───冒険の書42/マリア様は静かに覗きたい───
【ケース181:中井出博光(再ネリアさん)/マリみてをジョジョ風にしてみる】
───……トコトコトコトコ……ガチャア。
中井出「………」
ナギー『……すー……』
寝てた。
話は十数分前に戻るが、光の塔の近くの村の教会に飛ばされた俺は、
スコーンと忘れていたナギーのことを迎えにカポリトカステに向けてルルカを走らせた。
結構長い道のりだったし、怒ってるだろうな〜とか、
無理に探して迷子になってないか〜とか考えていたんだが───寝てた。
どうやら酔いつぶれて寝たまま、今までずっと寝てたらしい。
器用というかなんというか。
中井出「………」
でもその寝顔に安心する。
俺はナギーを起こさないようにそっと抱き上げると宿を出て、
フィールドに待たせてあるルルカに乗って光の塔を目指した。
───……。
……。
中井出「というわけで───寝てた」
総員 『うおう……』
反応は上々だったと言える。
そんなことはどうでもいいんだが、
とりあえず光の塔で待っていてくれた猛者たちにナギーの無事を見せた。
アルコールにここまで弱いのも珍しい。
中井出「で……戦利品の分配してたみたいだけど、どうだった?」
藍田 「眼鏡に叶うものは特に、かな。ああ、でもポイズンタバールがあった。
提督の武器になら合成できるんじゃないか?」
麻衣香「あとは消耗品がほとんどだった。あと防具かな。
具足は藍田くん行きとして、このマイトグローブ、どうしよっか」
中井出「マイトグローブ?」
麻衣香「篭手防具なんだけど、敵を殴ると爆発するっていうやつ。誰か要る?」
中井出「残念だが爆発系は間に合ってるっていうか……防御力少ないな、この篭手」
麻衣香「それがちょっと問題でね……」
中井出「……まあいいや、手違いとかで武器とか落とした時には役に立ちそうだ。
俺が貰ってもいいか?」
藍田 「おー。俺は足しか使わんし、篭手装備は白手袋で潰れてる」
言って、真っ白な手袋を見せる。
ああなるほど、執事といえば白手袋と黒い服だよな。
執事ジョブの中でも最高位のバトラーである藍田の執事服は、
既にそんじょそこらの防具に負けないくらいの防御力になっている。
もちろん───白手袋を外して篭手を装備しようものなら、
執事ではなくただの黒服と成り下がるのだ。
当然防御力はただの布とそう変わらなくなるわけで。
……どういう原理なんだ?
まあ、かくにも、執事の服にはいろいろ謎が隠されているらしい。
もちろん白手袋込みで。
初期から一度も装備を変えていない藍田の執事服は、
もはや至宝とも呼べるほどの執事服だ。
現段階で藍田の執事服以上の執事服は存在しないだろう。
しかも主人の近くではパワーアップ。
“主人一筋60レベル”は伊達ではないのである。
麻衣香「オススメ出来る武器も無かったし……本当に面倒な作りになってただけで、
宝らしい宝は無かったよ」
中井出「そりゃ、担当製作精霊の根性が捻じ曲がってたんだろ」
総員 『ああ……』
僕らの頭の中に変則ナルシスト精霊の姿が浮かんだ瞬間だった。
麻衣香「それで、次は何処に行くの?」
中井出「最寄の町に行ってアイテム揃えよう。
レム助さんとの戦いでアイテム使い果たした───
とまではいかないものの、結構使ったから」
麻衣香「むー……無駄遣いは人生の敵だよ博光。そりゃ、楽しみたいのは解るけど」
藍田 「いやいやいやいや綾瀬、ありゃしょうがねぇって。
ボス戦ってほら、燃えるだろ?
敵の攻撃もさることながら、それを避けつつ攻撃する。
ん〜〜〜……浪漫だねぇ!男に生まれてよかったぁーーーーっ!!ハレルヤ!!」
殊戸瀬「ボスとはいえ女性を男三人で囲んで……浪漫?」
藍田 「マテ殊戸瀬。それ以上は言っちゃダメだ」
丘野 「べつにやましいことなどなにもなかったでござるし。
大体、女と見て興奮するのはクソ野郎のすることでござる」
中井出「そうそう。色目なんか使うより冒険してるほうがよっぽど面白ぇや。
大体、そういう感情を向ける相手がもう居るってのに、
なんでそんなことしなけりゃなんないんだ」
殊戸瀬「……変態」
中井出「殊戸瀬じゃなくて麻衣香のことだっつの!!俺ゃ麻衣香が居りゃそれでいいの!!
