───冒険の書232/VS霧闇竜(中)───
【ケース561:中井出博光(再々)/命の炎を灯しつくせ!】
───ズザァッ!!
中井出「ッシャアーーーーーッ!!」
待ち受ける決戦を前に、臆することなく立ち向かうッ!
示せッ!これぞ勇気ッッ!!
この太陽の下に集いし戦士たちこそ、これより闇の守護竜を屠りし者!!
確実に屠れる自信があるのか、なんて質問は却下する!
何度死のうが絶対に屠る!それ以前にそう簡単に負けられるかって意気を持つ!!
覚悟を決めるというのは、なにも死ぬ覚悟だけを決めるのではないのだから!
中井出「ハイル!我が上に在りし月の女神よ!
もうなんでもいいから我に加護を!《シャランラァアア……!》」
心に宿した覚悟を糧に、ダークドラゴンを前に然の増幅を図る。
遺跡内でやったのと同じだ。武具に宿る月属性で然の力を増幅、力とする!
……筈なんだけどなんだかヘンだ。
何故か俺にだけスポットライトを浴びさせるように、眩い光が降りて……
ピピンッ♪《光合成が発動!武具に然の力が満ちてゆく!》
中井出「……あれ?───光合成!?
ならば回らなければ!《くるくる……》ってなんか違うだろコラァーーーッ!!」
遥一郎「いつから光合成できる人間になったんだお前!」
中井出「ち、違うよ!光合成って……あれぇ!?
俺たださっきみたいに月の力で然の能力を増大させただけだよ!?
ちょ……待ってよ引かないでよ!違うんだってば!
イセリアさん!?イセリアさーーーん!!設定ミスだよねこれ!
それとも俺っていつの間にかピグマイオイになってたの!?」
(注:ピグマイオイとはFF11に出てくるマンドラゴラモンスターです。
時折、光合成しながらクルクルと回転してHPを回復します)
───ってそんなのどうでもいいさ!
今は戦いに集中するんだ俺!
真に覚悟を決めた俺は、普段とはちょっぴり違うぜ!?……多分!
ダークドラゴン『ほう……地を掘ってでも逃げ出すと思えば、
健気にも我が前に降り立ったか。
いいのだぞ、無理などせずとも。逃げる者を追う嗜好など我には無い』
中井出 「やばくなれば全力で逃げる!そう言いながら、
ヒートアップしちまう所為で大抵逃げずに最後まで戦ってるけどね!
だから先に言っておく!
たとえどれだけ苦労しようとも恐怖に怯えようとも、
貴様を倒して戒めの闇宝玉を手に入れる!
あの、その、だからつまりなにが言いたいかっていうと、
死にたくなければ宝玉出してぇえええええっ!!!」
遥一郎 「悲しいくらいに逃げ腰じゃないか!!」
中井出 「無益な戦いをせずとも済むのです……なんと素晴らしい」
遥一郎 「その言葉を放つなら、脚は震えてないほうがいいと思う」
中井出 「うぐぅ」
タイヤキ……ってそれはいいのですもう!
けど巨大化した竜を前に、冷静で居ろってのは無茶ってもんだ!
こればっかりは常識破壊を常とする原メイツだろうと無理!無茶!
ならばどうするか……!?戦って、恐怖に慣れるしかあるまいよ!
そんなやり方でしか、俺は心の準備が出来ないのだから!
人間、どれだけ待ったって心の準備なんて出来やしないのだ!
飛び込んで、その中で慣れるしかない!
知るがいい竜の者───地界の回路とは即ち順応!
貴様への恐怖……戦の中で飲み込んでくれようぞ!
ダークドラゴン『震えは当然だ。人間ごときが竜族の前に立つなど、
勇気とは言わず無謀と謳うのだ』
中井出 「フフフ、知るがいい竜の者よ……どういう路線変更かは理解出来んが、
急に萌えとかゆーのに走る漫画が物凄くつまらんように、
相手が強敵だからとただひたすらに逃げるだけの日々などつまらんもの。
だから俺は貴様と対峙しているのだ」
遥一郎 「相変わらず脚は震えてるけどな」
中井出 「震えは当然だって言ってくれたんだからそこはスルー!
───いくぜダークドラゴン!貴様にはなんの恨みもないが、
先に進むためにとりあえずブッ殺す!」
ダークドラゴン『いっ……言うに事欠いて“とりあえず”でか!!』
中井出 「とりあえずでだ!!」
迷ってる理由も、戦う理由を探す時間も俺にはもう残されちゃいないんだ───!
たとえあの未来に辿り着いたとしても、死んでしまうよりも生きれる方法を絶対に探す!
家族を残して死ねない!未来が運命って言葉の所為で固定されてても、
あんな未来は受け入れられない!
地界で、この世界で経験したことを、運命だからって手放したくなんかない!
───足掻いてやる!どこまでも、何処までだって足掻くんだ!
その全てをとりあえずって言葉で括って突っ走る!
中井出「───いけホギー、じゅうまんボルトだ」
遥一郎「猛る漢の顔しといて言うことがそれか!」
中井出「しょぉおおがねぇだろうが魔法か属性攻撃じゃなきゃ通用しねぇんだから!!
