───冒険の書97/いざ、浮遊島へ!───
【ケース291:中井出博光/サブマリンロケッターとサブリメンロケッター】
ゴォオオオ……!!
中井出「お、おお〜〜〜っ!こ、ここが浮遊島か〜〜〜っ!!」
藍田 「こ、こりゃ綺麗な場所だぜ〜〜〜っ!!」
エィネ『詳しくは天と地を繋ぐ境界です。妖精が本来住んでいる場所で、
妖精じゃなければゲートを開くことは出来ないのです』
中井出「そ、そうなのか〜〜〜っ!!」
田辺 「そ、それにしてもすげぇぜ〜〜〜っ!!」
中井出「おお妖精さんがいっぱい!ステキィイイイイ!!!!!」
総員 『落ち着くんだエロマニア!!』
中井出「全員でエロマニアとか言うなぁっ!!妖精さんとエロは関係ねぇだろうが!!」
先ほどまでの暗闇がウソかと思える景色の中に俺達は居た。
一面のお花畑とその周囲を舞うマナの光。
それに、なんとも済んだ空気。
さて……それ以前になぜ俺達がこんな場所に居るのかというと、
それはまあ、その。
まだ空が明るかった頃に氷の上を駆けていた時にまで時間が遡るわけだが。
【ケース292:豆村みずき/ビーンダイナスティ】
誰にだって嬉しい瞬間ってのはあると思う。
一瞬だっていいから嬉しいと感じた瞬間は、きっと誰にでもある筈だ。
で、なんでこんなことを考えているのかといえば、今の俺が喜びの真っ只中に居るからだ。
何故かって?とうとう完成したからさ!俺の……俺のナマクラーが!!
豆村 「聖ッ!剣ッ!!ナマクルァアアーーーーーッ!!!」
輝く蒼空に掲げる聖剣がファアァゴォォオオオッ!!と光を放つ!……ように見えた。
しかし見よ!この美しき造型!
師匠ンとこに弟子入りしてから少しずつ我流技術を高め、
とうとう俺のマイウェポンが完成した!
名前はもちろん聖剣ナマクラー!世界にたった一本の伝説の剣だ!!
伝説っていっても俺の中だけに言い伝えられた説だが。
なにを以って完成とするか!?はは、答えよう!!
なんとこの剣、特種能力を発動させて壊れても、戦闘終了後にはしっかり復活するのだ!!
これもトッピングにゾンビパウダーと不死虫を混ぜたからだろう!
木人 『ム〜〜〜ガ〜〜〜』
豆村 「フッ!お誂え向きに敵発見!受けてみよ我がナマクラーの力!!
“必殺柱斬りィイイイイイッ”!!!!!」
シュカァッ!!ズババババァッ!!
少し大きさを間違えた鞘から抜いた剣で、木人を切り刻む。
すると次の瞬間、ゴッバァアアアンと轟音を立ててブチ壊れるナマクラー。
しかし剣と同時に死んだ木人が塵となって消えると、
それとともに剣が復活するのだった。
ふ、ふふふ……完璧っ……完璧な完成度…………!
類を見ぬ完成…………まさに至高っ…………!
豆村 「念願の───っと、これ口にしたら殺されてでも奪われそうだし。
ともかくナマクラーを手に入れたぞ、と」
あとはこれを俺好みに鍛えていけば最強のリバイバルブレードに!!
オオマーヴェエラス!!やっとこさスタート地点に立った!
思えばレベル上げも大してやらずに鍛冶ばっかやってたなぁ……。
お蔭でもう、一人でも武器とか防具の鍛え方を体が覚えちまった。
猫効果ってやつかな。
しかしいままで鍛冶ばかりに専念してきた俺も今からは違う。
豆村 「ようこそハッピィライフ!!今この時から俺の時代が始まる予感!!」
ナマクラーを手に両手を天に突き出して叫ぶ!
