151/151を憩いと読みたいけど内容までは上手くはいかない。そんな辛さを時に語りたくなる僕らの人生。
お菓子だった。
流琉のクッキーが各国に広まりつつある昨今、果物の果汁を使って作ったお菓子が、霞の言うお土産だった。
さくりと食べてみれば口内にお菓子独特の食感と味、そして主張しすぎない程度の果汁の風味が溶け出し、なんだか懐かしい気持ちになる。天でもあるような味なのだ。
どうやって作ったのかといえば……ドラム缶風呂の要領で、使わなくなった中華鍋などを叩き、小さな窯のような形に変形。それを、火力は少ないが焚き火で炙ってクッキーを焼く……と、そんな感じらしい。
どうせ使わなくなったものだからと、捨てるよりは再利用をという考えまで広まったようだ。ドラム缶風呂からそこまで広がる事実に、なにがきっかけで人がどう動くのかなんて解らないもんだなぁと素直に感心した。
とは言ってもやっぱり手探りは手探りらしく、作った窯もどきでは焼け具合が激しくバラつくようで、丁度いいのもあればカーボンのように炭化するものもあるんだとか。
「へぇえ……! 美味しいなぁ、これ」
「せやろー? ウチも一発で気に入って、これなら一刀喜ぶやろなー思て分けてもらってきてん」
「で、笑顔で中に入ってみたら事後だったとっ」
「その通りだけど少し空気読もうね七乃さん!!」
さて、霞が戻ってきた現在。
場所はそのまま自室で、着崩れしていた美羽の衣服は正した状態で寝かせてあり、俺と霞と七乃がそれぞれ円卓の椅子に腰掛けて向かい合っている。
俺が止めようとする間もなくバーンと扉を開けてしまった七乃によって、強制的に事後現場を目撃した霞だったが……特に珍しい反応をするでもなく、猫耳でも頭に生やしたかのようなきゃらんとした顔で寝台の上で慌てる俺を見ていた。
で、そのまま中に入ってきてお土産を広げては、笑いながらこうして話をすることになったんだが……
「やー、華琳から聞いとったけど、一刀、ちゃんと手ぇ出せるようになったんやな」
「霞。その言い方はいろいろと不能的な疑いをかけられてそうな気分になるんだけど」
「帰ってきてから今まで、可愛い女に囲まれとるっちゅうのにてんで手ぇ出さんかったんやもん、疑いたくもなるってもんとちゃう?」
「いや……まあ……こっちだっていろいろと我慢してて大変だったんだぞ?」
「やったらすぐに手ぇ出してまえばええのに」
「いろいろと事情があってねー……」
遠い目をして何処とも取れぬ場所を見つめた。壁があるだけだった。
「ほんでほんでっ? 一刀もうそういうこと出来るようになったんやったら、」
「ごめんなさい勘弁してください」
「えぇーー!? なんでー!? ウチ今まで散々我慢しててん、ご褒美くれてもええやろー!?」
尻尾を振る犬のように笑顔で寄ってきた霞に両手を挙げて降参宣言。当然霞は納得いかないと、俺の腕に抱きついてくるのだが……
「確かに支柱としての行動にそれは含まれるんだろうし、俺も霞とはそういうことをしたいとも思うけどさ。……そればっかりに溺れて、自分の立場忘れたくないんだ。あ、“だからその立場が行為をすることだろ”って言葉は勘弁してほしい。霞のことは好きだし大切な人だと思ってるけど、それと支柱の仕事とはやっぱり別にしたいんだ」
「う、うー……難しいことは解れへんけど……」
「好きな人を代わる代わる抱くだけが御遣いと支柱の仕事じゃないって言いたいんだって。“求められたら抱く”って自分から離れたいんだ」
「というかですね。《ピンッ♪》本当に求められるだけ抱いていたら、民からの信頼がひどいことになりますよ? 最悪支柱の位置を剥奪、別のものへ置き換えることにもなりかねません。同盟の証ならば、一刀さんじゃなくても三国で大事に思える置物でもいいんですから」
「そうだとしても置物が代わりなのは勘弁してほしいな……」
俺の代わりに置物…………なんでか、あるわけもないのに信楽焼きが頭に浮かんだ。なんでだろ。……ともかく、それらを三国の宝にする各国の王たち…………路地裏で一人寂しくT-SUWARIをする俺。そんな映像が頭の中で上映された。
「お、俺っ! 仕事しっかりやるよ!」
「はいっ♪《ピンッ》では早速各地の邑などでの問題点を纏めたものをこちらに」
「えっ…………い、今から?」
さすがに遅くまでアレだった上に、さっきまで美羽と七乃とアレだったから疲れてるんだけど。
なんて弱音が出そうになった時、七乃がにこりと笑って「来年にはこの部屋には置物が置かれているんでしょうねぇ」なんてことを仰ってああああもう!!
