───冒険の書61/真・女神転生 痛───
【ケース217:中井出博光(山本元柳再)/重國(再)】
シャワシャワシャワシャワ……コキャッココキャッコ……
藍田 「ぅわ〜〜……なんつーかジャングルだな〜」
丘野二等の自然回復を待ってから歩き出した我らは、
時の大地の地味な広さに案外ワクワクしていた。
普通の生活してちゃ絶対来れないような森の密集地帯に、見たことも無い植物や薬草。
案外なんでもないことでドキドキワクワク出来るのは、
やはり心がまだまだクソガキャアだからだろうか。
否かまわん!!我ら原中は永遠の少年!(心だけは)
丘野 「この地味に広い小島の中からゼクンドゥスを探すんでござるか?
……っと、提督殿、これをあげるでござる」
中井出「うむ?なんだこりゃ」
丘野くんがコサッと謎の物体を渡してきた。
シゲシゲと見てみるが……よく解らない。
丘野 「先ほどの近海のヌシを倒したら手に入ったものでござる。
剥ぎ取りは出来なかったでござるが、
どうやらレアドロップは成功だったようでござるよ」
中井出「おお……」
早速ナビを利用して調べてみる。
中々……というか結構デカいそれの名は、“巨大両性生物の尖骨”というものだった。
藍田 「センコツ?なんだそれ。尖った骨ってことか?」
中井出「だろ。……それにしても、両生類だったのかあのヌシ」
丘野 「オカマでござるな!」
夏子 「ハッキリ言わない」
妙ちくりんな名前の割りにかなりのレア物らしく、
“希少とされているので使い方には気をつけよう”とか書いてある。
麻衣香「結局名前ってなんだったの?」
中井出「ランヌーサっていう巨大なバケモノらしい。
暖かい海と冷たい海の中間あたりに生息してるんだとか。
成体になったランヌーサは滅多に姿を見せず、
また……もし姿を見せて戦えたとしても、
少し傷を受けるだけで逃げ出す習性があるんだとか」
麻衣香「うわぁ……」
中井出「で、この尖骨ってのは生きた状態のランヌーサからしか取れないんだとさ。
波に打ち上げられた死体を漁っても、尖骨は溶けて無くなってるんだとか」
夏子 「奇妙だね……」
中井出「えーと……?生命と直接関係ある骨で、生命の枯渇とともに砕けていく。
生きたランヌーサから切り取ると、生命を満たした状態で手に入るので砕けない。
だから入手も困難中の困難で、闇ルートでは国を動かせるくらいの値段で……
と、ととと取り引きされる……こともある……とか……」
総員 『………ゴ、ゴクッ!!』
知らず、喉が鳴った。
国を動かせる値段って……ど、どのくらいナンデスカ?
藍田 「ぃやっ……で、でもちょっと待ってくれよ。
国を動かす値段つったって、そんな骨がなんの役に立つってんだよ……」
中井出「万能薬や長寿薬、その他様々な奇跡を生む霊薬や、
また……武器の製造、強化にも重宝されている、らしい」
総員 『うわぁ……』
すげぇ骨なんですね、これ……。
怖くて素手でなんて持ってられないよボク……。
というわけでウォッカを使用したことで空いたバックパックのスペースに、
そっと、静かに、丁寧に、慎重に尖骨を収納する。
ふう、これでよし。
中井出「よ、よし。それじゃあ……行こうか?」
麻衣香「そ、そうだね」
藍田 「よっしゃ、さ、さっさとゼクンドゥスに会って加護もらおう?」
国を動かせるという物体を背負った緊張に、みんな一様に動揺していた。
こんな調子で大丈夫だろうか……。
───……。
……。
サクッ……
中井出「オー……」
藍田 「でっけぇええええ神殿だなぁ」
ややあって、ジャングルの中を練り歩いた我らの前に現れたのは巨大な神殿だった。
しかもそれが何処かで見た物体に似ている。
殊戸瀬「……空界の海底神殿」
総員 『あ……あー!あー!あー!!!』
殊戸瀬の一言で全てが理解へと繋がった。
そうだよそう、この神殿って思い切りゼクンドゥスの“時の神殿”だ。