───と、空にあるデッケェ物体に今さら気づく。
えーと、なんでしょうあれ。
豆村 「お、おーい、猫に刹那……あれ、なに?」
刹那 「お前気づくの遅すぎ」
アイルー『ボクらはさっきから気づいてたニャ』
お得意さんである提督さんらが魔王になってから、俺達は東の大陸を転々としていた。
もちろん提督さんらの武器を鍛えてからの出発になったが、
案外時間がかかることもなくこちら側に着くと、
俺達は俺達でいろいろやっていたりしたんだが。
こんなものを見るのは初めてである。
なんだろうなぁアレ。
男 「おかしいな……ここらへんだって聞いてたのに。
あ、すいません、ちょっと人を探してるんですけど……あれ?」
豆村 「む?」
とか思っていると後ろから声をかけられる。
で、振り向いてみれば……ありゃ?この人って確か……
豆村 「……誰?」
御手洗「随分な反応だね……凍弥を嫌でも思い出させるよ」
うぐっ……あの人と一緒にされるのはちと。
豆村 「W・Cさんだったっけ」
御手洗「“御手洗”じゃなくて“御手洗()”だよ」
豆村 「ところでW・Cってなんの意味があるの?」
御手洗「Water・Closet。水の小部屋……つまり水洗って意味だよ」
豆村 「すげぇ!知ってんの!?初めて知った!
ハッ!?待てよ!?あの魔性閏璃凍弥の友人!よもや嘘!?」
御手洗「魔性って……凍弥はキミが思ってるようなヒドイ人じゃないよ」
豆村 「や……平気で人をからかいまくる人だぞ?予想通りの人だと思うけど」
御手洗「そんな性格に救われる人だって居るし、
ここぞっていう時には友達のために頑張れる人だよ、凍弥は」
ハテ、そんな熱血な人には見えんのだが。
人は見かけによらないってのはこのことなのか?
確かに俺ゃ昔の凍弥さんは知らんが。
豆村 「で、人を探してるんだっけ」
御手洗「うん、今まで調合のベテランさんのところで修行してたんだけどね。
ようやくそれが終わったから合流しようとして場所を教えてもらったんだけど。
どうにも居ないみたいで」
豆村 「………」
刹那 「………」
騙されたんじゃなかろうか。
なにせ相手が凍弥さんだ。
刹那 「ポイントは?」
御手洗「R-31277。地図では間違い無くここなんだけど」
豆村 「……ほんとだ。あのおっさんは何処に行きおったのか」
御手洗「ひどいな、おっさんなんて」
豆村 「フフフ、おっさんはおっさんなり。
いくら若返ってようがおっさんには変わりなし!」
御手洗「いつかキミも言われる時が来るよ。その時に後悔しないようにね」
豆村 「すんません、早くも後悔してます……」
時間が過ぎるのが速いってとっても辛いことです。
世界に散らばる少年少女よ、早く大人になりたいだなんて思うなよ?
少年少女で居られる時間なんて物凄く短いんだ。
大人の時間はあとでたっぷり味わえるんだから、少年少女を貫き遊べ。
じゃないときっと後悔する。俺も含めて。
親父たちの状況は極稀のものだ、俺達がそう在れるわけじゃない。
御手洗「さて……困ったな。ここで落ち合おうって約束だったのに」
刹那 「どっかで捕まってるんじゃねぇっすか?tellかけてみては?」
御手洗「そっか。そうだね。ええと……もしもし?凍弥かい?……え?
亀裂に挟まった後になんとか這いずり出たら隕石が頭に降って来た?
