?
ならば是非とも欲しいでござるなウォッホッホ。
っと、いかんでござる!拙者たちはナギー殿たちを救いに来たんでござる!
丘野 「ひとつ訊くでござる!ここに子供が二人とルルカが一羽居るでござるな!?
それらは何処に居るでござる!?」
獣人 『実力行使で聞き出してみろ!来い!』
丘野 「むむむ融通のきかんヤツでござる!!」
疾駆する。
速度重視にして一気に近づき、あと数歩で届くという場所で跳躍!
あとは自動で相手まで届く故、ステータスは攻撃と防御に振り分けてのスラッシュ!!
丘野 「セイィッ!!」
獣人 『───』
ガギィンッ!!
丘野 「っ───!?受け止めた!?」
体ごと、二刀とともにぶつかっていったのに、それを双剣で受け止めた。
練習相手にもならない相手でこうなるっていうことは───?
もしかして敵もステータスポイントの振り分けが出来る……?
いや、全体的に見てSTR以外の能力が低いだけってのも考えられるでござる!
ならば攻撃を出し続けて、隙が出来たところに一撃を!!
丘野 「シィイッ!!」
フフォン───ギィンガィンヂギィンガギィンバギィインッ!!!!
丘野 「……!!」
奔らせる攻撃が当たらない……!!
こんな筈は!これで練習相手にもならないなんてウソだ!
速度も腕力も十分すぎるでござるじゃねぇか!!
しかも……一歩も動いてない!?
丘野 「……調べるで敵の本質を見抜くのはやめでござる。
貴様を強敵として受け取るでござる。ゼィヤァアアッ!!!」
半端はしない。
速度、腕力を込めて一気に攻撃を仕掛ける!!
ガギィインッ!!
獣人 『づっ……くっ!!』
ギャリィンッ!!───武器を相手の手から弾き飛ばした!
強引ではあったが、これで隙だらけの身体に一撃を!!
獣人 『───I am the bone of my sword.』
キィイイ……───ガギィンッ!!
丘野 「なっ……」
干将・莫耶を新たに出現させた!?
創造!?つーことは───い、いや!
晦殿がこんな、思いっきり物事を真似るようなことをする筈が!
恐らくこれは干将・莫耶の潜在能力!
戦闘中ならば何本でも投影できるという能力に違いないでござる!
丘野 「セィイッ!!!」
ギャリィンッ!!
丘野 「そこでござる!!」
二刀で双剣を押さえつけ、鋭い蹴りで攻撃を!!───ドボォッ!!
獣人 『ぐっ……!』
丘野 「隙ありでござる!」
フォンッ!!
丘野 「───!」
獣人 『フゥッ!』
───躱された!しかもすぐに反撃!?
丘野 「〜〜っ……だぁっ!!」
ガギィンッ!!───無理矢理に身体を捻って、無様でもいいから攻撃を弾いた。
無様かどうかなんてどうでもいい、今は勝てるかどうかだ。
けど……確かに相手の力量は“練習相手にもならない”に属する。
攻撃では打ち勝てるし、速度でも勝っている。
でも───とんでもなく巧い。
攻撃の躱し方に無駄が無く、攻撃の繋ぎにも無駄が無い。
レベルが低くても技術で補うタイプ……今までに無い相手でござるな。
丘野 「だったら手数を増やすのみ!生分身&分身!!」
キィンッ♪ズシャシャシャシャァアアアアアッ!!!!
生分身をし、さらに分身をすることで自らの姿を100体に増やす拙者の十八番!!
さあ、これで一人が攻撃した隙に四方八方から攻撃すれば、イヤでも拙者の勝利でござる!
獣人 『Steel is my body,()and fire is my blood.()』
シュファンッ!!!
丘野1「ウヌ?」
干将、莫耶があらぬ方向に投擲された。
それをつい視線で追ってしまい───
獣人 『I have created over a thousand blades.()
Unknown to Death.() Nor known to Life.()』
丘野1「ハッ!?い、いかんでござる!」
詠唱が続いている!ということはこの先にあるのは───ゾプシャアッ!!
丘野100「ギャアーーーーーーッ!!!」
丘野99 「なにぃっ!?投擲された剣が戻って───!?」
見れば、既に獣人の手には新たな干将・莫耶が。
その剣に引かれ、戻ってきたのだろう。
夫婦剣、干将莫耶。
互いが互いを引き付けあうという異質の双剣。
実際にこの目で見るまでは、
ゲームの中だけのものでしかないとタカを括っていたでござるが……!
獣人 『Have withstood pain to create many weapons.()』
シュファァンッ!!
丘野1「また投げた!?い、いかんでござる!避けるでござる!!」
獣人 『Yet,those hands will never hold anything.()』
ギヂィンッ!!───バッガァアアアアンッ!!!
