───冒険の書16/ヴォルテックバトラーズ───
【ケース104:晦悠介(再)/ライトニングブラスター】
悠介 『疾ッ───!!』
跳躍は自殺行為。
俺は地を滑るように疾駆し、中空に浮いているヴォルトとの距離を一気に詰める。
彰利 『ああもうどうなっても知らねぇからなぁっ!!?
錬気アビリティ全開!!我が闘気よ両手に集え!“打透勁()”!!』
さらに、俺を援護するように放たれる彰利の気弾。
それはまるでマシンガンのようにヴォルトに当たり、次々と爆煙を舞わせる。
その爆煙と、雷雲の下という暗さが完全にヴォルトの姿を隠す───が。
悠介 『“捻り穿つ”()!!』
ヒュフォンバジィッ!!
奔らせた槍の先に手応え。
俺は構わずイメージを弾けさせ、用意していた次弾を放った───!!
悠介 『雷を散らす水流よ、我が矛先より出でよ!“散華流水閃()”!!』
キィンッ───バッシャァアアアアッ!!!!
ヴォルト『───!!』
爆煙が水流によって吹き飛ぶ。
だが当然、精霊はそれくらいでは散ったりはしない。
悠介 『ッ……』
俺はさらに次弾を、さらに次弾をと積み重ね、幾度も幾度も攻撃を連ねた。
───実体はあるのだ。
手応えは確かに穂先に存在した。
ならば核と思われるものがあり、それを攻撃する以外にダメージを与える方法は無し。
くそっ……とんでもない命中精度が必要ってことに眩暈がする……。
悠介 『彰利!目だ!お前は目を狙ってくれ!』
彰利 『っと───あいよ!!』
けど、闘い方が解るのと解らないとの差は大きい。
俺は武器を強く握り直すと再び疾駆し、俺を見据えたヴォルト目掛けて跳躍。
そんな俺目掛けて雷を放とうとするヴォルト───
だが俺は動じることなく渾身の一撃のために構えた。
彰利 『練り、さらに放つ!其は練られし闘気にして鋭利なる刃!!
唸れ闘気!紅葉刀閃流無刀の型───闘覇-地竜-!!』
背後で彰利が大地に掌を下ろす。
と、ヴォルトが浮く虚空の下の地面から、練られた闘気の塊の剣が飛び出す───!!
ギィンッ───ザッコォオンッ!!!
ヴォルト『Il peut marcher, vous!!!』
その突然の攻撃驚くヴォルト───そこに放たれるは渾身の一撃!!
悠介 『貫けぇえーーーーーーっ!!!!』
槍に水流が凝縮される。
狙うは核。
目と目の間の奥に存在する、より色濃い雷を穿つ───!!
ヴォルト『Seja arruinado!!!』
───否。
穿つより先にヴォルトは己の体から雷をばら撒き、
目の前に居る俺にはとびきりデカい雷を───
悠介 『甘いッ!!避雷針が出ます!!』
だがそれを詠んでこその渾身!!
俺はすぐさま己の手に避雷針を創造すると、それをヴォルトの上空へと投げつけた!
シギィンッバガァッ!!ゴガガガァアアォオオンッ!!!
轟く雷鳴。
雷は上空の避雷針に吸い取られるように飛び、俺は───
悠介 『連ねる閃きは刹那の殺劇!槍術奥義───“磁壊壁礫槍”()!!』
一気にヴォルトの懐へと潜り込むと、幾重にも槍を奔らせた。
目を槍撃を連ね、さらにヴォルトの核へと槍を突き刺し、
ヴォルトの体───その雷自体に槍が黒コゲにされる前に、
“くっつく力”と“弾く力”を槍の穂先から創造する───!!
バァッガァアアアアアアアアンッ!!!!!
ヴォルト『Es ist schmerzhaft!!!!』
悠介 『っ……ぐあぁあっ!!』
巻き起こる大爆発。
柄を掴んでいた俺の腕までその衝撃は奔り、
さらに目の前で起きた爆発によって、
俺の体は彰利が立っていた場所の後方まで吹き飛ばされた。
彰利 『悠介!?』
悠介 『っ……まだだ!気ィ抜くな彰利!!』
ビジュンッヂガァアォオオンッ!!!