お前なにィイイ!?呪いや戒めの解放の所為で満足に属性攻撃も出来ない俺に
いったいなにを望んでんのォオオオオ!!?」
ナギー『遊んでいる場合ではないぞ!くるのじゃ!』
中井出「OKナギー!シード、遠慮なくバンバン魔法使え!」
シード『はい!父上!』
中井出「サチねーさん!フルウノングンは実体化した時にお願い!」
佐知子「言われるまでもないわよ、任せときなさい」
中井出「その他戦闘に参加しない者は、影ながらサポートを!
つーかトッスィー!貴様は絶対に死んじゃならぬ!!
何故ならば!貴様が死んだら報酬金が貰えないからだ!」
俊也 「随分と嫌な護衛理由だなぁくそ!!───けど仕方ないよな……夏純、いくぞ!」
夏純 「……《こくこく》」
さあやるべきことは伝えた!
って言っても各自に戦いの始まりを伝えただけだが───
戦いの中ですべきことなんてのは自分で決めるべきに違いねー。
現に、
ナギー『ヒロミツ!わしは後衛に回るのじゃ!』
中井出「うむ!」
シード『僕は攻撃魔法を!』
中井出「頼んだぞシード!」
何も言わなくても、こいつらは動くのだ。
この世界は動いてる。
たとえ作られた存在だろうが、もはやここまで意志を育てた者は我らと同じ意志を持つ者。
ならばなにを縛る必要があろうか。
中井出「よっしゃーーっ!俺も俺なりに頑張るぜ〜〜〜っ!
ていうかナギー?キミもどうせなら魔法でズドーンと」
ナギー『先だって申しておいたであろ、わしは争いは好かんのじゃ。
サポートくらいならするがの、直接攻撃を下すなど以ての外じゃ。
まあわしに直接攻撃を仕掛けるのであれば話は別じゃがの……』
中井出「素晴らしい」
ならばなにも言うまゴパァン!!
中井出「ゲファーーーリ!!」
ナギー『ヒロミツ!?』
中井出「いがっ……!だ、大丈夫大丈夫……!」
突如として俺の左側面を襲った激痛。
吹き飛ばされた俺は訳も解らないままに体勢を立て直し、
何事かと立っていた筈の場所を見てみれば───
丁度、闇の霧がゾルゾルと掻き消えていくところだった。
……なんと愚かしい。
突如もなにもない、きちんと敵だけ見てれば突如なんてことにはならなかった筈だ。
気ィ引き締めろ、俺!適度に明るく時には暗く!
優雅に……そして力強く!!
遥一郎「───、」
中井出「───!《コクリ》」
吹き飛ばされた俺を、一応気遣うような視線だけ寄越すホギーに頷いて返す。
吹き飛ばされたりはしたが、会話中は極力VITマックス!
だから今の攻撃もそこまで効いちゃいない……って言いたいところだが、
なるほど本性ねぇ……!防御に集中しててもダメージはデカイぞこいつの攻撃……!
中井出「エジェクション!《ガシャァンッ!》」
ならばと、気を引き締める意味も込めて声高らかにエジェクション!
ジークフリードからテオスラッシャーを解除して背面の鞘に納めると、
次はウヒョオオオオオオッ!!?
中井出「《ガギャアンッ!!》ホキャーーーッ!!?」
続いてエジェクションを実行しようとしたら、なんとダークドラゴンが奇襲をかけてきた!
ダークドラゴン『こういう時に仕掛けるのだったな!?人間!!』
中井出 「じ、実に了ッッ!!でもなんか相手にやられると悔しい!」
ダークドラゴン『なにをしようとしていたのかは知らん!
だが我はもはや、貴様だけには注意を払う!』
中井出 「エェッ!?いやちょ、待っ……《ゴギィンッ!!》いがっ……!
ちょちょちょちょっと待てぇえーーーーーっ!!
だからなんで貴様真っ先に俺を狙うの!?
いくらこの博光が悪辣外道を尽くす者だからって、
なにやら納得いかないことがあるんですが!?と言いつつスラッシュ!」
ダークドラゴン『無駄だ!!《ボファァンッ!!》』
中井出 「あっ───ヤロッ!」
謎を口にしつつも攻撃を連ねようとしたが、
ダークドラゴンは自分が好き勝手に攻撃をするとさっさと霧になって攻撃を避けてみせた。
ぐぬう……!遺跡でのあいつとは段違いなくらいに攻防のスイッチが早いぞ……!?
闇の霧『貴様を狙う理由なぞ簡単だ。貴様が腹立たしいからだ』
中井出「そんなストレートな理由で!?」
もっとなにかあるでしょほら!
た、たとえば武器が強いからとか能力が厄介だからとか!
なのに守護竜ともあろう者がそんなメンタル的なことで……!
って言ってる間にガギガギゾギゾババババッ!!!
中井出「いっ……!」
鋭い棘のようなものに変化した霧が俺達……つーか俺を襲う!
最初の部分は剣で弾いたが、速すぎて全部弾くなんて無理があった。
だが傷ついた体もナギーの歌によって回復し、塞がってゆく。
それは素直にありがたいんだけど……まいった、こいつ滅茶苦茶戦い辛いじゃないか。
遺跡に居た方がまだ閉じ込めてるって感覚があって戦い易かった。
───だがそれはこちらも同じ!
魔法操者や回復役が揃った今、我らはさらに己の役割のみを遂行すればよくなったのだ!
遥一郎「細かに輝く閃きよ───集いて弾ける光となれ!ブライティアバースト!!」
シャンッ……!キュバァシャアアアッ!!!