ちょっと待ってよ、どこの烈海王でどこのオリバだいキミ。
ああうん、遅れた言い訳はいいから早く来てくれないかな」
刹那 「いきなりウソをつくとは……」
豆村 「さすが凍弥のおっちゃん……」
御手洗「困ったものだね。物怖じもせずにウソをついてきたよ」
しかも誰も騙せそうに無い言葉でだ。
すげぇすげぇ。
刹那 「けど、弟子入りっすか。最初からずっと?」
御手洗「しばらくは凍弥たちと一緒に冒険してたんだけどね。
僕らの中には調合とかをやろうとする人が居なかったから。
せっかくそういうシステムがあるのに、手を出さないのはもったいないだろう?」
豆村 「なるほど。アンタ男だ。それで今までずっと?」
御手洗「本当はもっと早くに合流できたんだけどね、途中で紗弥香ちゃんたちに会ってね」
豆村 「ヴ」
刹那 「ウムムムーーー」
御手洗「てっきり一緒に居るものかと思ってたんだけど。
キミたちは鍛冶をやってるんだっけ?」
豆村 「オイサー!」
刹那 「トリャサー!」
御手洗「それは返事としてはどうなのかな……まあいいや、うん。
とにかく女の子三人で頑張ってるっていうから、
少しの間サポートに回ってたんだ。回復薬の調合から状態異常回復、
攻撃力上昇は魔術上昇などの薬を作ってのサポート」
豆村 「ずっと一緒ににゃ居てやらなかったんすか?」
御手洗「僕にも僕の旅があるからね。レベルが安定した時点で別れたんだ」
刹那 「なるほど」
周りもやっぱりいろいろ考えてるんだな。
我らも実りある旅をこれから初めていきましょう。
大丈夫さ、俺には鍛冶スキルがあるから、自分の武器なら材料さえあれば鍛え放題。
刹那も思っていることは同じなのか、楽しそうに顔を緩ませてる。
豆村 「ところでみたらし団子さん」
御手洗「御手洗だよ。なにかな」
豆村 「アレ、なんすかね」
御手洗「浮遊島かい?なんでも晦くんがモンスターキングになって、
魔物を率いて世界を征服するために発動した島らしいけど」
豆村 「悠介さんが!?うおお信じらんねぇ……!
あの冷静沈着なくせにモミアゲのことになると激怒する完璧超人が……!」
刹那 「世界征服か……あ、で。もちろんお前の親父も居るのか?」
豆村 「や、俺に訊かれても。どうなんすか?」
御手洗「モンスター軍団に居るのは晦くんとルナさんだけらしいよ。
清水くんから連絡が来てる」
豆村 「ますます信じらんねぇ……!親父のたわごとに付き合わされたんならともかく、
悠介さんが自分で世界征服なんてことを考えるとは……!」
刹那 「お前も少しは実の親を敬えよな……」
豆村 「強さでいえば敬ってるって。けど性格は別だろ?」
刹那 「ま、そりゃそーだ」
いったい悠介さんはどうなってしまったのか。
一度変貌した悠介さんを見てみたい気もするが、
生憎と浮遊島に行くなんて方法が見つからない。
どうしたもんかな。
なんてことを、ようやく見えてきた遠くから走ってくる
凍弥さんたちパーティーを眺めつつ、思っていた。
【ケース293:中井出博光/サンピエール=ポルナイフ】
どしゃっ……びしゃっ……
中井出「ホハー!ホハー!!」
田辺 「ゼハー!ゼハー!!」
藍田 「ゼハハハハハハハ!!!」
沈みゆく西の大陸から東の大陸のよく解らんところに辿り着いたのは、
既にとっぷりと夜が訪れた時だった。
ここはどこら辺だろうかと思いナビの地図を広げてみれば、
何故か北の砂漠地帯に居る僕ら。
おかしい……何故こんなところに?
体は疲れちゃいないが、度重なる転倒に心が疲れていた。
中井出「ぐっは……!しかも今さら気づいた……!
わざわざこんな面倒な渡り方しなくても、
ナギーかシードの転移で癒しの関所か死人の森に飛んでおきゃよかったんだ……」
総員 『提督てめぇ!このクズが!!』
中井出「てめぇらだって思いつかなかったじゃねぇかヒヨッ子ども!!