彰利 『うぎっ───!?ガァアアアアアアアッ!!!!!』
悠介 『彰利っ!!』
爆煙の先から放たれた青白い雷の剣。
物凄い速度で飛翔してきたそれは、彰利の肩を貫くとその場で爆ぜた。
彰利 『がっ……!あ、ぐ……!!や、ろ……ォ!!』
ゲームだからか、腕に風穴が空くようなことはなかった。
だが、そこには確かな痛覚がある。
彰利はハイポーションを飲み下すと、猛然と疾駆して拳を固めた。
悠介 『───ええいっ!!もうどうにでもなれ!!』
結局は攻めるしかないのだ。
あーだこーだ言ってるより、ダメージを与えた今こそ一気に攻め込むには絶好の機会!!
彰利 『突き出す無刀は内部より破壊すべき最大の極意!!紅葉刀閃流無刀の型───!』
ナックルが光り輝く。
彰利はそれを、腕が焼き焦げるのも覚悟の上でヴォルトの核へと振り伸ばした。
目と核以外の全てはヴォルトの雷。
当然、球体である雷の中の核へと直接触れるならば、
そこに届くまでの身体全ては雷に打たれるだろう。
だが───闘う意思とは、覚悟とは……
己がダメージを受けずに倒す、なんて覚悟の上には成り立たないのだ。
───故に。
彰利 『ブチ撒けろクソ野郎!!闘覇-壁砕-!!』
傷つくことすら厭わず、ただ勝利にのみ邁進する者こそが辿り着ける場所がある───!!
ヂガガゴバァッシャァアアアアンッ!!!!
ヴォルト『It is foolish!!! It is that this self is beaten!!!』
ヴォルトの核を掴み、その状態で直接溜めるに溜め、練るに練った闘気をブチ込んだ彰利。
散々と雷に打たれ、既にHPなんて雀の涙ほどだ。
だがすぐにグミをポーションで流し込むと、すぐさま戦闘態勢を取った。
彰利 『来るなら来やがれ……!!
アイテムが続く限り、どんな無茶な戦いだってやってやる!!』
悠介 『………』
驚いた。
彰利がキレてる。
さっきの雷でなにか妙なスイッチでも入ったか?
ヴォルト『fooli───』
彰利 『起きたからにはブッ潰す!!“界王拳”!!』
彰利はやる気だ!!
つーか……もう間違い無い。
今の彰利、気絶中だ。
よく見てみりゃ視点が定まってない。
今体を動かしてるのは多分、
彰利ののほほんとした意思に押し込められていた闘争本能ってやつだろう。
元々、月の家系ってのは気性が荒いところがある。
まして、血の濃い弦月の家系なら尚更だ。
それがどれくらいかぶりに爆発したんだろう。
ヴォルトの言葉も無視して、身体に赤い闘気を纏うと疾駆した。
悠介 『───よしっ』
だったら俺もそれに便乗するだけだ。
俺は手に弓を創造し、彰利の援護になるよう全力で矢を射った。
中空に浮かぶヴォルトは、矢なんて避ける必要もないと断ずるかのように動かない。
───それが命取りだ。
悠介 『導を象り母なるを育む恵みの刃よ!炸裂せよ!!』
矢がヴォルトの雷の球体に入り込んだ刹那、言を唱え───放った矢の真の姿へと戻す!!
悠介 『“流水散華閃()”!!』
キィンッ───バッシャァアアアアアッ!!!!
ヴォルト『!?───!!』
放った矢が水となり、ヴォルトの球体を象っていた雷を内側から散らす。
その僅かな刹那にのみ、ヴォルトは目と核だけとなり───
彰利 『響け闘光───其は物質を貫通せし無情の刃!!
紅葉刀閃流無刀の型、闘覇-散華爆洸-!!』
フオガゴォッ!!
ヴォルト『───!』
彰利の拳がヴォルトの核にブチ当たる。
これだけではただの殴り───だが、闘覇の型の戦法は“内側からの破壊”にあり。
元々俺と彰利がお遊びで作った型で、
現紅葉刀閃流伝承者である篠瀬の許しも得ずに勝手に作ったものだ。
だが、だからこそ無茶が効く。
相手に触れ、直接相手の属性とは逆のものを流し込んで破壊するという、
彰利の嫌がらせ精神から作られたこの型。
今現在属性こそもってないものの、流し込むのは彰利が練った闘気だけで十分だ。
バゴォオンッ!!!
ヴォルト『!?』
ヴォルトが大きく吹き飛んだ。
なんの所為でもなく、彰利が流し込んだ闘気の所為だろう。
ヴォルトは少し怯んだ様子を見せると、また雷を自分の周りに出現させた。
そして、再び弓を射ろうとした俺を見据えると───ってヤバイ!!