他の女に対して恋愛感情を持ったりだとか欲情したりなんてもうしないわ!!」
丘野 「おお、さすが提督殿でござる。“もう”ということは過去、
様々な女性に欲情してことは否定しないんでござるな?」
藍田 「さっすがエロマニアだぜ!」
中井出「過去が……追ってくる……」
エロビデオに熱中していた過去の自分を屠りたい気分だった。
中井出「と、とにかくそんな邪推しなくても、俺達ゃ冒険者として戦ってただけだって。
あぁ……つーか───なんでこんな話になってるんだ?」
藍田 「謎だ」
丘野 「いやしかし、実際楽しかったでござるな。
相手が光使いだから攻撃を避けるのがとっても難しかったでござる」
中井出「全部予測と勘だけで避けてたからなぁ。やぁ、楽しかった」
いや。マジで何発セレスティアルスターくらったか解らないくらいだ。
心中ダイヴの時はレム助さんのTP自体が底をついてたから抗いようが無かったわけだが、
TPが残ってたら一緒に落下など無理だっただろう。
それどころか羽根を再生させてとんずらしてたに違いない。
中井出「じゃ、───っと、光の宝玉はちゃんと受け取ったか?」
夏子 「あ、ちゃんと受け取ったよ提督さん」
スチャ、と輝く宝玉を見せる木村夏子。
……ちなみに今さらだが、木村夏子が木村や夏子とあまり認識されていないのは、
本人が木村という苗字が嫌いだからである。
某ムラタクを思い出して嫌なんだとか。
しかし名前で呼ばれる筋合いもないので、
木村夏子とフルネームで呼んでと言ったのが原中での自己紹介の時だった。
しかし大体は苗字で呼ばれてる。
フルネームなのは認識の中だけだな、うん。
藍田 「そィじゃあ最寄の───町?村?に行くか」
夏子 「そだねー」
宝玉を手に入れたことでホクホク顔の木村夏子が藍田の側に寄り添う。
……ほんと、人間の関係のバランスっていつでも絶妙だ。
いろいろなきっかけがあってこういう関係があるのに、
その関係全てを思い出すことが出来ないのがちょっと悔しい。
そんなことを思いつつ、俺達は次の目的地へと歩みを進めた。
……一応、俺が乗ってきたルルカはナギーを乗せた状態で手綱を引くことで、
有効利用させてもらっている。
殊戸瀬のルルカ───ロドは、殊戸瀬以外を背中に乗せようとはしないからしょうがない。
おぶるって方法もあったが───子供扱いするでない、とか言ってきそうだし。
……寝てるけど。
【ケース182:晦悠介/馬宿に生まれたイエスマン】
───さて……ルナを連れ出してから丸一日が経とうとしている現在。
すっかり猫モードになって、
宙を浮きつつ俺の首に抱きついているのはルナ=フラットゼファー。
ある意味で、俺の人生の中でもっとも付き合いの長い女性、と言えなくもない。
ある意味じゃあなかったらその対象は多分みさおになるんだろうけど。
まあそれを言うとルナは怒るから、口には出さないでおく。
悠介 「ところでひとつ質問していいか?なんだってお前、空飛べるんだ?」
疑問点いち。
ここはヒロラインであり、死神の力なんぞ殺されて───もとい、初期化されてる。
全部の能力がそうである限り、鎌の行使はそもそも空を飛ぶなんて出来ないと思う。
ルナ 「んー?うん、宝玉のエキストラスキルの中に“死神”っていうのがあったから」
……ようするにエキストラスキルは、
持つ人物によって種類の豊富さとかが変わるというわけか?
そういえば俺の宝玉にも“集中”とか“瞑想”とか、
創造の助けになるものが多かったような。
“精霊”って文字を見た時はこりゃ便利だとは思ったものの、
それで上げても意味が無いんじゃないか、と……
現在宝玉の経験値はかなりたまっているものの、振り分けは特に行っていない。
悠介 「………」
いい加減、こういう自分からも脱した方がいいんだろうか。
強さは一から手に入らなきゃ納得出来ないなんて思考は───
悠介 「……ん。よし」
ルナ 「ゆーすけ?」
誰にともなく頷くと、俺は宝玉の経験値をエキストラスキルに振り分けた。
もちろん全部“精霊”にである。
するとどうだろう、体が精霊側に傾き、やがて染まるのが感じられた。
……気づけば“精霊”スキルは五ツ星でMAX。
宝玉の経験値を35残して、あっさりと済んでしまった。
悠介 「………、あー、あー」
試しに手を振ってみたり発声したりするも、声はブレてないし手は普通に動く。
……ふむ。
でも確かにさっきまでの自分とは違うってことがありありと解るな。
悠介 「すまんルナ、待たせた。行こうか」
ルナ 「?うん」
この時、俺は密かに決めていた。
俺と彰利の基本的な性格が正反対なら、俺は彰利っぽくなってみようと。
あ、性格をそのまま彰利にするとかではなく、行動パターン……ああいやこれも違う。
えーと……自分の成長、だな。
今までみたいに一から順を追って力を手に入れるんじゃなく、
彰利みたいに一気に手に入れる。
まずはその既存破壊からいってみよう。
手に入れた力の行使方法なんて、あとからついてくるだろう。
───などと、目的を見つけて踏み出したまではよかった。
ルナ 「あ、ねーねー悠介?あれなに?」
悠介 「ん?あれって───ひきっ!?」
……踏み出し、ルナが指差した場所を見て硬直した。
漫画などの表現なら、石にでもなっていたところだろう。
……会ってはならないヤツと遭遇してしまった。
いや、何故アイツがここに、って思えるくらいに場違いなヤツ。
ソイツはしっかりと大地に足を着き、サイクロプスハンマーばりのウル目で俺を見つめ、
ムキーンとポージングを取った。
───途端、沸き上がる鳥肌。
俺はルナの腕を引っ掴むと脇目も振らずに逃走を開始した!!