丘野×100『ギャアーーーーッ!!!』
投擲された干将莫耶と投擲されていた干将莫耶が衝突。
それと同時に大爆発を起こし、その場に炎を散りばめる。
獣人 『So as I pray,unlimited blade works.()』
その炎が───円を描いて燃えた時、詠唱は完了していた。
あっという間に火は我らの周りを包み込み、
そこが壁であると断ずるが如く───景色を一変させた。
“無制限なる錬鉄の剣製()”───即ち“無限の剣製”。
剣が墓標となって埋まる、剣戟の極致。
そこには全てがあり、きっと全てが存在しない。
丘野1「こんなことが……!?もしや忍術!?今のは忍術でござるか衛宮!?」
獣人 『………』
スゥ、と左手が掲げられる。
最果ての景色に歯車を飾った剣の墓は、ゆっくりと我らに狙いを定め───
やがて剣を弾丸のようにして飛翔させてくる!!
丘野1 「だぁくそ!本気か!?こんな世界、晦殿のだけで十分でござるよ!!」
丘野×99『剣は我らが!貴様は獣人を撃つでござるよ!』
丘野1 「な、なんとまあ!あれほど言うことを聞かなかった我が分身たちが!
……って、それって一番危険な役を拙者に任せているだけじゃあ!?」
丘野×99『うるせー!いいからいくでござる!』
丘野1 「ひどい!なんてひどい!!」
でもゆく。
ここで剣を弾き続けてても埒が開かない。
だから拙者は地面を強く蹴って、一気に間合いを詰めると、
躊躇も遠慮もなく二刀を振り下ろした!
ガギィンッ!!
丘野1「ぬぐっ……!またしても受け止めるでござるか……!」
獣人 『理想的な展開だ。───疾ッ!!』
ギッ……ギャリィンッ!!
丘野1「っと……!?」
力任せに押し退けられ、間合いを離される。
次に待っていたのは、再びの双剣の投擲でござった。
獣人 『“鶴翼、欠落ヲ不ラズ()”』
ヒュフォフォフォフォフォフォンッ!!!
互いに引き合い、しかし回転するがために衝突することなく回転し続ける干将莫耶。
それがやがて拙者の頭上で交差し───一気に首を狙って飛翔する!
丘野1「甘いでござる!これしき、弾けられぬと思ったでござるか!?」
セイ、と力を込めて双剣を弾き飛ばす。
双剣は力任せに弾かれた所為か獣人の手元に戻ってゆくこともなく、
後方へと飛んでいってしまった。
故に拙者は前に出て───っ!?
獣人 『“心技、泰山ニ至リ()”』
ヒュフォンヂギィンッ!!
干将を手に、突撃してきていた獣人の一撃をなんとか受け止める!
しかしそれだけではなかった!
丘野1「───!」
耳を掠める風を斬る音───何処から!?───後ろだ!!
丘野1「くあっ!」
ヒィンッガギィンッ!!
振り向き様に、獣人の手にある干将に引き寄せられてきた莫耶を叩き落す。
だがその隙を逃さぬと、獣人はさらに一歩を詰める。
獣人 『“心技、黄河ヲ渡ル()”』
ヒィン!ザシャアッ!!
丘野1「痛っ───セイィッ!!」
ヒュフォンガシャァンッ!!
隙を打たれ、腕を掠った莫耶を無視して、その莫耶にこそ引き寄せられた干将を破壊する!
投げた武器がそのまま戻ってくるなんて異常だ!
隙ばかりを穿たれて、思考に体が追いついてこない!
獣人 『“唯名、別天ニ納メ()”』
再び投擲される武器。
そして、再度投影される干将莫耶。
その干将莫耶が、まるで飛翼を伸ばすが如く短剣より長剣に至る───!!
どれを弾けばいい!?
弾いた莫耶も、破壊した干将も、
新たに投げられた干将・莫耶も拙者目掛けて飛翔してくる!
どれを───
獣人 『“両雄、共ニ命ヲ別ツ()”───!!』
ルオッ───!!
丘野1「───!!」
長剣となった夫婦剣は、飛翔する干将・莫耶に引き寄せられるが如く、
風を切って物凄い速さで交差され振り下ろされた。
無理な体勢で剣を弾いた拙者にはもう、動かせる部分がなにひとつなく───
思考だって、もうどれをどうしていいのか、上手く働いてくれなかった。
ただ───何かをやり忘れている気がして、だから───、───!
ゾガッフィガッシャァアアアアアッ!!!!
