───冒険の書275/葱娘のロンド───
【ケース704:弦月彰利/キャオランズホオビー】
ゴワァンシャァアアアア……
解説 『さーあああああお集まり頂いた皆様!お待たせいたしました!
これより始まるコロシアム一バトルロイヤル!いろいろと準備が必要だったので、
急な時間を頂いてしまって申し訳ありません!
惜しくも賭けていた者が破れた人も、勝ち残った人も、
最後まで見ていってください!───さあラスト!
残った選手は三名!皆様ご存知の現コロシアム最強!
シドルファス=オルランドゥ!!』
観客 『ウォオオーーーーッ!!』
解説 『参加したばっかなのに無駄に強ぇぞ!アイダ=リョウ!!』
観客 『オォーーーーッ!!!』
解説 『あんまり活躍の場がないぞ!もっとハデにいけ!オカダ=ショウゴ!』
観客 『お〜……』
岡田 「なんか扱い酷くない!?」
解説 『はいそこうるせぇーーーっ!!では早速始めてみよう!
ラストバトル!三人いっぺんに入り乱れる地獄バトルの始まりだぁあああっ!!
───とその前に。飛び入り参加として、
巷で話題の帝国の機械がこの戦いに参上します!』
───。
解説もあまり好かんのか、ちと微妙な声調で、なげやりっぽく叫ぶ。
途端、水を打つ音も今なら聞こえるってくらい、静かになる場内。
解説 『えーはい、皆様の気持ちは解ります。
ですがこれは帝国からのお達しで、データを取りたいということらしく、えー……
ガメッシュオーナーも了承したことですので、どうか納得していただきたい』
……観客の反応は冷めたものだ。
先ほどまでの高揚もどこへやら、つまらないものを見た〜って感じでだるそうにしている。
だがどうあれコトは進み、持ち上げられた柵の置くから、人影らしきものが歩いてくる。
その姿は───なんかどっかで見たカタチをしていた。
解説 『ご紹介しましょう!科学の限界を超えし者!!初音ミクだぁあああっ!!!』
三人 『ゲゲェエエエーーーーーッ!!!』
アタイら絶叫!超絶叫!
ミク!?ミクってあの、ヴォークァルォイドゥォの!?
……う、うぅううっひゃぁああああっ!マジだ!
髪の毛緑だしツーテールだし服もそれっぽいしミニスカがけしからんし!
……あ、ネギ持ってる。
藍田 「初音ミクねぇ……戦えんのか……?」
岡田 「やっぱYAMA波とか使ってくるのかな」
藍田 「いや、知らないけど。……まあどっちみちブッ潰すけどな!」
岡田 「だよな!女だからって戦わなけりゃ負けるのこっちだしな!」
その意気やよし。
伯もそのつもりなのか、早々と剣を抜き、構えらしくない構えをとっていた。
解説 『それではいってみましょう!ラストバトル!はじめぇええええい!!』
ドワァアッシャァアアアンッ!!!
ミク 『《チキ……キュィイイン……!》我は科学を超越せし者……!
我に立ち向かいし者全て、みっくみくにせずにおれん───!!』
……。あの、今なんか、
ミクさんがドラの音に紛れて、とても物騒なことをおっしゃったような気がしたんですが。
藍田 「まずはミクよ!初々しい音色を聞かせておくれ!───ブタのようなぁああっ!」
それが聞こえたのか聞こえなかったのか。
先制を切ったのはなんと藍田くん!
地面を疾風の如くで蹴り弾き、一気に間合いをドンガガガガォオオン!!!
藍田 「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」
岡田 「ヒョエェエエーーーイ!!?」
……あの。
今レーザー撃ちませんでした?あのミクさん。
撃った……よね!?撃ったよねぇええ!?目からレーザー撃ちましたよちょっと!!
しかもその威力がサイクロプスレーザーの比じゃねぇ!この威力……ハンパねぇ!!
岡田 「ば、ばばばばぁあーーーっ!?こんな馬鹿なことがぁあああっ!!
この世界の科学レベルっていったいどうなってんだぁあっ!?」
ミク 『我は既に科学の限界など超えている……故に私は来たのだ。
さあ、貴様ら……みっくみくにしてくれる』
藍田 「言葉の意味は解らないが物凄い迫力だぁあああーーーーーっ!!!」
レーザーをギリギリで避けた藍田くんは、冷や汗だらけでぜーぜー言ってます。
が、ここでミクが藍田くんを見続けているところに隙を見出したのか、
岡田くんが早撃ちで不意打ちを仕掛ける!!
岡田 「見切れるか!───レイザーシルエット!!」
ミク 『手の動き、熱反応より攻撃意思を察知。ガード機能展開』
言うや、ミクさんの腕についているキーボードが音色を奏で、
そこから小さくてアホヅラしたミクが沢山出現!