僕だけ悪いみたいに言うなぁぁああっ!!」
ナギー『考えても仕方が無いのじゃ』
シード『敢えて困難な道を選ぶとは。さすがです、父上』
殊戸瀬「提督、流石」
中井出「いいよねキミたち……空飛ぶ生き物に乗ってりゃ脇腹打ったりしないもんね……」
丘野 「提督も空を飛べばよかったのでござるよ」
中井出「構えた途端に猛者どもに盗まれそうでさ……」
丘野 「……なるほどでござる」
そんなわけで、後生大事に両手で守っていた剣を、背に背負いなおして一息。
砂漠地帯の夜は寒く、助けた妖精たちも寒がっていた。
エィネ『でも、まさかあなた方が人間だったなんて』
中井出「いろいろあってさ。ちなみに今は魔王だぞ?」
エィネ『ええ聞いてます。でも全然そんな感じがしませんね、うふふふふ』
藍田 「魔王っていってもカタチだけだもんな」
岡田 「よっ!エセ魔王!」
中井出「うるさいよ。しかし、どうやってあそこまで行ったもんかな」
見上げる空には、未だゆっくりと移動を続けている浮遊島。
他にも浮遊島は存在するんだが、生憎と乗り方が解らない。
これは困った。
こんな時に誰か現れてヒントをくれるのがゲームってもんだが、
そう都合よくヒントメンなぞ出てくるわけが───
???『おおっ!?我が兄弟じゃねぇかーーーっ!!』
中井出「な、なにーーーっ!?」
ナギー『お、おぬしはーーーーっ!!』
出てきた!ヒントメンかどうかは知らんが、そこに現れた存在!
その名は───!!
中井出&ナギー『て、手目小野若蔵ーーーッ!!』
砂漠地帯のリーダー的モンスター、手目小野若蔵だった!!
中井出「久しぶりだなぁ若蔵!!」
ナギー『達者でおったか若蔵!!』
若蔵 『若蔵じゃない!私だ!ラウル=ハーネマンだ!!』
いやうん、解ってはいたが。
そうか、ここはサンドランドノットマットの砂漠だったのか。
なにもかもがみな懐かしい。
中井出「早速だが我が同志ラウルよ!人力風起こし機はないか!?
我らはあそこに浮いてる浮遊島に行かねばならんのだ!」
ラウル『モンスターユニオンにか?どうしたというのだ?』
中井出「モンスターキングと闘うためにはどうしても必要なのだ!」
藍田 「ハッ!提督に申し上げます!」
中井出「むっ!なんだ藍田二等兵!」
藍田 「人力風起こし機ではこの全員で浮遊島まで行くのは無理です!」
中井出「はうあ!そうだった!この大人数では……!」
蒲田 「提督てめぇ!!」
総員 『このクズが!!』
岡田 「テメーにゃ計画性ってのがねーのかこのクズが!!」
中井出「黙れヒヨッ子!ああくそ、頼みの綱がいきなり切断された気分だ……!
それに考えてみれば人力風起こしで空に行っても、
ジークフリードの時みたいに雷で打ち落とされるのが関の山……!」
ナギー『手目小野若蔵、オアシステンバレーというものがここらにある筈じゃ。
知識でしか知らぬが、どうじゃ?あるかの』
ラウル『テンバレー?ああ、あそこは私たちの縄張りだ』
ナギー『うむ、ならばよしなのじゃ。
次に妖精よ、西とは違うが、ゲートの開き方は同じじゃな?』
エィネ『はい、おそらくは』
ゲート?テンバレー?なんのこっちゃ?