ルナ 「えっ───わっ!ゆ、ゆーすけ!?」
悠介 「皆まで言うな!!あいつとは戦いたくない!!」
馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な!!
何故!どうしてあいつがここに!?
───いや、むしろここだからか!!
なんてこった!!考えが浅かった!!
ルナ 「あ……れ……?なんかアイツ、見覚えが……」
悠介 「思い出すなっ!!」
ムキムキマッチョで軍服を着た外国人男性が追ってくる。
俺はその様を見て、
ますます鳥肌を立てて口が勝手に悲鳴を上げようとするのを必死に押さえた。
ルナ 「あっ、思い出した。確かハラチューとかの猛者、だっけ?
それの夢の中に出てくるっていうえーと、超絶ミラクルダンディーの」
悠介 「言うなぁあああああああっ!!!!」
そう───ヤツの名はダニエル。
かつて行われた超絶ミラクルダンディー・コックリーニョさんにて召喚された、
ある意味で原中が誇る伝説のホモマッチョゴースト。
何故ヤツが、なんて考えは今さらだ。
何故ならここは精神空間であり、コックリーニョさんが原中全員に取り憑いた霊なのなら、
猛者全員の中にある意識がヤツを具現してもなんの不思議もないのだ。
悠介 「なんて納得出来るかぁあーーーーーっ!!!!
不思議は無くてもツッコミどころは満載だ馬鹿野郎ォオーーーーッ!!!」
俺の叫びが大気に轟いた。
……もちろん、誰も労ってくれるヤツなど居なかったわけだが。
【ケース183:中井出博光/ダニエル様が見ている】
ドドドドドドド……
中井出「ん───?」
丁度最寄の村、ヨトに到着しようという時───遠くの方で土煙を見た気がした。
つーか見てる。
丘野 「な、なんでござるか!?もしや敵襲!?再び魔物の大群の来襲でござるか!?」
藍田 「あ、いや───敵ってわけじゃないみたいだな。
そりゃ敵かもしれないけど、少なくとも大群じゃないって」
夏子 「うん、そうみたい」
中井出「どれどれ」
ハタと思い立ち、バックパックから安物の弓矢を取り出して装備。
すると目も良くなって、遠くの方まで見渡せる。
ファンタジー万歳。どういう原理かは知らんが、狩人は目が良くなるのだ。
そうして遠くを見るに───……
中井出「お───晦だ。ルナさん連れて走ってる」
藍田 「晦?どれ、ちょっと見せてけろ」
中井出(……何故ナマる)
思いつつも、まるで双眼鏡を奪うように弓矢を取ると、藍田が遠くを見つめる。
すると納得したように二度頷き、……何故か首を傾げる。
藍田 「解らないな。なんだってあんなに全速力で助けてぇえーーーーっ!!」
総員 『フオッ!?』
首を傾げて声を発した途端だった。
藍田はなにかに恐怖したように弓矢を放り投げ、
木村夏子を抱きかかえて村の中に逃走してしまった。
丘野 「……?なんでござるか?」
麻衣香「なにか危険なモンスターでも居たとか?」
中井出「いやぁ、ここらへんじゃあそこまでの強敵モンスターは居ないだろ。
むしろどっからでもかかってきなサーイって感じだ」
丘野 「そうでござるな。今や精霊だって命懸けでからかえる拙者たちでござる」
麻衣香「命懸けじゃダメなんじゃないかな……と」
今度は麻衣香だった。
呆れ顔で弓矢を拾って、俺と藍田に習うように遠くを見つめるダタァッ!!
───そしていきなり逃げ出した。
それこそ一目散に。
中井出「……?なんだってんだ?殊戸瀬二等、なにが居ねぇ!!」
振り向いた先には殊戸瀬二等はおろか、
さっきまで側に居た丘野くんすら居なくなっていた。
中井出「……イリュージョン?」
小首を傾げつつ、捨てたままにもしておけないと、
麻衣香がほうった弓矢を手に、今一度遠くを
中井出「───」
……見て、固まった。
まさか……まさかまさかまさかまさか!!