振り下ろす長剣が、全ての干将・莫耶が交差する場所で砕け散る。
それほどの全力で振り下ろされた武器はしかし、拙者を斬りコロがすことはなかった。
丘野1「はっ……はぁっ……!に、忍法……変わり身の術……!!」
獣人 『……驚いたな、あの局面で』
一歩思い出すのが遅かったらと思うとゾッとする。
ともかく、もうあれを開始させちゃダメだ。
もう剣の雨も止まってる。
半数以上がコロされてしまっているが、それでも半数残っているんだから。
一気に攻め続けて、ぶっコロがすでござる!
【ケース257:木村夏子/特攻5.5】
ドゴォン!ガゴォン!バギィンッ!!
夏子 「くっ!づっ!くううっ……!!」
脚が埋まったままの攻防は続く。
手は既に痺れ、感覚がなくなっている───けど、諦めることだけはしない。
盾で弾いたら攻撃を。
そうしようとしても、相手は巨人だ。
振り下ろしてくる拳以外に攻撃を当てられる箇所がなく、
わたしは地面に貼り付けられるようにして足が動かせないでいる。
ゴリアテ「オラオラどうした嬢ちゃぁん!!」
ゴォッ───ドッゴォッ!!
夏子 「けはっ……!!」
下から掬い上げるようなアッパーカットがわたしを吹き飛ばす。
まともに喰らった。
盾で防ごうとしたのに、左腕がもう動かなかった。
───ドゴォンッ!!
夏子 「〜〜〜っ……!!」
どこにぶつかったんだろう、背中が痛い。
ぐしゃりと倒れたら、体が楽になったかのように立ち上がることを拒絶する。
このまま寝てしまえば楽になると。
そう、体が訴えかけてきている。
でも泣き言を言うのはやめたいと、頭は言っている。
指令を送るのは体じゃない、頭だ。
だから、と。
無理矢理に体を起こして、フラつく体を奮い立たせた。
夏子 「はっ……は、はぁっ……!!」
まったく馬鹿げてる。
他人のためにどうしてそこまで、って体が泣いている。
でもしょうがないじゃないか、わたしはそんな生き方が心地いいって思ってしまっている。
原中に入学して、滅茶苦茶な学生時代だったけど───
あの頃が輝いていたって思ってしまっている。
その先へと歩いたからこそこの場所に立っていて、
わたしはその事実をちっとも後悔していないんだから。
だから……しょうがないじゃないか。
これはわたしが選んだ道で、こんなにボコボコにされてもまだ───
前に進みたい、楽しいって……思ってしまっているんだから。
ゴリアテ「オラオラァ!トドメいくぜ嬢ちゃぁん!!」
夏子 「……教えてあげる。
戦いっていうのは、臆病風に吹かれた人こそが最後に倒れるんだって。
もちろんあなたは臆病風になんか吹かれないだろうけど───
わたしだって臆病のままでなんかいたくない。だから───」
試したことなかったけど、これでなんとかなると信じて。
振り落とされる拳を、震える手で持ち上げた英雄の盾で防いだ瞬間、わたしは唱えた。
夏子 「───“解除()。アルテマメガンテ”」
ゴリアテ「あん───?」
ゴカァッ───!!!!!
ゴリアテ「な、なにごわぁああああーーーーっ!!!!」
物凄い轟音が大気を揺るがした。
地面はえぐれ、ドーム状の蒼色の半球が景色を飲み込み、
その場と巨人を完膚なきまでに破壊した。
……ここまで吹き飛ばされていたのはある意味で幸運だった。
あのままだったら城に突入したみんなも巻き込んでいた。
なんにせよ……これで終わり。
さすがにちょっと休みたい。
体がもう動かないし、左腕は特に痺れすぎていて動かない。
夏子 「はっ……は、はぁああ〜〜〜〜……!!!」
ぶっつけ本番だったけど……成功してよかった。
レベル上げバトルの際に手に入れた“正面戦士の盾”……
それを英雄の盾に合成させといたのだ。
正面からの攻撃には滅法強いけど、
それ以外の方向からの攻撃には滅法弱いという当然といえば当然の防具。
でもその潜在能力は、
英雄の盾の潜在能力“アルテマメガンテ”にとってはとてもありがたい能力だった。
ただ全ての効果を正面に向けるだけなんだけど、それが上手くいったのだ。
衝撃、魔法効果、この盾で防いだものを効果時間内なら全て正面に弾くことが出来る。
お蔭でわたしは盾の力に巻き込まれずに、タルキン老師のように死ぬことはなかった。
夏子 「あはは……無理せずリビングアーマーやサーヴァント召喚すればよかった……。
我ながら、馬鹿みたい……」
緊張の糸が切れたからだろうか、眠くなってきた。
いいよね、ちょっとだけ眠ろう。
そういえばレベル上げやらなにやらで全然寝てなかった。
はぁ……それじゃあ、ちょっとだけ……あぁ、死ぬ気は無いからグミ飲み込んでから、と。
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