───冒険の書40/原中ウォーズ───
【ケース179:中井出博光(再)/我輩は○である】
───開いたドアの先に居たのは彰利ンところの豆ボーヤだった。
ああ、それと刹那だな。+猫、と。
豆村 「あ、ぁあははは……すんませ〜ん……相部屋いいッスかぁ?」
アイルー『部屋が全部埋まってるのニャ。
ここでは露店出しは禁止らしいからどうにもならないニャ』
刹那 「そこにきて提督さんの名前を見つけるなんて超ラッキー!
ということで来訪させていただいた所存。
袖振り合うも他生の縁と言いますし、いかがなもんデショ」
中井出 「条件つきでどうだ?飲むか?」
豆村 「よっしゃ乗った!!」
アイルー『内容も聞かずに乗っちゃだめニャ!!……無茶なものじゃなければOKだニャ』
中井出 「や、ただ単に俺と丘野二等の武器を鍛えてくれりゃあそれでいいよ。
一応金もあるし。で、こっからが条件。その鍛えるための費用を割引しろ!」
アイルー『ニャニャッ!?それは卑怯ニャ!』
中井出 「なんならマタタビ10個つける!」
アイルー『ヘイ毎度!!』
総員 『漢らしィーーーーーーーッ!!?』
猫の大変漢らしい返事に、我らは強い感銘を受けた……。
感銘って言えるのかは微妙の極みではあるが。
───……。
……。
そうして、宿の部屋に無理矢理鍛冶工房を立ち上げて鍛冶を始める猫たち。
既に丘野も戻ってきており、アイルーにシュバルツレイヴを渡していた。
が、当然俺達は手ぶらで暇なウォリアーになり───まあ、暇だった。
アイルー『ちょっとそこの目がキュートな人、こっち来るニャ』
丘野 「目がキュートでなんで拙者を指差すでござるか……」
それはキミが猫目だからだと思うぞ丘野二等。
しかし渋々ながらも
アイルーの秘密の部屋(カーテン付き)の側に寄るたいへん律儀な丘野くん。
アイルー『この剣、相当特殊なものニャ。何処で手に入れたニャ?』
丘野 「秘密でござる」
アイルー『そうニャ?まあそれはそれでいいニャ。それよりもこの剣、昇華出来そうニャ。
するかしないかは任せるけど、やっといたほうがお得ニャ。
どうするニャ?今なら格安の2万$で───』
丘野 「マタタビでどうでござるか?」
アイルー『既に10個貰ったからいらないニャ』
丘野 「じゃあ鰹節でござる!!」
アイルー『毎度アリニャ!!』
安いヤツだった。
そんなこんなで再び、カーテンを閉じてゴソゴソゴソソと準備を始める猫。
中で何が始まろうとしているのかは……弟子である豆瞬間コンビも知らないらしい。
豆瞬間ってのは、豆村と刹那って意味のコンビ名であり───
どうということもなく俺が勝手につけたものである。
刹那ってのは一瞬のそのまた一瞬の、
さらにそのまた一瞬を一瞬で割ってさらに一瞬で割ったような瞬間のことであるが───
思えば何故己が息子にそんな名前をつけたのだ、親よ。
刹那 「え?俺の名前スか?あ〜……それがッスね。
なんでも俺、生まれた途端に一度ポックリ逝ったらしいンスよ。
そこからちなんで付けられた名前だとか───」
総員 『ウーーッヒャーーッ!!縁起悪ゥーーーッ!!!』
訊いてみた途端にイタすぎる返答が返ってきた。
刹那 「え───そ、そスカ?
両親は息を吹き返してくれた瞬間を忘れないようにって付けてくれたんスけど」
豆村 「俺も聞くの初めてだけどさ……それって本気で縁起悪ィよ……。
結局お前、自分の名前を呼ばれてる時って
“死んで息を吹き返した瞬間〜!”って呼ばれてるってことだろ?」
刹那 「…………」
総員 『あ───いやその……ごめんね?』
この世の絶望のような、親に“ここでいいコにして待ってるんだぞ”って言われて、
しばらくして豪雨の中でようやく自分が捨てられたことに気づいた子供みたいな顔された。
そんな顔を見たら、マジで謝るほかありませんでした。ええ。
中井出「と、とまあそんなわけで───」
なにがそんなわけなのかは解らんが、今はともかく話を逸らすべきだろう。
うむ、間違ってない。間違ってないぞー。
中井出「お、おぉおお丘野二等!外に出て体術の訓練をしよう!!
せっかくこうして素手な状況があるんだ!いっちょ暴れよう!!」
丘野 「イ、イェッサー!!」
中井出「というわけで俺達出てくるから!後を頼んだ藍田二等ォーーーーッ!!!」
藍田 「ゲェエ!!ちょ、それはないであります中井出提督ーーーーーーッ!!!
ハッ!───というわけであ、あとを……た、頼んだ……!」
豆村 「えぇっ!?や、ちょっと!!そんな独眼鉄みたいな言い方したってダメッスよ!!
イヤァアーーーーッ!!待ってぇえーーーーーーっ!!
置いてかないでぇえーーーーーーっ!!」
夏子 「ごめんなさい……風がわたしを呼んでるの!」
豆村 「風!?なんのことっすか!?」
麻衣香「アーソウイエバ魔法都市ナノニ魔法全然買ッテナカタヨー!!」
豆村 「なんなんすかその壊れたようなエセ中国語はぁあっ!!待ってぇーーーっ!!!」
殊戸瀬「………」
豆村 「あ───こ、殊戸瀬さんは残ってくれるんスか!?見かけに寄らず優しい───」
殊戸瀬「……口は災いのもと」
豆村 「え?あ!ち、違うッス!べつに見かけが悪いとかそんなんじゃ!!」
殊戸瀬「……エル。プチフレア」
エル 『クアァアアアアアッ!!!』《キュアァアアアアアッ!!!!》
豆村 「ヒィイ!!?ちょちょちょちょっと待ってぇええっ!!
