───冒険の書214/異変への疑惑───
【ケース534:綾瀬麻衣香/僕らの夢と希望はメルコムリッチに預けたい】
サクッ、サクッ……
麻衣香「はぁ〜ああ……」
旅行けば三千里。
熱い日差しを浴びながら、今日もゆくゆく一人旅……こんにちわ、綾瀬麻衣香です。
ちなみに一人というのはまったくのデタラメです。
猛者の大半とは別行動をとってるけど、何人かとは一緒に行動しています。
なにをしているかって?……隠しジョブになるために、アイテムを探していたりします。
ついさっき届いた情報によると、ヒロちゃんのところの……素晴らしき6人は、
もう全員が隠しジョブになったそうで。
随分と急ピッチで揃ったもんだなぁとか思いながらも羨ましがってるわたしがいます。
でも気になることがあるとすれば───
聖王の遺産の中に、王家の指輪がなかったっていうこと。
その代わりに火除けの指輪があったらしくて、
聖王になるための素材は揃ってないんだとか。
麻衣香「えと……あと残ってるジョブって魔王聖王法王覇王だったよね」
夏子 「うんそう。全部王がついてるっていうのは豪華なイメージだよね。
みんな条件が厳しいけど……その中でも覇王はぶっちぎりの無理っぽさだ……」
こんなの本当になれるのかな。
そりゃ、試してみたいって言って、武器を貸してもらえれば何とかなるだろうけど。
魔王はヒロちゃんが狙ってるとして───聖王法王は誰がなるんだろ。
んー……わたしは聖王ってガラじゃないし、
そもそも武器は杖だから聖王の槍は使えそうにない……。
槍っていったら睦月?……や、それこそ聖王ってガラじゃないし。
わたしは、なるんだったら法王かな。
杖だし、これならわたしに丁度いい。
あーでも、穂岸くんとか狙ってそうな気がする。
その時は早いもの勝ちってことで……。
栄光の杖、妖精の弓は聖王の遺産の中にあったらしい。
だからあとは法術士の法衣と……昂翼天使の指輪。
結局指輪探しか……あぁもう億劫だ。
麻衣香「ねぇ夏子。夏子って今のジョブ、ネクロードじゃない?
名前のわりに呪い反転のお蔭で聖なる装備ばっかりだけど。
で、ものは相談なんだけど───聖王になってみる気って」
夏子 「ない」
即答だった。
夏子 「聖なる王じゃあパパトスカーニが見栄えしないでしょ?
わたしは聖なる武具を装備した隠者を目指してるの。
だからこのままでいいのこのままで」
麻衣香「そうなの……じゃ、睦月は?」
殊戸瀬「……エルが居ればそれでいい。
わたしの武器は槍だけど、聖王なんてガラじゃないわ」
麻衣香「うん……そうだね」
訊いたわたしが馬鹿だったかもしれない。
訊くまでもなかった。
夏子 「そーいう麻衣香は?なりたいジョブないの?」
麻衣香「え?わたし?……わたしはぁああ……法王、かな。
なれたらいいな〜程度だけど。グルグリーズあればそう簡単には負けないし」
夏子 「むー……や、その考えは甘い」
殊戸瀬「そう、甘い」
麻衣香「うん、甘い」
夏子 「解ってるならなりたいなーじゃなくてなりなさいな!
それって賢者の英知とチェーンスペルがなきゃ大魔法引き出せないんだから!
一人で戦う時は究極に弱くなるでしょ!」
麻衣香「解ってはいるんだけどね。そう上手くいかないよ、ほんと」
ヒロちゃん率いる素晴らしき7人は、
ヒロちゃん以外は全員隠しジョブになったにはなった。
でも、手に入れた素材のひとつがレプリカだったらしく───
ジョブ能力を発動させる回数が限られてるらしい。
レプリカだったのは銀の手。
ジョブチェンジしてからナビステータスの画面に妙なマークが出ていることに気づいて、
調べてみればレプリカ。
なんでも古の頃に存在した盗掘団がバレないようにと、
王家の指輪や銀の手を交換していったんだそうな。
と、ここまでがナビの調べるで解ったことらしい。
だから事実上、ちゃんとしたジョブチェンジが可能だったのは、
混成ジョブ……キングストーンと昆虫を合わせて至った清水くんだけってことになる。
何故って、火除けの指輪もニセモノだったらしいのだ。
考えてみれば解ることで、盗掘団なんてものが代わりに置いていくものに、
火除けの指輪なんて高価なものを置いていくわけがないのだ。
そんなことを聞いたからには、じっとしてるのももったいない。
そんなわけで我ら原中が猛者たちは行動を開始。