連続攻撃型の早撃ちの一撃一撃を受け止めるなり爆発し、
ジャマーとして全てを受け止める!
岡田 「ゲッ……ゲェエエエーーーーー……エ?……ウオォオオオオオッ!!?」
コパキュミュガァアガガガォオオオオンッ!!!!
岡田 「ギャーーーーーッ!!!!」
お次は口からイレイザーカノンでした。
なんとか避けたけど次は構えた腕からマシンガン攻撃。
逃げ惑う岡田くんをよそに、その動作を穿って蹴り込もうとした藍田くん───
だが逆に手の形に変異した長いツーテール拳骨で殴り落とされ、
さらにそのヘアーハンドで足を掴まれてビタァンビトゥンと地面に叩きつけられている。
藍田 「うぎゃあああああ助けてぇえええええ!!無駄に強ぇええええええ!!」
ミク 『みっくみっくみっくみっくみっくみっくみっく……!!』
藍田 「ぶげぇっふぇゴヴェッふぇゲファーリゴフォーリガフォーリブフォーリ!!」
ぶつぶつと呟きながら藍田くんを叩き付けまくる姿は、
もはや科学が作り出した魔人兵器のよう……!
ミク……怖いコッ!!
藍田 「離せこのっ……はなっ……はぁあなせっつーのぉっ!!フランバージュ!!」
ミク 『《ゴギィンッ!!》はぐうっ!!』
おおっ!振り上げられた瞬間を利用した、見事なオーバーヘッドキック!!
しっかりと帯熱も解放されているようで、
火属性ダメージも追加された攻撃がミクを怯ませた。
でもゴギィンはねぇだろゴギィンは!
藍田 「〜〜〜〜……かってぇええええっ!!
なんだこりゃオリハルコン!?ダマスクス!?ンムィイスリルゥ!?」
それくらい硬いってことだろうが、どうしてここでリューナイトの真似をする。
普通にミスリルって言えばいいのに。
ともあれ、ヘアーハンドから解放された藍田くんは、仕切り直しのためか距離を取ると、
ヴィクターとグラーフを解放してゆく。
マシンガンから解放された岡田くんも、アクセラレイターとダンシングソードを解放。
伯も先にミクを倒すことには賛成らしく、最初っからずっとミクを睨んでいた。
ミク 『帝国の科学力はァアアア!!世界一チィイイイイッ!!!』
しっかりと世界一チと言った彼女は、左手を握りながら胸の前に構えると、
今度は流すように広げ、切なそうな顔で───声を張り上げた。
瞬間ゴギィインッ!!!!
藍田 『ぐおあうるせぇええええええええええええええええっ!!!』
岡田 「ぎゃあああああああああっ!!!」
脳を震動させるほどの超音波が周囲を襲う!
まるでガイアの超音声攻撃ッッ……!
こ、これが噂に名高い“YAMA波”……!
某音楽教室と名を連ねる、超音波攻撃か……!
ミク 『液状になるまで捻り潰す!……とろけるがいい、ネギ汁のように!!』
轟音に耳を塞ぎ、怯んでいる皆様をよそに、ミクがネギを構えて疾駆!
ちなみにネギ汁っていうのは、
ネギの頭の緑のところに溜まっているなんかネトっとして透明な汁のことです。
なんて説明の最中、ミクのネギからビームみたいなのが出て、ビームソードと化す!
さすがは科学の限界の上の人!そんなのも平気で扱っちゃうんだ!
オルランドゥ「ヌウ───!」
狙いは伯だった。
隙の無い一閃がまず振るわれ、伯はそれを素早く避け、ミクの体勢が戻らないうちに一閃!
物凄い速さだ……最初から狙ってたんじゃと思えるくらいにタイミングも速度も完璧!
だったんだが、それはヘアーハンドが持つネギビームソードに弾かれ、
戻ってきたビームソードによって押し戻される。
オルランドゥ「お……ムゥ……!」
見れば、いつの間にかミクの武器は四本になっていた。
両手に二本、ヘアーハンドに二本ずつネギブレードを持つ姿は、さしずめエスターク。
だがそこは伯。
そんな姿を目の当たりにしても動揺せず、真っ直ぐにミクを見つめ、静止している。
おお……呼吸の一つも乱れてないよ。
驚くことがあれば、多少は息も切れるもんだろうに。
藍田 『……気をつけめされ、伯。持ってる武器は四本だが、
ヤツは目からも口からもレーザーやカノンを放ち、マシンガンも撃つ。
恐らくミサイルの一つや二つ、隠し持ってるに違いない』
岡田 「けどあの細身だ、エネルギー貯蔵なんてタカが知れてるだろ。
そう待たなくてもビームサーベルやレーザーを出し続けさせれば、
早々にエネルギー切れに───あれ?」
ふと、岡田くんの首が傾ぐ。
なに?とミクを見てみると……
“ミ”と書かれた饅頭をハムハムと食べているじゃないか。
……アレ?あれって───
藍田 『───あ、あれはミクまん!?伝説のミクまんか!?』
岡田 「ミクまん!?ってあの、一個1.807円もする伝説の饅頭か!?」
藍田 『お、恐らくは───うおっ!滅茶苦茶顔しかめてる!めっちゃ不味そう!!』
岡田 「きっとあれでチャージしてるんだろうけど……
なんだろう、滅茶苦茶不憫に思えてきた」
それでもとても強そうなので、キミらの方が辛そうだ、という言葉を、
ただただゼスチャーで送るアタイなのでした。
藍田 『つーか機械なのに饅頭で回復!?なんだそりゃどうなってんだ!?』
岡田 「───《ハッ》いや待て!だからこそだよ!科学の限界を超えてるんだ!