藍田 「つーことは……この中に?」
丘野 「そういうことになるでござるな」
うーむ、これは今から気を引き締めていかねば。
中井出「で……そっちの船幽霊、大丈夫か?」
ナギー『だ、大丈夫なのじゃー……』
シード『ぼ……僕は平気……です……』
中井出「どこらへんが平気なんだ……?」
ナギーとシードはどうやら船に酔ったようだった。
乗ってる最中は子供心と遊び心で乗り切ってたようだが、ひとたび降りるとこの有り様。
ここに来るまで無口だったのは、喋るのも辛かった故だろう。
ともあれ俺達は神殿の内部へと歩き、
物珍しそうというよりむしろ珍しいからこそキョロキョロと辺りを見渡しつつ奥へと進む。
外観からも解る通り、この神殿はかなり高い。
だが内部が複雑かといえばそんなこともなく、
高い分だけ天井が高くなっているだけの、
なんのためにこんなに高くしたんだとツッコミたくなる造型であった。
もしこの神殿が神殿として機能し、
人が住んでいるのだとしたら、俺は素直に掃除者を尊敬していたことだろう。
中井出(見る限り、部屋があるわけでもなし……)
神殿の作りはいたってシンプルだ。
ただ天井が高いのみで、大広間に支柱を何本か立てただけの神殿。
他の部屋への通路があるわけでもなく、ただ広く高いだけの造型になっていた。
しかし我らはそんな場所こそ隈なく探す。
ややあって柱の裏に宝箱があるのを発見し、それを開けてホクホク笑顔になっていた。
何も無いと見せかけておいて実はある……フフフ、そんなものはお見通しなのだよ。
でってーけてーてーててーん♪《棒剣ジークスフィアを手に入れた!》
総員 『………』
そしてホクホク笑顔は微妙な引き攣り笑顔へと変わったのだった。
中井出「……ナニコレ」
藍田 「棒剣ジークスフィア……?」
丘野 「調べてみるでござるよ」
中井出「あ、ああ……あー……」
◆棒剣ジークスフィア───ぼうけんじーくすふぃあ
棒人間の最高技術で製作された世にも珍しい剣。
だが珍しいだけで、攻撃力はたったの1。
これを装備していると麦茶の達人になり、麦茶の本当の味が解る。
リネームスキルが付加されている武器。いつでも名前を変更出来る。
他、条件を満たした状態で他の武器と合成させると、とある武具へと変異する。
*スキル:麦茶★★★★★ 麦茶調理スキル★★★★★ リネーム───
中井出「………」
あまり嬉しくないんだが。
藍田 「うーわー……なんだかクソの役にも立たない要素ばっかだな……」
丘野 「攻撃力1って……キツイでござるな」
麻衣香「リネームスキルって、名前を変えられるスキルってことだよね?」
夏子 「武器の名前をいつでも変えられるってことかな」
殊戸瀬「……変態剣エロマニアブレードに」
中井出「変えないよ!!」
しかし世にも珍しいと言われりゃ捨てることなど出来はせん。
俺はバックパックから調理用のリンゴを取り出すと、代わりにジークスフィアを入れた。
中井出「アイテムがいっぱいすぎると案外辛いなぁ。よっ───と」
藍田 「そうだなぁ。ハイィ!!」
ゾパシィッ!!
藍田に向かって放り投げたリンゴが、藍田の飛び蹴りによって真っ二つに割れる。
“バキ”にて、“範海王”が唯一見せたヒット技である。
俺達は半分に割れたリンゴをショブリと噛むと、再び奥を目指して歩き出す。
丘野 「拙者の分は!?」
藍田 「すまん、さすがの範海王でも三等分は無理だ」
麻衣香「そういう問題なの?」
夏子 「違うと思う」
そんな会話をしつつ進むと、大した間もなく奥に辿り着く。
そこには一つの石像があり───
石像 『───よく来た、冒険者よ。
力の足る者よ、ここは時の回廊とこの世界を繋ぐ狭間の空間である。
この先、称号をサマナーに変えることで進める世界。
汝はこの先へ進むことを望む者か?』
突如としてその石像は目を赤く光らせ、喋ったのだった。
だがもはやこのくらいでは驚かん!!