「やる! やります! だから置物はやめて!?」
「はーいっ頑張ってくださいねー、この食べ物は私とお嬢様が責任をもっていただいてますから」
「ひどい! なんてひどい!」
でもやる。
頭の中をリラックスモードから仕事モードに切り替えるように頬を叩いて、円卓の隣の仕事机へ移動。霞はといえば、椅子に座るなり早速仕事を始めてしまった俺を、口を少し尖らせながら見つめていた。
んー……
「霞」
「!《ぴょこんっ》」
苦笑を噛み締めつつ名前を呼んでみると、また猫の耳でも現れたかのような笑顔をもらす霞。そんな様子は猫っぽいのに、俺を見つめる姿は尻尾を振る犬っぽかった。
そんな彼女に軽く椅子を引いて、さあさと膝をぽむぽむと叩くと……“エ?”とばかりに首を傾げられた。
……。
視察などの仕事や状況報告などを簡単に纏めるには何が一番必要か。
それはもちろん自分の目で見て知ることなんだろうが、それが出来なかった場合は見てきた人に細かく聞くことだと思う。
そういったことを書類に纏めるのが上手い人が居るのなら、その人が纏めたものを提出するだけで十分だとも思うものの、提出される側が俺の場合はそれは自分で纏めなければいけない。
なのでこの中で状況を知る霞を足の間に座らせると、そのまま書類整理を開始。
「〜♪」
口を尖らせていた誰かさんはとっくに上機嫌だ。
説明の部分では随分と唸ってはいたものの、そこは七乃がフォローすることで詰まることもそうそうなく作業は進む。
「うぇ〜……一刀はいっつもこんな仕事やってたん? 文字ばっかで目ぇ回る〜……」
言いつつも語調は楽しげだ。
そんな霞の肩越しに見る竹簡には、渡された書類に書かれたものを今後のことに役立つ案とともに書き連ねた文字がある。というか今も連ねている。
報告だけ受け取ってはい了承了承じゃあ、民の声も、それを外から見た人の意見も見えてこない。
だからきちんと目を通して、時間があるなら自分でも視察しなきゃいけない。
「あ、そういえばなー一刀ー。なんや視察行ってる中ずっとな? 甘寧ちんが変やったんやけど、一刀知っとるー?」
「いや、急に言われてもな……べつに普通だった……気がするぞ?(惚れ薬のことを置いておけば)」
「なんや一刀の名前が出るたびにぴくりぴくり肩が動いてなー? 気になることでもあるんかーって聞いたら“なにもない”の一点張り。なー? これへんやろー?」
「……あんまりつつかないように頼むな。思春がなにもないって言ったらなにもないんだろうから。つつきすぎると俺にいろいろとばっちりが来るかもだから」
「それを受け止めてこその男やん」
「刃物突きつける人を受け止めたくないよ!? 首飛んじゃうよ俺!」
話しながらも続ける。
一人一人の物事の見方なんてものは違うんだから、こればっかりは頭と足で知らなきゃいけないものだ。
で、知ったら知ったで書き連ねた予定書類と照らし合わせて、何が最善かを考えて、それを行ったらその先でどうなるのかも考えて、それを軍師に話してみて、反応が良好だったら落款。
軍師に訊いてばっかなのはどうかと言う人も居るだろうし、俺もそう思うのだが……困ったことに、それが軍師の仕事なのだ。相談されなかったらなんのための軍師かわかったもんじゃない。むしろ相談しなかったら怒られることさえあるのだ……うん、少し理不尽を感じないでもない。
「……ん、よしっ、と。あとは……七乃、確認してもらっていいか?」
「珍しいですね、私に確認を頼むなんて」
「それが、華琳に間違いを指摘されてねー……少し不安だから一応」
自信が溢れているときこそ怖いものだ。
なのでハイと渡した竹簡を、七乃が確認してゆく。
「銘菓、ですか?」
「うん。せっかくあんなお菓子が作れるなら、いっそもっと大々的に取り上げてみたらどうかなって。この邑ではこの果実がよく採れるみたいだし、作ったものをその邑の名物にするんだ」
「うーん、街ならともかく邑ではどうでしょうねぇ……作るのはそれは構わないかもしれないですけど、邑で限定的に売るとなると買い手が邑の人しか居ませんよー?」
「そんな時こそ片春屠くん! 作ってもらったお菓子は俺が受け取って、街で売ってみるのはどうだ? 味が良ければ知られていくだろうし、行商に話がいけば仕入れてくれるかもしれない。……問題は保存料なわけだが」
行商が街から街、邑から街など移動する中、果たしてその菓子が味を保っていられるかが問題だ。