あれに見える、鋼の錬金術師で言うところのアームストロング大佐に似つつ、
立派でキュートな髭を生やした極上マッチョウル目ダンディーは……!!
中井出「ダッ、ダッ───ダニエルだぁあーーーーーーーっ!!!!」
その驚愕、三国の何処かで呂布と遭遇するが如し!!
何故!?どうしてコックリーニョさんが実物として!?
ウソだ!ヤツは夢にしか出てこない悪夢の筈だ!夢魔の筈だ!!筋肉の筈だ!!
ああヤバイ混乱してる!盛大に混乱してるよ俺!!
あぁいやいやいや逃げる!逃げるんだ!そうだよそう!逃げなければ!!
中井出「ハ、ハイヨーシルバァーーーーッ!!走れ!稲妻よりも速く!!
走れ!走ってぇえーーーーーーーっ!!!」
すぐさまにルルカに飛び乗って、手綱をパシパシと揺すった。
ルルカは背後に迫る危機を感じ取ってくれたのか、
ひと鳴きののちに猛然ダッシュ!!───した途端!!
悠介 「うおぉおおおお待てえぇえええええっ!!!」
晦が追いすがり、ズバー!とジャンプしてルルカの背に昇ってきたのだ!
もちろんルナさんも一緒に!!
中井出「う、うわ馬鹿っ!!定員オーバーだ!降りろ!!」
悠介 「ダメね!!断るね!!降りるなら貴様が降りてください!サー!!」
中井出「ダメだ!これは俺が乗ってきたルルカだ!貴様には渡さん!!」
悠介 「ノー提督!!ここは兵士のために犠牲になってください!!」
中井出「ダメね!断る《グイグイ》イヤァアアアアアッ!!押さないでぇええっ!!!」
ルナ 「わわわゆーすけ!ゆーすけぇえっ!!後ろ!後ろ!!ダニエルが来てる!!」
悠介 「ヒィッ!?ななな中井出!!ルルカの好物って知ってるか!?
それをルルカの前にちらつかせてスピードアップを───」
中井出「知らん!!」
悠介 「断言するなよそこで!!」
中井出「やかます!!お前が“ヒィッ!”って言うこと自体珍しいんだから、
今日という日を記念日にしてそのまま食われろ!!」
悠介 「ノー!断るでありま《グイィイ!!》うわぎゃあああっ!!押すなぁあっ!!!」
ルナ 「……?ねぇ、あのダニエルってそんなに怖いものなの?」
二人 『女にはアイツの真の怖さが解らないんだよ!!』
そう!あいつは彰利みたいな仕草や遊びとかでオカマホモと呼ばれてるヤツと違い、
真!性!ホモ!!
ヤツの所為でどれだけ眠るのが怖くなったと思っている!!
あいつは悪夢の具現!!まさにこのヒロラインにおいてのジョーカーと呼べよう!!
ちなみに麻衣香の話じゃあ、女相手のコックリーニョさんは相手を金縛りにし、
目の前───そう、本当に目の前でポージングショーを開催するらしい。
目を閉じることは許されず、ポージングは延々と続き───
しかも時間が経つにつれて汗臭くなってゆくものだから、泣きたくなるほど辛いんだとか。
もちろん男の方は最初はフレンドリーに近づいてきて、
段階を踏まえてから───その、襲いかかってくる。
段階を踏まえるところがダンディズムに叶ってるが、襲いかかるのはどうかと思う。
中井出「というわけで降りろ晦一等兵!!提督として貴様に殉職を言い渡す!!」
悠介 「ノォサー!!そんな滅茶苦茶な司令があるか提督てめぇ!!
落ちるであります!未来ある兵士のために落ちるであります!!」
中井出「コノヤロー!!これは俺のルルカだって言ってるだろうが〜〜〜っ!!」
悠介 「うるせーー!!
お前のものは俺のもの、俺のものも俺のものって名言を知らないのか!!」
中井出「ならば貴様の命運は俺のもの!さあ落ちろ!!」
悠介 「うわ馬鹿っ!そりゃ卑怯だろオイッ!!やめオワッ!?」
中井出「とわぁっ!?い、いきなりズレ───」
ドグシャア〜〜!!
中井出「ゲファーーーリ!!」
悠介 「ゴフォーーーリ!!」
落馬……落鳥?
ともかく俺達は押し合っている中で踏ん張っていた足を滑らせ、
ものの見事にルルカから落下してしまった。
痛みから身体を庇うように、わざわざ“いちち……”とか言ってから、
ハッと気づいて前方を見ると、
ルナさんが状況についていけないような微妙な顔でキョトキョトと周りを見渡したのち……
ルナ 「、」
ハタ、となにか納得いくことがあったのか、俺達を見てはたはたと小さく手を振り、
走るルルカに乗ったまま村の方へと消えていってしまった。
───直後、俺達の背後に生暖かい気配。
ギ、ギギギギ、ギィイイイ……と、油の切れたカラクリ仕掛けのように振り向くと───
そこに居るのはやっぱりダニエル。
ダニエル「ムフフフフフ……ボォ〜〜ゥィ、
そんなところで寝ていると風邪を引いてしまうよ?」
二人 『ひっ……ひぎゃあああああああああああっ!!!!!』
紳士!あくまで紳士だ!!