ヴォルト『Ein Ausgabenanstieg, ein kritischer Durchbruch』
キィイイ───ズガガガガガガガガガガガァアアアンッ!!!!!!
悠介 『っ───だぁあああああっ!!?』
彰利 『───っ……!!』
そこら中に巨大な雷の剣が落ち、その度に爆発を起こす。
さらにその爆発自体が小さな雷となり、地面に跳ねては爆発する。
俺と彰利はさすがに避けられず、HPの9割を奪われていた。
彰利 『い、いぢぢ……あ、あれぇっ!?なんで俺こんなHP減ってんの!?ナニコレ!』
悠介 『あー……』
そして、正気に戻ってしまうたわけがひとり。
彰利 『と、ともかく回復!えんやこら回復!!』
ガシュリガフゴフショショリショリショリ……!
ゲェフッ……!ポムポムヂガァアンッ!!!
彰利 『うぎゃああああーーーーーーーーーーっ!!!!!』
回復……そして落雷。
もはや何がやりたいのか解ったもんじゃなかった。
悠介 『アホゥ!!せっかく回復したのに腹なんか叩いてるからだ!!』
彰利 『なにぃ!?モンスターハンター流奥義“一気食い”を馬鹿にすんなよ!?
一気食いはなぁ!!食ったあとにわざわざガッツポーズしたり腹叩いたりして、
敵にボコボコにされるんだぞ!?モーション長すぎて役に立たねぇんだぞ!?』
悠介 『だったら偉そうに言うな馬鹿者!!』
彰利 『グ、グムムーーーー!!』
叫び合ってる間にもグミを食べ、HPを回復させる。
……ちょっとシャレにならない。
同じ精霊だっていうのに、シャドウよりもヴォルトのほうが厄介だ。
シャドウの方は自分から引き下がってくれたが、
言葉が通じない分……ヴォルトはともかく攻撃に集中してばかりだ。
このままだと決定打を決められそうにない。
確かにダメージは与えられてるが───
声 『助けてやろうか───』
悠介 『───!?誰だ!!』
不意に聞こえた声。
驚いた俺はすぐさま振り返って、声のした方向を見た───が。
南無 『───ほね?』
そこに居たのは、どっかで見た骨ドゴロシャァアアアン!!!!
南無 『ほねねぎゃああああああああああああっ!!!!!!』
そしてあっさり退場。
瞬殺って言葉はきっと、こういう時にこそ使うんだろうと思った。
悠介 『……なにしに出てきたんだ?こいつ』
彰利 『さあ……』
俺と彰利は黒コゲになった骨を見下ろして、
モシャアと溜め息を吐くことしかできなかった───じゃない!!
ビヂィッ!!ゴロロガバッシャァアアアンッ!!!!
悠介&彰利『だぁああああっ!!!!』
頭上から落ちる落雷を慌てて避け、地面に転がった。
さっき投げた避雷針はすでに雷打たれすぎて捻じ曲がり、地面の上で液体になっていた。
冗談じゃないぞ……?
あんなの受け続けたら、いくらゲームの中とはいえ消し炭になる。
ヴォルト『Gewitterwolke,die Es mein Rand wird. Es kann durch einen Feind durchdringen.』
ビヂィッ……!!
悠介 『ういぃっ!!?』
彰利 『ゲッ!!ちょ、待───!!』
そんな雷を放つ雷雲が、無数の巨大な刃となって俺達へと向けられた。
悠介 『よ、避けろ!避け続けろぉおおおおっ!!!』
彰利 『だーーーっ!!無茶言ってんじゃねぇえーーーーーーっ!!!!』
キュィンッガガガォンガォンガォンガォオオンッ!!!!
バガシャシャゴガギシャバガガガガァアンッ!!!!
悠介&彰利『ほぎゃぁあああああああああああっ!!!!!』
無遠慮に放たれた剣の雨に叫ぶしかなかった。
弾け、飛び散り、散った先でまた弾け、爆発を巻き起こす。
地盤は次々と削られ、その度に地震でも起きたのかと思うほどの揺れが俺達を襲った。
彰利 『ギャア神様ぁ!!バランスが取れねぇえーーーっ!!!
悠介キミなんで平気で動けてんのさーーーーっ!!!!』
悠介 『どんな状況でも戦えるようにって、黄昏の中で何度も練習したんだよ!』
彰利 『なんでその時俺のこと呼んでくれんかったの!?』
悠介 『お前がまだ修行なんて嫌だとか言ってた頃の話だたわけ!!
悔やむならその頃の自分の態度こそを悔やみやがれたわけ!!』
彰利 『に、二回言った!今たわけって二回言った!!