この広いフェルダールを練り歩き、隠しジョブのための武具を探すこととなった。
……ああ、ちなみに言うと藍田くんに渡した武具の中のひとつ、
黒の篭手もレプリカだったらしい。
耐久力が限られているらしく、敵を殴りすぎると壊れてしまうとか。
あ、いや……ちょっと違う。
黒の篭手自体は本物なんだ。
けど、保存状態がよろしくなかったらしく、かなり劣化しているんだとか。
そんな状態で機神黒掌なんて奥義を放っちゃったらしく、
これ以上振るうのは危険なんだとか。
だから猫の鍛冶屋に相談してみたらしい。
……んだけど、黒の篭手の素材っていうのが闇の守護竜の素材を必要とするらしく……
結局、藍田くんは“なにかの拍子に壊れたらヤバイから”という理由で、
隠しジョブ状態を解除してるんだとか。
麻衣香「上手くいかないもんだねぇ……」
夏子 「なにが?……って、ああ、隠しジョブね」
殊戸瀬「いっぺんに見つかった時点で少しは疑うべき。……浮かれすぎ」
まあ、そうかも。
でも気持ちは解るかな。
だってゲームの中だもん、燥ぎたくなるのは当然だ。
現に睦月だって、大きくなったエルの世話をしてる時は楽しそうだし。
垢抜けてきたって言うのかな。
企みごとも少なくなってきたし、それはまあ少しは喜ぶべきところだ。
麻衣香「それで、何処に目星をつけて探すかだけど」
殊戸瀬「そこらへんの町に入ってパブで情報。これゲームの鉄則」
夏子 「注文はミルクで」
麻衣香「却下します」
ようは盗掘団の話が聞ければいいわけだ。
テイルズシリーズで言う、アイフリードの財宝みたいな。
なら海に関係してる場所がいいと思う。
海、といえば……シヌラウマとかノースノーランドとかそういうところだろう。
王国に行って話を聞いてみるのもいいし、
巨大図書館みたいな場所があればそこで調べるのもいい。
あとは古の時代に詳しい人に聞いてみるとか。
猫……アイルー種や妖精、ドワーフたちは知っているには知ってるらしいけど、
残念ながらそのあとどうなったかまでは知らないらしい。
そりゃそうだ、いちいち調べてたらキリがない。
麻衣香(さて、どうしたものか)
今さらだけど状況の確認。
現在わたしたちはセントール王国跡に来ている。
巨人族の手によって滅びたそこには、もうかつての名残なんて微塵もない。
文字通り粉々……だけど、探せば多分書物くらいある。
そんな期待を胸に、わたしと夏子と睦月でここまで来たわけだけど。
夏子 「うわー……この中から探すの?」
殊戸瀬「地道な作業になりそうね……」
麻衣香「なにをおっしゃるウサギさんっ、
わたしたちには疲れ知らずとステータス移動という心強い能力があるじゃない。
さあ仕事仕事っ、ちゃっちゃとやっちゃおうっ」
夏子 「うへー……」
見上げれば蒼い空。
今日も快晴だ。
これで空を、狂ったように飛びまわる飛竜が居なければまだよかったのに。
エルは睦月のペット扱いになってるから“まだ”大丈夫みたいだけど、
睦月の話じゃあ時間が経つにつれ震えたりなんだりと、
状態に異常が出てきているらしい。
今回の情報探しには、その件を調べることも予定に入ってる。
晦くんのお蔭での異常らしいけど、こういう世界だ、きっと治し方だってある筈だ。
夏子 「提督夫人〜!瓦礫はどっちに集めよっか〜!」
麻衣香「その呼び方やめてってば!」
ふと、離れた場所でぶんぶんと禍々しい杖を振るってる夏子が居た。
杖、というか……なんて喩えればいいんだろう。
とにかく、時の大地の時の回廊で作った合成武器を強化していったものを振っている。
妖刀ニヒルとか凶々しい呪い系のものを盛りだくさんに合成させたものだ。
もちろん既に呪いは反転して、
聖なる闘気を纏ってるくらいなんだけど……形までは変わらなかった。
だからあのまま。凶々しいままなのである。
と、外見への苦笑はこのあたりにして、わたしは瓦礫を捨てる場所を指定した。
どうせ荒地だ、どこをヘコませようが勝手だろう。
夏子 「それじゃ……GO!パパトスカーニ!ネクロードの名において命ずる!
我が魔力を糧に力あるものへとその身を造れ!汝の名───ランサー!!」
夏子が地面から合成サーヴァント“パパトスカーニ(骨)”を召喚!
さらにその骨に魔力を送るとそれを肉とし、身体を構成させてゆく!