藍田 「進む!!」
夏子 「えぇっ!?少しは話を聞いてからのほうが───」
男衆 『わたしは一向に構わんッッ!!』
石像 『いいだろう。なおこの先で死した場合、時の回廊前の町にまで戻される。
以前はここまで戻される仕様だったが、今回よりそういった仕様となった。
では幸運を祈ろう。せいぜい死することなく進むがよい』
総員 『オーラァイ!!』
ギヂヂ───ヴヴンッ!!
───……。
……。
キィイ……ビジュンッ!!
気づけば我らは良く解らん場所に立っていた。
中井出「……はて」
藍田 「ここは?」
老人 「ここは“時の回廊”と呼ばれている異空間じゃ。人の思念が渦巻き、それらが実体
を持ち意思を持つ空間。いわばモンスターが世界に生れ落ちる前の母胎のような場
所じゃよ。この“時の回廊”には“魔物”として実体を持つ前の思念体の魔物がお
る。そやつらは種族内の理に左右される前の状態であるため、わしら人間の言葉を
理解する。そのため、会話も出来るし仲魔にも出来る。そして“思念体”ゆえに“
魔物同士の合体”も可能じゃ。まずはこれを受け取れぃ。これを付けていれば、仲
魔にした魔物をいつでも召喚できる」
ズシャア!!
総員 『早ッ!!』
ピピンッ♪《ナビネックレスに“COMPシステム”が追加されました》
突如後ろから現れた老人がベラベラ喋ったのちにアイテムをくれた。
その速さと言ったら、それはもう同じ言葉は聞く耳持たんといった感じである。
老人 「仲魔にした悪魔はHPを消費して存界させておける。
それだけ解っていればいいだろう?
ワシもそろそろ馬鹿の一つ覚えみたいに説明するの飽きたし……」
夏子 「飽きたとか言ってるよ!?このお爺さん!!」
丘野 「ぶっちゃけすぎでござるーーーっ!!」
老人 「そんなわけでゼクンドゥスはこの“時の回廊”の何処かにおる!
宝箱はモミアゲの長い男と
空き缶をつけた女が全て漁っていったから何ひとつないぞ!
というわけで説明を終わる!ヘイルトゥーユー!!さらばじゃーーーっ!!」
ドシュウゥウーーーーーーン!!!
総員 『速ェエーーーーーーッ!!!』
老人とは思えない速さで老人が長い通路を走っていってしまった。
そして気づく。
ここが女神転生シリーズ特有の低い天井+一本道ばかりのダンジョンであることを。
中井出「うわー……」
藍田 「一本道だー……」
丘野 「天井が低いでござるなー……」
麻衣香「設定にツッコミ入れててもしょうがないって。先に進も?」
夏子 「そうそう、いつもみたいにもっとはしゃいでさ」
殊戸瀬「…………《コクコク》」
そうは言われても。
って……ありゃ?ナギーとシードは?
中井出「木村夏子二等、ナギーとシードは何処へ?」
夏子 「それが、ここに来た途端に弾かれちゃったみたいで。
多分時の神殿に取り残されてるんじゃないかな」
藍田 「……マジ?」
夏子 「マジ。シーちゃんとの契約も解除されてるみたいだし、
どう見ても中に入れずに弾かれたに違いないよ」
中井出「………」
丘野 「怒るでござろうなぁ……」
藍田 「拗ねるだろうなぁ……」
麻衣香「泣くだろうなぁ……」
夏子 「泣いてないとか意地張るだろうなぁ……」
殊戸瀬「フォローは全部任せるわ、提督」
中井出「改めて俺に振らないでくれ!!」
はぁあ……!!なんてこった……!!
ゲーム上、プレイヤーじゃないヤツは度外されるイベントなんて冗談じゃないぞ……!?
多分さっきの老人の話や、貰ったCOMPシステムの保護のためだろうが……
こんなのやられたら絶対にナギーが拗ねるだろうが……!!