ニ《ドガシャアアアアアンッ!!!》ほぎゃぁあああああっ!!!!』
悠介 『彰利っ!?っ───このっ……!いい加減にしろ!!』
喋り途中に雷に打たれた彰利を見た途端、
カッとなった俺は向き直り様に創造を開始していた。
創造したものは再び弓。
弦を強く創造したそれは軽量にして破壊的。
続いて創造した矢を思い切り引き絞り、
イーグルアイで相手を捉える感覚を重ね合わせ、一気に放つ!!
ピュィンッ───ザブシィインッ!!
───が。
放った矢は核ではなく目に阻まれ、核に届くに至らなかった。
しかもその目もすぐに回復する。
つまり───核以外へのダメージは、全て無効って考えたほうがいいってことだ。
だったら届くまで、倒せるまで───次弾で足りないなら何弾だって放つまでだ───!!
悠介 『彰利!』
彰利 『へあっ!?え!?な、なになに!?』
悠介 『ヴォルトの雷を破壊する!そのうちに核を攻撃してくれ!!』
彰利 『えっ───えぇっ!?俺が!?』
悠介 『───……ったく!!なんでお前はそう妙に意気地の無い時があるんだ!!
もっと自分の力信じて突っ込め!!』
彰利 『そんなこと言ってもねぇ……言っとくけど黒のねぇ俺ってザコいよ?』
悠介 『………』
なんか物凄くこいつのこと殴りたくなった瞬間だった。
ええい……!空界での一件で怠け癖が無くなったって安心してたってのにこれか!!
悠介 『お前っ!どっからまた怠け癖を引っ張ってきやがった!!
戦う時はちゃんと戦う!それが男ってもんだろ!?』
彰利 『やー……でもさ、こういう場合って俺が後方支援のほうがよくなくな〜い?』
悠介 『……お前、あの雷破壊できるか?』
彰利 『絶!対!無理!』
どーん!!
……胸張って言いやがった。
俺もまだまだこいつを計れてないらしい。
とりあえずこの戦い終わったら殴ろう。
STRをMAXにして腕に螺旋風創造して思いっきり空飛ばそう。
つーか今からキレとこう。
鬱憤晴らしは早いほうがいいだろうし───はは……は───ブチィッ!!
悠介 『ガァアアアアアアアアッ!!!!!』
彰利 『ウヒャッ!?』
怒りが身体を支配した。
いつかの“カオスの波動”に飲まれた時と同じような感覚が、俺という全てを支配する。
ゲームの中だというのに目は真紅に染まり、髪は銀色に染まっていった。
ようするに……精霊になる前の俺でいう“死神モード”。
ヴォルト『───!!』
そんな俺の殺気を感じたからだろうか。
ヴォルトが俺目掛けて雷を落とす───が。
悠介 『ハァッ───!!』
フィィンッ───バヂュゥウンッ!!!
腕を振るうと同時に創造された水によって、落ちてきた雷は完全に抹消された。
……ただの水じゃない、超純水によって。
彰利 『ゲエ……!あ、あれは超純水!!』
水に雷が落ちると伝導することは誰もが知っていることだ。
だがそんな水の中にも、雷を一切通さないものがある───それが超純水。
加工で作るそれよりも純度の高い創造物は、
通常のソレよりも雷を消し去る力においては一級。
それを見たヴォルトは動揺を見せる───が。
悠介 『ハッ───ハハハハハハハ!!!!!』
爆ぜるように疾駆した俺に零距離で睨まれ、さらに驚愕を露にした。
それが命取り。
ダメージを受けることすら厭わずに伸ばされた腕が、
球体の雷を無視してヴォルトの核を掴んだのだ。
ヴォルト『───!?』
逃げようとするには遅すぎた。
そして───放電を始めようとするのでさえ。
一瞬の動揺が命取りとなり、やがて───
悠介 『爆砕せし無属なる衝撃……砕け散れ。“炸裂せし原子の爆発()”』
キュイバゴガガガガガガガガァアアアアッ!!!!
彰利 『キャーーーーッ!!?』
轟く轟音に巻き起こる爆風。
俺の手の平に包まれたままに衝撃を創造され続けるヴォルトの核と───
悠介 『ふっ───ふ、はははははあはははははは!!!!』
バガガガォンッ!!
ボゴゴガガガバガァンッ!!ドガァアン!!