「お手製の窯の焼き具合も考えなければいけませんからねー……これは趣味として置いておくのが一番だと思いますよ? なんでしたら作った分を纏めて都で買って、ここで売るという方法もありますけど。もちろん売れなければ都の赤字は確定ですが」
「うぐっ……そうなんだよな」
それはもちろん考えたんだが。
現物だけ貰って都で売って、売れた金を邑まで届ける……じゃあ、ちょっと効率が悪いし邑の人のやる気にはあまり繋がりそうにもない。
なにせ自分らで食べようと作ったものなのだから、売れた分だけの金を貰って、売れなかったら捨ててしまう、もしくは冷めたそれを食べる、では作ったほうががっくりする。
それなら最初から買ってしまい、こちらで売れば……と。仕入れと販売だな、ようするに。
「むー、いい案だと思ったんだけどな。気持ちが先走って失敗するケースか。もっと感情を制御できるようになったほうがいいなぁ」
誰かが喜んでくれるんじゃ、とか思うとすぐにそれをしたくなって、考えが最後まで至らないのは困った癖だと思う。それを止めてくれる人が居るっていうのは幸せなことだ。
俺がこんな調子なら、自他ともに認められるほど似ていると思う桃香は…………もっとすごいんだろうなぁ。想像できるのが少し悲しい。
-_-/その頃の桃香さん
「はぁああっぷしゅっ!!」
「ふわっ!? ……と、桃香さま? どうかしましたか、急にくしゃみなど───まさか風邪!?」
「へっ!? あ、そんなんじゃないよ、大丈夫大丈夫っ、ちょっとむずっときただけだから」
蜀の城下の一角で、愛紗ちゃんと一緒に人の波を見ては笑む。
都が出来てからというもの、商人さんが来るたびにわくわくしている自分が居る。
今日はどんな商人さんが居るのかなーとやってきたそこで、急にくしゃみをしてしまった私を慌てて心配する愛紗ちゃん……心配性だと思う。それもすっごく。
慌てて心配って、ちょっと言い方が変かな。でも愛紗ちゃんはいっつもこんな感じだ。
「えへへー、この前の商人さんが持ってきた絡繰、面白かったねー」
「天の御遣いが作った絡繰だー、などと言って売ろうとしていたあれですか。都が出来てからというもの、“天の御遣い”の名を売り文句にする商人が増えましたからね。あれも真実かどうか怪しいものです」
「でもでも、見たこともないものだったよ? 大きな甕みたいなのに入ったおじさんに剣を刺していって、刺しちゃいけないところに刺すと飛び出る〜って」
「……桃香さま。その言い方ではおじさんだけ滅多刺しです」
「あれ?」
? 甕に入ったおじさんを刺して……あ。
お、おじさんが入った甕を刺すんだったね、あは、あはは……。
「え、えと。あの甕、“たる”とか言ったっけ」
「はい。絡繰の名前は“黒髭危機一髪”といいましたか。どういう原理で毎回刺してはいけない場所が変わるのかは解りませんが……なるほど、ああいうものを作れるのなら、一刀殿が考えたというのも頷ける気がします」
「だよねだよねっ、だから今日もきっといいものが───あ」
「? 桃香さま? どうされました?」
人があまり寄り付かない場所に、一人の商人さん。
なんだかとっても元気がなくて、しょんぼりと座り込んでいる。
話しかけてみると、商品がちっとも売れなくて困っているんだとか。
「これが売れなきゃ、家で待ってる子供達に食わせてやれなくて───」
「愛紗ちゃん、買ってあげよっ!」
「なりませんっ!!」
即答だった。
「……桃香さま? 先日もそう言って無駄に買い、買ったものをどうしたものかと持て余していたのをお忘れですか?」
「えぅっ……で、でもあれは、きちんと街の子供さんたちに……」
「ええ、寄付なされていましたね。買ったものを、どうぞと」
「うー……」
「国庫は無限ではありません。その王たる桃香さまがそんな無駄遣いばかりをしてどうしますかっ! 大体桃香さまはやさしすぎるのです。桃香さまがこうして買おうとして使う金も、こうして街がそれぞれの需要と供給で支え合って届くものであり───!」
「あ、ああああ、あーの、愛紗ちゃん、愛紗ちゃんっ? そのっ、せめて商人さんの前で説教は……!」
「なりませんっ! 今日という今日は桃香さまのその、手を差し伸べすぎなところを───!」
「はぅうっ……」
お説教が続く。
商人さんはぽかんとしていて、私が王だと知るとなんだか横を向いてふるふると震え始めて……あぅう、絶対に笑われてる……!