そりゃな?さっきの話やCOMPのことを
ナギーやシードが詳しく知ったらヤバイってことくらい俺にも解るさ!
けどそれならそれで事前に知らせることくらいをだな……!!
ああっ……!あいつ一度ヘソ曲げるとしつこいからなぁああ……!!
中井出「な、なぁ……藍田クン?モノは相談なんだが……。
執事で蹴り技好きでハヤテくん好きなキミに是非頼みたいことが……」
藍田 「ダメね!断るね!!」
丘野 「ナギ殿といえば提督殿!!これは絶対に絶対でござるよ!!」
中井出「そこにどんな方程式があるんだよ!」
丘野 「方程式の無いものはあまり好みじゃないでござるか?」
藍田 「なるほど。それなのに今は
ふとした弾みでやってくる訳の解らない胸の痛みを楽しんでるんだな?」
中井出「モンタージュ謳ってる場合か!!
ええいもう!ナギーのことはここを攻略しながら考えるわ!!
とにかく先に進もう!埒が開かん!!」
しかしなにか策があるのかと言えば、そんなものはまったくないのである。
どういう訳かヤツは我らとの一緒の楽しさを共有することに強い拘りを持っている。
もちろんそうなれば仲間外れにされるのを酷く嫌っているわけで、
尚且つ“我が儘に生きてみろ”的なことを俺が言っちまってからは、
その我が儘っぷりにも磨きがかかっている始末であり……
俺は些か自分の前言を撤回した思いを密かに胸に潜めていたりする。
はぁ……先が思い遣られるなぁ……。
【ケース218:中井出博光(拍手喝再)/カワンチャ=ギルガ(ナランチャではない)】
トタトタトタトタ……
中井出「……長いな」
藍田 「これは困ったぞ……宝箱が無いなどと、
あのジジイやる気を殺ぐようなこと言いやがって」
中井出「いやいや待て。忘れたか?女神転生シリーズといえば“敵が全て”。
敵をコロがしまくるだけでも案外いいブツが手に入るってもんだったろ」
藍田 「おお、言われてみれば」
丘野 「フホホ……これは楽しみでござるな」
麻衣香「ところでさ、“時の回廊”って漠然と言われたけど……
ここってこの一階しかないのかな」
殊戸瀬「ナビによればそう。けどとんでもなく広いらしいから一筋縄では出られない」
総員 『うわぁ……』
こりゃ困った。
そりゃさ、落とし穴とかで下の階に戻されるっていう、
あの仕掛けが無いことが確定してるだけでも嬉しいといえば嬉しいが。
中井出「と、とにかく。宝箱が無いというのなら敵をコロがして手に入れるのみ!
義は我らにあり!!突貫してコロがしまくるぞ!!」
総員 『サーイェッサー!!』
今のところ全然敵が出てこないが、それでも我らの意気込みは消せやしねー!!
さあいつでも誰でもとっととかかってこい!!───チュゴォオンッ!!
中井出「オオッ!?」
藍田 「ようやく来やがったか!」
狭い一本道に何かが現れる!
土煙を巻き起こらせ、やがて姿を見せるそいつは───!!
《魔王ルシファーが現れた!》
───……。オイ。
藍田 「ちょちょちょちょちょちょぉおおおおおおオオオォオオオオオッ!!?」
中井出「なにこの記念すべき第一回目のラスボス的存在!!
外道スライムとも会ってないのに初めての敵がルシファー!?」
総員 『バランス悪ィイイーーーーーーッ!!!!』
中井出「なんでもありかこの回廊!!」
藍田 「おぉい!サタン様がこんなところを平然と歩いてていいのか!?」
夏子 「ルシファーってサタンなんだっけ?」
殊戸瀬「サタンの別名がルシファーと言われてる。
ただしその逆もあり、また別の存在という説もある。
どちらにしろ昔の話は統一性を見ないから、全ては精霊達の一存に任される」
麻衣香「そうなんだ……───ちなみにさ、
女神転生で言うルシファーの位置づけってどんな感じだったっけ?」
男衆 『最高レベルのラスボス的存在……』
麻衣香「うあ……」
そう、いきなり戦うにはあんまりな相手……!