闇の霧『なにっ!?ぐぉあああっ!!』
闇が一点に集中するのを詠唱しながら待っていたホギーが、今こそ好機と魔法を放つ。
棘と化して俺を傷つけていき、後方で密集したソレを襲う輝く爆発はまるで真っ白な太陽。
それだけでも十分に虚を突かれたのか闇が散開しようとバラけるが、
遥一郎「消えろ!《ギキィンッ!》プリズムフレア!!」
一度詠唱魔法をヒットさせたら、
意地でも追加魔法を完成させる……それがホギーズマジック!!
四方八方から出現する光の球体が、
散開しようとした闇の霧を再び一箇所に集めるかのように虚空へと集い、
やがてヂガガガガガォオオオンッ!!!
耳を劈く轟音を奏で、闇を斬り裂く───!!
だが当然と言うべきか、そんなものでやられてくれるなら苦労するはずもない。
中井出「《ゾリュッ……》んなっ───!?」
爆発音が消えたのと、俺の影からヤツが出たのとはほぼ同時だった。
だが甘し!貴様がホギーの魔法に驚いてる最中に、
俺はもうとっくにエジェクションを済ませてゾブシャアッ!!
中井出「っ……!ガァアアアアッ!!」
振り返るより早く、ダークドラゴンが闇の剣を俺の脇腹に突き刺す。
けどその痛みを歯ァ食い縛ってでも耐え、俺はわざわざ準備した能力を解放させた。
中井出「エネルギー……全開!!ジュースティングッ!スラッシャァアーーーーッ!!!」
キュォアゾギィイイッシィイインッ!!!
が……己の影に向けて放った一撃はしかし、何も穿てないままに終わった。
ヤツは影に沈むと、崩壊した遺跡の瓦礫の影から飛び出してきたのだ。
中井出「……、こ、のやろ……!《ズ……ブシャアッ!!》
せっかく面倒なことやって発動させたってのにこのっ!」
脇腹に刺さった闇の剣を力任せに抜いて捨てる。
その間にもホギーとシードは魔法攻撃を続け、ナギーは俺を癒してくれるのだが……
あんの野郎、ほんとに俺しか狙わないつもりか?
くそう、何故こんなことに……!
……いや、何故もなにも、俺が外道の限りを尽くしたからなんだけどさ。
ともあれ、せっかくのジュースティングが無駄になってしまった。
佐知子「面倒なことって……あんた、属性攻撃出来ないんじゃなかったの?」
中井出「そんなもの、やり方一つでどうとでもなるのさ!……使用時間が限られるけど」
そのためにエジェクトした武器たちです。
そして、どれだけ呪われてようが工夫次第では案外自由に行動出来ることを、
俺はジークフリードに教えられました。
怒られてしまったよ、もっと俺達を信じろ、そして理解しろって。
中井出「……、……───よし!2分経過!───アイテムマグニファイ!
ソーサラーリングより雷属性を抽出!
そんでもってテオスラッシャーにエンチャント!
それらを出しておいた疾風剣と神速剣もろともジークフリードに戻してぇえっ!!
───マグニファイ!!《ゴシャァッキィンッ!!》アァーーーンド双剣化!!」
そう、考えてみればひどくあっさりとした方法だった。
ソーサラーリングにアイテムマグニファイを通せば強い属性の力を得られる。
それをウェポンストック中のテオスラッシャーに封入すれば、
ジークフリードに強い属性が宿る……そんな簡単な理屈だった。
だが今からやるこれは、やっぱり全部の武器を一纏めにしたジークフリードでやりたい。
中井出「サチねーさん、チャンスはきっとすぐ来るから準備よろしく」
佐知子「え……?ちょ、ちょっと!?」
中井出「ウォーーーーリャーーーーーッ!!!」
ジークフリードを両手で持って疾駆する。
向かう先は当然霧化したダークドラゴン。
闇の霧『───、ルォオオオオオッ!!!』
ヴォンガガガガガガォオンッ!!!
遥一郎「っ……!?」
シード『そんなっ……!僕の魔法が───!?』
ダークドラゴンも、無謀にも突っ込んでくる俺に気がついたんだろう。
放たれ続ける魔法を鬱陶しそうに闇の棘で破壊してみせると、
俺目掛けて飛翔してきた───!
まるで風に乗った木の葉のように……いや、風自身のように流れてくる!
闇の霧『魔術師どもの後ろに隠れていればいいものを!
わざわざ殺されに来たか、弱き人間!』
中井出「しっ……失礼な!わざわざ殺されに来るほど馬鹿じゃないよ!!
我が目的はただ一つ!貴様を───驚かせるために」
闇の霧『ふはは無駄だ無駄驚かせるため!?』
中井出「───!」
俺を囲うように集う闇の嵐が一瞬だけ動揺し、動きを鈍らせる。───今!!
雷をエンチャントさせた双剣を無造作に中空に放ると、俺は声高らかに叫んだ。
中井出「アシュレイ式皇竜奥義!!“滅竜天雷破”!!」
ルフォンッヂガァアガガガギファァンッ!!
すると弧を描く巨大双剣が闇の霧を切り裂くかのように煌く雷鳴を放つではないか!!
それはあたかもSFCソフト“スターオーシャン”で、
アシュレイから貰った皇竜奥義書を用いて会得した天雷波のいななきのよう……!
剣技の筈なのに時間停止エフェクトがあるのは好きじゃなかったが、
技自体はそう嫌いじゃなかったまさにアレのようだ!
