───冒険の書202/光の塔へ───
【ケース520:弦月彰利/ロマネスクジャッペェ〜ン】
ベレレレェ〜〜ン♪
ベンベンベベベンベェ〜〜ン♪
彰利 「今朝……ベランダに、鈴蘭の花が咲きました。
この胸に浮かんだ、優しく爽やかな気持ち。きっと……これだけが真実。
だから───聞いてください。“いよかん”」
夜華 「………」
彰利 「彰利ィ〜ロンリィ〜ハ〜ァトォ〜〜〜♪
愛……愛、愛ってぇ〜〜なにさぁああ〜〜〜っ♪
AH……WOO……君と僕のォ……ビニィイイ〜〜〜ルゥ……ハウスゥウ……♪
甘くてぇえ……酸ぅうっぱぁああいぃ〜、柑橘系だぜぇ〜〜♪WOO……」
夜華 「………」
ヤー!みなさんこんにちわ!
波に揺られて今日もゆくゆく男道!黒のギターを片手に持ったみんなの愛$、彰利だよ!
え?彰衛門じゃないのかって?
いや……なんかさ、変えたいのに妙に呼ばれ慣れしちゃったもんだから、
呼ばれたら返事しちゃうし……なんかもうどっちでもいいかなって……。
咲桜くんも純じゃなくて鳩純って名前にしたらしいし。
何故ハト?と思ったけど、人の名前にケチつけるの、ヨクナイコト。
ポッポッポ、鳩ポッポって歌があるくらいだし、
今度会ったら豆でもあげてみたいと思います。
ほら、亜人族の仲間っつーか、棒人間の仲間に豆人間が居たじゃない?あいつでも。
ナットゥーとかアーモンドとかいろいろ居たけど、やっぱナットゥーでしょ。
あいつの名前大好きだし。
……まあ、オイラ死神王だし、
神界の空気なんて吸うだけでも吐けそうだから行きたくないけど。
ルナっちもガンバルマンだよねー、神であるダーリンと魂結糸繋げるなんて。
きっと今も相当ガマンしてるに違いね〜。
そんなことを思いつつ、未だに筏で揺られている僕と夜華さん。
行き先なんて知りません。
お偉いさんにはそれが解らんのです。
───……。
……。
ベレレレェ〜〜ン♪
ベンベンベベベンベェ〜〜ン♪
彰利 「今日……ベランダに、ラフレシアの花が咲きました。
聞いてください───“栗ひろい”」
夜華 「………」
彰利 「アッキットッシィ!リィ〜クゥ〜リィ〜エイションッ!!ッハァ〜〜ッ!!
今日は栗ひぃいいぅろうぃいいいいいいっ!!!
濃い栗には棘がァあるっ♪きぃんみぃにぃいい〜〜♪さっさやっくぅう〜〜〜♪
ビューティフルサンダー・彰利リクリエイッショォオオ〜〜〜ン♪」
夜華 「………」
彰利 「アッキットッシィ!レッボッリュッウゥショォオオオン!!
またまた栗ひぃいろぃいいいいっ!!……───あのー、夜華さん?」
夜華 「………」
気の所為でしょうか。
段々と夜華さんの顔色が悪くなっていってる気が……。
よし気の所為だ。
───……。
……。
ベンベンベベベベ〜ン♪べっべ〜べ〜べべ〜♪
彰利 「今日、ベランダが……ハトに襲撃されました。
だから……だから聞いてください……千日手!あ・イエェエーーーッ!!!」
夜華 「………」
彰利 「僕のォ〜心はぁあ〜〜〜んぁああ〜〜〜〜〜!!
ツッゲェの盛ッりッ上ッげッゴォマでぇええーーーーーーっ!!
キッミッの心はカァヤのぉおお〜〜あぁし付き盤さぁあ〜〜〜♪
ふったぁりのッ愛はぁ〜〜んぁあ〜〜〜〜!!
まぁるぅでぇ千日手ェエーーーーィエエーーーーーッ!!!
とことぉん〜〜攻ぇめるぜ〜〜〜〜っ!!追い詰めぇえ〜〜るぜぇ〜〜〜♪
サンハイハイハイ!!あぁ〜〜〜〜やってらんねぇ〜〜〜〜♪
ギャア〜〜〜♪やるせない〜〜〜っ♪王将〜、アァキィトシィ〜〜〜♪
勝ァつと思うなぁ〜〜〜ンぁあ〜〜〜♪思えばァ……負けよォオ〜〜〜♪」
夜華 「…………《ゴトッ》」
彰利 「夜華さんが倒れたァアアーーーーーーーッ!!!」
ワッツなにごとよし解らん!!
ムウウ〜〜〜ッ!!急に倒れるとはなにかあったに違いねぇ〜〜〜っ!!