そんな!口が滑っただけでプチとはいえフレアなんてあんまりだぁあっ!!!
ま、待ギャアーーーーーーーーッ!!!!!」
どごぉおおおおおん!!という轟音が宿から聞こえてきたのは、
俺達が丁度町の外へと出ようとしていた時のことだった。
───……。
……。
中井出「ホォ〜〜───アキョキョッキョ!!」
ベシベシベシ!ゴバァアアアン!!!
中井出「うぶろびゃぁああーーーーーーーーーっ!!!!!」
金は全てナギーに預けてある。
ということで、ちと無茶バトルをやってみてる現在……
蹴り込んだ攻撃は悉くシカトされ、俺は一撃で大空の星となった。
ああ、星が見えるスター。
それからザムゥ〜〜〜と落下するまでいうに3秒。
生きてるって素晴らしい。
中井出「コノヤローーーーッ!!おどれがっ!
よくも俺にマルクが半身を奪われた時のような音をッ!!
ブチコロがしてくれるわぁーーーーーーっ!!!!」
相手はミル・トロル。
相手が相手なだけに、熟練がとことん少ない体術では勝つのは大変なものだ。
だがそれでも攻撃する度にスキルは上がるし、
ダメージを受ければ麻衣香が回復してくれる。
それにこちとらレベルはステキなことになってるから、
攻撃受けてもそうダメージは食わない。
ただたまに出してくる痛恨の一撃は目を瞑りたくなるほど高威力なわけで───
まあその、なんだ。
先ほどのフライト、最高にシビレました。
丘野 「“分身烈風拳ーーーーーッ”!!」
グシャバゴッシャァアアアアンッ!!!!
丘野 「ギャアーーーーーーーッ!!!!」
そして次は丘野二等の番だった。
体術を使い出した途端に覚えた“分身”を早速使っての攻撃。
しかしやっぱり拳スキル不足にも程があるためかあっさりとホームラン。
ボー・ブランシェも浮かばれねぇ。
藍田 「おー、飛んでった飛んでった───よっしゃあ!じゃあ次は俺だな!!
連撃うけな!斬魔!飛影斬!!」
一方こちらは剣を手にした藍田二等である。
技の名前を高らかに叫びつつ一気に疾駆しゴバシャアン!!
藍田 「ギャアーーーーーーーーッ!!!!!」
お空の星となった。
見事なホームランだった。
───……。
……。
しかしそれはそれこれはこれ。
むしろ空を飛ぶのが面白くなってくる頃には、
積極的にスキル上げのための攻撃を連ねていた。
大体上がると別の武器、大体上がると別の武器……と、
店で買った一番安い系統別の武具を振り回してはボゴッキィーーーン!!
中井出&藍田『ほぎゃああああああーーーーーーっ!!!!』
ミル・トロルにホームランで撃たれていた。
丘野 「提督殿!?藍田殿!お、おのれぇえ!!
兼ねてよりの遺恨!覚えたるかぁーーーーっ!!!
もはやこの丘野!殿中といえど容赦いたさ《バゴォン!!》ギャアーーーッ!!」
そして彼も仲間入り。
三人仲良く空を飛ぶと、なんだか鳥にでもなった気分にドグシャア!
中井出「ゲフォーーーリ!!!」
───鳥の翼はもげましたゴッド。
あまりの衝撃にこの博光もモツを吐き出してしまいそうになる現状であります。
そんな涙目の思考の中、次々と降ってくる藍田二等と丘野二等。
どうする!?
1:昇技人体頭破〜〜〜っ!!
2:キン肉星の王位を永久のものとするためにも邪魔者は灰にするのだ〜〜〜っ!!
3:愛と友情と正義の!7000万パワー!マッスルスパァーーーク!!
4:マキシマリベンジャーーーッ!!!
5:飛び込んでこ〜〜〜い!!
6:避ける!避けるね!!
結論:ゴッシャドゴシャアッ!!
中井出「おぶろぁああーーーーーーーーーーっ!!!!!」
緊急事態にじっくりとした思考なんて無茶もいいところですね。
ええ、ホントは解ってたさ。
バキベキゴロゴロズシャーーーーアーーーーーッ!!!!
中井出&藍田&丘野『ギャアアアアアアアアス!!!!』
二人に潰されるとか、それどころの勢いではなかったです。
俺は二人に吹き飛ばされるように転がって滑って、
ようやく止まった時にはぐったりとしていた。
───……。
……。
しかし俺達は諦めない!!
見よ!このMMRを愛読していたことで手に入れた、
なにかあると驚かずにはいられない性格と諦めない姿勢!!
中井出「チューチャイ三段蹴りーーーッ!!」
ホリュリュリュリュピコーン♪ベキベキベキ!!
中井出「ギャアア!!《バゴシャア!!》ギョェエエーーーーーーーーーッ!!!!!」
そしてゴッド、早くも諦めたくなる僕を許してください。
ああ、星が見えるスター。
ただ何気なくやったチューチャイ三段蹴りが突然閃きを見せ、
一瞬でも期待した俺が馬鹿だった。
閃いた付加能力は俺の足に悉くダメージを残すもので、
しかも痛がってるうちに撃たれてしまった。
だが諦めない!!
空を飛ぶのももう慣れた!そして着地もお手の物!!
見よ!この美しい上にビューティフルでエレェ〜グァントュな着地を!!
……全部意味同じか?いやいどごごしゃーーん!!