どうする?……どうするもなにも、どうにかするしかない。
中井出 「え、えーと……こ、こんにちわ?」
ルシファー『………』
中井出 「ア、アイム博光!《ジュゴォオンッ!!》ギャアーーーーーーッ!!!」
丘野 「ヒイイ!!提督殿がマハラギオンで燃やされたでござるーーーっ!!」
藍田 「提督!?提督ーーーーーっ!!」
麻衣香 「癒しの光よ!“ヒール”!!」
中井出 「《シャラァン♪》おっしゃあーーーーーっ!!
つーかすげぇ回復力!なにこれ!!」
麻衣香 「えっへへー!稀緑杖グルグリーズの力なのだー!!」
おお!グルグリーズと言えば癒しの象徴の竜!
その名前を持つその杖が回復力を高めるのか!こりゃ便利!
中井出「よ、よし!注意すれば案外いけるかもしれん!!いくぞーみんなぁっ!!」
藍田 「おっしゃあーーーーーっ!!そんじゃあ早速!“頬肉()シュート”!!」
タタンッ───フオンッ!!
藍田二等が我先にと疾駆し、ルシファー目掛けて脚を振るう!
バチィインッ!!───ルシファーはそれを避けようともせず受けた───が。
藍田 「んなっ……」
軽く体勢をずらすことが出来た程度で、吹き飛びもしなかった。
ルシファー『……宴が始まる。さあ目覚めよ同胞たちよ───サバトマ』
ゴハァアアアアアッ!!!!
中井出「ぬわっ!?ヌワァアアアアアアアアッ!!?」
《ルシファーがサバトマを唱えた!周囲に悪魔が出現し始める!!》
中井出「ひ、卑怯だぞてめぇえーーーーーっ!!!
裏ボス級の強さ誇ってるくせに仲間なんか呼ぶなぁーーーーーっ!!」
《魔王ベルゼブブが現れた!!》
中井出「しかもまた裏ボスランク悪魔ァアアーーーーーーーーーッ!!!!」
自然と涙が止まらなくなった。
ああ……この世界、何処よりも理不尽だぁ……。
そんなことを思いながら、我らは次々と現れる魔王や破壊神に囲まれながらコロがされた。
───……。
……。
言っておくが金はゼロである。
何故かって、金は全てナギーに預けてあるからである。
……これで外の時間もきちんと動いてるんだとしたら、
きっとナギーは退屈に負けてどこかへ飛んでいってしまうだろう。
そうなると我らの金はどうなるんだろうなぁ。
中井出(それよりもナギーのご機嫌取りが大変そうだ……)
さて、魔王や破壊神や大天使様にブッコロがされた我らは、
時の回廊前の町に戻されていた。
中井出「いやー……強かったなぁ」
藍田 「いきなりラスボスランクは反則だろ……。どこぞのRPGじゃないんだから」
丘野 「こうなったら拙者たちも非情になるほか無いでござるよ!」
麻衣香「非情って?」
丘野 「悪魔に対して全力でぶつかるということでござる!
どうやらこの世界、レベルに応じてステータスが均等に分けられるようでござる。
ステータスの振り分けが出来なくなってしまっているのは大変でござるが、
レベルに相応な数値はあるでござる。ならいけるところまではいける筈でござる」
中井出「きっついよなぁ……必要に応じてステータス分けしてたから、
詰まることもなくこの“時の回廊”まで来れたってのに」
藍田 「ハッキリ言って巨人はステータス振り分けが無ければ絶対に勝てなかったしな」
ありゃバケモンだ。
体がデカイってのはそれだけで戦いへの利点になるんじゃなかろうかと本気で思った。
木偶の坊で動きが遅いならいいんだが、巨人族ってのはそれこそ本当に戦闘民族だ。
足は速いわ力は強いわでもう大変だ。
特にゼプシオンは別次元戦士すぎた。
ありゃ鬼神だ。
中井出「まあステータスが安定しても経験は消えない!
我らの根性をここらのタコどもに見せ付けてくれよう!!」
総員 『サーイェッサー!!』
ここがそういう場所ならば、そういう場所ならではの楽しみ方をするまで!!