───ザァアアアッ!!
中井出「ぬう!?《チャキッ、キィンッ》」
落下してくる双剣をそれぞれの手に持って構える。
その間、屠竜の雷を受けた闇の霧は痛みに蠢くかのように暴れまわり、
そこかしこを荒々しく飛び回っていた───んだけど、
俺が構え直す頃にはそれらは二つに分かれ、
一つは俺の前、一つはホギーの前に降り立った。
それ自体にきっと問題なんてなかった。
問題を唱えるのなら、実体化したその姿だ。
ナギー『……これは……なかなか、器用なことをしよるの……!』
中井出「器用とかの問題じゃないだろこれ……マジすか?」
構える俺の先にダークドラゴンが居て、
離れた位置に居るホギーの目の前にもダークドラゴンが居る。
器用がどうとかで片付けられる問題じゃない。
分かれた分だけ巨大さは減ったが、それでも十分なくらいにそいつらは大きかった。
中井出「ホッ……ホホホホホホギャーーーーアアア!!!じゃなくてホギー!?ホギー!!
どーーすんのコレェエッ!!分裂するなんて聞いてねぇぇえーーーーっ!!!」
遥一郎「考えてる余裕なんて与えてくれないみたいだぞ!二人で一体!それでいいだろ!」
シード『だったら───』
ナギー『ならばわしはヒロミツにつくのじゃー!!』
シード『なっ!卑怯だぞドリアード!父上には僕がつく!』
ナギー『おおそうか、それは残念だったの。
こういったものは速い者勝ちと相場が決まっておるのでな。
大人しく身を引くがよい』
シード『くっ……ぬけしゃーしゃーと……!おい男!
さっさとあのダークドラゴンを滅して父上の手伝いをするぞ!
まあ父上のことだ、僕らなどよりもよっぽど早く、
あんなヤツくらい屠るだろうがな!……おい人間、このアミュレットを受け取れ。
軽くだが、僕とリンクすることが出来る。
せいぜいダークドラゴンの声を認識することくらいにしか役立たないが、
敵の言葉を聞けたほうが行動しやすいだろう』
遥一郎「うわー……ほんと口調がガラリと変わるんだな───っと!!《ゴギィンッ!》
っ……やっぱり考える余裕なんて与えてくれないようだな、まったく……!
じゃあ、そっち任せたからな!」
中井出「断る!!」《どーーーん!!》
遥一郎「断るなぁあーーって《キュボガドガガガォオオンッ!!》うわぎゃあああっ!!」
中井出「ホギーって《ガンガガガガガォオオンッ!!!》ギャアーーーーーーッ!!!!」
仲良く話してたらレーザー撃たれた!
いかん!俺の不意打ち上等スキルが敵に宿ってしまった!
この野郎、遺跡の中じゃあ隙を突かれる側だったってのに、
今じゃこんなに元気に隙を突いて……!!
ダークドラゴン『やはり貴様は捨て置けぬ!!
剣士の分際で闇化した我が体を削るなど有り得ぬにも程がある!!
貴様を野放しにしてはいつか我の安寧を脅かす者となろう!
そうなる前に───貴様はここで殺す!!』
中井出 「ウヒャア俺って人気者!!(嬉しくない意味で)」
だが殺されると解ってて抗わぬほど潔いわけでもなし!
結局はどれだけの危機に陥ろうと、もはやコロがすしかないのだ。
さっきまでのこいつは違っただろうが、今のこいつはもう俺を逃がす気などさらさらない。
背中を見せればその時点でゲームオーバー必至に違いねー!
中井出(解ってる……私はやるしかないのだよッッ!!
死を待つ俺にはその瞬間まで動かせる意志と体がある!
だったら好きなだけ抗おう!好きなだけ遊ぼう!)
それが俺に残された、リミット付きの自由なんだというのなら───!!
中井出「おぉおおおおりゃぁあああああああっ!!!!!」
せめて死ぬ気で、この世界を味わい尽くす!!
ダークドラゴン『来るがいい人間!もはや貴様を“ただの人間”とは思わぬ!
それだけの姑息さと強き武具を持っていればなるほど、
他の守護竜が遅れを取った奇跡にも信憑性が出るというもの!
だがそれが真実かを信じるには───まだまだ値せん!』
完全に体質変化をしたダークドラゴンが、俺を見下ろしたのちに吼える!
首を大きく回し逸らしながらのソレはレーザーの呼び動作……どうする!?
構うかそのまま突っ込め!!突き進むがァアアッ───吉ィイイイイッ!!!
ダークドラゴン『馬鹿正直に突っ込むか!だがそれでこそだ!
臆病だろうが突っ込んでくる者は嫌いではないぞ!』
ヴォリュゥウッ!!
中井出「!?」
左ッ!なにか黒いのが───!
尻尾───!?速ゴヂャァッギィンッ!!
中井出「ぐ、あっ……!」
咄嗟に構えた双剣が尾撃を弾く───……いや、弾かれたのは俺だ!
進んでた筈が離されて……やべぇっ!!
ダークドラゴン『グバァアアォシャアアアッ!!!』
ドガァアッチュゥウウウウウンッ!!!
間髪入れずにレーザーかよ!!
やべぇ!避けてる暇がねぇ!