でも売れないと食べられないのは可哀想だよね。
……そうだっ、きちんと役に立つものを買えばいいんだ。
どうしてこの人のところにだけお客さんが来ないのかは解らないけど、何を売っているのかを見れば───……
「………」
「桃香さまっ! お話はまだ───……桃香さま?」
私の視線に気づいたのか、愛紗ちゃんもちらりと商人さんが広げる商品に目を向ける。
そこには……なんだか言葉には出来ない怪しげなものがごろりごろりと転がっていた。
「……店主。これはいったいなんだ?」
「へ? あ、ああっ、これは俺っちが作らせていただいたもので、食べ物に見立てた置物でさ! これを気に入らない相手の家にそっと置いて、噛んだ瞬間にざまあみろと───」
『………』
「……だ、だめでやすかね?」
買おうと思っていた気持ちが、ぴうと走り去ってしまった。
さすがにそんなひどいことは出来ない。
もしやるとしても、ざまあみろなんてことじゃなくてもっと楽しいのがいいと思う。
うーん、こんな時お兄さんならどうするのかな。
「……店主。さすがにこれは誰も買わないと思うぞ」
「うっ……いえ、俺っちもうすうす感じてはいたんでやすがね……。きっと乱世の頃ならもっと気軽に……っとと、言っていいことではありゃせんでしたね、申し訳ねぇです」
「……いや。売れなければ食うに困るという点では思ってしまうのも仕方が無い」
目を伏せて、やれやれって感じで言う愛紗ちゃん。
でも、乱世の頃にしか売れないのなんて出来れば人を傷つける道具だけであってほしい。だから……これは人を馬鹿にしちゃうようなものじゃなくて、楽しむものであるべきだ。
「あの、店主さん。これ買います」
「───……へい、やっぱそうでやすよね。こんなものを買うわけが───へぇっ!?」
「なっ、桃香さまっ!? 正気ですか!?」
……あれ? 今愛紗ちゃんに正気を疑われた?
あっと、それより説明説明。きちんと話さないと愛紗ちゃん、頷いてくれないだろうし。
「えと、ほら。愛紗ちゃんこの間言ってたでしょ? 鈴々ちゃんがなんでも食べちゃって困ってるって。“言っても聞かないのから何か仕置きが出来ればいいのですが”〜って」
「それは……まあ、言いましたが。……まさか桃香さま? これで?」
「うんっ、ちょっといたずらしちゃおうかな〜って。えへへ? べつにこのあいだ、あとで食べようと思ってた桃を勝手に食べられちゃって怒ってるわけじゃないよ?」
「桃香さま。その……言ってしまっている時点で語るに落ちている気が」
愛紗ちゃんはそんなことを言っているけど、その時に一番怒ったのは愛紗ちゃんだった。その時に“言っても聞かないのから何か仕置きが出来ればいいのですが”と言っていた。
私も落ち込みはしたけど、その時は食べられちゃったなら仕方ないかなとは思ったけど……売りに出してたおばさんが自信たっぷりに“いい出来なんですよ、是非食べてみてください”って言ってたのを思い出すと、やっぱり鈴々ちゃんのすぐに食べ物に手を伸ばしちゃう癖はなんとかしたほうがいいと思うんだ。
恋ちゃんはきちんと訊いてくるのに。
なのでこれだ。無断で食べるのがどれだけいけないことなのか、解ってもらうのだ。
「あ、の……買って、くださるんですかい?」
「うんっ、これとこれと……あとこれもっ」
本物にそっくりのものを見繕って、詰めてもらう。
……うわー、見れば見るほどそっくりだ。
「時に店主。これはいったいどうやって作ったんだ?」
「結構前に、呉で御遣い様と話す機会がありやして。わざわざ邑や街ひとつひとつに立ち寄って、落ち込んでばかりだった俺っちらにいろいろと教えてくださったんでさ。いや、あの方は話しやすくていいですね。飾った感じがしないで、むしろこう……目線を合わせるっつーんですかい? 御遣いなんて偉い方なのに、俺っちらの目線でものを見るのが上手いってぇ言いやすか。はは」
店主さんはほっぺたを掻きながらそんなことを言う。
へええ……お兄さん、呉ではそんなことしてたんだ。
一応話には聞いてたけど、細かなことまでは知らなかった。
「まあともかく、その時に食べ物の置物という話を聞いたんでやすよ。天には本物そっくりの偽物の食べ物がある〜とか。で、なんていいやすか、実物を見たくなっちまいまして。無い知識絞っていろいろやって、出来たのがこれでさ。重さも考えなけりゃいけねぇってことで、これもまた苦労したんですがね」