なにが起きたって、なにをやったって不思議じゃない!」
藍田 『なっ……なるほど!!』
ミク 『補給完了───殲滅する』
二人 『殺しはご法度ォオオオオオッ!!!!』
コキュウウウウン、と動き出した彼女を前に、
二人はなんだかもうゲーム内で戦いづらい敵を前にした小学生のように、
とっても嫌な顔をして距離をとった。
藍田 『……岡田。俺が全力でブチ壊すつもりで時間稼ぐから、
お前、エースインザフォールでキメろ』
岡田 「それ、時間稼ぐって言わなくない?」
藍田 『しゃーないだろ、俺達の攻撃、一対二向きじゃないんだから』
岡田 「伯は?」
藍田 『立ちっぱなしでミク睨んでる。なにがやりたいのかいまいち解らん』
岡田 「そ、そか」
ゴクリと喉を鳴らす音が、影を通して聞こえる。
ハイ、いつでもリアル音声が影を通して聞こえる状況把握者、彰利です。
オルランドゥ「……落ち着け、ヌシら。敵対心を納め、落ち着いてみろ」
藍田 『おおっ!?』
岡田 「伯が……伯が喋ったわ!」
藍田 『いや、そりゃ喋るだろ……。───って、敵対心を解く?』
岡田 「む、むー……うりゃ」
なぜか相応しくないような掛け声とともに、岡田くんが敵対心を殺す。
すると、ミクがゴシャンと藍田くんのみに目を向けて……
藍田 『……あの、これって───』
オルランドゥ「機械なぞ万能ではないということだ。
己に向かってくる者全て、と言っていたことを思い出してな」
岡田 「あ、な〜るほど」
藍田 『けどそれじゃあ戦いが終わらないだろ。
やはり俺は真っ直ぐGOで打っ潰すぜ〜〜〜っ!!』
オルランドゥ「まぁ待て。ワシに考えが───」
藍田 『知らぬ!!』
岡田 「漢らしぃいーーーーっ!!?」
言うや果敢に突っ込む藍田くん!
おおそれでこそ漢!細かい作戦なぞ無視の突っ走る激情!!
さながら、彼は流星のように闘技場を走りぬけ、その勢いのままに跳躍!
体をキリキリと縦回転させ、
藍田 『“粗砕”()!!』
ミク 『それでは突破できない』
回転踵落としを、四本のネギブレードを交差させて構えるミクの頭上へと振り下ろす!!
───い、いや!あれはただの回転踵落としでもコンカッセでもない!
藍田くんの周囲に妙な光みたいなのが展開されて───
藍田 『───と見せかけた鬼神黒蹴!!』
ミク 『!───ガードプロセスを変換!ただちに』
藍田 『遅ぇ!!』
キュヴォァドガァッシャァアッ!!!
振り抜かれた踵落としがネギブレードを砕き、ミクの頭頂へと到達!
そのまま地面へと叩き付け───ると同時に巨大な爆発が!
お、おお……俺知ってるよこれ……。
ゼノギアスのどこが“黒掌?”と噂の、ゼノギアスバージョンの機神黒掌のトドメだ……。
うん、機神黒掌はヴェルトールのが一番です。
彰利 「うぅ〜わ〜……」
でもこの威力見ると、正直……たまりません。
体操選手のように、
地面に足の付け根までをペタ〜ンとつけている藍田くんがとってもステキです。
あれの所為であんまりカッコイイって思えなかった想い出が、今もまだ、僕の中に。
藍田 『ど、どうだ……?───って確認してる場合かっ!離脱!』
立ち上がり、すぐに距離を取る藍田くん。
反撃はなかったが、ミクはのそりと起き上がると藍田くんをギヌロと睨んだ。
藍田 『うひゃ〜……もしかして大して効いてねぇ?』
岡田 「科学の限界超えてるからなぁ……」
しかし、ところどころから少しバチバチと放電し、煙をあげている。
辛そうな顔は……どう見ても人間チックで───
声 「やめろぉっ!!」
───突然聞こえた声がひとつ。
出所を探ってみれば、グラディエーター選手入り口で声を張り上げたらしい……アルビノ。
解説 『よぁあああっとぉ!?アルビノ選手の乱入!これはどうしたことだ!?