中井出「ホゲェーーーーーーーーイ!!!!」
考え事を展開したために見事に着地を失敗しましたゴッド!!
だがもう痛いとかそういうのは無為!!
すぐに起き上がると、
チクチクとダメージを与え続けているミル・トロルへ向かって大激走!!
中井出「こうなったら唯一スキルの高いジャイアントスウィングで───!!」
藍田 「それにはまず敵を倒す必要があります!サー!!」
丘野 「では拙者の不動金縛りの術で!」
中井出「ノーだめだ!ここは己本来の力以外で戦うものと決めただろう!!」
丘野 「はっ!そうでありました提督殿!」
藍田 「ですが提督!そうなるとジャイアントスウィングも、
提督の得意技に分類されることになります!!」
中井出「はうあしまったそうだった!だ、だったら〜〜〜っ!!!」
俺は安物の両手斧を取り出し、背中を強張らせるようにして、
“いわゆるミノタウロス持ち”で両手斧を装備!そして突貫!!
中井出「さあ信じよう!!この持ち方が痛恨の一撃に繋がるなにかになるのだと!!」
丘野 「では拙者は鞭を装備するでござる!!」
藍田 「俺は槍で!いやぁ〜、一度晦みたいに華麗に捌いてみせたかったんだよ!!」
男衆 『そんなわけで死めぇえーーーーーーーっ!!!』
さあ三人からなる一斉攻撃!受けてみよミル・トロル!!
もはや我らのスキルは最初の頃とはちと訳が違うぜ〜〜〜っ!!
中井出「くらえ!我ら原中の三羽烏技!!ジェットォオ〜〜〜〜ッ!!!」
丘野 「スェンチムェントゥァルゥウウ〜〜〜ッ!!!」
藍田 「アタァーーーーーーック!!!!」
三方向からの同時攻撃!!さすがの貴様も対処しきれまドゴガガシィッ!!
丘野 「うじゅり!!」
中井出「おわっ!?」
藍田 「おわわっ!?」
しかし考えが浅かった。
ミル・トロルは真ん中の丘野二等に向けて巨大棍棒を投げつけると、
空いた両手で俺と藍田二等の身体を掴んだのだ。
その巨大な手はまるでバケモノ……!!
いや実際デカすぎなんだからバケモノっていえばバケモノなんだけど。
しかしトロルにこんな瞬間的判断が出来るなんざ───
フフフ、知ってるかい管理人……もとい、精霊たちよ……。
トロルはね、脳味噌が無いといっても可哀相なくらいに知能が低いんだぜ……?
だからこんな咄嗟の判断なんかビタァーン!ビトゥーン!ビタァーン!!
中井出&藍田『ウギャアーーーーーーーーーッ!!!!』
思考の最中でも問答無用で足を掴まれた状態で地面に叩きつけられまくる!
ああ世の中って無情です!
ゲームの中では好きだった哽ぶ大地を、まさか自分が喰らう日が来ようとは!!
◆哽ぶ大地───むせぶだいち
ザ・キングオブファイターズに出場する七枷社の裏キャラ───いわゆるオロチ社の技。
敵を掴み、後方、前方、後方の順に相手を地面に叩きつけ、
最後に跳躍したのちに勢いを付けて地面に叩きつける技。
現実ではどう考えても絶命必死だが、このゲームでは大したダメージは受けない。
たとえそれがコンクリートステージであってもだ。
死?死などとっくに超越した。一番最初に、ルガールと草薙パパがね。
*神冥書房刊:『月の夜にオロ血に狂うとあなたのバストもボインボイン』より
中井出「ていうかギャアーーーーッ!!!いつまで叩きつける気だゲファーーーリ!!」
藍田 「ててて提督ーーーッ!!そろそろ脳震盪と眩暈がゲフォーーーリ!!!」
目が回る!そして星が見えるスター!!
い、いやアレはヒトデ!?
中井出「た、たすけてぇえ!!殊戸瀬二等!木村夏子二等!
なんとかしてこいつを止めゲファーーーリ!!」
殊戸瀬「無理」
中井出「そ、即答でなんてヒドイ!なんとか出来るでしょその気になれば!!」
殊戸瀬「エルとロドのエサの時間だから……ダメ」
中井出「あんた戦闘中になに律儀に食事時間守ってんの!!
べつに今じゃなくてもいいでしょうが!!
今そんなことよりもよっぽど重要な助けてぇえーーーーーっ!!!」
叩きつける度に一歩一歩進んでいたトロルだったが、ついに目の前に岩が!!
地面ならまだいいけど───マジですか!?ちょ、待って!待ってぇええっ!!!
中井出「───殊戸瀬二等!!」
殊戸瀬「───!!」
俺は真剣な目でキッと殊戸瀬二等の目を見た!!
言葉ではない───心に訴えかける!!
信じろ……きっと届く!!そしてバガァアンッ!!
中井出「ニーチェ!!」
総員 『あ……』
そんなことをしているうちに、俺は岩に叩きつけられとりました。
中井出「おわが〜〜〜……」《ズルゥリ……》
夏子 「ヒィッ!提督さんがまるで海に打ち上げられた万太郎のように!!」
麻衣香「……あれって苦しんでるの?」
夏子 「さあ……そんな気配がまるで感じられないんだけど……」
中井出「苦しんでるし痛いから助けてぇええ!!あ、ヤバイ……脳震盪が……」
麻衣香「ご、ごめーーーん博光!もうTP切れちゃったからそっちでなんとかしてー!」
中井出「な、なんだってーーーっ!!?《バゴシャア!》ほぎゃあああーーーーっ!!!」
叩きつけられる叩きつけられる!!
まるで親の敵だとでも言うくらい叩きつけられる!!