中井出「ストック解除マグニ《ドガアァォオンッ!!》ぎ、がぁあああっ!!」
巨大な闇のレーザーが俺を飲み込む。
咄嗟にストックのマグニファイを使って、
ステータス倍化状態でVITマックスにしたが……!
中井出「……、あ、が……!ぐはぁっ!……、」
一瞬でもあれば長くも感じたソレが消える頃には、
俺は全身ボロボロの状態でその場に崩れ落ちた。
ナギー『ひ、ヒロミツッ……!?しっかりするのじゃヒロミツ!!』
中井出「は、あ……ぐ……!」
すぐにナギーが回復をしてくれるが、
こんなのが続いたんじゃあ一手先は常に死と隣り合わせもいいところだ。
マグニファイ状態のVITマックスでこの始末……
少しでも他に振り分けてたりしたら死んでたってことじゃねぇか……!
中井出(くそっ……!慣れるどころか震えが増しやがった……!)
これが晦とかだったらこんな恐怖くらい軽く超越していくんだろうが───
生憎と俺にはそういった能力がない。
怖い気持ちや震えなんか、じわりじわりと慣れていくしかないのだ。
順応に適した回路を持とうが経験が無ければ順応なんて出来っこない。
中井出「すぅっ……フッ!!」
その代わり!慣れればすげーぜ地界人!!
かつての武術家や郭海皇がそうだったように!
辛い鍛錬や苦しい修行に順応した者が強くなるように!
俺もまた、無茶や無謀の果てに俺だけの力を身に付けてゆく!
───御託的な思考はもうおしまいだ!
貴様がッ!死ぬまで!戦うことをやめない!!
中井出 「せぁああありゃぁあああああっ!!!」
ダークドラゴン『無駄だということが解らぬほどの愚か者か!
だから人間は下等だというのだ!己の力量を弁えぬ!』
中井出 「弁えてどうにかなるのか!?違うだろうがこのクズが!
下等だから支配されてろってか!弁えて縮こまってろってか!
ふざけるでないわ上等生物!下等生物の底意地、見せてくれよう!!」
大地に両前足を着き、唸るダークドラゴン目掛けて脇目も振らずに疾駆する!
勝算なんて一切無い───だがそんなものなくても攻撃は出来るんだ!
命を捨てに行く戦いじゃない!だったらその意志を胸に、ただ突っ込めばいい!
中井出「だぁっ!《ルフォンガギィンッ!!》づっ……!?」
前足目掛けて剣を振るう───だが鱗に弾かれる有様で、
驚愕に染まる俺を見たダークドラゴンは可笑しそうに鼻で笑っていた。
遺跡に居る時は、小さくとはいえ確かに鱗ごと斬れてたのに……なんでだ……!?
ダークドラゴン『言っただろう、貴様に対しての油断はもうしない。
我は霧化が可能な闇竜だぞ?
そんなもの、ちょいと体の密度を高めれば通用するものか』
中井出 「卑怯だぞてめぇ!」
ダークドラゴン『ひきょっ……!?それを貴様が言うか!!』
中井出 「言うだけならタダだし!」
ともあれわざわざ教えてくれたお蔭で理解できた!
悔しいけど剣での攻撃は通用しない……ならばどうするか?
そんなもの、当たって砕けろゴーフォーブロォック!!
中井出「《ガキィンッ!》だったら長剣だ!いくぜジークフリード!」
双剣を長剣化し、その威力を思う様に振るう!
いや、振るおうとした。
だが弾かれた時の驚愕と、長剣化する際に必要な時間。
その間に敵が出来ることなど腐るほどあったのだ。
ゾボボガガガガガフィィインッ!!!!
中井出「あっ……が……!?」
無数の闇の刃が俺の体を貫きまくる。
およそ人間が生きていられるために必要な部分を残し、これでもかと言うほどの多方から。
それだけで解った……簡単な理屈だ。
この野郎……!遊んでやがる……!
ダークドラゴン『不意を突かれねばこんなものよ。油断以前の問題だ、
もはや貴様では我に傷ひとつ負わせることは出来ん』
心底可笑しそうな両目が、刃から解放されて無様に倒れる俺を見下ろす。
そこまで来てようやく気づく。
潰した筈の目は治っており、
それに俺が気づいた事実さえ可笑しそうに振る舞っているのを。
俺がやった攻撃の全てなど無駄だったのだと。
人間ごときが我に勝とうなど片腹痛いのだと言いたげに。
……言い返してやりたかった。
けど、この現状は間違いなく敵の圧倒的な強さから来るもので───
事実、俺の攻撃の悉くは、こいつに大したダメージなど与えていなかったに違いない。
屠竜奥義はそれなりに与えられただろうが……だがそれもそうそう狙えるものじゃない。
俺がそれっぽい行動に出れば、間違い無く躊躇わずに殺しにくるだろう。
だったら……───だったら……?
どうすりゃいいんだ……?解らない……。
中井出 「あ、が……あ……」
ダークドラゴン『うん?ああ、すまなかったな、つい虐めてしまったなぁ。
人間は弱い生き物なのに串刺しなど、あまりに酷かったか。
ハハハハハハハ!!ハハハハハハハハハハハ!!!!』
体が動かない。
頭も働かない。
出血多量ってやつなのか……頭がボーっとして、……働いて、くれない……。
……このまま死ぬんだろうか。
出来るだけ足掻くって決めた途端に。
有言実行出来るほど、大した器は俺にはない……そんなこと解ってる。
心が折れなければそれでいい……なんて、それだけの問題じゃない。
でも……じゃあ、だったら……俺は───どうしたら……
───、……
……、あれ……
声が……
……、か……?