だがこの笑顔に何度騙されたことか!!
ダニエルドリームは二度目の時、一回目降臨の時のことを覚えていられない!
だから何度でも騙され、その度に襲われそうになる……!
目覚めた時、何度ちくしょうと思ったことか!!
目覚めるまで以前のことを思い出せないなんて、どんな悪夢だチクショー!!
そんなわけで俺と晦は、中学の頃から続くトラウマの所為か足を腰を抜かしたまま、
ジリジリと後退るしかなかった。
だって……これは夢じゃないのだ。
あくまで現実───精神空間とはいえ現実。
夢から覚めて、急死に一生を得ることもなし。
俺達は……まるで監禁された少女のような心境で震えるしかなかった。
───……。
……。
───水辺の村ウオーテール。
中井出「………」
悠介 「………」
俺達はそこに辿り着くと、こらえなければたちまちに流れそうな涙を必死にこらえていた。
丘野 「お、おお……て、提督殿に晦殿……だ、大丈夫だったでござるか?」
中井出「訊くな……」
藍田 「その……なんか物凄い悲鳴が聞こえてたが……」
悠介 「訊くな……」
殊戸瀬「……掘られた?」
二人 『掘られんわっ!!』
必死に抵抗した!
今までこれほど必死になったことがあろうかってくらい抵抗したさ!!
もう秘奥義でもなんでも可能な限り撃ったさ!!
お蔭で貞操は守れたが、襲われた事実は消えないのだよ猛者たちよ!!
そりゃあ力とかは人並み(純粋な筋力)だったが、
それでも逃げ腰引け腰のこっちとは明らかに違う。
撃退しただけに終わったが、もう二度と会いたくない。
まるでヒロライン版のメルヘンを見てるようでイヤだった。
中井出「はぁ……で、晦一等兵よ。貴様はどうしてこの村に?」
悠介 「や……べつにここを目指してたわけじゃないんだけど。
純粋に無我夢中で逃げてたってのが正解なわけで……」
中井出「こっちはいいとばっちりなんだが……」
悠介 「すまん……マジですまん……」
相当に悪かったと思ってたのか、晦は本気で謝ってきた。
まああれほどまでのイレギュラーに遭遇すれば、
脇目も振らずに逃げたくなるのはよく解る。
そしてもう本気で会いたくない。だいたいどうしてあんなにマッチョなのに足が速いんだ。
……マッチョだからか。
パワーアップすると動きが遅くなるってのは、全ての生命体における定義ではないらしい。
足の速さも結局は筋力と体捌きなわけだ。
中井出「あ……そういやおまえ、彰利は」
悠介 「彰利?知らんぞ」
中井出「知らんって……そんな筈ないだろ、
豆ボーヤがお前と彰利が一緒に居るの見たって言ってたぞ」
悠介 「ああ、途中で別れた。
安心しろ、ちゃんとあいつの周りを賑やかにした状態でとんずらこいてきた」
中井出「賑やかって?」
悠介 「丁度椛や凍弥───っと、未来のやつらも来てたからさ。
で、面白いからという理由で椛と聖を彰利に押し付けてとんずらこいた」
中井出「なるほど……って、別にそれがとんずらする理由になるわけじゃないだろ。
お前らって気づけば一緒に居たし」
悠介 「いーんだよ、俺は。親友親友言うのも疲れてきた。
今さら口に出して友人関係確認するほど薄っぺらな関係ってわけじゃねーし」
中井出「へ〜ぇ……」
ちと意外だったかも。
まあそれはいいんだが。
悠介 「今の自分から変わってみようって思ったんだ。
そのためにはいつまでもあいつと一緒じゃダメだって思ってな。
それに……邪険にされ続けてもその場に居られるほど、強くないよ、俺は」
中井出「邪険?……あ」
聖ッコか。
あいつもな、晦に対しては本気で敵意を向けてるからな。
誰かに睨まれる、恨まれるって感情は晦にかつての親のことを思い出させるんだろう。
……そりゃ、辛くないわけがない。
感情がガキなら、そりゃなおさらだ。
そこんとこを理解してないからそれ以上に子供なんだよな、聖ッコは。
中井出「そか。んじゃ───どうする?俺達と一緒に来るか?」
悠介 「悪い、せっかくの誘いだけど俺はルナと一緒に旅するから。
今まで満足に構ってやれなかったんだ、こんな時くらい一緒に居てやりたい」
中井出「………」
丸くなったもんだ。
いったいなにがきっかけでそうなったのかは解らんが、こりゃ丸い。
ルナさんが首に抱きついてきても、嫌なふうにするでもなく穏やかに笑ってる。
悠介 「じゃ、ほんとに悪かった。
この埋め合わせは───うん。いつか……できるといいな」
中井出「忘れるつもりかキサマ……」
悠介 「はは、そんなことはしないって。じゃーなー、縁があったらまた会おう」