やがて完成した姿は───青を象徴とした槍のサーヴァント、クーフーリン。
ランサー『……お、よーお主サマよ。俺を呼ぶなんて珍しいじゃねぇか。
で?敵は何処だ?どんなヤロウだろうが一分掛からず穿ってやるぜ』
夏子 「この瓦礫どかして」
ランサー『…………待て。お前、サーヴァントをなんだと───』
夏子 「ど、か、し、て?」
ランサー『……お前、絶対にろくな死にかたしねぇぞ』
夏子 「心配してくれるんだ、ありがと」
ランサー(皮肉すら通じねぇよ……ったく)
ぶちぶちと言いながらも瓦礫をポイポイ投げてゆくランサーが、物凄く不憫だった。
麻衣香「てっきりバーサーカーでやると思ったのに」
夏子 「あーダメダメ。バーサーカーに細かい仕事は無理だってば。
あいつは破壊専門だから、
瓦礫どかしてーなんて命令送ったらここら一帯が吹き飛ぶだけよ」
……想像に容易かった。
目に浮かぶよう、って言葉は、多分こういう時に使うものなんだろうね、うん。
───とまあこのように、
夏子はサーヴァントを融合させることでパパトスカーニを誕生させた。
それは骨の剣士という存在だけど、魔力で肉付けをすることで、
融合させたサーヴァントの姿を現すことが出来るスグレモノ。
もちろん肉付けなしでも十分強い骨なんだけど、
回復魔法に弱いという弱点があったりする。
だから普通に戦わせる分なら、魔力は消耗するけどサーヴァントに任せたほうが楽だ。
……でもパパトスカーニの万能性も馬鹿に出来ないんだよね。
剣の腕は一流だし、エクスプロードだって撃てるし。
なんていうか骨にしておくのがもったいない骨なんだ。
最初っからリバースエッジっていう高性能武器持ってるし、
八連斬っていう奥義持ってるし。
……追加して言うと、わたしたちの中で……というより、
ヒロラインの中で未だにナビにCOMPを備えてるのは夏子だけだと思う。
あ、いや、備えてるって意味ではみんな備えてるんだろうけど、
でも使ってるって意味では夏子以外は居ないと思う。
夏子 「カードドロー!パピルサグを召喚!───は〜いキリキリ働く〜!」
パピルサグ『ワガアルジヨ、テキハドコダ』
夏子 「目の前のこの瓦礫。あそこに集めて?」
パピルサグ『……アルジヨ、ワレラハコマヅカイデハ』
夏子 「マグネタイトあげるから」
パピルサグ『マカセロアルジヨ』
ちょろいもんだった。
COMPを使いながら戦ってるときっちりとマグネタイトだのが手に入るらしく、
夏子は通常モンスターを無理矢理COMP融合させては仲魔を作って、
マグネタイトをちらつかせて遊んでる。
さらに加えて言っておくけど、
カードドローとか言ってもただCOMPいじくって召喚しているだけである。
藍田くんや丘野くんが時の回廊でやり始めたことを、夏子が真似してるだけだ。
でも問題もあって、COMP使用バトルをすると、
通常手に入るアイテムがみ〜んな女神転生系のアイテムになってしまうのだ。
だからポーションが手に入る筈だったのに別のものが〜とか……
そんなことももちろんあるわけで。
実際、夏子のバックパックの中はきんたんでいっぱいだったりする。
きんたんがあれば、仲魔が死んだ時に生き返らせられるかららしいけど。
夏子 「カードドロー!メシアンブッチャーを召喚!」
ブッチャー『キェーーーッ!!』
パピルサグに続いてメシアンブッチャーを召喚する夏子。
もちろんすぐに命じて、瓦礫の撤去をさせ始めた。
ブッチャー『アッキェーーーッ!!《ぐしゃあ……》』
そして潰れた。
瓦礫の重さにさえ耐え切れなかったらしい。
……どうしてメシアンブッチャーだけ、アブドラーザブッチャー風なんだろう。
スライムの次に役に立たないと考えていいくらいだ。
奥義……というか攻撃が地獄突きだけだし。
なのにどうしてか、メシアンブッチャーだけは捨てないんだよね、夏子。
……っと、考え事するよりも瓦礫どかさないとね。
───……。
……。
ややあって───ようやくというべきか、
潰れたり折れたりした本がまばらに見つかってきた。
瓦礫はそれこそ山のように積まれてる。
もともとは城っていう巨大なものを象ってたんだからそれも当然か。
ふうっ、と息をつくとともに辺りを見渡してみれば、
未だに黙々と瓦礫を瓦礫の山に投げている睦月と、
ランサーや仲魔とともに瓦礫の撤去を続けている夏子が見える。
見える範囲も随分広がった。
始める前までは、いくら瓦礫といっても見渡せる範囲は広くはなかったのに。
ランサー『なぁマスターよぉ……そろそろ戦わちゃくれねぇか?
こう雑用ばっかじゃ腕も鈍る』
夏子 「ん……そうね。今日は頑張ってくれたし───
ルゲイム、アルゲルイ、ガルディオル、ガルディエル……ほいっと」
ランサーにねだられた夏子は、刃だらけの杖を地面にドズッと突き立てた。
詠唱した呪文はネクロマンサーが唱える邪術の言だ。
それとともに彼女が地面を突くとどうなるかというと───
ゴッ……ゴゴゴ───ドッゴォオオオオオンッ!!!