これ……この声……これって───
力がァアア……!欲しいかぁああ……!?
中井出「───!!ひっ……!」
自分の悲鳴で目が覚めた。
閉じそうになっていた瞼が見開かれ、倒れて動かなくなっていた体が動き───
ただ、目の前の恐怖ではなく自分の中の恐怖から逃げるように起き上がっていた。
ダークドラゴン『なに……?』
中井出 「はっ……は、はっ……!ん、ぐっ……はぁっ……!」
押し寄せる恐怖が今までの比じゃない。
今まで聞こえなくなっていた声が急に聞こえるようになって、
その声が……頭にこびりついて離れない。
中井出「は……はぁっ……」
けどその恐怖にだけは飲み込まれないようにと心を強く持った。
いいさ……体はそのうちくれてやる。
だが心まではくれてやんねー……そう決めたのだ。
ダークドラゴン『まだ動けるか……フン?ドリアードの魔法のお蔭か』
中井出 「……、とりあえず……今はお前より怖いものがある。
だからお前に負けるわけにはいかなくなった。
お前に負けたらあいつに勝てないからさ……」
ダークドラゴン『なんだと……?ああそうか、貴様は死から逃げてきたのだな?
そうだろうそうだろう、死の事実は我より怖かろう。
だが勘違いをするな?その死をくれてやる者こそが───』
中井出 「───お前じゃない」
ダークドラゴン『……なに?』
ボロボロの体で、右手で剣を突き出して言った。
そう、俺に死をくれてやるのは貴様じゃない。
死ぬのは……俺だって人間だ、もちろん怖いさ……。
ここでこいつに殺されるのだって、復活は出来るけど死の事実はちゃんとある。
胴体を引き千切られれば痛いし、腹を貫かれれば痛い。
死ぬってのはその先のことなんだ、怖くないわけがない。
軽く指が切れただけでも痛がるのが人間だ……俺だって強くなんか出来てない。
でもそれを理由に逃げ出すのはなんか嫌なのだ。
何も出来ないって解っててもしてやりたいって思う気持ち……誰にだってある。
誰から逃げてもいい……けど自分から逃げるのだけは死んでもごめんだ!!
中井出「もう、怖くない……!噛み砕いて言ってやろうか!
俺はもう、お前なんか怖くない!!───多分!!」
でもやっぱり多分です!
やっぱり有言実行出来るほど強くないんで!
ダークドラゴン『ならば恐怖の海で溺れさせてくれよう!
そこでたっぷりと後悔するがいい!我が前に現れたことを!』
中井出 「その後悔なら既にしとるわ!ッ───だぁあありゃぁあああっ!!!」
ブフォンゾガフィィンッ!!
ダークドラゴン『ガッ……!?なんだと!?我が鱗が斬れ……!?』
───!よし!いける!
長剣状態なら斬れる!
だったら───
中井出「───2分経過!いくぜ引っ込んでる無鉄砲の解放!!アイテムマグニファイ!」
だったらもう迷わん!
あらゆる手段を以って、貴様を屠り尽くしてくれる!!
ガンババババババォオオオオンッ!!!!
ダークドラゴン『……!?貴様、その炎は───!』
アイテムマグニファイで無理矢理狂いし者の炎を呼び起こす。
途端に俺の両腕は指先から肩までにかけて闇の炎で燃え盛り、
腕全体が炎を発する霊章となったかのように躍動していた。
けど……その炎は今までの炎とは違い、闇の濃さがさらに深くなっている。
胸が、心臓が、予感的なものが焼けるような気分だ。
頭の中から警報が鳴っている……本能だろうか、この能力はヤバイと。
だったらやめるか?今なら止められる筈───……いや、止めぬ!!
染まろうが乗っ取られようが今はいい!
覚悟を決めた戦いの中では弱音など知ったこっちゃねー!!
弱くて構わん!だが弱音は今は押し込める!
震えたって構わない!出る涙だって好きなだけ流す!
だから今は全力全開限界ブッチギリパワー発動ォオオオオッ!!!
中井出「はぁああああああああああああっ!!!」
ザガガガガガガガギィンッ!!!
ダークドラゴン『ッ……!』
腕を振るう動作とともに炎が爆発し、
それによって加速された長剣の撃がダークドラゴンの鱗を裂く!
攻撃は確実に敵にダメージを与えている───!
そうだ、卑劣だろうがあれだけ与えたのに、その全てが無駄に終わるわけがない!
ない、けど───ギシィッ!!
中井出「ガッ……!ぐあぁあああああっ!!!」
後先考えずに爆裂させ、全力で振るう炎の腕の内部は、
たった数振りだけでも骨や筋が軋みやがった。
その度にやってくる鈍い痛みに、喉から勝手に悲鳴が漏れるのを押さえることが出来ない。
中井出「がっ、あっ、……づあぁああああっ!!!!」
それでも振るう腕は止めない。
炎の爆発は勝手に起こるから、振るう度に腕どころか腕の周囲の部位が軋む。
振るう度に鈍い痛みが鋭くなり、
軋みが別の何かの感触に至ろうとしても止めることなどしなかった。
ゴバザガガガガゴバゾガァァンッ!!!
ダークドラゴン『グ、オッ……!つけあがるな人間風情がぁあっ!!』
中井出 「《ガブシャゾブシャバガァンッ!!》ゲッ!ガッ!ぐはぁっ!