中井出「おう」
……言いたいことを言うと、晦は手をひらひらさせて村の奥に消えていった。
俺はなんだかよく解らない気分に襲われて頭をカリカリと掻くも……
中井出「なんだろな。やっぱ解らん」
解らん感情が解らんままなのはしょうがない。
俺は考えることを諦めると、
待っていてくれた猛者どもと一緒に村の中を歩きだしたのだった。
【ケース185:晦悠介/スコッチャー】
───そうして、中井出たちと別れたのちにフィールドへ。
ダニエルが居ないことを確認すると、安堵の溜め息を吐きながら歩いた。
ルナ 「ん……と。よかったの?悠介。一緒にくるかーって言ってくれたのに」
と、ルナはルナらしくもないことを言ってくる。
俺はその言葉に少々呆気にとられたが───
やがて苦笑すると、ルナの頭をぽふぽふと叩いた。
悠介 「いいんだよ。これはまあ───いわゆる家族サービスだ」
ルナ 「そうなの?じゃあ……深冬も探す?」
悠介 「それはダメだ。あいつにはもっと“自分”を鍛えてほしい。
なにをするにもビクビクオドオドじゃあ先が思い遣られる」
ルナ 「むー、それもそっか。じゃあしばらくは悠介と二人きり?」
悠介 「しばらくでもいつまででも構わないよ。言ったろ、家族サービスだって」
ルナ 「えへへぇ……そっか」
ルナがキュッと抱きついてくる。
こいつのクセだ。
嬉しい時や寂しい時は、どうしてか首に絡みたがる。
何故首なのかは解らんが───胴とかではダメなのか?というツッコミは敢えてしない。
なんだかんだで俺も……
ルナ 「?」
悠介 「───」
ふと目が合うと顔が灼熱するのを感じた。
はあ、まるでガキだと客観的に自分を捉えつつ、
顔を逸らしてしまうところが尚ガキだったのに余計に顔を真っ赤にさせた。
それでも感情が邪魔だ、とは思わない。
まだまだ砕けたままのものだが、それでも以前の自分とは明らかに違うって自覚が出来る。
それって凄いことだ。
でもラブコメは性に合わない。
性格が向いてないのだ。
愛だ恋だと言えるほど、多感な人生を歩んできちゃいない。
だからいつか───
悠介 「……そうだな、いつか」
ルナ 「?」
いつか本当に、心の底からこいつに“好きだ”って言える日が来るといい。
自分を好いてくれてるわけじゃないって解ってながらも、
俺なんかと結婚してくれたこいつのためにも。
まあ、正直どれくらい先になるか解らないんだが。
ひとまずは……うん、感情をなんとかしないとな。
悠介 「よっし。じゃ、冒険に出るか」
ルナ 「おー」
俺の隣をふよふよと浮きながら付いてくるルナは、
元気なのかやる気がないのか微妙な境の声を出して片腕を上げる。
ようは俺と一緒なら文句は無いらしい。
悠介 「ルナの称号はなんだったっけか」
ルナ 「剣士。ただし武器は釘バット。
でも今はもう鎌が使えるから、武器なんて要らないんだけど」
言って、ディファーシックルとダークイーターが混ざったような鎌を出現させるルナ。
精神世界ということで、フレイアの存在も一つとしてルナに溶け込んでいるんだろう。
その効果か、異端と闇食いが混ざった鎌は異質以外のなにものでもなかった。
ルナはルナでご丁寧に俺の後ろに回りこんでから、
のしかかるようにしてくると俺の肩口から顔を覗かせて目の前にナビを出してくれた。
そこには───称号:死神───の文字が。
ルナ 「……あれ?」
小首を傾げるルナであった。
悠介 「あーこれな。多分あれだろ。
剣士だからって剣だけ使うわけじゃないっていうアレ。
実際、棍棒だって大木槌だって斧だってあるわけだ。
大体にして今、ヒロラインじゃあブレイバーとメイガスって分類しか無いんだ。
あまり気にすることないぞ」
ルナ 「ふむむ、そっか。悠介は───超越者?」
悠介 「だな。分類はエンチャンターのままだ。
どうやら、俺と彰利とゼットだけの区別らしい」
ルナ 「へー……ホモっちと黒竜王もそうなんだ」
悠介 「彰利って存在考えてみろ。月の家系の、まさにそのものって感じだろ。
打撃OK、遠距離OK、鎌も使えるし月操力も使えるし黒も使える。
まさになんでも来やがれって感じだ」
ルナ 「黒竜王は?」
悠介 「みさおの月操力全てと神魔……それと竜王の力。これだけあれば十分だろ。
確かに魔法的なものは一切ないけど、
その代わりに彰利もゼットも十分すぎるくらいの力を持ってる」
ルナ 「それは悠介も同じでしょ?」
悠介 「……どうかな。俺は自分が胸を張れるほど強くなれただなんて思ってないよ。