お兄さんは石を削ったものとか粘土を固めたものとかで例を出していたみたい。本来は蝋で作るそうだけど、蝋なんて簡単に用意できない。
店主さんはそういうのを試してみて、ようやく出来て一息ついたものの、出来てみればあまり使い道のない置物が完成しただけだったってがっくりしちゃったみたい。
でも自分は商人なんだから、もしかしたら誰かが買ってくれるかもって、こうして売りにきたらしい。
「いやしかし、頑張ってみるもんですねぇ。まさか買ってくださる方が居るとは」
「うんうん、これも需要と供給だね」
「……やれやれ。これで鈴々の癖も直ってくれるとよいのですが」
詰めてもらった置物に対しての代金を支払って、愛紗ちゃんと一緒に歩く。
店主さんは私たちが見えなくなるまで「ありがとう! ありがとうごぜぇやす!」と手を振っていた。なんかちょこっとだけいいことをした気分。でもこんなことを続けてたらまた愛紗ちゃんに怒られるね。……衝動的にものを買うのはやめてくださいって言われてるし。
「なんだか、面白いねー。これだけ離れてるのに、何かがあるとすぐにお兄さんの話題が上がるなんて」
「それだけ天の知識は目立つということでしょう。時に危うさを感じないでもありませんが」
「危うかったらみんなで助け合えばいいんだよ。この平和が続きますようにって、私たちが目指してる“これからの天下”はそこにあるんだから」
「……はい。この関雲長、これからも桃香さまの槍となり盾となり───」
「もーっ、そういう堅苦しいのはいいってばっ」
厳しい道を歩いてきて、たくさんのことを知ってもまだ……それは辛さとそれに立ち向かう方法ばかりで、私たちはまだまだ世界の楽しみ方というのを知らないでいる。
小さなことからでもいいからそういうものを拾ってみた先に、平和っていうのはあるんだと思う。せめて子供が笑っていられる時代を築こうとすればするほど、壁っていうものはたくさん見つかるわけだけど……そんな壁の厚さを忘れさせてくれるのも、案外子供の笑顔だったりした。
「〜♪」
愛紗ちゃんと城下の賑わいの中を歩く。
……私は、今のこの空の下が好きだ。
華琳さんと衝突した時にいろいろ言ってしまったことを思い出すけど、現実として訪れた華琳さんの覇道の先にはあの時の私では想像も出来ないくらいの笑顔があった。
これが華琳さんが唱えていた力の先にあるものなら、私はやっぱりもっと世界の広さというものを知っておくべきだったんだろうなって後悔する時がある。
そうは思うけど……それでも、私はこの世界が好きなのだ。
笑顔があって楽しいがあって、後悔はあっても“今”を笑える。
私を信じてついてきてくれた人が居て、信じたまま死んでしまった人が居て、私は私の夢には辿り着けなくて。
でも、今からでもみんなが願った平和に辿り着くことが出来ることも、それらを守ろうと努力することも出来るのだと教えてくれた人が居て。
いつかそんな平和に心の底から満足出来たら…………無駄じゃなかったよ、辿り着けたよって……死んでしまった人たちへ、笑って報告が出来ると思うのだ。
今はまだ頑張ってる途中だから、胸なんて張れないけど。
負けてから目指した夢なんて、って笑われちゃうかな。
確かに情けない話だと思う。
それなら最初から華琳さんのもとへ降っていれば平和に目指せただろう、なんて思ってしまったことだって当然ある。
でも……意見が、道が交わらなかったから戦が起きたのなら、避けることなんて出来なかった。
それが、今は哀しい。
「じゃあ愛紗ちゃん、次は何処に行こっか」
「いえ桃香さま。そろそろ執務室に戻っていただきたいのですが。仕事も残っておりますし」
「はうっ……! ……う、ううん、ここで嫌がっちゃだめだね。じじ、自分に出来ること、自分にやれること〜……うんっ、よしっ」
ぐっと気合(みたいなもの)を込めて歩きだす。
動かす足は重いのか軽いのか。
でも、自分の行動の理由がお兄さんの言葉に影響されていっていることは、なんとなく気づいてはいる。
影響されているからってそうするかどうかは自分の意思なのだから、結局はこれも自分の意思なんだけど……改めて思ってみると、ちょびっとだけくすぐったい。
(お兄さん、今頃なにしてるかなぁ)
ふんふんと鼻歌なんかを歌ってみる。
いつか、報告を待っていた私をほっぽってみんなで楽しんでいたらしいお兄さんに歌ってもらった歌だ。