っ……ツガァアアアアアアアッ!!!!」
バガァンゾガァンゾフィンパガァンゾフィィンッ!!!
斬り、殴られ、弾き、裂かれ、それでも互いに退くことなく撃を連ね続ける!
HPがいっそ面白いくらいに消えてゆき、それをナギーが回復し続けてくれる!
一人じゃ既に死んでる状況だ……なのにナギーが生かしてくれている!
ありがとうを貴様にだナギー!覚えてたら戦いが終わったら存分に甘やかしてくれるわ!
中井出「ふっ……ふはははは!ヤケクソじゃコノヤロォオ!!」
張り裂けるがいいわ我がボディ!
だから代わりにダークドラゴンの素材をください。
ダークドラゴン『貴様気は確かか!己の倍以上の体躯の竜族を───
それも守護竜である我と、引かずの戦いを受けて立つなど!』
中井出 「しょうがねぇじゃねぇか!計算して戦えるほど巧くなんかねぇんだ!
計算して戦おうとしても!格好つけて戦おうとしても!
そんなものが報われるのは、
それを何度もやって体に染み付けたヤツだけだ!」
そして俺は、それが必要であるこの世界でそれを放棄しました!
ならば傷ついてでも敵を攻撃しないと、攻撃すら当てられない!
ヂャガァッキィンッ!ゴガァッキィン!!
ゾブシャゴバシャアッ!!
ダークドラゴン『ヌグッ……!』
中井出 「報われないヤツはそれでも剣を振るうしかねぇんだよ!
無理にでも突っ込まなきゃ当てられない自分に!
当てられるのに振らない自分に!いったいそこから何ができる!」
叫ぶ声の一息一息を力を込める間隙として、ジークフリードを振るってゆく。
風を巻き込み重苦しい音を立てる刃が硬い鱗を破壊し、
先にある肉を削いでは血を噴き出させる。
だがどれも致命傷には至らない。
守護竜の、それも光と対成す存在だ……
光と闇が四大元素よりも基本が強いことくらい、空界で式を習った時に学んでる。
ダークドラゴン『───フッ、クックックック……!!
これは面白い!ただの無謀な村人かと思えばその実、
中身は無鉄砲ながらも戦士か!
だが貴様にはどれだけ足掻こうが埋められない、決定的な欠陥がある!』
中井出 「当たり前だこの野郎!!」
ダークドラゴン『なにぃ!?自分で認め……なにぃ!?認めるのか!?』
中井出 「こちとら己の欠陥さえ楽しむためのスパイスにしてんだ!
今さら誰かに諭されようが、誰がそれを直すもんですか!
そ、そんなことあんたに言われるまでもなく解ってるわよっ!《ポッ》」
ダークドラゴン『何故そこで頬を染める!?貴様まさか精神異常者』
中井出 「死ねぇえええーーーーーーーっ!!!」
ダークドラゴン『ぬぉおおおおーーーーーーっ!!?』
どの攻撃も致命傷には至らない。
だったらどうするか……?そんなもんいちいち考えられない。
本能のままに戦い、倒せたならそれでよし。
RPGってのはそういう博打めいたもので勝てる戦いもあるから面白い!
……こっちは命張ってばっかだけどね?
バガシャァンッ!!
中井出「ぐえぁっはぁっ!!」
それに……いい加減限界だ。
ナギーの援護にかまけて無茶したけど、そのナギーが回復のしすぎで疲れてきてる。
自分のバックパックに詰めたグミとかを食べて回復はしているが、
ナギーは歌で援護をするため、喉が保たないのだ。
ナギー『ひ、ヒロミツ……』
中井出「げっ……がはっ……!」
そんなことにさえ、ナギーの近くに吹き飛ばされて転がるまで気づけなかった。
なのにナギーったら、倒れて血反吐を吐く俺を見下ろし、目が合うと───
ズビシィと親指を立ててみせた。
OH!それこそ原ソウル!
後のことなど知ったことではない!今を究極に楽しめればそれでいいのだ!
今の何を楽しむかって?そんなもの、戦いに決まっているじゃないか!
我ら、身が引き裂かれようとも喉が嗄れようとも、己の出来ることをせん!
だって僕らは───旅人なのだから!!
中井出「とんずらぁあーーーーーっ!!!」
ナギー『逃げるのじゃーーーっ!!』
だから逃げました!
無理!勝てません僕じゃあ!
頑張ればなんとかなるけど、ちと相手が悪すぎる!
ゴシャーーーアーーーーーッ!!
ダークドラゴン『何処へ行く?地獄への通路はこちらではないぞ』
中井出&ナギー『キャーーーッ!!?』
しかし回り込まれた!!
黒い飛翼をはためかせ、飛翔して我らの頭上から回り込んだのはダークドラゴン!
見上げることでしか大きさを確認出来ない上に、
攻撃も足元ばかりへの攻撃となってしまうとても嫌な相手である。
……これで確定。
逃げる者は追わないとか言ってた彼の言葉はウソでした、ハイ。
逃げながらこれからを考えるジョセフ=ジョースターの奥義もあっさり破られたし……
ギャアどうしよう。
……どうするか、だと……?
ヒィ!またピピピ電波が!
あ、貴方には訊いてませんので引っ込んでてください!!
力を求めろ。より深く、ただ只管に……!