結局周りに誰かが居なきゃなにも出来なかったんだ。
人ひとりに出来ることなんて限られすぎてる。
……解ってはいるんだよ、全てを守ることなんて出来ないって。
守りたいものを守る、なんてことは世迷言の域を出ることは出来ない。
正義の味方が全ての方向から見て正義の味方になれないみたいに、
こんな思想は夢の果てにこそ相応しい生き方だ」
それが理解できただけでも成長したと彰利は言った。
俺もそう思えるようになった。
でも───俺の未来は……きっと幸せになんか届かない。
奇妙な話だけど、そういった予感があるんだ。
でもそれに抗いたいから俺は彰利から離れた。
俺はきっと、ただ“自分の価値”ってのを知りたくて───
悠介 「む───てりゃ」
ルナ 「《がばしっ!》ひゃわっ!?」
暗い方へと落ちていっていた思考を払拭するために、
普段なら絶対にやらない行動をとった。
事細かに説明すれば、ふよふよ浮いてたルナを抱き寄せた。
ルナは相当に驚いたのか力を完全に無くし、浮かせていた体を無意識に落とした。
それが地面への落下にならないよう、俺はより一層抱き寄せた。
ルナ 「え、あわっ……えと……ゆ、ゆーすけ……?」
悠介 「んー……」
抱き締めた状態でポムポムと頭を撫でる。
そして、かつて自分に撫で癖があったことをフと思い出した。
いや、懐かしいな。
悠介 「ん、落ち着いた。悪い、ルナ。鎮静剤扱いみたいにして」
ルナ 「んー……それはいいんだけど。いきなりやられるとびっくりするよ」
悠介 「そのわりには喉を鳴らした猫みたいに人の胸に頬擦りしてるようだが……」
ルナ 「猫?にゃー、って言ったほうがいいかな」
悠介 「……引くからやめろ」
ルナ 「ぶーぶー、悠介おーぼー。
やれって言ったりやるなって言ったり、いったいどっちなのよぅー」
悠介 「誰もやれとかやるななんて言ってないんだが……
うん、でも、こういうのも悪くない」
言って、自然に笑ってる自分に気づいた。
手はルナの頭に。
ゆっくりと動かす手は、さらさらとしたルナの髪を梳くように撫でていた。
ルナ 「ゆーすけ……?」
悠介 「………」
人が変わるにはきっかけが必要だ、って……昔誰かに教えてもらった気がした。
その人は変わることは出来なかったけど、
俺には“いつかこうなりたいって思ったら、
今向かってる道なんて捨ててしまえ”ってぶっきらぼうに言った。
そんなことを小さく思い出すと───それを言ってくれた父親は、
いったいどんな人間になりたかったのかを知りたくなった。
でも知ることが出来る機会が巡ってきても、俺はきっと見ようともしないだろう。
聞こうともしないのだろう。
だって、俺の父親は───
悠介 「………」
だめだな。
騒ぎの渦中にいないと、どうも昔のことばかり思い出す。
こういうところで俺は、自分が弱い人間だってことを思い知らされる。
こういうところも成長させていかないとな。
誰にも頼らずに、っていうのは無理かもしれないけど、
出来るだけ自分一人の力で生きていけるように。
悠介 「……?」
……またなにか頭の中に引っかかった。
けどそれもすぐに消えて、手の届かないところにいってしまった。
……ふぅ、やめだやめ。なんだってこう暗いほう暗いほうに考えるんだ。
ルナ 「ところで悠介」
悠介 「うん?どうした?」
ルナ 「わたしを迎えに来る前、何処でなにしてたの?」
悠介 「───」
思考はある意味で、暗いほうから脱出を果たした。
というか停止した。
ど、どうする?正直話すのか?
……よし話そう、胸を張って堂々と!!
悠介 「うむ。実は獣人になって人々を襲っていた」
ルナ 「………獣人?」
悠介 「うむ。実は獣人になって、お前らのパーティーを一番最初に襲った」
ルナ 「…………」
微妙な顔をされた。
これはそう……懐いてた猫がちょっとした手違いで尻尾を踏まれ、
離れた場所から感心があるのか無いのか解らない表情でこっちを見ているようなアレ……
ルナ 「しょ〜じきに答えて、悠介。わたしを仕留めたの、悠介?ホモっち?」
悠介 「彰利」
ルナ 「……えへ〜」
それならいいやって顔で俺の胸に頬を摺り寄せるルナ。
……もし逆だったらどうなってたんだろうか。
一瞬、俺の背中に冷たいなにかが通っていった気がした。
ルナ 「ね、ね、悠介?もう黄昏は使えるんだっけ?」
悠介 「60には達したからな、一応。光の武具の創造は残念ながら無実装だった。
卑怯だよなー、彰利なんてレヴァルグリードの解放まで出来たんだぞ?