ブルギガントゾンビ『グゴォオオオオオッ!!!』
込めた魔力の出漁によって、様々なアンデッドを召喚することが出来るのだ───!
でもわたしたちはもう見慣れたもので、わー、今回のおっきいなー、程度にしか思わない。
当の夏子だって、召喚が終わるとランサーに向き直って、軽く笑むくらいの気安さだ。
夏子 「じゃ、コレで遊んでて。魔力結構こめたから、退屈凌ぎにはなると思う」
ランサー『───』
返事はない。
その代わり、クッ……と怪しく笑むと、ランサーはもう走っていた。
そして始まるバトル。
まず足に細かく撃を連ね、振るわれる攻撃を避けつつもまた狙う。
体躯の差があるならやっぱり倒してしまった方が楽らしい。
鬱憤を晴らすみたいに槍術を仕掛けたりルーン魔術で遊んだり、
ふと見たその顔は、戦いを楽しむというよりは遊びを楽しむ子供の顔だった。
最初は避けていた巨大なゲンコツも、今じゃ槍で弾き捌いて遊んでる。
避けるだけじゃ“刺激”ってもんが足りないらしい。
しかしその刺激にも飽きたのか、軽く跳躍すると───
まるでナインボールでも弾くかのような鋭く狙い澄ました突きで、
刹那にしか揃わなかったであろう正中線全てを突き穿ち、これを殲滅。
槍を肩に倒し、両腕を吊るようにして戻ってくる彼はニヒルに笑っていた。
ランサー『マスターよぉ、デカさに文句つける気はねぇけど攻撃が遅ぇよ。
あんな攻撃じゃあ避けられて当然で面白味に欠ける』
夏子 「ん、そう言うと思ってたから次も用意してある。少しは楽しめると思うから」
ランサー『……ハ、理解が早いマスターで助かる』
ランサーがそう言うや、巨大な躯の中から何かが飛び出る。
それは───六つの腕を持ったスケルトンだった。
夏子 「地獄の騎士よ。腕も武器も六本だし攻撃速度も低くない。
おまけに骨だから槍じゃ戦いにくいし、まあ頑張って」
───言われる前に、もう走ってた。
その際、そんな行動も予想してたのかクスクス笑う夏子が、なにやら怪しかった。
ジャガガギギガガガガゴギガギギギィンッ!!
次の瞬間には轟き続ける剣戟の嵐。
まあ一方は槍だけど、武器が武器を弾く音が絶え間なく鳴っている。
そりゃそうか、相手の武器は六本だもん。
麻衣香「あの骨、どれくらい保つと思う?」
ふと気がつけば……面白半分に夏子に話し掛けていた。
賭け事めいた気分だった。
そんなわたしをチラリと見た夏子は……はちきれそうな笑顔だった。
夏子 「ど、どれくらいって……ぷくくくっ……!」
麻衣香「………」
気になって調べてみれば、夏子のTPは0だった。
つまり……それ=あのスケルトンに全ての魔力を注いだってことなわけで。
趣味が悪いなぁ夏子も。
……見れば、ランサーがジリジリと追い詰められている。
それを横目に、夏子は口にグミをほうって笑っているのだ。
ランサー『───チィ、なかなかやる───!』
で、こっちにズザーと大きく距離を取ってきたのはランサー。
その顔はさっきよりも幾分キリッとしてるけど、まだまだ楽しんでる顔だった。
そうしてまた疾駆。
……これはほっといたほうがよさそうだ、わたしのためにも彼のためにも。
麻衣香「作業、続けよっか」
夏子 「ん」
瓦礫処理は続く。
武器と武器がぶつかり合う音をBGMにするように、マイペースにゴシャゴシャと。
ああ、ほんとうに……疲れないっていうのはそれだけで武器だ。
そんなことをしみじみと思えた、とある夏の午後だった。
───……。
……。
そうして……やがて全ての瓦礫が一点に掻き集められた頃。
ランサー『割と楽しめたぜ……これで終いだ』
ふと強烈な殺気を感じて振り向けば、
空気さえ凍らせるような冷たい殺気とともに、槍を斜に構えるランサーが居た。
あの構えは───
ランサー『……いいな、マスター』
夏子 「ぶぐっしゅ!ぷくくく……!う、うん……好きにやっていいよ……!」
夏子はもう悶絶状態だ。
何が楽しいのか───って、あ……
ランサー『“突き穿つ───』
冥哭の泉が発動し、ランサーの能力の封印が解ける。
すると辺りに散らばる殺気の濃度も格段と増し、
息をすることさえ忘れて緊張を走らせるが───
ランサー『───死翔の槍()”!!』
ともあれ、緋の槍は放たれた。
手から離れれば必ず心の臓を穿つとされるそれは、
風を捻り穿ちながら飛翔し───……すぽーんと飛んでいった。
ランサー『……───』
夏子 「ぷがぁっ!ぷわぁああはっはっはっはあははははあはははははは!!!」
夏子はもう完全に悶絶状態だ。