断る。
ならばどう勝つという……?求めよ我を……本能のままに……!
烈くん。強いだけではつまらん。
強くなるだけではつまらんぞ。
強くても楽しくなければ面白くない。
中井出「華()ァッ!!《ボファァアンッ!!!》」
そう、俺はそれを証明するためにこの世界に降り立った…………っ!
つーか証明したいもの多すぎですね俺。
だがその終着はただ一つッ!面白さの探求であるッ!言ってしまえば好奇心ッ!
童心から湧き出る抑えることの出来る欲望ッ!
克己とは掛け離れた半ば無謀とも呼べる衝動ッッ!!
じゃなけりゃあ竜なんかと戦えるもんかこの僕がッッ!!
でもここで龍書文の真似する意味はまるでないですハイ。
ともあれじくじくと痛む腕を炎ごと振るって息を吐いた。
ナギー『ど、どうするのじゃヒロミツ……今回ばかりはちと相手が悪かろ……?』
中井出「あの……言っちゃなんですけど全部の回が全部、相手が悪かったんですけど……」
腕の炎は未だに燃え盛っている。
戦う意思はまるで消えずに、ただ敵を滅ぼすことのみを望むように。
そんな意志に感化されてか、
体の奥底から破壊衝動が次から次へと沸いてきて困ってるんだが───
中井出「構わん!このままここで、命嗄れるまで戦おう!
どうせ転移も出来ないんじゃあ、竜族からは絶対に逃げられん!」
ナギー『お、おお!それでこそヒロミツなのじゃ!
逃げることが前提だったとはさすがなのじゃ!』
中井出「しょうがないでしょ怖いんだから!」
狂いし者の影響による声のブレはもう無くなっている。
それは今のところ自分の意思が狂いし者に勝っているからだ……ということにしておこう。
キュヴォアドガガガァォオウッ!!!
中井出&ナギー『ヒギャァアアアアアーーーーーッ!!!!?』
そんな僕らを襲うレーザー!それを死ぬ気でなんとか躱す僕ら!
ダメ!やっぱダメ!意志には勝てても目の前の竜に勝てる気がしません!
つーかつくづく俺って愚かしい!
戦いの中で考え事や会話に気を取られてりゃ、自分が危ないってことくらい解ってるのに!
ダークドラゴン『行動を停止したからてっきり死にたいのかと思えば。
まだ逃げる元気くらいは残っていたか』
中井出 「そ、それだけが僕の取り得ですから!」
ナギー 『落ち着くのじゃヒロミツ!なぜ敬語なのじゃ!?』
心に余裕が無いからです。
こんなことになって、目の前でレーザーまで撃たれて、死ぬ思いして。
自分が死ぬかもしれないって事実を前に、恐怖しているのさ。
中井出「……は、ふぅ……」
けど考えてみる。
こうなった時点で、俺はこいつから逃げられないし、自分を守りきれない。
ならばやることなぞ一つ……相手をブッ潰すことのみ。
もっと覚悟固めろよ、俺───!
日々を遊んで暮らしてる分、こういう時こそ溜めてる覚悟を解放しろ!
……と、思ってみたはいいけど……
今のままじゃさっきの倍以上は斬りつけなきゃ勝てやしない。
そもそも足しか狙えてないんだ、勝てるわけがない。
勝つためには……巨大化して戦うか、光天龍戦のように内部から破壊するしかない。
もしくはカイザードラゴン戦のように出血多量を狙うかだ。
中井出「ランダムルーレット……発動!!」
ナギー『ひきゃーーっ!!《ダッ!!》』
中井出「あっ!?これ!!」
ならばとパンドラボックス発動!……した途端に、
僕の隣に居た心強い味方が少女のような悲鳴を上げて逃走!
少女であることには変わりはないけど一目散とはナイス原ソウル!!
咄嗟に掴もうとしたが、それを予測したのかひらりと躱すは然の精霊!
ヤ、ヤツめ……この博光の上を行きおったわ……!
ダララララ……ジャンッ!《博打No.03!矮小化!!》
中井出「ギャアーーーーーッ!!《シュポンッ》」
そしてやっぱりこんなもんな結果の末にミニマムな僕……!
つくづく俺にやさしくないねこれ!
この状況で矮小化がなんの役に立つっていうの!?口の中に入って一寸法師!?
よ、よぅし上等だやってやろうじゃねぇか!!
ナギー『ヒ、ヒロミツ!?何処に行ったのじゃ!?
ヒロミツーーーーーーーッ!!』
中井出「《ズキィーーン!!》ぐおおうるせーーーーっ!!!!」
きょ、巨大生物の声が鼓膜に突き刺さる気分だぜ〜〜〜っ!!
って言ってもナギーだけど。
でもそれだけ大きく、俺の大きさなぞ彼女の足の指先から踵までの大きさしかない。
中井出「エジェクション!」
その事実がどうあれ小さいことには変わりはない。
ならばいったれ一寸法師!フロートを全開にしてレッツ跳躍!
マナ集束法で風のマナを精製、発射することで向き変更もお手の物!
やがて俺はダークドラゴンに気づかれることなくヤツの口内に侵入しブチャア!
ダークドラゴン『……うん?なにか噛んだか?』
マウスの連携よろしく、
口と舌と牙に感知されてあっさりと噛まれて潰れてしまったのだった。
なんてついてないんでしょうね僕……。
時々……いや、結構な比率で泣きたくなる……。
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