勝ち残りの選手以外が入ることは今は禁止されています!
アルビノ選手!負けたあなたが乱入することは叶いません!速やかに───』
アルビノ「そんなことはどうでもいいんです!
彼女を戦わせたりなんかしないでください!」
観客1 「なんだー!てめぇー!邪魔すんじゃねぇー!!」
観客2 「そうだそうだ出てけぇっ!この機械やろぉ!!」
……あ、やばい。
突然の乱入者に、しかも戦う気が無いヤツの乱入に、観客がシラケ始めてる。
いかん、いかんぞ、このままでは……
アルビノ「その人の攻撃をするっていうのなら……僕が黙っていません!
さあ……三人纏めてでもいい!かかっ───!?」
アルビノがブレードを出し、構えた時だった。
モンスター入場サイドの通路の奥から黒いなにかが伸びてきて、
アルビノとミクを巻き込み、物凄い速さで通路の奥へと引きずり込んでいった。
解説 『あっ……え?な、なに……?』
藍田 『お、おいおい……なんだありゃ』
岡田 「黒の…………炎?」
ちらりと岡田くんがアタイを見る。
じゃけんどそげなもんは知らん。
黒いからってなんでもアタイにされたら困るよ。
アタイの知る中で、黒の炎を操るヤツなんざ一人だけ。
なんだが、ヤツは封印されちょる筈。
それとも既に誰かに助けられたんか?
だったら……そのまま帝国を無視してこげなところにおる筈がなかろォもん。
きっとなにかメインイベントっぽく出すつもりのモンスターだったに違いねー。
そうだそうにドンガォオオオオンッ!!!!
藍田 『うぉあぁあああっ!!?』
岡田 「なっ……なにごとかぁあああっ!!」
じ、地震!ついに来たっ!東京大地震っ!!───じゃなくて!
……アレ?なにやら今、地震とともにアルビノンらしき者の悲鳴が聞こえたような……
彰利 「……オ?」
そげなことを思っているうちに地震はあっという間に治まり。
キャーワーと騒ぐ観客たちを余所に、嫌な予感とともに眺めていた闘技場に異変が起こる。
異変、っつーよりは……モンスター入場口にからなにかが来る気配。
その威圧感に一人、また一人と、観客たちが静まってゆく。
観客1「お、おい……なんか寒気しねぇか?」
観客2「お前もか?な、なんなんだろうな、これ……」
なんとなく理解した。
さっきの地震は、地震として起こしたものではなく……
アルビノとミクが何者かにブチノメされた音だったのではと。
そして、彼らがあんだけ嫌がってた相手をそんなにしちまう相手が、これから───
…………てこてこてこ……
謎の生き物『ミギー』
………………。
チャチャブーだった。
てこてこと歩いてきて、両手を大きく挙げて背伸びの運動をやっている。
解説 『え、え……?な、なんだあれ。
おいモンスター管理さ〜ん!?あれはいったいなんですかー!?
……………………あ、あれ?管理班?……管理班!?』
声 『た、大変です!裏方周りのやつが全員気絶させられてて!
しかも宝物庫がすっからかんに……!』
解説 『な、なんだってぇ!?オーナー!……え?構わん続けろ?
こ、これは大変です!大変な事態なのにオーナーが続けろと!
なんという人でしょう!宝よりも客人の至福を望んでいるのだ!
───っていうかオォオオオオオイ!!?そこのモンスター!
お前が頭につけてんの!それ賞品の肉焼きセットじゃねーか!!』
チャチャブー『ミギ〜!』
解説 『うわっ!めっちゃ嬉しそうな声!!
宝物庫襲ったのも裏方気絶させたのもてめぇか!構わねぇぜてめぇら!
グラディエーターの力をそこのモンスターに見せ付けてやれ!』
藍田 『なに命令してんだモービー!!』
岡田 「こちとらてめぇのために戦ってんじゃねーんだよモービー!!」
藍田 『降りてこいコラモービー!!』
解説 『モービーじゃねぇっつってんだろうが!!』
解説がまたからかわれる中で、
チャチャブーはものすげぇキラキラ笑顔(予想)でキリキリと回転していた。
その様はまるで、光合成をするFF11のマンドラゴラのよう……!