ナギー『浮遊島に上る方法はいろいろあるのじゃが、妖精が居るなら話は早いのじゃ。
元々そのためにここに着くように氷を敷いたのじゃからの』
中井出「そうなのか?で、なにをどうするんだ?」
ナギー『まずオアシステンバレーに行くのじゃ。話はその過程でするからの』
中井出「そか。べつに宿で休んで夜が明けてからでも───
いいや、今すぐテンバレーってところに向かおうか」
丘野 (提督殿……)
藍田 (提督……)
夏子 (エロマニアさんって言われるのが嫌なんだ……)
麻衣香(いくらサンドランドノットマットの英雄でも……)
殊戸瀬(呼ばれ方がエロマニアさんじゃあね……)
佐東 「ん?なんじゃ?」
七尾 「内緒話?」
藍田 「いや……ある意味面白い話ではあるが、こればっかりは提督が可哀相だから」
丘野 「これをやったら原中の名に傷がつきそうだからな……そっとしといてやろう」
佐東 「え?いや訳が解らんのだが……」
藤堂 「けど丘野が標準語で喋るほどのことなら、
ツッコまんほうがよさそうだな……じゃ、行くかぁ」
中井出「……?」
なにやらボソボソとジーラくんのように喋っている猛者どもを余所に、我らは歩きだした。
向かう場所はオアシステンバレー……らしい。
なんだろな、それ。
───……。
……。
そんなわけで時刻は深夜。
オアシステンバレーに着いた俺達は、そこらに居る魔物に挨拶をして笑っていた。
俺達、というよりは俺なんだけど。
魔物 『久しいな、我らが同志!』
魔物 『人間にはエロマニアと呼ばれているらしいな!』
魔物 『エロマニアか!意味は解らんが凄まじそうな名だ!』
魔物 『これからもよろしく頼むぞ、エロマニア!』
魔物 『エロマニア!』
魔物 『同志エロマニア!!』
岡田 「すげぇ支持だな提督!!」
田辺 「モンスターからも慕われてるとは……すげぇ!流石だぜ提督!!」
中井出「あはは……あれ……どうしてだろう……涙が止まんないや……」
どの道俺は、泣くことになるのが決まっていたらしい。
これなら素直に宿に行っていた方がよかったんだろうか……。
解りません、解りませんよ。
慕われているとはいえ……つらい……。
じーさん……もっと強い気持ちを……与えてください……。
ナギー『ここなのじゃ』
エィネ『はい。それでは───』
……っと?
悲しみに暮れている俺を完全無視して輝き出したのは妖精のエィネだった。
ホワイなにごと?と思ったが、それはあっさりと理解に至る。
エィネが輝きだしたのとほぼ同時に、地面に巨大な魔法陣が出現したのだ。
藍田 「オワッ!?こりゃいったい!?」
丘野 「もしや忍法!?これは忍法でござるかナギ殿!?」
魔法陣はまるで、術を完成させる過程を表すかのように回転する。
丁度麻衣香が魔術を放つ前に回転する魔法陣と似たような感じだ。
ナギー『ほれヒロミツ、なにをもたもたしておるのじゃ。
早く魔法陣の上に乗るのじゃ。乗らんと置いていかれるぞ』
中井出「魔法陣の上に?お、おお」
清水 「置いていかれるのは勘弁だな、よし俺も」
田辺 「よ、よし俺も」
蒲田 「お、俺も〜〜〜っ」
佐東 「俺もだ〜〜〜っ」
藍田 「ジョワジョワジョワ〜〜〜ッ、俺もだ〜〜〜っ」
丘野 「ヌワッヌワッヌワッ、俺を忘れてもらっちゃ困るぜ〜〜〜っ」
灯村 「俺も入れろーーーーっ!」
島田 「おっ……ちとそこ詰めろ」
下田 「お、おいこらっ!狭いっつの!」
七尾 「《ギュリィ!》いたぁっ!!?ちょっと誰今足踏んだの!」
総員 『俺だぁーーーーーっ!!!』
七尾 「全員!?あわっ!?お、押さないで押さないで!」
中井出「おわっと……!ぜ、全員乗ったか〜〜〜っ!?」
総員 『乗ったぜ〜〜〜っ!!』
中井出「よし!ではナギー、頼む!」
ナギー『やるのはわしではないのじゃ』
中井出「あれ?そうなの?」
エィネ『ではいきますね』
おお、どうやらナギーではなくエィネさんが送ってくれるらしい。
さてさて、ゲームの中の浮遊島ってのはどういう場所なのか。
やっぱりアレか?空界のサーフティールによく似た場所とか?
いやいや、それなら空中都市とか空中庭園でいいよな。
浮遊島、というからにはかなり殺風景なただの浮いた島なのだきっと。
そういうことにしとこー。
……なんて思っていたのが、ここまでの回想の自分であった。
───……。
……。
そんなこんなで浮遊島か、と思いきや、妖精世界に来ちまったわけだ。
見渡す限りの美しい草花に、そよそよと吹く心地よい風……最高!?