全部を覚えているわけじゃないけれど、覚えている部分だけでも結構楽しい気分になれたりするものだなぁって、楽しい気分が溢れてくる。
溢れてくると、今度はじっとしていられなくなって辺りを見渡して、珍しそうなものがある場所へと突貫。愛紗ちゃんが慌てて追ってきて、またがみがみとお説教が始まる。……心配してくれてるのは解ってるし嬉しいんだけど、ちょっと過剰すぎる。
なにか話題を変えたほうがと思いついたことを次から次へと出してみても、愛紗ちゃんはきちんと返事をくれるし頷いてくれたりもするんだけど、また説教に戻ってしまう。
……もしかして愛紗ちゃん、お説教が趣味だったりするのかな。
「あ、あーっ、愛紗ちゃんっ……? ここっこ今度はあっちに───」
「桃香さま。仕事が残っています」
「でもでもっ、これも視察って仕事の一部で───」
「───程cが言うには、サボっていた時の一刀殿の言い訳の一つだったそうですね」
「うんそうそうっ、便利な言葉だよ───……ね…………あぅ」
ついにっこりと笑顔で返事してしまったら、目の前に怒気溢るる愛紗ちゃんが居た。
こうなってしまうともう私が何を言っても無駄なわけで。私は仕方なく、笑顔で怒ったままの愛紗ちゃんに引かれるままに、城へと戻るのだった。
-_-/一刀くん
案を出し合って、心惹かれる案があれば候補として取っておく。
候補として取っておかなかった案も、他の案件に使えないかとメモにとっておくのも忘れない。
そうして“これが最善だ”と思うものを具体的に竹簡に書き出し、最後のチェックが終わると落款。
どれが一番いい提案なのかを考えすぎるのは中々に疲れるものだけど、こういうのも案外文化祭の準備のようで楽しかったりする。
欲を言うなら相談役がもっと居ればなと思ってしまうところで、三国連合での祭りの準備期間中は本当に楽しかったことを思い出して、思わず口角が軽く持ち上がる。
俺達は、そうしたなんとも言えないような……なんというか、温かな空気ってものの中に居た。
「それで一刀さん? 張遼さんへの罰はどうするんですか?」
「せっかく温かな空気で誤魔化してたのにこの人はっ!!」
そして早速そんな温かな空気がぶち壊されました。
「いえいえ感謝されるほどのことでは」
「人の話を聞きましょう!? 別に感謝してないから!」
「じゃあ一刀さんもお話を聞いてくださいね? で、どうするんですか?」
「………」
墓穴を掘ってしまったらしい。言い放つツッコミにも気をつけなきゃいけないなんて、なんて話しづらい軍師様だ。
「どうって……こうして仕事を手伝ってもらってるけど?」
「そんなものはあくまで仕事の一環ですよー? 大体、各国のみなさんがここに来る理由のひとつがそれなんですから、今さらそんなことで罰にはなりません」
無駄に正論だった。
どうしてこの世界の軍師さま方は、人をいじる時にばかり思考の回転を見せるのか。
もっと支柱にやさしい頭脳を持ってくださいお願いします。
「かといって、さっきも言いましたけど種馬状態を続けていたら民の信頼も下がる一方です。支柱の膝元で罪を犯せば女は御遣いに抱かれる、なんて笑い話にもなりませんし」
「それをお前が言うのか、七乃……」
人が痺れてるのをいいことに襲っておいて。
恨みがましい視線を向けてみたら、いつもの調子で人差し指をピンと立ててくるくると回し始めた。
「ですのでここは、罰にもなって民にもやさしい何かを提案すべきだと思うんです」
「罰にもなって民にもやさしい……」
霞の後頭部をちらりと見つつ、たとえば何があるだろうかと考えた。霞が魏で民のためにやっていたことといえば……祭り? 突撃隊長を務めてたよな? あとで怒られてたけど。
「っていっても、霞は魏の将だからなぁ。ずっとここに居てもらうわけにはいかないんだから、そうそう難しいことはしてもらえないぞ?」
「そうですねー……ではこういうのはどうでしょう。都周りの田畑は他国に比べて随分と豊かで、少々悔しいですけど天の知識には驚かされるばかりです。けれどそれらを管理したりする人手はいつでも足りていません。あのー……何と言いましたか? のうぎょうきかい……でしたっけ? それもありませんし」
「あ」
そうなのだ。
天には田植機やらなにやら、一人で短時間で様々ができる機械がある。
しかしながらこの時代にそんなものはなく、真桜に言ってみたところでそんな簡単に出来たら苦労はしない。片春屠くんは作れるのにね。改良すればいけそうな気もするんだが、最悪田んぼを高速で走り抜ける田んぼ殺し機の完成が予想される。