まず熱!───熱い!
次に脈拍!───ナブラ!(超高速)
顔色!───悪し!
彰利 「そ、そうか〜〜〜っ!!こ、これはきっと船酔いというやつだ〜〜〜っ!!」
なるほど、だから全然喋らなかったのか。
うんうん納得。…………どうしよう。
彰利 「いかんなぁ、このままでオーマイハニーが。
酔い冷ましの薬なんて無いしねぇ。調合で作れるんカナ。
ところでオーマイハニーって言葉を並び替えるだけであら不思議!
ハーマイオニーに早変わりだっぜぇええーーーい!!」
叫びつつバックパックを漁る。と、なにやら怪しい草がゴゾォと出てきた。
ああ、そういや金があんまりないから食えそうな雑草を森でもいできたんだっけ。
彰利 「FUUUUM……お?これなんか解毒草っぽくない?」
誰にともなくそう言い、
思いっきり“雑草”と銘打たれたそれを口に含んでもしゃもしゃと咀嚼する。
そして口移しでそれを夜華さんに───流し込む!
彰利 「うみゃ〜〜〜」
夜華 「なにをするか馬鹿者がぁーーーーーーっ!!!」
彰利 「《ボゴッシュ!》ウビャーム!!」
口づけをする前に殴られました。
補足すると、口移ししようとしてたもんだから微妙に口を開けてたんですよ。
したっけ殴られた拍子に歯を食い縛ってもーて。
噛んだ舌がボチューンと飛んでいきました。
ぬう、最近じゃアレコレ理由をつけてぶっちゅするのが密かな楽しみなのに。
ホホ、アタイも堕ちたもんじゃぜ、これではバカップルの片割れではないの。
……夜華さんがメチャクチャ恥ずかしがって、させてくれないことが多いけど。
ともかく大いなる海原へ飛び込まんとする舌を、
ダークセンチネルとアモルファスを伸ばしてキャッチ。
結合すると、改めて夜華さんを見た。
夜華 「う、ぐっ……貴様、なにをするつもりだった……!
人が苦しんでいる間に……なにか、
よからぬことをしようとしたのではあるまいな……!」
彰利 「解毒草を口移しで食べさせようとしたのさ!
僕にはキミの苦しみを和らげてやることはできないから、せめて解毒草をと……」
夜華 「毒ではないから必要ない!!ふ、船に酔っただけだ、気にするなっ……!」
彰利 「気にするさ!僕たち───夫婦じゃないか!」
夜華 「───!あっ……彰衛、門……」
彰利 「だからぶっちゅしよ?《バゴンシュ!》ホビャーム!!」
殴られました。ストレートです。
彰利 「ち、ちくしょう殴ったな!?息子にも殴られたことないのに!」
夜華 「それは貴様が全て避けているからだ……ろ、う……」
彰利 「ややっ!?これはいかん!」
見るからに弱ってゆく夜華さん!
そげな妻を放っておけるほど、このアタイは薄情じゃあ……ねぇぜ!
彰利 「酔い止めが必要だ!薬!薬───調合?調合っつーたら……」
殊戸瀬か……うわぁ……。
出来ればヤツには頼みたくないんだが……。
あ、そーだ、中井出に連絡入れて、ヤツに話を通してもらうのはどうでしょう。
そうすりゃ厄の大半は中井出のところに降りかかるだろうし。
コココ、外道結構コケコッコ。
というわけでGOだ!tell:中井出博光……と。
ナルルルル……ブツッ。
声 『俺だ!瀬戸内だ!』
彰利 「瀬戸内ジャクソンの真似?」
声 『うむ。あの言い方が大好きでさ。ほら、憶えてるだろ?あの携帯電話捌き。
携帯電話なんてもんを銃を回転させるみたいにシュカーと回して、
俺だ、瀬戸内だ、って。あれが好きなんだよね俺』
ちなみに瀬戸内ジャクソンというのは魁!クロマティ高校に出てくる人物。
バース高一年の番長で、顔がかなりゴツく、バースの破壊王の異名を持つ。
声 『で……なんか用?今僕剥ぎ取り中で忙しいんだけど』
彰利 「おお、剥ぎ取り中だったか。そいつぁ悪いことをしたわい。
実はさ、ちと頼みたいことがあってさ」
声 『頼みたいこと?俺になんて珍しい。なんだ?』
彰利 「オウヨ。えっとさ、ちぃと殊戸瀬に頼んで酔い止め調合してもらってくれん?
僕の夜華さんが船酔い……というか筏酔いしてしもーて。
かなりキツいみたいでぐったりしとんのよ。
だから隙を突いてぶっちゅしようとしたら殴られまして」
声 『や、苦しんでるヤツにぶっちゅって……』
彰利 「どんな時でも隙あらばぶっちゅしたいのです。おかしいかね」
声 『……お前それやべぇぞ?