地面をゴロゴロ転がったり地面をトストス殴ったりして笑いまくっている。
……そうなのだ。
必殺の破壊を確実のものとするゲイボルグだが、相手はスケルトン。
心臓なんてとうに無いし、……まあその、既に死んでるわけで。
だからこそ夏子は地獄の騎士を召喚して、ランサーと戦わせたんだろう。
しばらくしてゲイボルグはランサーの手へと戻ったけど、
ランサーは格好のつかない状況に頭を抱えるばかりだ。
麻衣香(……本、読も……)
もう本当にほっといたほうが互いのためだろう。
夏子も心底楽しそうだし、それでいいじゃないか。
……そうしてわたしは、睦月が律儀に揃えてくれた本に目を通し始めたのだった。
───……。
……。
本は、それこそいろんなことがズラズラと書かれていた。
難しい本であることには変わりはないけど、一応読める。
空界文字、天空城で勉強しといてよかった。
麻衣香「えーと……うーん、やっぱり漫画とか小説みたいに目次なんてないか」
見れば、ページ数すら書いてない。
まあ当然だろう、わたしたちがそういうものに慣れすぎているだけなんだ。
しかもこれは本にしようとして書かれたものとは違うらしい。
日記というか、これを書いた人が書き記したいことだけをズラ〜っと書いただけのものだ。
……多分、ここにある本の大半がそうなんだろう。
だから世には出回ってない。
研究的な文章があるとすれば、
それはそれを書いた人が自分の感性や憶測やらで書いたものと考えて、間違いはそうない。
麻衣香「王家の指輪……盗掘団……火除けの指輪……えと……」
ずず〜っと指で追うようにして呼んでゆく。
飛ばし読みみたいなものだ。
けど、探しているものっていうのはこれでなかなか見つからないものだ。
インターネットで見たい文章とかがあって、
それを探してたら大体がページの一番下にあるとかそんな嫌なタイミングを思い出させる。
だったらまず探すのは下から〜って、下から見た時に限って上からちょっと下、
なんていう中途半端な場所にあったりするのだ。
探し物って、それだけで腹が立つ時が結構あると思う。
麻衣香「はぁ……こりゃ大変だぁ……───?」
ふと。
隣で古書を漁っていた睦月の手が止まっていることに気づいて、ソッと覗いてみる。
すると……『古竜種、パピィの生態』と、乱雑に書かれた文字列を目にする。
“パピィとは、いわゆる月の竜である。太陽の頭を持つ気色の悪いオヤジではない。
月光竜と呼ばれるソレは、いわゆる守護竜として数えられているが、
気性は穏やかであり、争いは好まない。
もっとも、会話が出来るわけでもない私にしてみれば、
確たる証拠など導き出せるわけもないが。
月の守護竜……その小ささからパピィと名付けたが、
パピィはとても不思議な竜種である。
陽の出ているうちは銀色の体色をしているが、
夜になるとまるで自身が月にでもなったかのように金色に輝く。
月の竜は神秘の塊なのだ。あの偏屈者のレニオスの研究によれば、
月の竜の鱗には万能薬的な効力があるのだとか。
神秘を信じた馬鹿者が巣から鱗を持ち帰り、
余命幾許もない娘に飲ませたら全快したと聞く。果たして真実かどうか───
だがもしそれが本当なのだとしても、それを公表するわけにはいかない。
神秘は人の手には余る奇跡だ。
それを求め、月の竜を刺激すれば、奇跡を手にする前に人々は滅びるだろう。
小さいからといって、相手は竜だ。しかも守護竜として数えられる竜種の一。
我らがどのような手段を用いたところで、敵うべくもない。”
麻衣香「………」
ペラリペラリとめくられてゆくページに目を通す。
それだけで、睦月が何を望んでいたかが理解できた。
───万能薬。
月の竜の鱗が本当にそんなものになるのなら、エルの異常だって治せる筈だと。
でも……それはおかしい。
月の守護竜なんて、届いたメールには書かれてなかった筈で───
殊戸瀬「あ……」
麻衣香「?……、───」
睦月が声をもらした……その理由はなんなのかと文字を追った。
そして───その理由はすぐに見つかった。
“……この研究も全てが無駄になってしまった。
なんということだ。……デスゲイズ。ヤツの存在が私の人生そのものを打ち砕いた。
守護竜は殺されても転生する。だが……出会った相手が悪かった。
ヤツの呪いを受けて無事で済むわけがない。
待てども待てども転生しない事実が、それを物語っている。
パピィの研究は私の生き甲斐だったというのに。こんな現実があるか。
私の全てが一刻もしないうちに砕けてしまった。私は……私は……!”