ゼットは多分、もうあっさり黒竜化も出来るんだろうな……」
ルナ 「エクスカリバーは?あれは空界の古代魔術系統だったでしょ?
だから創造規定には引っかからないんじゃないの?」
悠介 「TPが足りん」
言われるまでもなくやってみたりはした。
だが一度の成功も無く、そもそもここには“式”だとか“魔導”だとかは無いのだ。
そんな状態でエクスカリバーが行使できるわけもなく───
たとえ創造で創ってみせようとしても、HPコストが高すぎてどうせ創れやしないだろう。
ルナ 「ねーゆーすけ?ちょっといいかな。悠介の創造って思考の具象化だよね?
それならさ、光の武具は光の武具として創造されるんじゃないの?」
悠介 「ルールってやつがあるんだ。いくら俺が精密に創造してみせても、
それは外見だけで中身が伴ってない。たとえば───“創造せよ、汝”」
イメージ展開、そして創造───手に現れたものはゲイボルグである。
悠介 「こうやって創造してみせても、レベルは酷く下げられてる。
解るか?“ゲーム”って領域の中じゃあ、鍛えない限りは武器は一定を越せない。
それを可能にするのが“超越”だけど、残念だがそこまで高性能じゃない。
あくまで“1レベルアップする”程度の超越だ。
一時凌ぎの力にはなっても、継続させて使えるようなものじゃない」
ルナ 「……それって精霊たちが悠介の力を故意に抑えてるってこと?
ホモっちや黒竜王は平気だっていうのに」
悠介 「それだけ俺の方で基礎がなってないってことなんじゃないのか?」
ルナ 「悠介、精霊の力はあらかたマスターしてたじゃない。
空界で黒竜王と決着つける前に、きちんと。基礎は整ってると思うけど」
悠介 「ん……それ言われるとな。ようするにさ、今現在の俺は、
人でも神でも死神でも竜人でもなく、一人の精霊なわけだ。
もちろん精霊として引き出せる力は、
ゼットと戦う前に引き上げて自分のものにしたつもりだ。
でもあの時とは基準となる力が違いすぎるんだよ。
力が大きいなら、その分また力を制御するために頑張らなくちゃいけない。
神、魔、竜、そして人。今まで行使してた力全てが精霊の力に変わったなら、
その“変わった分”を制御出来るようにならなきゃ───……大丈夫か?」
ルナ 「うー、長ったらしい話はいいや、つまんない」
悠介 「まあ、そうだな」
簡潔に言えば、たとえ高みに至った力でも、基本となる力の“色”が変われば
その“色”として一からやり直さなきゃいけないってことだ。
けどそんなこと説明したって意味が無いのは確かか。
訊いてきたのはルナなんだが、事細かに説明しようとした俺にも非は……ああやめやめ。
こんなこと考えてるからややこしくなるんだ。
悠介 「というわけで、と。何処に行きたい?」
ルナ 「……物凄い角度で無理矢理話をやめたね」
悠介 「変えてほしかったんじゃないのか?だったら説明を続けるが」
ルナ 「いらない。えーと、何処か面白い場所、あるかな」
悠介 「中井出達の行く先々にはありそうだが、どうかな」
どうあれ、目的もなくポクポクと歩いてても始まらんもんは始まらんわけで。
……まいった、俺って流されなきゃ自分じゃ目的地も決められんのか、もしかして。
そこまで俺の感情は腐ってるのかもしかして。
───否!!
そ、それだけはあっちゃあならねぇぜおトミさん!
……誰だ、おトミさんって。
悠介 「よし、じゃあ時の大地にでも行ってみるか」
ルナ 「歌って踊れる聖騎士、居るかな」
悠介 「……それは刻の大地な。どうしてそういう無駄知識ばっかりあるんだお前は」
それでも冥界出身か、とツッコミたくなったが、
考えてみればルナ自体は地界のどっかで生まれたんだよな。
生まれたっていうよりは変換されたというか、
ともかくフレイアがその身を変換したというか。
ルナによれば、どこぞの廃工場でその変換は行われたらしいが。
鎌の名前も異端なら、出身地も死神にしてみれば異端中の異端っつーか……はぁ。
悠介 「ルナ、お前寒いの平気だったっけ」
ルナ 「ヌクヌクしてた方が好き」
悠介 「………」
どうして猫を連想してしまったのかは謎ってことにしておこうと思った。
時の大地には氷河を越えていかなきゃいけないらしいから、
先に訊いておこうと思ったんだが───
そういやこいつ、コタツがかなり好きだったっけ。
猫だな、うん猫だ。
などと思いつつ、俺達は氷河へ向けて進んでゆくのだった───!!……徒歩で。
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