いつまでも離さず、既に雷の球体さえ消えているヴォルトへと衝撃を創造し続ける俺。
核は次第に衝撃に耐えられなくなり、ヒビが割れてきた。
俺はそこまでくると意識をしっかりと持ち、感情のコントロールに努めた。
ヴォルト『───……、……』
ボシュン、と……手の平から解放されたヴォルトの核が地面に落ちる。
すると、まだ残っていた魔法陣の光が完全に消えることで、
イベントバトルの終了が確認された。
悠介 『はあ……』
そこまで来て俺は、ようやく自分のHPが既に2だったことに気づく。
もしヴォルトがずっと雷の球体を消さなかったら……とっくに死んでたな、これ。
呆れ半分驚き半分のままに、とりあえずグミとポーションを飲んで一息。
それから予定通りに彰利の側に歩いてボゴルシャァアアアッ!!!
彰利 『ぶるぁえぁあああああっ!!!!!』
思いッッッきり殴ってやった。
それはもう、腕に創造した螺旋風の所為で物凄いキリモミ大回転をしながら、
高く高く、そして何度も何度も回転するほどに力強く。
悠介 『このたわけめが!!貴様それでも勇敢なる獣人の戦士か!!』
やがて大地に顔面から落下してピクピクと痙攣する親友を、
俺は溜め息とともに見送ったのだった。
悠介 『……ヴォルト、言葉、通じるか?』
ヴォルト『……、…………』
ヴォルトが何かを言う。
だがそれはなにを言っているのかまるで解るようなものでもなく───
彰利 『ブルスコファー……!!ブルスコ……ファー!!って言って』
悠介 『ないわっ!!』
ボゴシャヂガァアアアアアアンッ!!!!
彰利 『モルスァペギャアアアアアアアアッ!!!!!』
いつの間にか復活してた彰利を再び殴り、
空を飛んだ彰利がヴォルトに狙い撃ちされてスパーク。
やはり黒コゲになってドシャアと大地に倒れた。
そうした中でヴォルトに向き直るに至り───
ヴォルト『Dies wird ihm gegeben. Es ist der Schatzball des Donners』
ヴォルトは、やはり聞き取れず理解に至らない言葉を発した。
だが……俺の目の前。
その虚空に、青白く輝く綺麗な玉が浮いていた。
これは……雷の宝玉?
ヴォルト『………』
俺がそれを受け取ると、
ヴォルトは『もうお前には関わり合いたくない』とでも言うかのように、
さっさと上空に存在する雷雲へと掻き消えていってしまった。
悠介 『………』
なんていうか……“受け取った”って感じがしないのは……俺だけか?
これじゃあ街角で恐喝してる不良みたいだ。
……まあその、不良って部分には間違いは無いわけだが。
ともあれ俺のステータスバーに“E”の文字が付いた。
これでエキストラスキルボーナスが手に入れられるわけだ。
……頑張っていこう、もっと、これからも。
俺が頑張れる範囲で───やれることから少しずつ。
守る守らないが重要なんじゃない。
その時の俺が、ちゃんとその行動を自分の意思で、喜んで出来ていられるかが重要なんだ。
命令されたからやる、乞われたからやる、
なんてことを続けていたら、いつか自分の心が解らなくなりそうだ。
だから俺は俺の出来ることから。
それを忘れず、芯に刻んでいれば……きっと曲ることは無いんだと。
……信じていこう、この未来を、自分の意思を。
そして───親友を。
悠介 『ほ〜らっ、いつまで寝てんだ。さっさと次行くぞ』
彰利 『うう……ゴッド……親友が強引なの……。昔はあんなに優しかったのに……。
結婚した途端に急に暴力を振るうようになって……!!』
悠介 『……お前の脳内神はなにか?ストローレインコートさんなのか?』
彰利 『俺の昼はいつだって○○だぜ?
俺、婦女子を装って思いっきりテレビに悪戯電話し掛けたことあるし』
悠介 『お昼の奥様の時間を破壊するような行為はやめろ……』
彰利 『ちなみにストローレインコートとは“蓑()”のことを差す。
“ストローレインコートさん”とは即ち“みのさん”であり、
この世界にあるストローレインコート山も直訳すれば“みの山”。みのさんさ』
悠介 『誰に説明してるんだお前は』
彰利 『知らん』
彰利はいつもの様子でおどけて、グミを噛みつつ先を促してきた。
……確かに、用が済んだのにいつまでもここに居るわけにもいかない。
歩き出した俺達は、さすがに飛び降りるわけにもいかず、
正規ルートから山を降りてゆくことにしたのだった。
さあ───次は戦争への参加だ───!
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