そして気づけば気絶中の藍田二等!!
嗚呼!どうりで途中から叫び声が聞こえなくなったと───!!
て───あ、あの、トロルさん?なんで藍田二等を投げ捨てるんですか?
そしてなんで徐に俺を両手で掴むんでしょー……?
も、もしかして気絶してるヤツに興味はないってやつですか?
や!ちょ!嬉々としていったいなにをするつもりですか!?
なんで俺こんなに回転させられてますか!?
待ってください!俺も今すぐ気絶しますから待って!!お願い待ってぇえーーーーーっ!!
中井出「ていうかなんでまた岩なんだよ!!
さっきまで一歩ずつ着々と進んでただろあんた!!
───こんな時ばっか言葉が解らないって顔すんなよ!!
あんた確信犯だろコノヤロー!!!いいから今す《ゴコォン!!》ギャア!!」
……それを最後に、俺の意識は急速に遠ざかっていったのです。
最後に見たのは岩肌だったね。
あの野郎めは、俺を顔面から岩に叩きつけやがったのだ……。
───……。
……。
そして次に俺が目覚めた時、そこは柔らかなベッドの上だった。
───なんてことはなく。
中井出「ってなんでまだトロルに捕まってんだよ俺!!」
未だ振り回されておりました。
中井出「つーかあんた気絶したヤツには興味なかったんじゃないのかよ!!
なんなんだよその満面の笑みは!!
知能無いくせになに俺をいたぶることに喜びを得てんだよあんた!!」
麻衣香「あ、やっと気づいた。えっとねー博光ー!
睦月がオレンジグミ持ってたから回復することできたからー!がんばってー!」
中井出「頑張ってじゃないよ!
これならそのまま神父送りにされてたほうがまだマシだったよ!!
───って殊戸瀬!なに影で笑ってんの!!ていうかこれ計算づくかよ!!
ちくしょうこのムーミンめが!!
あまり調子に乗ってると《バゴォン!!》イギャーーーーーーオ!!!
あの……すんません……調子こいてました勘弁してください……。
って!なにまた嬉々として振り上げてんの!!謝り損かよ俺!!
い、言っておくけどな!
貴様なぞブラッシュデイムさえあればイチコロなんだかんなーーーっ!!!
う、うそじゃないぞー!ほんとなんだかんなー!
……べつにあのー、ブラッシュデイムが無ければなにも出来ないって
暴露してるわけじゃあねぇですよ?《ビターン!!》ギャアーーーーッ!!!」
そして再び岩肌に熱烈キッス。
ああ汚されてゆく……!俺のキッスが冷たい岩石に汚されてゆく……!!
神様聞かせてっつーか答えろてめぇ!!
何故この知能指数零%のデブートンは俺をボコボコにすることのみに積極的なんですか!?
そこんところを事細かに説明してゴバシャア!!
中井出「ウギャアーーーーーーッ!!!」
もう泣きたかった。
ええそうですよ!?俺なんてブラッシュデイムが無ければなにも出来ないさ!!
いいじゃんべつに!僕は武器を愛してる!!
……やっぱダメだ、愛してるって言葉、今じゃもう薄っぺらな言葉にしか聞こえねぇ。
で、でも大切ですよ!?かれこれ一時間以上トロルと戦ってるけど、
思考はいつだって鍛えられてるブラッシュデイムを思ってるさ!!
つーわけでそろそろ様子を見に行きたい!!しかしそのためにはこいつが邪魔なのだ!!
中井出「フ……フ、フフフフフ……」
ならばどうするか?そんなもの決まってる。
ミル・トロル『クガァーーーッ!!』
中井出 「───!!」
トロルが俺を再び大きく振り回す!
待っていたぜこいつを───!!
中井出「アホゥが!!その振り方こそが貴様に知能が無い証拠だ!!
くらえ奥義!!STRMAX!
あなたの反動いただきます獄殺マッハ爆弾パチキィイイーーーーーッ!!!」
ゴドッパァアアアアアアアアンッ!!!!!
ミル・トロル『グオギャアーーーーーーッ!!!』
───……どしぃいいんっ!!!
トロルは俺の爆弾パチキをその後頭部に受けると、轟音を立てて倒れ伏した!
……そして俺も倒れ伏した。
中井出「ヘッ……ヘケッ……ヘケケッ……!!」
な、なんつー石頭……!!
恐るべしストーンヘッド……!!
中井出「フ、フフフ……だが勝者は依然!このディアヴォロだ!!」
フラつく身体を無理矢理起こして今日もゆくゆく男道!!
ウォウオ〜ゥ♪ナデシカァ〜〜〜ン♪
中井出「死ねぇえーーーーーーーーっ!!!!!」
目標、完全に沈黙!
押忍ゴッド!これならヤツも避けられないであります!
つーわけで大回転錐揉みエビ投げハイジャンプ───爆弾パチキ!!
いったらぁあーーーーー!!
ばごしゃどっごぉおおおん!!
中井出「まだまだぁ!!」
ばこぉおおおんっ!ぼっごぉおおおんっ!!
中井出「つ、続けてくらへ〜〜……!!」
どごぉんっ!!どかぁあんっ!!