氣の入れ具合で田んぼを爆走する絡繰…………すごいな、糧の繁栄どころか本当に滅びにしか向かえそうにない。
「けどまあそれだけというのも罰としては軽い気もしますが。なにせ私とお嬢様は女としての初めてを───」
「人聞きの悪いことを言わない! あれは襲ってきただけだろっ!」
「いやですねぇ一刀さん。罪を自ら償おうとした結果じゃないですかー」
「むー……ウチもそっちのが解りやすくてええのに……」
いやあのすいません、ほんとに体が保たないんで勘弁してください。
俺だって霞とそういうことがしたくないわけじゃないが、それとこれとはやっぱり別なのだ。
「ま、それが罰やゆーなら引き受ける。要は邑とかで働いとるおっちゃんらを手伝えばえーんやろ?」
「はい。……ひとつ手伝えばいいというわけではありませんけどね」
「どうしてそこでクククと怪しげに笑うかな……。あ、それ俺も手伝っていいか? 最近は雪蓮と民の手伝いをしたりもしてないし、久しぶりに手伝いたい───」
「却下です」
「即答!?」
え……なんで!? べつに手伝うから民との糧の取引でケチるとか負けてもらうとかそんなことするつもりはないのに!
「んもう一刀さんってば相変わらず乙女心の解らないお馬鹿さんなんですからっ。一緒に手伝ったりしたら罰どころかご褒美になりかねないんですよ?」
「いや馬鹿ってお前……」
「なので、これは張遼さんにやってもらいます。もちろんその格好では男性の人にとっては目に毒ですから、農業用の地味な服を」
「地味言わない! いいじゃないかアレ! 俺結構好きなんだぞ!?」
極々一般的な邑人の服だけど! ……うん、農作業やるからって服がいちいち変わるわけでもない。何度も言うが、服は高いのだ。
なので邑人の服。この時代の一般的な服である。
俺も雪蓮も、田畑で仕事をする時はアレに着替えたりした。
茘枝とか採ったり雑草取ったりして、あれはあれで楽しかった。
……まあ、雪蓮があの服を着れば、胸の部分が大変なことになるのは解りきっていたことだったのだが。結局さらし巻いた上に着たんだったな。霞も同じことになりそうだ。
「んー、それやればとりあえずはええの?」
「はい。言った通り天の知識を盛り込んでありますので、最近の田畑の活性状況は目覚しいものがあります。今一番に遣り甲斐があって大変な仕事はと問われれば、恐らくはこれになるのではと思うほどに」
「へー、一刀、ちゃーんと頑張っててんなぁ」
「そりゃ頑張るだろ。お飾りでここに居るんじゃないんだぞ、俺」
これでも仕事も鍛錬も頑張ってるんだから。
教師役が三国屈指の軍師さんや武将さんなんだから、怠けたりサボらない限りはそりゃあ成長するさ。
……そう考えると、以前降りたときは本当にもったいないことをした。あの頃から鍛えておけばと思う度に悔しいくらいだ。
「ん、解った。そんで? いつから始めればええの?」
「今からです《にこり》」
「へ? …………あ、やー……あっはっは、ウチちぃと耳悪なったみたいやー。もっぺん、もっぺん教えて、勲ちゃん」
「今からです♪《ピンッ》」
「………」
指を立てられてまでの笑顔の言葉でありました。
そんな七乃を見たのちにゆっくりと俺の顔を見て、寂しげな顔をする霞さん。
「えー!? いややーっ! ウチ、期間ぎりぎりまで一刀とーーーっ!!」
「はいはい我が儘は言わないでくださいねー? それに心配しなくても、やることをやれば一刀さんと寝ることだってできるんですから。問題なのは一刀さんが女性にかまけて悪政をしないかどうかです。同盟の証としては三国の女性に手を出し続けることは正解といえますが、そのために別のところで気を抜かれては困るんですよ」
「《ぴょこんっ》……収穫手伝ったら寝てもええの?」
「はいっ、それはもちろん。一刀さんだって、立派に勤めを果たした相手の望みを無碍に断ることなんて出来ない筈ですから」
「おー……なるほどなぁ〜」
「そういうことはもっと聞こえないように言おう!?」
「またまたっ、嬉しいくせに一刀さんたらっ」
「嬉しいのは人をからかって笑顔満点のお前だよな!?」
言ってみたところでくすくす笑いながら、七乃はやる気になって立ち上がった霞の背中を押して部屋を出て行ってしまった。
…………え? いや、嫌ってわけじゃないんだが……え? 俺、霞が戻ってきたら抱くこと確定しちゃった?