藍田 『いや……けどミクが居なくなったのは好都合だ!なにがあったか知らねーが、
こんなヤツがさっきの黒を出したとは思えねーし!』
岡田 「なるほど!さっきのヘンなのは別の盗賊の仕業で、
こいつはモンスターハウスからテコテコ歩いてきただけってわけだな!?」
藍田 『というわけでGOだ岡田!』
岡田 「おう!っててめぇが行けよコノヤロー!!」
藍田 『なんだこらやんのかコラ!じゃあじゃんけんだ!』
岡田 「おおよ上等だ出さなきゃ負けよジャケポォ!!
よっしゃ勝ったぁあーーーーっ!!」
藍田 『速ぇえよ!!ちょっ……今のなし!卑怯だろオイィ!!』
岡田 「ククク……戦いに卑怯もへったくれもあるか……!」
…………。
なんかだめだ。
チャチャブーほったらかしでジャンケンバトル始めちゃったよ彼ら。
……オッ?う、動いた!伯が動いた!!
オルランドゥ「モンスターか。だが見たこともない種族だな……ヌシ、言葉は解るか」
チャチャブー『ミギー』
オルランドゥ「……無理か」
チャチャブー『無理だ』
オルランドゥ「そうだな。それもそう───…………」
あ、固まった。
ってちょっとお待ち?
今……喋ったよね?
伯ったら固まっちゃってるし。
チャチャブー『ミギー』
オルランドゥ「……き、気の所為か。してヌシよ。ここに何を求め訪れた。
言葉が話せずとも、言っていることは理解できるだろう」
チャチャブー『冒険という名の青春を謳歌しに来ました』
オルランドゥ「そう───…………ま、待て。喋れるのだな?話せるのだな?」
チャチャブー『オレ、話せる。べつにオレ、話せない、一言も、言ってない』
オルランドゥ「…………それはそうなのだがな……ああいい。ヌシ、名前をなんという」
チャチャブー『俺はクゥ!人間にもらった名前だ!!』
オルランドゥ「クゥか。いい名───」
チャチャブー『かかったなダボが!!俺はクゥなどという名ではないわ!
やぁ〜いやぁ〜いひっかっかってやぁ〜〜んのぉ〜〜〜〜〜!!!』
オルランドゥ「……《ひくっ……ひくくっ……!!》」
おぉおお……怒ってる怒ってる……!
殺気というか、背筋が凍るなにかが思い切り放たれまくってるよ……!!!
オルランドゥ「ヌ、ヌシは……ここへなにをしに来た」
おお大人!
怒りを抑えた!あんたスゲェよ!!
チャチャブー『えっとね?なんだかね?急に麻酔弾撃たれてね?
モンスターが集まる部屋にドシャアと投げ捨てられたからね?
ひとまず襲い掛かってきたモンスターをボコボコにしてから、
ドアをブチ破って探検してたの。そしたら宝がいっぱいあってね?
それを外まで運んで隠してを繰り返してたら、
なんだか闘技場にヤボが入ったっていうからね?
神聖なる戦いの場をシラケさせたやつらを不意打ちでボコりまくって、
黙らせてからこうやってやってきたの。つまりはそのー、宝が欲しかった』
オルランドゥ「……その中に、小さなペンダントがなかったか」
チャチャブー『あったよ?男の肖像画が入ってた。ほらこれ』
何故かものすご〜く知ってるやつの話方に似てるチャチャブーが、
鬼面に手を突っ込んでペンダントを取り出す。
ロケット型のそれを見た伯は、なんていうかとてもグッと来た顔をして、
それに手を伸ばべしぃ!!
オルランドゥ「ぐおっ!?」
ひっぱたかれた。
まるで、遊んできてからおやつを食おうとしたら、親に手を叩かれた子供のように。
チャチャブー『ミギギ……コレ、渡せない。コレ見つけたの、オレ。
どうしても欲しい言うなら、なにかヨコセ』
ゲェエエエ!!いきなり脅迫まがいのこと仰ってるよあのチャチャブー!
なんだろ!すげぇ誰かさんに似てるんですけど!?
チャチャブー『……《ジロジロジロジロ……ゴシャーン!!》ミギギ、オレ、やさしい。
コレの代わり、その剣がイイ』
オルランドゥ「なんだと!?」
うおお全然やさしくねぇ!
あの野郎絶対にあの剣がエクスカリバーだって知ってて言ってるぞ!?
だってなんか目がゴシャーンって光ってたもん!!
オルランドゥ「それは聞けぬ相談だ。これは戦友の形見だ。
大事なものとの交換といえど、これだけはダメだ」
チャチャブー『じゃあ他のなにかおくれ?それの次に大事なの』
オルランドゥ「ごふぅ!?あ、足元を見おって……!」
いや……普通に応対するアナタもアナタだ、伯。
ブチノメしてでも奪えばいいのに───って、あ。
藍田 『ネェエオタイガァショットォッ!!!!』
チャチャブー『《メゴンシャ!!》ギョアァアアーーーーーッ!!!!』
目の前のアイテムに目がくらんでいたらしいチャチャブーが、
近づいてきていた藍田くんに気づかずにサッカーボ−ルキックをくらった。
勢いよく壁にベタァーーン!とブチ当たる様はまさに爽快!