場所を憚らず隙あらば、って……まるっきり伊藤誠じゃねぇか』
彰利 「《ゾグシャア!!》ハグォアアアアアアアアアアッ!!!!」
ダッ……だ、だダダだ……ッ……大ダメージ!!
なんて……なんて言葉の武器を使いやがる!!
彰利 「で、でも僕は夜華さんだけを愛してるんだ!
他のヤツにうつつをぬかしてぶっちゅを迫るあの超悪外道とは違います!!」
声 『えーと殊戸瀬二等に酔い止めを頼むんだったよな、伊藤』
彰利 「伊藤って呼ぶなブッ殺すぞてめぇ!!つーか聞けこの野郎!!」
声 『じゃあ藤巻十三』
彰利 「勘弁してください!ただ頼みごとをするためにtellしただけなのに、
なんでそげな呼ばれ方せにゃならんのよ!!」
声 『それ言うなら貴様が直で殊戸瀬に願えばいいんだ。頼みごとなぞらしくもない』
彰利 「グ、グゥムッ……!」
野郎……!アタイの狙いに気づいてやがる……!
彰利 「……ほんじゃあさ、キミ、酔い止め持ってない?」
声 『持ってないなぁ。だがな、彰利よ。そんなもんは宿で寝れば一発で回復だ』
彰利 「あ」
そうだ〜〜〜っ!わたしにはそれがあった〜〜〜っ!!
ゲーム界において、宿とは超万能休息場所!!
ゲームによっちゃあ宿で眠れば石化だって解けるさ!
彰利 「よっしゃあ行くぞ夜華さん!最寄の宿屋に───」
最寄の宿って何処だろ。
やっぱ海に出る前に寄った場所くらいかね。
まあいいコテ。
彰利 「ところでキミ、なに剥いどんの?」
声 『んお?ああそれは───っと、晦だ』
彰利 「悠介?……悠介がおるの?」
声 『おお、なんか飛んできた。……へ?ソーサラーリングを寄越せ?
正面切ってこの魔王博光に喧嘩売るとはいい度胸だこの野郎!!』
声 『ならば我ら素晴らしき6人も黙ってはいられん!』
声 『へっ!?いやそういうわけじゃなくてだな!!』
声 『ツゥウゴォオモォオリィイイイイッ!!!』
声 『だぁうわぁっ!?ゼゼゼゼットォッ!!?なんでお前、提督と一緒に!?』
声 『弦月彰利ィイイイッ!!そこに居るのは解っているぞ!!
今すぐここへ来て我と戦えぇええええええっ!!!』
声 『ヒィ!?あれちょっ……ゼノ助さん!?
ゼノ助さんちょっと!!イヤァやめてぇえええ!!
僕の耳なんか引っ張っても彰利に連絡なんて取れないからァアア!!』
彰利 「………」
なんか大変なことになってる。
なんだかミチミチ聞こえるけど、中井出の耳が千切れないことを祈りましょう。
ま、とりあえず宿だね、うん。
彰利 「何処がいいかね……って、自然要塞でよかちゃいね。転移転移」
考えてみりゃ、下手に適当な場所へ飛ぶよりも、
自然要塞に行ったほうが治りやすいって雰囲気がありません?
自然のパゥワーってやっぱ素敵だし。
そげな訳で転移用の鎌を影から引きずり出して解放。
夜華さんを肩に抱き上げつつ、転移したのでした。
───……。
……。
───ビジュンッ!……というわけで、えー。
やってぇんきました自然要塞!
彰利 「ハァーーーロォーーーウ!!元気かい亜人族どもぉーーーっ!!」
レアズ『帰れ』
彰利 「冷たッ!!」
出現した途端に冷たい対応を受けました。
彰利 「あ、あのー、オイラちょっと酔い止めの薬が欲しくて……。
僕の妻が大変なことになってまして」
レアズ 『うまティーを飲ませろ。あれは万能薬だ』
彰利 「マジで!?……うまティーなんてねーわよ?」
レアズ 『じゃあ知らん』
彰利 「冷たッ!!キミちょっと中井出とその他じゃあ態度違いすぎない!?
いーじゃないただ酔い止めくりゃーせって言ってるだけなんだし!」
ジョニー『態度が違うのは当たり前ニャ。
聞けばアンタは旦那さんとは敵対関係にあるらしいニャ?』
彰利 「オウヨ!俺とヤツは魔王とヒーローの関係だぜ!?」
全員 『帰れ』
彰利 「全員で!?」
く、くそう!なんだこの疎外感!