……つまり。
月の竜なんてものは、もう居ないと。
万能薬なんてものはなく、エルは苦しみ続けるだけだと……。
殊戸瀬「っ……」
ページがめくられる。
そんなことはウソだと言うかのように。
いたたまれなくなったわたしは次の本を手に取って、目を通していった。
……そうだ、ゲームの世界だからってなんでも思い通りに、
なんでも助かる方法が見つかるわけがない。
万能薬なんて、ゲームによってはどこかで売られているようなものだけど───
実際にあったら奇跡の秘薬もいいとこだ。
地界に持って帰ったら世界が引っくり返る。
……ふと、そんな思考を掻き消す、バン、という音。
見れば、涙目の睦月が古書を地面に叩きつけていた。
麻衣香「………」
声をかけるのは無粋だ。
だからわたしは、静かに目を通していった。
欲しい情報があるかも解らない、古書の山の一つへと。
希望を持つことは悪じゃない。
この、竜族が狂うなにかがずっと続くにせよいつかは消えるにせよ、
治せるのなら治したいって思う睦月の気持ちは解る。
……望んだわけじゃない、ただ傍に居たのが竜族だっただけ。
それなのに、その目は涙に濡れていた。
……世界って上手くいかないもんだ、そんな時だってある。
でも、そうやって納得出来るほど、素直でなんていられないんだ、わたしたちは。
……と、今度はそんなやるせなさを掻き消すようなtellの音。
場の雰囲気に似合わないナルルルという音を耳に、溜め息をひとつ吐いてから出た。
麻衣香「もしもし?───って、ヒロちゃん?」
声 『うむ俺である。元気ですか?僕は元気です』
麻衣香「うん、元気だけど───って、少し前にtellもらったばっかじゃない」
声 『ままま、気にしない気にしない。思い出したことがあってtellしただけだから。
……確かお前、セントール跡に古書探しに行ってたんだよな?』
麻衣香「うん、今もう掘り起こして見てるとこだけど───」
声 『丁度良かった。月の竜の育て方が載ってる本ってあるか?』
麻衣香「うん?えっと……研究ノートみたいのならあるけど……どしたの?」
声 『いやさ、今俺月光竜の卵っての持ってるんだけどさ、
どうすりゃ孵化するのかが解らんのだ。だから調べてみてくれないかなーって』
麻衣香「───」
殊戸瀬「───」
いつの間ににじり寄ってたのか、耳元に睦月が居た。
真剣な顔で、耳を傾けてる。
麻衣香「え、と……月の竜って、守護竜の?」
声 『んー……他に居るなら訊いてみたいが、その通りだ。
や〜、光の塔で発見したんだけどさ。これがまたちっこいのなんのって。
なんでもデスゲイズに呪い受けた所為で転生出来なかったとかで、
卵を残して死んだそうなんだけど───』
……ビンゴらしい。
どうしてわたしのダンナはこういう時のタイミングが凄くいいんだろう。
時々、本気で尊敬してしまう。
それとともにさすがって気持ちが溢れ出て、……まあその、惚れ直してしまうというか。
とにかくやる時はやってくれるこの人が、わたしは嫌いではないのだ。
ふざけが過ぎるのがかなり傷だけど。
でも……研究書物には卵の孵化のさせ方なんて書いてなかった筈だ。
何故って、守護竜を孵化をさせた研究者なんて、恐らく居なかっただろうから。
けど、けどだ。
もし孵化させることが出来たなら、その鱗で───
麻衣香「ね、ねぇヒロちゃん?お願いがあるんだけど」
声 『すまん……髪の短いお前をポニーテールにしてやれる方法を俺は知らない……!』
麻衣香「そんなこと願ってないってば!その卵のことなんだけどっ!」
声 『卵?……ああ、この卵か。名前はトニーにしようと思ってる。
知ってるか?ワイルドアームズは
トニーに始まりラギュ・オ・ラギュラに終わるんだ』
麻衣香「知ってるけど自殺しそうだからその名前はやめて」
声 『そ、そうか……。お前まで俺のことネーミングセンスがないっていうのね……』
麻衣香「実際ないでしょ?ほら、いいから聞いてよ」
声 『………なに?』
悲しそうな声が漏れてきた。
どうしてこの人は精神的に寂しくなると、子供っぽい口調になるんだろう。
戦ってる姿はまあ……わりと格好いいと思うのに。
麻衣香「その月光竜なんだけど。孵化したら鱗を一枚くれないかな」
声 『……産まれたばかりのベイビーから鱗を一枚剥げと?阿修羅か僕の妻は』
自分の妻を阿修羅とまで言うか、わたしの夫は。
声 『え、えーとね?俺今日さ、嫌な夢見てさ。
あんまりそういう残酷なことしたくないなーって』
麻衣香「残酷って。ゼニマンティス罠にハメてボコったって清水くんが言ってたけど?」
声 『───あ、清水、いいところに。今からちょっと海に飛び降りて溺死して?』
声 『い、いきなりなんてことを!!』
麻衣香「はいはい人に当たらないの。で、なにか言い訳ある?」
声 『うーむ……ないな。俺は差別は嫌いだ。モンスターだろうが生き物は生き物。
それをむごたらしくボコったこと、今此処で認めよう。
だがしかしなぁ……鱗を剥ぐというのはどうかな……』
麻衣香「ダメかな。古書によると月光竜の鱗が万能薬になるらしいの。
ほら、今竜族が暴走状態でしょ?