見せたる!オイラの百万馬力!!
───……。
……。
というわけで。
チュゴォンッ!!
ノッカー『ヒーホー!《ガシィッ!!》ヒホッ!?』
中井出 「貴様に一言物申す!!金を寄越せ!!」
ノッカー『うひゃひゃひゃひゃ!いいぞー!ただしお前の命と引き換えなー!!』
ノッカーが襲い掛かってきた!!
ノッカーの攻撃!我らはてんでダメージを受けない!!
ノッカー『ゲェーーーーッ!!』
そしてもちろん俺達はさらにノッカーに詰め寄ると、絡みに絡みまくった!
つーかこのノッカー今“ゲェーー”って言った!!言ったよね!?
中井出 「オラオラ子供ォ!!さっさと出さンかいクラッ!!」
ノッカー『よせやいっ!』
藍田 「その若さで墓石入りとうなかろうがオォ!?」
丘野 「俺達ゃ親切で言ってンだよ!!」
中井出 「どっちみち取られンならよォ……怪我する前のがよかねぇか?ン?」
ノッカー『ひっ……!』
言葉と一緒にノッカーの肩に腕を回し、喉に稀黄剣を突きつけた。
ナイフじゃないのが余計に恐怖を増させてます。
ノッカー『う、うぐ……こ、これやるー』
ピピンッ♪《ノッカーが300$をくれた!》
藍田 「そうそう、それでいンだよボケが……」
丘野 「ホッホォ〜、持っとるのォォォォ!!」
ノッカー『も、もういいだろー!離せこのやろー!!』
中井出 「もっとだ!もっと持ってンだろテメー!!さっさと出さンかいクラッ!!」
藍田 「その若さで墓石入りとうなかろうがオォ!?」
ノッカー『それだけで終わりだー!ばかにしてんのかー!!
見せたるオイラの百万馬力!!』
ノッカーはやる気だ!
中井出 「そうか……持ってないのか……」
藍田 「じゃあ死ね」
ノッカー『《ゾシュザクドシュゴキャ!!》ギャアアアアアアアアア!!!!』
地霊ノッカーをコロがした。
藍田 「チッ……シケてやがる」
丘野 「たった300$ぽっちかよクズが……」
中井出「丘野くん。キミ、“ホッホ〜、持っとるのォォォォ”とか言ってなかった?」
丘野 「場のノリと雰囲気は人類の至宝」
麻衣香「ていうかもうどっちが悪魔だか解らないね……」
中井出「義は我らにアリ!!」
藍田 「やつらは既に存在自体が悪魔だから大丈夫さ!」
丘野 「さーあどんどん行こう!
いきなり魔王様を出すような世界にゃカツアゲ上等くらいの勢いが必要なのさ!」
いやあ楽しいなあ!
悪魔にカツアゲを実行するなんて普通は絶対にありえない!!
だからこそ!そうだからこそ!!
我ら原中は“普通では絶対にしないこと”を応援します!!
そんなわけで我らは全力を以って真正面から向かっていきます悪魔に向かって!!
……まあ、相手側から出てくるまではなにも出来ないわけだが。
チュゴォンッ!!《天津神タケミカヅチが現れた!!》
中井出 「オオッ!?」
丘野 「おお!昔の神でござる!日本の神でござるよ!!」
藍田 「しかも由緒ありそうな剣持ってる!」
中井出 「───《チラリ》」
藍田&丘野『───《コクリ》』
アイコンタクトは成立した。
我らは全力を以って───!
藍田 「“空軍・()パワーシュートォッ”!!」
ドシュゥンッ!!
タケミカヅチ『む───!!』
中井出 「そぉおおいやぁあああああっ!!!」
そう、全力を以って!───剣を盗む。
ガッシィイイイッ!!!
タケミカヅチ『ぐぬうっ!?貴様、何を───』
藍田の足に乗り、弾かれるように飛ばされた俺はタケミカヅチの持つ剣に飛びついた!
しかし相手もさすがに神!
その力は半端ではなく、無理矢理奪おうにも奪えない!!