まるでみんなが僕を敵として見ているようだわ!……いや、そうなんだけどさ。
ナギー『まだここらをうろちょろしておったのか。
ヒロミツの敵はわしと亜人族の敵なのじゃ。さっさと失せるのじゃ』
シード『そうだ。大体都合のいい時だけ敵に頼るなんて、どれほどクズだ』
彰利 「妻が大変な時に手段なぞ選んでられっかーーーっ!!
つーわけでえナギ子さん!夜華さんを自然の力でパパーと治してたもれ」
ナギー『断る』
彰利 「ギャア即答!く、くそう!じゃあ───あ、あれ?ホギー?ホギーは?」
ナギー『おおあいつか。あいつならモミアゲの長い男が連れていったぞ。
お蔭で修行がまた中止じゃ。
ほんにわしらにとって不利益なことばかりを持ってくるのぅおぬしらは』
彰利 「…………あの、ナギ子さん?口調がまた随分と変わってような気がするのですが」
ナギー『それはモミアゲが長い男にも言われたがの。
わしは元々こういう口調じゃ。ヒロミツとともに行動しているうちに、
ああいった口調に変わった……ただそれだけのことじゃ。
それを直しただけじゃが、何か問題でもあるか?』
彰利 「グムー、違和感覚えてしょうがない」
ナギー『だとしてもわしには関係がないの。それはおぬしの勝手な像の押しつけじゃろう?
わしが今のわしとして居る時点で、人格を疑われる理由なぞあるものか』
彰利 「ぬう」
そりゃ確かにそうですがね。
と、こげなことしてる場合じゃないんですってばさ。
彰利 「えーと……ほいじゃあさ、なにか寄越せとか言わんから、
せめて夜華さんをここで休まさせてほしいんですが。ほんと苦しそうなんよ」
シード『それなら猫の里の宿で寝かせるんだな。要塞内はダメだ。
今から父上がここに戻り、竜宝玉を組み込むんだ。その作業に、お前らは邪魔だ』
彰利 「なんだとてめぇ小童この野郎!!
俺ゃこの自然要塞の空気の中で夜華さん休ませてーんだこの野郎!!
人が下手に出ておれば下等超人どもが調子に乗りおって〜〜〜っ!!
ぶ、ぶっ殺してやる〜〜〜〜〜っ!!!」
シード『ほう、面白い。僕らとやろうっていうのか』
ナギー『豪気なことよの。レベルの違いというものを教えてほしいのか?』
彰利 「え?レベル?…………高ェ!!
や、ちょっ……なにそのレベル!キミたち何者!?」
ナギー『どれだけ離れようとわしとヒロミツは仲間なのじゃ。
当然ヒロミツがどこぞかで敵を倒せば経験値も入るということじゃ』
シード『父上は今日だけで2体もの守護竜を倒したんだ。
本当は3体らしいが、
1体は父上自身が倒せなかったために僕らには経験が届かなかった。
だがそれだけでも十分だ。僕らはお前なんかよりよほどの高みに居る』
彰利 「グ、グウウ〜〜〜〜ッ!!」
な、なんということ……!
このアタイがこんな小童どもより弱いだと……!?
……つーか中井出、どういう戦い方してんだろ。
守護竜3体って……弱体化してんのによく頑張るよほんと。
……あれ?じゃあさっき剥ぎ取りがどうとか言ってたのって、
守護竜を剥ぎ取ってたってこと?
ぐあっ!失敗した!すぐに転移して俺も剥ぎ取りゃよかった!!
でも今はそれよりも夜華さんさ!
俺ゃ妻にゃあやさしいよ!?意識が混濁してる時か気絶中に限るけど!
だって面と向かってやさしさをひけらかすなんて恥ずかしいじゃない!
彰利 「フフフ、戦いはお預けだ。命拾いしたのぅ若ェの。
俺が退かなかったらてめぇら死んでたぜ?」
ナギー『ならば試してくれようぞ!激槌オンスロート!《キュバァンッ!!》』
彰利 「ホワッ!?」
なにを思ったのか武器っぽい名前を唱えるナギ子さん!
するとどうでしょう!
彼女の手にズゴォととても大きなハンマーが出現するじゃないですか!
い、いかん……これだけのレベル差で、あんなゴツイハンマーの一撃を食らったら……!
彰利 「あぁーーーっ!あげなところに中井出が!」
ナギー『ヒロミツ!?』
シード『父上!?』
彰利 「死ねぇええーーーーーっ!!!」
オーダー解放&稀黒装レヴァルグリード・九頭竜闘気解放!!
それぞれ17枚の黒の飛翼に鎌の力を送り、レッツ強襲!!
ナギー『な、なんじゃとぉーーーっ!!?』
シード『くっ!させるかぁあーーーーっ!!』
だがそれに気づいた小童どもが、振り向きざまに武器を振るってくる!
しかし甘し!
強襲するのは俺ではなく影と闇である!