最初は大丈夫だったんだけど、睦月のエルにも異常が出てきてさ。
その万能薬があればなんとかできるかもしれないの」
声 『お、俺が……剥ぐのか。無垢なままで産まれてくる小さな竜から。
あ、ちなみに今の“無垢”ってのは“剥く”とかけたハイセンスギャグで』
麻衣香「で、どうかな」
声 『無視ですか……』
我が夫がつまらないギャグを言う時は、その事態を必死になって曲げようとしている時。
曲げられないって解ってるからこそテンパってなにも言えなくなるのだ。
声 『じゃ、じゃあ俺が居ないところで誰かにブチャアと……漢らしくない!
じゃあ俺が見ているところで───ダメだ見過ごせない!!
だったら───だったら!?お、俺がやるしかないのか!?
否!じゃあこうしよう!俺達で激しいバトルを繰り広げるんだ!
どちらが勝ってもおかしくない熱い戦いを!
そんな中で清水が散り、永田が散り……戻って来た清水が散り、
誰も散らずにもちこたえ……戻って来た清水が散り───
そして戦いが終わった時、俺達は墓を立てるんだ。
散った清水のために、戻って来た清水を生き埋めにして。
で、十字架を立てるんだよ。彼が天国にいけますようにって、
埋めた清水の心臓目掛けてゾブシャアって』
声 『ちょっと待てどんな物騒な話してんの今!俺散りすぎじゃない!?』
声 『おお清水いいところに。ちょっとそこで今すぐ白骨化してくれ』
声 『すげぇ無茶苦茶な死に方要求すんなよ!つーか死んでも塵になるだけだろ!?』
声 『じゃあいいよもう腐乱死体で!』
声 『どの道塵になるって言ってんだけどね俺!!』
声 『じゃあ今すぐノートン先生に掛け合って蘇れないように』
声 『すんなぁああーーーーーーーっ!!!!』
tellの先が物凄く賑やかだった。
こっちはそれどころじゃないのになぁ。
麻衣香「えーと……ところでさっきも訊こうと思ってたんだけど───なんか声変わった?
ちょっと引っかかることがあるんだけど」
声 『声?あー、声ならいろいろあって変わったぞ。
いろいろっていうのも海に沈むためのアレコレだけど。
然の力を極力抑えるために、俺の喉に賭けられてたマホーは撤去されました。
だから音痴に戻ったし声もやっぱちょっと変わった』
麻衣香「そうなの?そっちもいろいろあったんだ」
声 『いろいろありすぎて困ってるくらいだ。
だからさ、月光竜のことは検討の方向で頼む。
なんなら産まれたあとの卵の殻でも万能薬になるかどうか試してみるのもいい』
麻衣香「あ……そっか。中の竜を形成してゆくのが殻なら、そういう効果も───」
声 『うむ!適当に言ってみただけだが信憑性が出てきた!
……つーか普通に直す方法ってないのかな。
おーい諸悪の根源激神モミーザ〜!竜族を落ち着かせる方法知らんか〜?』
声 『誰がモミーザだ誰が!
……こっちだってディルの調子がおかしくなってきてるんだ、
知ってるくらいならもう実行に移してるよ』
声 『今すぐ編み出してくれたら僕が持ってる竜族の血を進呈!
さらに木村夏子二等に竜力浮上の儀式を頼んであげよう!』
声 『ここぞとばかりに卑怯だぞてめぇ!!』
うん、実にクズだった。
話には聞いてたけど、そっか。
やっぱり晦くん、まだ竜族の血を取れてないままなんだ。
麻衣香「晦くん、それってヒロちゃんから訊いてたのとはちょっと違うみたいなんだけど。
竜族でも、使役してる限り大丈夫なんじゃないの?」
声 『ああ、だから困ってるんだ。
ディル自身が問題ないって言ったのに異常が起きてる。
ノートたちがなにか適当に遊んでるのか、それとも───』
……それとも、ルドラたちがなにかを始めたのか。
晦くんはそう小さく口にして、黙った。
もし後者なのだとしたら、回復の方法なんてないかもしれない。
何故って、ゲームの中で起こりうるイベントの範囲外の問題だからだ。
設定としてあるものは設定である以上、それ以外の……イレギュラーっていうんだろうか。
想定外のことにはあまりにも弱すぎる。
声 『とにかく、竜玉に入ってもらってる限りは
空気に犯されることはないみたいだから、殊戸瀬にそうするように言ってくれ。
竜族の暴走については俺に責任がある。それはこっちでなんとかするから』
麻衣香「……ん、解った。でもヒロちゃん?