オルランドゥ「よ、よせ!あのモンスターはワシの求めていたものを───!」
藍田 『すまん俺には関係ないから知ったこっちゃねー!!』
オルランドゥ「なにぃ!?」
岡田 「決着つかなかったから二人同時でキルユー!さぁくたばれ鬼面族!」
散々とじゃんけんやってて決着つかんかったんか……
二人とも、そのストレスをチャチャブーにぶつけんばかりに襲い掛かってらっしゃる。
……つーかチャチャブー弱ぇえ!!
起き上がってきて早々にボコボコにやられまくってる!!
藍田 『よっ……弱ェエエエ!!弱すぎンぜこいつァアア!!』
岡田 「こりゃあミクやアルビノがやられたなんてなにかの冗談だぜ!
きっと裏の方に隠れて、俺達が驚いてる顔を見て笑ってるに違いねー!!」
藍田くんと岡田くんが殴る蹴るどつく!
もうなんていうか、漫画とかであるストンピング劇場みたいにドカドカボカスカと!
ぬ、ぬう……だが何故だ?嫌な予感がてんで消えぬわ。
オルランドゥ「退けヌシら!!得体の知れぬ者に対して深追いなど───!」
岡田 「否!攻撃出来る時には攻撃するべきだ!」
藍田 『そしてそれは今こそに他ならぬ!』
オルランドゥ「容姿に騙される馬鹿があるか!くっ───せいっ!!」
キィンッブォァッファァッ!!
藍田&岡田『おぉおおおっ!!?』
───!うおおすげぇ!
振り切った剣から出る剣風で、二人を吹き飛ばしおっ───ゴバァオンッ!
…………た?
藍田 『《ずしゃしゃぁっ!!》あでぇっ!!
〜〜〜っ……てぇ……!って、な、なんだぁ!?』
岡田 「っつぅう〜〜……へ?な、ななななんじゃあこりゃあぁあ!!」
……果たして、伯の予感は的中した。
得体の知れないものに深追いをするべきじゃあほんとねぇ。
見れば、チャチャブーの体からは謎の炎が舞い上がり、
手の形になってゆらゆらと動いていた。
チャチャブー『惜しい惜しい……あと少しで三陰光圧痛が出来たのに……』
オルランドゥ「闇の炎……?ヌシ、何者だ───」
チャチャブー『俺はクゥ!人間にもらった名前だ!!』
オルランドゥ「それはもういい。本当の名を訊いている」
チャチャブー『その剣くれたら教えてあげる!』
オルランドゥ「断る」
チャチャブー『ちくしょー!なんでもかんでもダメで通ると思うなよテメー!!
人の要求蹴っといて自分の要求が通ると思うなー!?
トサカにきたぁーーーっ!見せたるオイラの十万馬力!!』
チャチャブーはやる気だ!!
って女神転生やってる場合じゃなくて。
オルランドゥ「……ふぅ。仕方ない……やはり力ずくで鎮めるしかないようだな」
チャチャブー『おぉっと動くな!?動くとこのペンダントが塵と化すぜ!?』
オルランドゥ「ぐほっ……!つ、つくづく卑劣なヤツだな貴様!!」
チャチャブー『グヘヘヘヘ……そうそう、それでいンだよボケが……!』
冷静になり、剣を構えた途端にこれです。
あーあー……伯ったら青筋ムキムキで構え解いちゃったよ……。
なんだろね……あのモンスター、滅茶苦茶中井出チックなんですけど。
まぁ、けどゾパァンッ!!
チャチャブー『ややっ!?』
岡田 「とったぁああーーーっ!!」
カタカタと笑ってる隙に放たれたエースインザフォールが、チャチャブーの腕を斬り裂く。
そこには当然ペンダントが握られていて、
すかさずスライディングキャッチした岡田くんがズダーと距離を取る。
岡田 「フフフ……これで脅迫材料は無くなったぜ……!」
藍田 『クフフフ……いいことを教えてやろう。伯の強さはすげぇんだぜ?
なにしろあのサウザンドドラゴンと真っ向から戦ってみせた弦月を、
なんと一方的に降参させちまったんだからなぁ……』
……いえあの……藍田くん?
それってアタイのこと知らないとあんまり意味ない言葉だと思うんだけど?
チャチャブー『なにを言う。このチャチャブーとて、
“今の私ならば烈海王にだって勝てる”と大法螺()フケるほどの実力よ』
…………。
あの?何故あのモンスター、地界の漫画のこと知ってますか?
藍田 『な、なぁ……お前なんで烈海王のこと知ってんだ?』
チャチャブー『モンスターキングさまがおっしゃったからだ!