影 『覚悟はいいかぁ!?荊棘を踏んだぞぉ!!』
闇 『邪魔者は全て滅ぼす!!』
ナギー『ふわっ!?ななななんなのじゃこれは!』
シード『これがなんなのかなんて関係無い!砕けばいい!!』
種小僧がキッと影と闇を睨む!
キッと、真っ直ぐに!
でもそれが劣りだなんてこと、ヤツらは知らんのだ!
彰利 『ディナータイムだアモルファス!!』
シード『なに《ドッガァアッ!!》ぐふあぁああっ!!』
地面に這わせておいた影から巨大生物を召喚!
召喚というか象らせて飛ばしただけだけど。
ともかく吹き飛ばして種小僧を森林が風にそよぐ虚空へと飛ばして、
彰利 『憤激じゃぁあーーーーーっ!!!』
ドガゴンッヴァァアアアッ!!!
浮いた種小僧を闇で象った握り拳で、無惨弾のように叩き落とす!!
……と、種小僧はガクリと動かなくなった。
彰利 『コココ……!さあ次は貴様ぞ……!!
小娘……このアタイをレベルなんぞで計れると思うなよ……!?
黒の秩序という存在をナメんなよ?クォックォックォッ……!!』
ナギー『む、むむむ……!!
おぬしこそ高位精霊という存在をナメるでないわぁーーーっ!!』
彰利 『ぬぉおおああ!?なんだその裂帛の気合《ドゴォオン!》ギャーーーッ!!』
ホワイ!?ナギ子さんに気を取られてたらいきなり僕にダメージが!?
なに!?なんなの一体───あ。
シード『はははは!戦闘の最中に余所見とは余裕だなトンガリ頭!』
彰利 『な、なにぃ〜〜っ!?てめぇ気絶した筈じゃ───』
シード『そんなのフリに決まってるだろ』
ナギー『なにを言っておるのじゃ?』
彰利 『オッ……オグォオオオオオッ!!おのれおのれおのれぇええええっ!!!』
野郎!最初からVITマックスで僕の攻撃を待ってやがったんだ!
それで吹き飛ばされたら気絶したフリして、僕が油断したら攻撃、って……!!
これは……こ、これはァアア……!
彰利 『ナッ……ナイス原ソウル!!よもやこんな局面で死んだフリを見せるとは!』
ナギー『当然じゃの。仮におぬしがわしに攻撃してきたとしても、
同じように……いや、もっと上手く騙しておったわ!!』
彰利 『クク〜〜〜ッ』
ナギー『ムウウ〜〜〜ッ』
どうしましょう、この娘ッ子面白い。
まさかキン肉マン二世の真似まできっちり返してくれるとは。
さすがは中井出とともに、この戦乱の世を駆け抜けてきただけのことはある……!
彰利 『フ……フフフ……!この俺の攻撃をわざとくらい、しかも耐えてみせている……。
死んだフリまで出来る余裕に加え、その清々しいまでの原ソウル……。
いいだろう、今回は俺の負けだ。つーか夜華さん休ませないとマジでヤバイし』
ナギー『む?なんじゃ、もう終わりか。存外諦めが早いやつよの』
彰利 『俺ゃ引き際ってのを知っとるよ?
喧嘩は引き際が肝心だって大石さんも言ってたし』
言いながら伸縮自在の黒翼で夜華さんを抱きかかえる。
黒と闇と影が混ざった17枚の黒翼でしっかりとやさしくインブレェ〜イス。
要塞から飛び降り、ゆっくりと猫の宿屋へと歩きました。
……なにやら飛び降りる際、つまらんのじゃ……という呟きを耳にした気がした。
が、それよりも夜華さんが心配だったオイラは、
それを気の所為ということで片付けたのでした。
【ケース521:中井出博光/オッサリングトゥエルブ(輪状のおっさん12人)】
ゴヴァアアアアアーーーーーーーーッ!!!!
中井出「ぐおおおお!!物凄い風だーーーーーっ!!!」
悠介 「ディル!スピード!スピード落としてくれ!」
ディル『断る』
中井出「即答なの!?」
悠介 「へ?提督、ディルの言葉、解るのか?」
中井出「うむ!この博光にかかれば無機物だろうが草花の声だろうが聞き取れるわ!」
悠介 「……それも、武器の能力か?」
中井出「うむ!全ての生き物の声を聞くことが出来るのが邪竜の血液!
武器などの無機物の意志を受け取るのが、
“武器を詠む”と書いて“器詠の理力”と読む能力である!」
悠介 「ああ……そういえば猫大戦の時、敵の巨狼と話してたっけか」
アイドゥ。
というわけで……紫色の飛竜、
ディルゼイルに跨って空を駆ける……こんにちは、中井出博光です。
今日はそう、光の塔を真に攻略するため、こうして晦に攫われている状態です。
最初は猫の里の自然要塞に戻って、竜宝玉をドワーフたちに渡す予定だったんだけど……
いやほら、光の塔で見つけた宝全部やるって言われたらさ、断れないでしょ?