エィネ『あなたがたが妖精のペンダントを持っていたとは思いませんでした。
でも以前妖精の里に入ってこれたのなら、と実行してみたわけですが』
中井出「ホ?どういうことだそれ」
ナギー『実はの、妖精世界には妖精しか立ち入ることが出来ぬのじゃ。
よって妖精のペンダントが無いままにここに転移すれば、
人間としての体の大きさがこの世界を砕くのじゃ』
中井出「え?じゃあ……オワッ!?背中に妖精の羽根が!?」
蒲田 「おおお!いつの間にか俺ら、妖精になってるぞ!?」
田辺 「おおすげぇ!よし!
俺も羽をはためかせてそこらの妖精のように空を飛ぶンだッッ!!
ムンアーーーーーッ!!《し〜〜〜ん……》動かねぇええ!!」
エィネ『妖精として生まれたわけじゃないのなら、羽根への感覚が薄いでしょう。
そんな状態で空を飛ぶのは難しいと思いますよ』
田辺 「な、なんとまあ……!い、いや!我に秘策あり!羽根に触れて感覚を覚えるんだ!
次にそれを動かすように意識して!!
ムンアーーーーッ!!《し〜〜〜ん》オガァアアアアア動かーーーん!!」
田辺が賑やかになっていた。
中井出「ヒヨッ子ども!今はそんなことをしている場合ではないだろう!
今だけは楽しさを忘れるのだ!このまま晦一等兵に世界を奪われてもいいのか!」
総員 『サーノォサー!!』
中井出「うむよし!ではナギーよ!これからどうすればいいかを発言せよ!!」
ナギー『サーイェッサー!!まずこの花畑の中央にある魔法陣まで行くのじゃー!』
中井出「中央か!うむ!───……それは何処だ!!」
ナギー『解らんのじゃ!!』
中井出「ヒエェエーーーーッ!!!」
ゾグシャアッ!!
ナギー『ふきうっ!?な、なななにをするのじゃヒロミツ!!』
中井出「ええいこの馬鹿者め!中央が解らんだと!?
こんな広い場所の何処を探して中央としろというのだ!
そんなキミには地獄突きのひとつでもしたくなるというもの!!」
総員 (ヒェエーって言った……ヒェエーーって……)
エィネ『大丈夫です、落ち着いてください。
ゲートの場所はわたしたち妖精なら感じ取ることが出来ます』
中井出「なにっ!?そうなのか!?」
ナギー『ヒロミツはもう少し待ってから行動するべきだと思うのじゃ……』
中井出「原中大原則ひとーーーつ!!」
藍田 「猛者たる者!思い立ったら即行動をしなければならない!!」
丘野 「たとえそれがのちの後悔となろうとも、その一瞬を楽しむため、
もしくは直感を信じるためならどんな犠牲も払いましょう!!」
総員 『それが原中クオリティ!!』
ナギー『でもヒロミツたちは結構迷ったりすることがあるのじゃ』
中井出「原中大原則ひとーーーつ!!」
灯村 「猛者たる者!自己の都合のいいようにその場を凌いで生きなければならない!!」
島田 「いちいち現状を拱いている暇があるなら、その時間をもっと有意義に使うべし!!
腐るほどある大原則のひとつに足を引っ張られるわけにはいかんのだ!!」
総員 『それが僕らの原ソウル!!』
ナギー『……深みに嵌まれば嵌まるほど、ハラチューというのは訳が解らないのじゃ……』
何故ってそれが原ソウル。常識だけでは語れない。
しかしまいった……まずこの広い場所で、ひとつの魔法陣を探さなくちゃならないとは。
いくら妖精なら感じ取れるっていったって、
それが何処にあるかまでは完全に解らないのではないだろうか。
エィネ『ありました。あそこの光っている円がそうです』
総員 『速ェエエーーーーーッ!!!!』
予想に反してあっさり見つかった。
喜んでいいのか張り合いがないのか……。
ああ……いいや、どっちでも……。
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