可能性はあるんだから鱗のこと、考えといてね」
声 『ごぇええええ〜〜〜……?』
麻衣香「心底嫌そうな声ださないの。仲間を助けるためと思って、ね?」
声 『約束はしないぞ?カラでダメだったら他の方法を一度探すこと!
そんでどうしてもダメだったら……仕方ない、
産まれてくるベイビーに相談の上、鱗を頂戴することにするさ』
声 『ああ、そういや提督はどんな生き物の声も聞けるんだっけか』
声 『スキルの人器が高ければ高いほどなー。
1レベルでも大抵のものの声は聞けるけど』
声 『そのジンギってのは?』
声 『人の器って……こう、書くんだが。
感情の高ぶりやら思いやらで能力がUPするスキルだ。
高ければ高いほど、いろんな能力が上がるらしい。
で、その中に声を聞く能力も混ざってるってわけさ』
声 『へえ……今はどんなものの声が聞こえるんだ?』
声 『モンスター全般、かな。草花の声も聞こえるけど、
集中しないとどれも聞き取れなかったりする。
今のスキルレベルは2.5。俺の成長と一緒にレベルが上がったりするみたいだ』
麻衣香「成長って、レベル?」
声 『や……多分人としての成長』
ああ……それは大変そうだ。
なにせヒロちゃんだ。
声 『でも2.5にもなればちったぁ変わるもんで、
少し意識すれば野菊の声でもどんとこいだぎゃあグエフェフェフェ……!!』
声 『どうしてお前って言うことがいちいちダークサイドなんだよ』
声 『時と場合に寄るが、それは俺が悪であることを前提に生きているからである!』
麻衣香「ま、まあ、うん……とにかくよろしくね。こっちはまだ調べごとがあるから」
声 『おー、じゃーな〜麻衣香〜。というわけで晦一等兵!
竜力が欲しくば頑張るがいい!ちなみに俺は一切助力しねー!』
声 『おぉおおおおお言うだけ言って放置かてめぇええーーーーーーっ!!!!
俺だけでやるよりみんなでやったほうがすぐ終わるだろうがぁあああっ!!!』
声 『うーるーへー!!だぁれの所為でこんなことになったと思ってんだこのモミ!!
じっくりゆったりやるつもりがこっちはバトル地獄だコノヤロー!!
そりゃ確かに能力の解放をさっさとしたいことは確かだ!
だがこんな、暴走により血気盛んになった竜族どもと
戦いたいだなんて思っちゃいなかったわー!』
声 『だぁあああしつこい!悪かったって言ってるだろうが!
いい加減そのことは忘れろ!』
声 『よし忘れたうむ忘れた!言いたいことは言ったししつこいのは無しだ!
でも解決策を見つけるまでは竜の血も木村夏子の紹介もくれてやらねー!!』
声 『うぅうおおおおおおっ!!ほんっと意地の悪いヤツだなお前はぁああっ!!』
……ブツッ。
なにも言わずに切ることにした。
どうやら向こうは向こうでいろいろありすぎるらしい。
紹介がどうとか言ってたけど、なんのことなんだか……。
麻衣香「……っと、それより古書古書……とわっ」
殊戸瀬「………」
……そうだ、睦月、隣で聞いてたんだっけ。
会話に集中してて忘れてた。
すぐ横に居たのに、わたしもこれで結構神経が太いらしい。
殊戸瀬「……ようは、提督が持ってる卵が孵化するまでの辛抱ってことね」
麻衣香「……うん、そうみたい。それまではエルは外に出さないでおいて、だって」
殊戸瀬「そう……」
睦月が首に下げている竜玉を撫でる。
何度か突付くことが召喚の合図となるそれを、ただ悲しそうに撫でていた。
わたしはそんな睦月を横目に、ただ古書を漁るしかなくて───
ランサー 『ぬああああああーーーーーっ!!!』
地獄の騎士『キョケケェエエーーーーーッ!!!』
いや。……未だに続いてる騒音を耳に、
集中することも出来ないまま頭を抱えるしかなかった。
あ〜……王家の指輪とかってどこにあるのかなー……探さなきゃいけないのにな〜……。
麻衣香「古書ってどれだけあるのよ、もぅ……」
結論。
古書を読むにも集中出来ず、話をするにも雰囲気が重く、
今や八方塞状態の自分には何も出来ることなどありはしなかった〜……。
……寝ようかな……うん。
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