中井出「………」
ぼごしゃーん……どしゃ。
スウウキラキラ……
夏子 「ヒャーーッ!!?提督さんが光になってどっかに飛んでくーーーっ!!」
こうして俺は、爆弾パチキが自分のHPまで削ることを忘れていたために、気づけば昇天。
徒歩で帰るつもりが、デスジャンプで魔法都市へ戻ることとなったのだった……。
はは……鍛冶終わってるといいなぁ……マジで。
───……。
……。
神父 「おお旅人よ!死んでしまうとは───あ!こ、これ!待ちなさい!!」
例により、飛ばされた先で語り出した神父を熱烈無視し、駆け出した。
もちろんここは魔法都市カポリトカステ。
ヒロラインの死ぬと何処に飛ばされるか解らない機能は、
結構ありがたさの象徴だったりする。
多分死んだ場所から最も近い町とかに飛ばされるんだろうけど、本当に大助かりである。
そんなわけで俺は今烈海王の如く最短距離で宿に向けて走ってるわけだが───
ザムゥッ!!
中井出「───えーと」
目の前に大きな川。
そして遠くにある橋。
中井出「…………」
ここを越えれば目的地。
橋まで1km───……やむを得ない。
距離───10メートル。
歩数にして700〜800踏みッ!!
中井出「問題はない!!15メートルまでなら!!」
俺はステータスを全てAGIに振り分け、
勢い勇んで川への一歩をがぼしゃーーーん!!!
───……。
……。
ガタガタガタガタ……!!
中井出「サ、サムイ……!!」
現実では夏だろうが、この世界の川は冷たく寒かった。
しかも川が予想以上に深く、這い上がるのに苦労したお蔭で本気で眩暈がするほど寒い。
俺ごときが烈海王の真似して川を渡ろうとするには攻夫が足りなかったらしい。鶴も。
片足が沈む前に水面に片足を出し、その片足が沈む前にもう一方の足を───って……
普通に考えて無理なんじゃないか?
人体の足の筋肉伝達情報速度を確実に無視してると思うんだが。
それ以前に鎧を装備したまま実行した俺が馬鹿だったと言えば馬鹿だった。
中井出「はふぁ〜……」
しかしようやく辿り着いた。
宿である。
俺は喜び勇んで宿の中に入ると、
そのまま階段を昇った先にある一番奥の部屋へと駆け込んだ。
すると───
豆村 「あれ、戻ってきた。随分かかったッスね」
豆ボーヤが迎えてくれた。
刹那ボーヤは……あれ?居ないな。
中井出「刹那は?」
豆村 「町を巡って心を癒してくるって。まあそれよりも───出来てるッスよ、剣」
中井出「おお!!」
その言葉に飛び上がらんほどの喜びを得て、
テーブルに並べられている双剣を手に取ると、早速ステータスを見てみた。
◆ルドルグニス+3
デビルメイクライ3で言うところのアグニ&ルドラ。
常に炎を放っており、しかしその炎は持ち主が敵と断じたもの以外を燃やすことはない。
ブラッシュデイムからの昇華であり、
+99になり、スキルに炎と鎌鼬がある状態で鍛えてもらうことにより進化を遂げる。
片方が緋、片方が蒼の剣であり、その刃の滑らかさは通常の剣のそれを凌駕する。
───とのこと。
どうやらまた昇華したらしく、さらにステキな造型となっている。
説明である通り、デビルメイクライ3の双剣を参考にされたんだろうが、剣の形は違う。
アレみたいにノコギリっぽくはなく、きちんと剣のような形になってる。
中井出「えーと……」
しかしやっぱり試し切りはしたい。
ということで俺はバックパックから調理用のリンゴを取り出して放り、剣で斬ってみる。
するとゴッパァンッ!!
中井出「フオッ!?」
豆村 「うぉわっ!?」
斬った途端に炸裂するリンゴ!!
焼き焦げて、切り口を大きく削られたそれが床に落ちた時、我らは驚愕した!!
……そういえばボマースキルって火属性のものも強化する、とか言ってたっけ……。
ぬおお、マジでびっくりした……。
豆村 「ほ、ほぇええ……!師匠、やるなぁ……!」
中井出「まさか爆発するとは思わなかった……」
見れば、スキルの中に“炎”が追加されていた。
そういやこの武器の説明書きにも炎スキルがどうたらって書いてあった。
つまり……猫の店特有のランダムエンチャントで炎がついて、
その状態で+99になったからこの武器に昇華したと?
中井出「おぉお!サンキュー!こ、これはいいものだー!!」
もちろん俺は歓喜乱舞。
やぁ、やっぱり自分の武器が強くなる様って最高!!
……ともなれば───
中井出「…………」《チラリ》
丘野二等の剣も気になるところ。
しかしそれは武器好きの恥ずべき行動。
相手の武器のステータスを勝手に覗くなど言語道断!
というわけで俺は、
丘野二等の宝剣シュヴァルツレイヴを手に───ありゃ?名前変わってるわ。
稀黄剣シュバルドラインになってる。
中井出「………」
ステータスめっちゃ見たいですゴッド。
でも耐えたね!俺は耐えたね!!
うずうずしながらも剣を手に取り、丘野二等が待つフィールドへと走ったね!!
……や、あまり耐えたとはいえない状況かもしれんが。
───……。
……。
そうして戻ってみれば、
ミル・トロル『ボンゲェーーーーーッ!!!』
藍田&丘野 『キャーーーーッ!!!』
……トロルはまだ生きていた。
相も変わらず人々を掴んでは叩きつけを繰り返していたソイツだが、
俺は丘野二等に向かって稀黄剣シュバルドラインを投げつけて叫んだ!
中井出「受け取れ丘野二等!新しい顔───もとい!新しい武器だぁーーーっ!!」
シュゴオと空を裂く剣!
俺の叫びに何事かと振り向き停止するトロル!!
そして剣の向かう先には───丘野二等が!!
丘野 「え?あ、ほわぎゃああーーーーーーーーーーっ!!!!」
ゾゴシィンッ!!