前回は麻衣香と木村夏子二等と殊戸瀬二等が一応探してきてくれたけど、
今回はソーサラーリングがあるから、もっといいアイテムが見つかるやもしれんのだ。
田辺 『おーい!おぉおおい!!いい加減休まないかぁあああっ!!?
お、落ちる!このままじゃ落ちてしまう!!』
あっと、紹介しておかないといけません。
今回僕らの旅に同行してくれる田辺(妖魔)二等です。
晦二等と俺が乗った途端に急速飛翔しだしたディルゼイルに、
ギリギリしがみついてご同行してくれた愉快な仲間さ。
それでも尻尾にしがみついてるもんだから、振り落とされそうな感はあるけど。
妖魔状態じゃなかったらとっくに大地と熱いベーゼを交わしていたに違いない。
悠介 「もう少しだー!頑張れー!」
田辺 『それさっきも聞いたんですけど!?』
ディルゼイルに乗るって行為は空界でもしたことがあったが……やっぱり速い。
顔面が風でビリビリなって痛いくらいだ。
とはいえ今度ばっかりは本当らしい。
やがて見えてきた、雲を貫く高い塔を発見するや、ディルゼイルが下降してゆく。
……もちろん速度はそのままで。
中井出「ヒ、ヒイイ!!怖い怖い怖い怖いってぇええええっ!!」
田辺 『臆病者が初めてジェットコースター乗ると多分こんな感じの恐怖がぁああっ!!』
木が!枝が!ヒィイ虫が飛んで来ドゴォン!!
中井出「ぐあああああああああっ!!!目っ……目がっ!!
目がぁあああああっ!!目がぁあああああああああっ!!!」
なにかとても硬い虫が俺の左目に直撃!!
拍子に吹っ飛んでいってくれたけどこれは痛い!!
でも敵対心があったわけでもなかったからすぐに治りました。最強。
と、そんな中。
田辺 『ちょっ……ちょ待ァアーーーーーッ!!!ディルゼイルさん!?
あなた自分の尻尾の範囲限界しか考えてないっしょ!!
そんなギリギリで木とか避けたら《バキィ!》ぶげぇぅえっ!!』
悠介 「うわっ!今の痛ぇ!!」
田辺二等が大木に身体を打ちつけ、ゴポリと血を吐いていた。
晦の言うとおり、ありゃ痛い───って他人ごとじゃねぇええええっ!!
中井出「《ゴキィッ!!》うごあ!」
前に居る晦が急に屈んだから何事かと……思う暇もなかった。
俺は顔面を木の枝にしこたま打ちつけ、視界をチカチカとスパークさせました。
それでもディルゼイルさんは止まらず、しかも変わらず恐ろしい飛行の仕方を続けました。
中井出&田辺『いっ……いやぁあああああああああああっ!!!!』
辺境は、光の塔付近に。僕たちの、悲鳴が木霊した。
───……。
……。
サク……サクサク……バタリ。
中井出「つ……着いたぁああ……」
田辺 「飛行移動システムで……
ここまでボロボロになるゲームを……他に僕は知りません……」
波乱ののちに辿り着いたのは光の塔。
相も変わらず雲を突き抜けて建つ巨大な塔は、
やはり相も変わらずのデカさと高さと長さを誇っておりました。
そんなものを前に、俺と田辺はサクサクと草原を歩んだのちに……倒れた。
倒れながら見上げると余計に大きくなるのってどうしてだろうかなぁ。
中井出「ほやー……」
改めて見上げてみると、よくもまあこんな場所を登る気になったもんだと感心。
思わずボケェっとした顔で見上げていた……そんな俺に投げかけられる声があった。
遥一郎「中井出……か?あれ……借りてきたわけじゃなかったのか」
中井出「お?……ホギー?貴様何故ここに?………」
つい辺りを見渡してしまう。
しかし当然ナギーとシードの姿無し。
うーむ……この博光ともあろうものが随分と過保護っぽくなってしまったもんだ。
傍に居なかったら居ないで気になって仕方が無い。
しかもそんな俺を見てなにかを悟ったのか、ホギーがクックッて笑ってるし。
……仕返しにグオッフォフォとサンシャインスマイルを返したら、
やたらと冷たい目で見下ろされた。
……うん、いつまでも寝たままなのはいかん。
遥一郎「ここには晦に連れてこられたんだ。
ドリアードと魔王の子には要塞で待ってもらってる」
ルナ 「ぎゃーぎゃーうるさかったけどね」
中井出「ういしょっ、っと……。や、晦が居ない時にはギャースカうるさい
アンタにだけは言われたく《ゴドンゴ!》うごァあぁア!!!!」
起き上がった途端に力強く殴られた。
しかも何気に人中狙ってきたよこの死神子さん……!