中井出 「こ、このっ……!離せキサマ!」
タケミカヅチ『この無礼者めが!!我の剣になにを───』
中井出 「………」
タケミカヅチ『……?』
中井出 「サミング!!」
タケミカヅチ『《ブスゥッ!!》ぐぉああああああああああっ!!!!!』
中井出 「今だぁああああああっ!!!」
グイッ!グイッ!!グィイイッ!!
目潰ししたことで痛がっている隙を突いて、剣を引っ張る!引っ張る!引っ張る!!
しかしさすがに神様!全然離してくれやしねー!!
中井出 「ぬおっ!?くっ、このッ!離せ!これは僕ら大友組のものだぞ!」
タケミカヅチ『ご、ごごごごご……!!き、貴様は我を侮辱し───』
中井出 「飛びつき腕ひしぎ十字固め!!」
ギッシィイッ!!
藍田 「水面蹴り!!」
スッパァアアアアンッ!!───ドザァベキャアッ!!
タケミカヅチ『ぐあああああああああああっ!!!!』
中々手を離さないどこぞの神様の腕を取ると、
その瞬間に藍田二等がタケミカヅチの足を払う!
バランスを崩して倒れたことにより、
その反動が腕ひしぎを効果的に伝導させ、遠慮一切無しに神様の腕を折った!
そして激痛にもだえる神様の手から剣を奪うと、
僕らは遠慮することもなく全員で彼をボコボコにしました。
麻衣香「なんだろう……今ほど自分が悪側だと思ったことって無い気がする……」
夏子 「気にしたら負けなんだよきっと……」
やがて塵と化す神様を見送りながら、彼女たちはそう言った。
しかしな。こうでもしないとアイテムドロップなんて夢のまた夢。
どうせ相手が持ってるなら、こうやって盗んだ方が確実だし。
麻衣香「そもそもわたし、神様に腕ひしぎやる人って初めて見た……」
夏子 「わたしも……」
そう、それこそが神の意表を突く技ッッ!!
さすがの神も関節技なんぞされたことないから反応が一手遅れるのだ。
藍田 「ところで提督、盗んだ武器ってなんだったんだ?」
中井出「んお?おお、そういえば」
手に持ったままだった剣をナビで調べてみた。
すると……
中井出「名前は“八束の剣”。連撃性能に優れた軽い剣……だとさ」
藍田 「八束……十柄の剣とは違うんだなぁ」
中井出「うーむ……ところでみんな、覚えてるか?」
丘野 「覚えてるかって……なにをでござる?」
中井出「女神転生系の武器の話だよ。アタックナイフとかそういう系の武器を除けば、
大抵の武器が“刀系”だってことだよ」
丘野 「あ」
そう。ここで手に入る武器は大半がナイフとか鞭か銃か刀となる。
しかし悲しいかな、我らの中には刀士が居ないのだ。
頑張って手に入れても───
丘野 「合成させればいいでござるよ」
中井出「まあ……やっぱそうなるよな」
誰かにプレゼントするのもなんだし。
中井出「うむよし!それでこの調子で武器を集め、武器を強化してゆくものとする!!
丘野二等!貴様も手に入るのが刀ならば合成にも依存はないだろう!!」
丘野 「サーイェッサー!!」
中井出「よし!ならば武器だ!!どんな手段を使ってでも敵の武器を奪うものとする!!
レアドロップなど狙っていても手に入る確率は希少中の希少!!
ならばどうするか!奪うしかないだろう!!」
総員 『サーイェッサー!!』
中井出「うむその意気だ!ではこれより!我が武器と丘野二等の武器と殊戸瀬二等の武器、
そして藍田二等の靴装備と麻衣香の武器、
さらに木村夏子が召喚するための悪魔収集を開始するものとする!!
総員!全力を以ってこの状況を楽しめ!!
イェア・ゲッドラァック!ラァアアイクファイクミーーーッ!!!」
ザザッ!!
総員 『Sir()!!YesSir()!!』
さあ始めよう“傍若無人絵巻()”!!
みんな祝おう!心開いて!!思い出そう!海のリズムマジック!
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