ミル・トロル『グオギャアアーーーーーッ!!!!』
丘野 「ヒィイ!」
間一髪───丘野二等はなんとか顔を逸らし、顔面直刺バッドエンドから自らを守った。
だが剣はその後方にあったトロルの胸に刺さると、
止まることもなく柄の部分まで埋まった。
───切れ味がハンパじゃないってことだな、ありゃ……。
鞘ごと投げたんじゃあ絶対に取りこぼすだろうと、
抜いてから投げたが……こりゃ恐ろしい。
中井出「丘野二等!構わん!やぁっておしまい!」
丘野 「───!承知!!」
藍田 「本気を出してもいいということですねサー!!」
中井出「かまわーーーん!!俺が許す!!」
俺はNARUTOの暑苦しいマユゲ先生の真似をしつつ親指を立てた。
すると二人ともギシャーン!と目を輝かせ、
丘野二等はトロルの胸に刺さった剣を抜き、トロルの手を刺すことで逃れ───
藍田二等はオリバ化をしてトロルの握力をものともしない怪力無双っぷりで、
自らを掴んでいるトロルの手を強引に開かせた!!
丘野 「いくでござる!忍刀解放!!」
丘野二等が一本の剣を二本の剣に変え、それを逆手に持って構える!
藍田二等───いやむしろオリバは、
そのまま“ン〜〜〜”と言いながらゆっくりとトロルに近づいてゆく!
ミル・トロル『グオッ!?オォオオッ!!』
その異様な筋肉故だろうか。
トロルは落ちていた自分の巨大棍棒を手に取ると、躊躇することもなく全力で振るった!!
それは確実に人一人を破壊し尽す無常の一撃だった───!!
バガベキャア!!
ミル・トロル『フオッ!?』
しかし砕けてみれば、折れたのは棍棒のほう。
一方のオリバはニコリと笑っていつものアレだ。
オリバ「粗塩を肌にスリ込んである」
だからさ……それって粗塩でどうにかなるものなのかオリバよ。
トロルも無い頭で必死に、棍棒とオリバの身体を何度も見比べちゃってるじゃないか……。
オリバ「攻守交替───」
ボリュベッキャアアア!!!
ミル・トロル『ギッ───!?ギャアアアアアアアッ!!!』
ああ……トロルの足が拳一発で折れた。
ありゃ粉砕骨折だな……可哀相に。
丘野 「いくでござる───シュヴァルツレイヴの固有秘奥義と忍者の秘奥義を合わせた、
まさに夢の秘奥義───受けてみるでござる!!」
そして、バランスを崩したトロル目掛けて疾駆するのは丘野二等。
実体のある光の刃が一閃を六閃に変える剣を手に、
数歩駆けたところで目にも留まらぬ速度で───文字通り消える。
丘野 「秘奥義!“双月衝閃”!!」
あとは───まあ地獄絵図である。
秘奥義特有の分身をした丘野二等はトロルを囲み、四身一体攻撃を開始する。
片手の一撃で六閃とするならば、両手で十二閃。
×4となると……四十八閃。
その連撃を、一人が22回繰り返すのだ、相手はそりゃ死ぬ。
88×48って……敵が哀れに見えた。
丘野 「トドメ!!」
シュキィンッ!!ゾッパァアアアアアンッ!!!
ミル・トロル『…………!!』
で……終わってみれば、断末魔も上げることなく消えるトロル。
技の最中に既にHPが尽きていたってことだろう……可哀相に。
丘野 「勝ったでござるーーーっ!!」
藍田 「ウオォオーーーーーッ!!!」
丘野二等が叫ぶ。
それに加わるのは、いつの間にかオリバ化を解いていた藍田二等だった。
藍田 「いや〜、やっぱ無月散水っていいなぁ。見ててスカッとするわ。特に最後の一撃。
四体で敵を上空に打ち上げた後に一体に戻って叩き落す時が最高だよ」
丘野 「いやいや、藍田殿のオリバナックルの威力には、
いつも驚かされっぱなしでござるよ。あれこそ力といったものでござる」
麻衣香「怪力無双って、名前そのまんまだしね……」
夏子 「わたしは普段の亮の方が凛々しくて好きだなぁ……」
そこに麻衣香、木村夏子と加わり、最後に殊戸瀬二等が加わって───
殊戸瀬「……のけ者」
中井出「そういうことをハッキリ言わないの!!」
一人様子を見守っていた俺に言う。
この人には良心ってもんがないんだろうかゴッドよ。
中井出「まあともかく。丘野二等、ちょいとその剣のステイトを見せてほしいんだが」
丘野 「これでござるか?そういえばなにやら名前が変わっているでござるな。どれ」
丘野二等がナビを利用し、武器の詳細を空中に現す。
と───
◆稀黄剣シュバルドライン───きこうけんしゅばるどらいん
世界に存在する“六つの宝具”、稀黄剣シュバルドライン、稀緑杖グルグリーズ、
稀蒼刀マグナス、稀赤斧ドラグネイル、稀紫槍カルドグラス、稀黒装レヴァルグリード。
その中の一つに位置する武具。
それぞれ剣、杖、刀、斧、槍、篭手と具足からなる大変珍しい武具。
通常では手に入れられないが、
なんらかのイベントののち、または偶然によって入手可能。
最初から宝器の姿を保っているものは稀であり、大体が鍛えることによって昇華する。
売却不可能、合成可能。ただし世界にひとつしか存在しないので、
合成する場合は順序を間違えないように気をつけよう。
剣身に黄竜の力が渦巻いており、振るう度に黄金の光が散る。
双剣変化の変わった能力を持ち、そこから放たれる秘奥義は宝具の名に恥じぬもの。
双剣の状態と通常の剣の状態とで秘奥義が存在する。
通常の剣の状態での秘奥義は特に使用条件は必要ないが、
HPとTPが最大の状態でしか放てない。さらに、放つとHPとTPは1になる。
……という文字が見て取れた。
中井出「この剣一本で秘奥義が二つあるのか!?」
藍田 「こ、こりゃすげぇ……!!や、やってみれー!丘野くん!!」
丘野 「わ、解ったでござる!でもHPTPを全て使用するって書いてあるでござるよ?」
総員 『かまわーーーん!俺が許す!!』
丘野 「しょ、承知!!では───」
───ゴォッッキィン!!