ぐおお脳が揺れる……!
中井出「い、いきなりなにを……!」
ルナ 「一本拳」
曲げた中指をグッと見せ付けられた。
どうやらあれで殴られたらしいが───一つだけ言っておこう。
中井出「ただの陣内流・鉄菱じゃん……!」
一本拳がグラップラー刃牙で、鉄菱が真島クンすっ飛ばすだ。
ていうか俺はなんでそんな談議を前に、指一本で大地にヘタりこんでるんでしょうか。
……立ち上がれ国民!このままでは終われぬわ!
ルナ 「それより悠介、これから《ドズルシャア!》ふぎゃぇわぁあああっ!!?」
悠介 「おわぁっ!?」
中井出「グフフフフ……!この博光がやられたままで済ますと思うてか……!」
一撃は一撃。
俺は晦に向き直った隙だらけのライトくんの背骨の、
突起と突起の間に一指し指版鉄菱を突き刺した。
皆様覚えているだろうか、大擂台祭で烈海王が寂海王の背骨を突いたあの頃の思い出を。
電撃でも走るかのような激痛が身体を襲い、
座っていた筈が無意識に立ってしまっていたという恐ろしき攻撃……!
……ちなみにどこらに突き刺せばいいのか解らんから、
ただSTRを高めてズギャアと殴ってみたわけですが───効果バツグン!
ライトくんは悲鳴をあげ、かなりの距離へと飛びのいた!(吹っ飛んだだけ)
悠介 「て、提督てめぇ!いきなりなにを!」
中井出「え?反撃を少々」
悠介 「だからって不意打ちで女を殴るって!」
中井出「バッカモーーーン!仕掛けてきたからには誰でも敵!
女子供だからとこの博光が容赦すると思うてか!!
俺はたとえ相手が幼女だろうが老婆だろうが敵に回れば容赦せぬわ!!」
遥一郎「こ、こいつ……!」
悠介 「クズだ……!」
中井出「それはもういいよ!いいじゃないか人それぞれの思考で!
俺はなーーーっ!!子供だから年寄りだから女だからって理由で、
誰かが制裁を受けない状況が嫌いなんだよ!
だから理不尽に攻撃されたなら返すぜ俺は」
遥一郎「お、お前さ、老人が好きだったんじゃ───」
中井出「ああ俺そういうのごちゃまぜにしない男だから。
悪も正義も敵に回ったからには平等に殴るぞ俺は」
遥一郎「こ、こいつ……!」
悠介 「クズだ……!」
中井出「だぁーーーからそれはもういいって言ってるでしょォオオ!!?
攻撃されても好きな人だから許すなんて言葉、俺の辞書にはありゃしない!」
大体世の中おかしいんだ!
悪だ正義だとかのたまってるくせに、相手が女子供だと途端に甘くなる!
俺はそんな不平等が許せん!
だからって真の平等なんざどこ探したってありゃしないんだけど。
だから僕は修羅どもの集まりである原中が大好きです。
中井出「納得したならGO!光の塔登るんだろ!?」
悠介 「あ、あ……ああ。そうだな……ていうかさ、
妻を殴られた俺の気持ちは何処へぶつければいいんだ?」
中井出「俺は一発殴られたから一発返しただけである!
それでもこの僕に攻撃を加えるというのなら───やってみるといい。
次の瞬間には僕の丸太のような足がキミの股間を潰す」
悠介 「地味に嫌なこと言うな……。解ったよ、確かに今のはルナが悪かった」
中井出「うんうん。大体自分のこと棚に上げて、
図星突かれたからって人の人中狙うなんてヒドイよ。
もう少しで卒倒してるとこだったじゃないか。人中はないだろ人中は」
ルナ 「うー……それにしたってこれ、やりすぎ……」
中井出「しぇーからーしかぁーーーーっ!!なにを甘いことを!ちょいと晦一等兵!?
貴様が普段から甘やかしてるからこんな子に育ったのですよ!?
なんでもかんでも許してしまっては良い子になど育ちません!!……精神が」
ルナ 「……ね、ゆーすけ。刺していい?」
悠介 「やってみろ。次の瞬間には中井出の丸太のような足がお前の身体を砕くぞ」
ルナ 「うぐっ……う、うー……でも本気でなんて───」
悠介 「……そんな考え出すくらいなら本気でやめとけ。
我らが提督はやると言ったら本気でやるぞ」
ルナ 「…………わぁ……クズだ……」
中井出「いや……なんかもういいよクズで……」
でもなぁ、女殴るからクズだなんて言ってたら、世の中女の犯罪者だらけになるよ?