虚勢を張る時はこう言えば貴様ら冒険者は驚くと!!
ウエヘハハハハハ!効果は上々だったようだな!!』
総員 『……………』
あの……悠介?
アータいったいモンスターたちにな〜〜にを教えとるんですか……。
【Side───モミ】
がらがらがらがら……
悠介 「ふぇええっくし!ぇえっくし!っくし!へくし!ぐはっくし!へぇえっくし!!」
レイル「うおぉおおおっ!?な、何回くしゃみする気だお前!
噂でもされたのか!?現在注目の的か!?」
悠介 「…………?《ぐしっ……》いや……噂とかじゃなくて、なんか寒気みたいなのが」
謂れの無い誤解を何処かで受けてるような…………なんだろな。
悠介 「しかし速いな……さすが一日で着くって言ってみせただけのことはある」
レイル 「便利だなーこれ」
太陽 「ええ、風向きもいいですし、この調子なら予定より速く着きそうです」
悠介 「ほんとか?そりゃ良かった」
ジャミル『うげぇええうえぇえええ…………』
レイル 「そして俺はリアカーで酔うモンスターを初めて目の当たりにした」
悠介 「実は俺もだ」
【Side───End】
チャチャブー『ゲウェフェフェフェフェ……!!
そんなわけで宝を頂いた今、こんな場所に用はねぇ……!
俺はこれで失礼させてもらうぜ……お、おっとついてくるなよ?
俺にはまだ最後の切り札があるんだからな……!
貴様らが動けばそいつがボンッ!……だぜ?』
藍田 『ぐっ……卑怯だぞてめぇ……!』
岡田 「切り札ってのはアルビノか……!?人の命を盾にするたぁ……!」
チャチャブー『え?人?………………………え、ええぇとうん!そうだよ!?人だよ!?
ひひひ人質居るから動いちゃダメ!動くヨクナイ!ノーウゴク!ノー!!』
藍田 『………』
岡田 「………」
チャチャブー『ア、アレ!?なに動いてるの!?動いちゃだめって言ってるでしょ!?
く、来るな!来るなぁ!うわぁああん来るなよぅ!!』
ああ……なんかもう解っちまった。
あいつ人質なんて持ってねぇや……。
ただ付いてきて欲しくないからデマカセ言っただけだワ……。
でもホント、モンスターの躾はきちんとしたほうがいいよ、悠介……。
いろいろ中井出から学ぶことがあったからって、
なにもあんな中井出二世みたいなモンスター作らんでもいいのに……。
ボカドカバキドス!ギャアアーーーーーーーーー…………
……おー殴られてる殴られてる。
おー蹴られてる斬られてる。
チャチャブー『やめれぇえええっ!!』
ヴォンガォオオオッ!!!
藍田&岡田『ぎゃああああああああっ!!!』
い、いや!否だ!
逆に藍田くんと岡田くんが爆発で吹き飛ばされた!!
チャチャブー『もう……もういい貴様ら……!
そっちがその気ならこっちにだって考えがあるぞ……』
ヌ───!?
ボロボロのズタボロになりながら、
ゆらりと起き上がるチャチャブーの体が……闇の炎に包まれておる……?
いや、それはさっきからだ。
おかしな点は、その炎が炎らしくない揺らめきをしていることで───
チャチャブー『あのね……?僕の炎はね?レベルアップするんだ……。
それはきっとレベル9まででね?
1レベルアップするごとに特殊能力覚えるの。すごいでしょ?
その過程でね?もちろんあの能力もあると思うんだよ?
でも出すまでは内緒にしたいじゃない?
でもね?やれ、やれ、って要望がね?あとを絶たないんだ……』
藍田 『……?な、なんの話だ?』
チャチャブー『僕の能力の全ては属性も含め、全部本体の方……
そんな今の僕に使えるわけないのにね……。
でもね?なんかね?こんな時にばっかノリ気なお方がね?
やれ、やれ、って言いまくるからね?特別に許すって言うからね?
今だけ使えるようにしてやるって言うからね?
───おまんら、許さんぜよ《キュィイイイッ!!!》』
───景色の暗転!?
こりゃあっ……秘奥義!?
チャチャブー『特別ご披露!!灼闇レベル9スキル!!“フォァラドゥンク/召閻”!』
チャチャブーの体が光り輝く!
そのあまりの眩しさに思わず“うおっ、まぶしっ”と言ってしまったまさにその時!!
メギャアンッ!!
と、チャチャブーの前に朱と黒を混ぜたような謎の存在が出現!!
………………アレ?魔神カルキ?
藍田&岡田『ホワァアアーーーーーッ!!?』
な、なにが起こってるのかよー解らんけど!うおお今すぐ乱入してぇ!
スタンドだよアレスタンド!絶対にスタンドだって!