景色が暗転する。
秘奥義発動の兆候だ。
丘野 「いくでござる!つぇええりゃあああああっ!!!!」
丘野二等が剣を両手で構え、突きの状態で前方に掲げる!
それはまるで、ブリーチで言う黒崎一護の卍解の構えのようで───
キュゥウウイドゴォッッチュゥウウウウンッ!!!
総員 『ほぎゃああああああああああああっ!!!?』
その剣先から眩いばかりの金色の極光レーザーが放たれた時、
俺達は喉が張り裂けんほどに驚きの絶叫を上げた。
やがてレーザーは遠くにあった大木を一撃の名の下に粉砕。
大地をえぐり、空を裂きながら───やがて見えなくなった。
総員 『………………』
唖然。
しかしそんな中、丘野二等だけがドシャアと倒れ、ピクピクと痙攣していた。
殊戸瀬「眞人っ……!!」
中井出「お、丘野二等ォーーーッ!!大丈夫か!しっかりしろーーーっ!!」
慌てて駆け寄って抱き起こすも───
そうとう何かがキツかったらしく、本気で虚ろな目で俺達を見た。
丘野 「あ、あのね……?衝撃があんまりにも強くてね……?
しかもHPもTPもスッカラカンでね……?
こ、この秘奥義……強いけどちょっと危険すぎるでござるよ……。
威力が高すぎて、放ったこっちの体が保たないでござる……」
中井出「や、それは今のお前を見れば一目瞭然だ!しっかりするんだ丘野二等!!」
丘野 「しょ、所詮、竜王が放つ極光レーザーに、
人間の体が耐えられるわけがなかったんでござる……。
体がギシギシ鳴って痛いでござる……」
中井出「えーと……麻衣香、回復よろしく……」
麻衣香「ごめん……オレンジグミ使い果たしちゃってて……」
中井出「じゃなくて。戦闘が終わったんだからHPもTPも回復してるだろ?」
麻衣香「やー……それが……さっきまでは回復してたんだけど、
途中から回復速度が弱まっちゃってて。
これってさ、もしやとは思うんだけど───」
ドドドドドドドドド……
夏子 「あれ?なにか聞こえない?」
麻衣香「あ、あはは……えーと……」
ドドドドドドド……!!
藍田 「あ、あれ?なんか向うのほうで土煙が───」
ドドドドドドドドドド!!!!
魔物の大群『グゥウウォオオオオオッ!!!!』
総員 『キャーーーーーーーッ!!!?』
な、なんか来たぁーーーーーっ!!!
あ、あれに見えるは魔物の大群!?マジですか!?
なんで!?なん───はうあ!!
中井出「も、もしかしてさっきのレーザーが……!?」
麻衣香「うん……多分、あの群れの中の一部分をコロがしたんだと思う……。
何気に睦月がレベルアップしてたから……」
中井出「ぐあ……!!」
じゃあなにか!?あいつらは復讐しにきたと!?
そしてHPTPが自動回復しないのは、戦闘が続行中だからか!?
中井出「な、なにくそぉおーーーーっ!!多勢に無勢にもほどがあるが、
我らも負けるわけにはいかんのじゃあーーーーっ!!!
さあ立ち上がれ殊戸瀬二等!!」
殊戸瀬「いや」
中井出「即答!?じゃなくて!解るか!これは丘野二等が始めてしまった戦争なのだ!
ならばその意思を継ぐのは誰か!?俺か!?違う!藍田か!?違う!!
それは貴様を置いて他には居ないのだぁーーーーっ!!!」
殊戸瀬「───!!」
中井出「解るな……?見ろ、丘野二等の安らかな寝顔を。
側に貴様が居るからそこまで安らかに眠れるのだ……。
そしてこのままではその安らかな笑みは、あの魔物たちに潰されてしまう。
解るだろう!立ち上がる時はぁああっ!!ぅ今なのだぁーーーーーーっ!!!」
殊戸瀬「…………!」
殊戸瀬二等が立ち上がる!
そして口に指を当てて口笛を吹くと、ロド(正式名称:ロドリゲス)が駆けてくる!!
殊戸瀬二等はやってきたルルカに器用に乗ると、槍を構えて目を鋭くさせた!
……ていうか怖ッ!!怖いよ!!
中井出「麻衣香、まだ10分アビリティ使ってないならそれ使ってHPTP回復させろ!
木村夏子二等!もうなんでもかんでもアリだ!全力でいけ!
藍田二等!───思い切り暴れるぞぉおおおおっ!!!」
ザザッ!!
総員 『Sir()!!YesSir()!!』
準備は万全!!
突っ込んでくる魔物の大群を前に、まず麻衣香が漢神の祝福で俺達を回復させる!!
と───
丘野 「イェッサァッ!!」
丘野二等が当然のように回復。
───あ、今ちょっと、殊戸瀬二等がズッコケた。
殊戸瀬「ま、眞人……?だ、だだ大丈夫なの……?」
どうやら興奮で頭に血が上っていたらしく、基本的なことを忘れていたらしい。
なんとも珍しいものを見れた。
丘野 「大丈夫でござる!さあいくでござるよ!!」
殊戸瀬「う、うん……」
何故か俺をギロリと睨む殊戸瀬二等だが、
それでもルルカのロドリゲスを駆って槍を構えていた。
もちろん俺達も立ち止まりはしない。
中井出「シャンドラの火を灯せぇええええええぃい!!!!」
総員 『おぉおおおおおおおおおっ!!!!』
心の巴里に着火完了!!