女だから子供だから老人だからって、それを軽視してしまっては激しくつまらん。
やはり互いに身分を考えず全力でぶつかれるのが一番だと思うんだ。
中井出「なんだか場がシラケてしまったね。じゃあ、昇ろうか」
遥一郎「急に紳士っぽく振舞われてもな」
中井出「あら、ちょっとお待ちなさい?」
遥一郎「ん……な、なんだ?《グキィッ!》ウゴぉォオ!?」
中井出「ウフフ、タイが曲っていてよ?」
遥一郎「タイって……!思いっきり首絞めて、なに、言って……!!」
悠介 「落ち着け提督!それは紳士じゃなくて淑女だ!
……いきなり首を絞めといて、淑女もなにもないだろうけど」
中井出「ところでさ、紳士らしさってなんだろ《ドゴォオン!!》ギャアーーーッ!!」
遥一郎「げっほごほっ……!と、りあえずっ……!
人の首をいきなり絞めるヤツは……紳士じゃ、ないっ!!」
人の顔面に魔法ブッ放すのも紳士じゃないと思うな、俺。
でもいい間が取れた気がする。頭を休めるには最適だ。
中井出「うむよし回復!そして俺は別に紳士じゃなくてもいい!
それではこれより光の塔を攻略するものとする!覚悟はいいか!?」
全員 『………』
中井出「ノリ悪いよみんな!!」
遥一郎「猛者って呼ばれる連中が居ない時くらい諦めてくれ。
ここに居るのは大体、自分から騒ごうとしないやつらばっかりだ」
悠介 「まあ……そうだな」
澄音 「僕は結構好きだけどな。機会があれば騒ぎたいと思っているし」
遥一郎「助け舟は出さなくていいから」
ルナ 「やーいエロっち仲間外れ〜!」
中井出「ギッ……ギィイイイイイイイイイイ!!!!!」
ああナギー!ナギーーィイイ!!
僕は今キミが恋しい!たった一人でも僕の号令に反応してくれたキミが恋しい!
しかし!ああジョジョ!しかし!なんて悲しい!ジョジョ!
ナギーは自然要塞に居て、ライトくんは言葉の暴力しか放っていない!
暴力を振るうわけにもいかず、僕はダメージを受け入れるしかない!
だって言い返せる言葉がないんだもの……。
中井出(うう……なんて悲しい……。雑草さん、ライトくんが僕をイジメるんだ……)
雑草 (ストレートに雑草ってヒドイッスねあなた……)
中井出(……えぇっ?僕の声が聞こえるのかいっ?)
雑草 (一応。さ、泣かないで前を向いてくださいッス。
あなたならきっと立ち上がれますッス。
……無責任な上にお前がどんな人なのかもまるで知らないがな!)
中井出(まさに外道!!)
よし、雑草さんのお蔭で少し調子を取り戻せた。
なるほど……ああ、なるほどなぁ……女衆にギャースカ言われてた時の彰衛門って、
きっとこんな心境だったんだろうなぁ……。
彰衛門ならばここで“なんだと空き缶てめぇ”とか返すんだろうけど、俺はそれをしない。
何故って、……今はそれより冒険楽しみたいじゃない?
だって塔だよ塔!外壁は上ったけど、結局のところ内部のことはよく知らないんだよ俺!
なんていうかこう……冒険者の血が騒ぐ!猛る!迸る!
中井出「というわけで悪は急げだー!さぁみんな!張り切っていこーぜぇええ!!」
ルナ 「え?あ、え……?」
悠介 「立ち直り早いな……おーい提督ー?
なにも言い返さないからルナが戸惑ってるぞー?」
中井出「ふふ……大人になりなさい月子さん。
僕をからかえばすぐさま返事が来ると思ったら大間違いですことよ……?」
ルナ 「……ね、悠介。馬鹿にされてる?わたし馬鹿にされてる?ねぇ」
中井出「してないから昇ろう!早く!冒険が俺を待っている!
俺を待ってるとは限らないけど少なくとも冒険は待ってる!
そういえばあの言葉っておかしいよ!
なんで冒険が自分を待ってるだなんて断言出来るんだろ不思議だよね!」
遥一郎「落ち着いてくれ」
中井出「GO!!《ギャオッ!!》」
遥一郎「え?あ、ちょっ……」
急かしてるのに全く動こうとしない人々を無視してGO!!
そうだ、なにも待ってる必要はなかったのだ!
何故って、ソーサラーリングは僕が持っているのだから!
待っていろまだ見ぬ内部!
あらゆるゲームを攻略してきたこの博光の無駄知識を以って、
こんな塔早々にクリアしてくれるわぁーーーっ!!
……ところで……さっきから田辺くんの姿が見えないんだが……何処行ったんだろ。
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