だってなんか立ち方がそれっぽいし!
さ、さあ次なる行動は!?見せておくれチャチャブー!貴様の次なる行動を!
チャチャブー『……ハイ、ハイハイ……え?そうなの?マジですか!?
……謝謝!謝謝無駄な人!……え?駄は余計?い、いいじゃないかべつに』
……なんか電波受け取って、虚空に語りかけてる。
無駄な人って誰?駄は余計?無……無?……スッピー?……いや、まさかねぇ。
チャチャブー『え、えーと、この子ったら纏わせる属性によって姿形、
能力が変わるらしいから覚悟しろコノヤロー!というわけで“火”!』
チャチャブーがそう言った途端、魔神カルキの姿が変貌する!
黒い炎に包まれたそいつはやがて───あ。マジシャンズレッドになった。
藍田 『スッ……スタンドだぁあああーーーーっ!!!』
岡田 「アヴドゥルだぁっ!アヴドゥルの誕生だぁあーーーーっ!!」
OK最高だ!なんだか知らんが面白い!
次は!?次はなんなんだコノヤ───あ。
藍田 『……俺、逃げるワ』
岡田 「俺も……」
彼ら二人の前にはザ・ワールドが立ってらっしゃった。
マジシャンズレッドから形を変えた、DIO様の忠実なるパートナー、ザ・ワールドが。
当然藍田くんと岡田くんは逃げ出したが、それも無駄に終わった……のかもしれません。
チャチャブー『遅いわ!既に射程距離よ!“世界”()!!フハハハハハ時よ止まれ!!』
ドォーーーーン!!!
藍田 『ぐぇうはぁああーーーっ!!!』
岡田 「がうはっ……!」
───!ヌオッ!?
藍田くんと岡田くんがいきなり吹っ飛んだ!?
チャチャブー『ス……スゴイ……!なんてスゴイ……!
止まった時の中で動けるってなんてステ《ズキィーーーン!!》
あぐあぁああーーーーーーーっ!!!!』
……そしてチャチャブーが苦しみだした!?
な、なにが起こってるのか解らねぇ……!まるでポルナレフの気分だぜ…………!
だ、だが確かに感じた……サウザンドドラゴンと戦っていた時と同じだ……。
恐らくあれは時の停止……!あの、寒気にも似た時止めの感触を、今確かに感じた……!
チャチャブー『あ、あれぇええ!?ちょっ……使わせるだけ使わせたら強制解除!?
しかもやっぱりペナルティ!?いたっ!あいだだだだ!!
なおかつ覚えてもいないものを使った所為で超筋肉痛!?
ひ、ひどい!なんてひど───あ』
オルランドゥ「…………《にこり》」
なんぞ後遺症でもあったのか、激痛を訴えて倒れたチャチャブー。
……の前に、ズシャリと立って剣を持ち上げる伯。
チャチャブー『……フフフ。今は大人しくやられてやろう。
だが忘れるな、俺を殺しても第二、第三のチャチャ《ザゴォン!》ゴゲッ』
終わった。
さっくりとエクスカリバーで体を刺されたチャチャブーは、どたっと倒れ……
動かなくなった、なんてことはなく、
地面を掘るとその中にもぐり、鬼面だけ置いて居なくなってしまった。
解説 『あ……あ?あぁっと……?こ、これはよく解らない展開ですが───
アイダもオカダも気絶!!立っているのはオルランドゥだけ!
───なんかもうほんとよく解らないけど、
このコロシアム最強が今決定しました!!
勝者ぁっ!シドルファス=オルランドゥーーーーーーッ!!!!』
観客 『ウオォオオーーーーーーッ!!!』
解説 『さあ!勝者のオルランドゥ伯には賞金と、太陽の紋章が……ありません。
す、すいません、賞金だけでも……』
気まずそうな顔をした男が闘技場に入って来て、伯に金を渡す。
……うん、なんかものすげー可哀想な感じ。
じゃけんども伯は倒れた岡田くんの手からペンダントを拾い上げると、
安心したような顔でロケットの中身を改めた。
彰利 「───アルティメットアイ!!《パワ〜〜〜ッ》」
そげな瞬間にすかさずアルティメットアイ!!
ロケットの中身を
オルランドゥ「………」
あ。気づかれてる。
でも一瞬見えた……ありゃ男の肖像画だ。
しかも若かったわりに絵が古ぼけてるとなると、かつての戦友かなんかの絵だろう。
俺としてはあげな小さな絵を描ける人が居ること自体がスゲーと思うけど。
───なにはともあれ、納得いかない気分を残したまま試合終了。
クォックォックォッ……やつらが目覚めた時の反応を今から楽しみにしておこうかねぇ。
……ああ、それとアルビノンとミクの関係も知りたいし、様子見に行ってみますか。
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