我らのパリスが焼かれて燃える!!
お〜ぅぉ素晴らしき巴里!!
中井出「武器はしっかり二刀流!!」
丘野 「生分身&貫殺苦無投げ!!」
藍田 「パーティーテーブルキックコォーーース!!!」
夏子 「“十ツ星神器───魔王”!!」
殊戸瀬「妙技───“閃烈槍”!!」
あとはもう乱闘騒ぎ。
斬って斬って斬りまくり、蹴って蹴って蹴りまくる!!
さらに突いたり吹き飛ばしたり投げまくったりと、もうなんでもありさ!!
藍田 「アァーユゥオッケェーーイ!!?秘奥義!“疾風の如く”!!」
ダンッ───ドゴゴゴゴッパァアアアアンッ!!!!
魔物軍&藍田『ギャアーーーーーーッ!!!!』
藍田が飛ぶ!そして叫ぶ!!魔物と一緒に!!
どうやら威力は相当のようだが、守りが疎かになるようでダメージがヒドかったようだ。
頭から魔物の大群に突っ込んでいった藍田二等はヨレヨレになって戻ってきた。
……や、ヒロラインの秘奥義って大抵どっかに欠陥が無いか?
そりゃ、ただ強いだけの秘奥義じゃあ相手が可哀相だけどさ。
だがこれはこれで良し!!面白いし!
中井出「よっしゃあそんじゃあ俺も!剣士秘奥義───“剣閃”!!」
力を溜め、振るった双剣から煌く剣の波動が放たれる!!
緋と蒼の剣閃は、それはもう綺麗な光となって敵を薙ぎ倒してゆきました。
一方女性陣は───
魔物 『リョ、リョ、リョフダァーーーーッ!!!《マゴシャーーン!!》ゲァアッ!!』
殊戸瀬二等がロドに乗ったまま槍を振り回し、敵を吹き飛ばしてゆく。
その下方ではロドがクチバシで敵を吹き飛ばしたり足で吹き飛ばしたりし、
傍らではエルが口から火玉を吐き出し敵を攻撃していた。
その一方で漢神の祝福でHPTPともに完全回復した麻衣香が───
麻衣香「炎帝の怒りを受けよ……吹き荒べ業火。フレアトーネード!!」
敵が纏まっている場所に炎の竜巻を起こし、それに巻き込まれて上空に放たれた敵を、
麻衣香「全てを灰燼と化せ───エクスプロード!!」
ドシュンッ───ボッガァアアアアアンッ!!!
魔物たち『ヒギャアアア───……!!』
上空より放たれた爆発する半球に巻き込まれて消滅。
断末魔さえ最後まで言うことなく燃え尽きてしまった。
───さらに。
夏子 「場にアンデッドモンスター10体を召喚!
さらにマジックカード10分アビリティを発動!!
10体の四ツ星以下の魔物を生贄にし、アンデッドゴーレムを召喚!!」
ドゴォオオンッ!!
アンデッドゴーレム『グゥオオオオオゥウウッ!!!』
魔物の群れ 『キャーーーーーッ!!?』
何故遊戯王のノリでバトルしてるのかは解らんが、ノリノリなのでほっとこう。
アンデッドゴーレムに捕まって、
無理矢理に“無惨弾”の弾にされてる魔物なんてボク知らない。
夏子 「あーーーっはっはっはっはっは!!憤激じゃぁあーーーーーーーーっ!!!!」
木村夏子二等はアンデッドゴーレムの頭の上で高らかに笑っていた。
ああ、ありゃあ高いところに昇るの人格が変わるケースだな。
そうこう考えてるうちに、アンデッドゴーレムの片手ずつに捕まった魔物が
魔物の群れ目掛けてまるで棍棒のように叩き落される。
ああ、これこそ無惨弾。
巻き添え食わんようにもうちょっと離れて戦うか───。
───……。
……。
ザシャシャシャシャア!!
総員 『成敗ッ!!』
ジャジャーーーン!!!
戦闘は5分も経たずに終わった。
レベルアップも無し。
比較的弱い敵だったため、今やレベルアップまでの経験値を満たすには足りなかったのだ。
しかし……嗚呼!やっぱあれだけの数を自分たちが蹴散らしたなんて今でも信じらんねぇ!
中井出「ハレルヤ!!」
丘野 「僕はここに居ていいんだ!」
藍田 「おめでとうありがとう!!」
なんだか俺達、今とっても輝いてる!!
彰利じゃないけど、そんなことを言いたくなる瞬間が今ここにある!
強さっていいなぁ!爽快感っていいなぁ!!
普通の暮らししてたらこんなこと味わえなかったよ!
中井出「ファンタジィーーーッ!!万歳!!」
丘野 「万歳!ファンタジーーーッ!!」
藍田 「ファンタジーばんざぁーーーーい!!!」
肩を組んで騒ぎまくる俺達を見て、女性陣が『元気ね』と苦笑する。
そりゃ元気です!
今をトキメいてるよ俺達!!
よもやこの実年齢にこそこんな青春を謳歌出来るなんて誰が知る!!
生きてて良かった!!
中井出「ワァーーーッ!!」
丘野 「ワァーーーッ!!」
藍田 「良かった!!」
何も言わずに連携プレイできるのはとてもステキなことだと思いません?
そんなことを思いながら、俺達はそういった調子で宿へ戻るまで、
ずっとず〜っと騒ぎあっておりました。
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