「………」
最近、自分の周りのことが別の誰かの手で動きすぎてる気が………………いつものことだった。もういいな、この部分はきっと足掻いても無駄なのだ。
むしろ足掻くことで周囲の足が躓いてしまうくらいなら、いっそ全てを受け入れるつもりでいこう。俺は支柱で、そういうことも込みで受け取ったんだからさ。でも覚悟を決める機会なんていくらあってもいいよな……じゃないと日本人としてのアレコレがいろいろと……さぁ。
「えーっと……次の仕事は……」
仕事に戻る。
体には疲労が蓄積されているのだが、さすがに今、美羽(大人)が眠る寝台で一緒に眠る勇気はない。むしろ寝れる気がしない。
「はぁ……」
前略おじいさま。
…………御遣いってなんでしょうね……。
途端に静かになった自室で、天井を見上げながら心の中で呟いた。
───……。
それからのことは……いつも通りと言えばいつも通りだった。
霞は一日で終わるとか思っていたんだろうが、結局は滞在する日数のほぼを手伝いに使うことになった。言ってしまえばたった一日の田畑の仕事が罰になるわけもなく、そもそもが糧を生み出す行為なのだから“やること自体は当然ですよ”なんて七乃に笑って言われてしまっては、霞も霞なりに引けない部分が出てしまったのだろう。
ムキになって仕事をする霞を、視察とは名ばかりの様子見で見てしまった俺。
当然声をかけることはしなかったが……あれはあれで結構楽しそうだった。
支柱としての仕事を追われたら、どこか辺境で農業しながら生きていくのもいいなぁなんて普通に思ってしまったほどだ。……うん、適当に遠くから見て微笑んでいられるほど、田植えとかって楽じゃないんだけどね。
そこのところは雪蓮に手伝わされて、嫌ってくらい理解できてる。
ただ、町人と汗水たらしながら田畑の仕事をするのは結構楽しかったりする。
「………」
城の自室に戻ると自分の仕事を進める。
……日が経つと華琳も冥琳も自国に帰ることになり、片春屠くんで送ったりもした。
冥琳が“量産が出来るのならこれほど便利な絡繰はないだろう”なんて言っていたが、気軽に操るには容易くはないことを説明すると“まあそんなものだろうな”と目を伏せて口角を持ち上げていた。便利なものほど融通は利かないものだ。
そんな彼女との入れ替わりで来ることになったのが穏であり…………片春屠くんの後部に乗せて連れてくるに到り、ほら。振り落とされないように抱きついてくるわけで、背中にふんわりとした山脈が押し付けられイヤなんでもないよ!? 冥琳の時だって感じてたけどそんなことはこうして心を無にすればどうってことないさ! 多分!
華琳の代わりに誰かが、ということはなく、そもそもが俺の代わりに都を仕切るためにきていたのだ、霞が戻るまでは代わりは来ない。
……とまあそんなわけで、城の自室に戻って自分の仕事を進める現在の俺の前には穏が居る。
目のやり場と集中力に困るので、そのー……服は着替えてもらいました。
ええもちろん「えぇー!? 以前は平気だったじゃないですかー!」と困った顔で言われたりもしたさ、ええ。でもそれは以前の話であって、今の俺はもう……支柱として“そういうこと”も受け入れるって決めてしまった所為で、まったくもって自分自身でも恥ずかしいとか情けないとか思う限りなんだが、反応してしまうのだ。
魏が、魏に、魏だから、と言い訳をしていた頃とは違う。
結局のところ華琳ともその、いたしてしまったからには強い蓋の役割をしていたものが無くなってしまったようで、だからって獣のように手当たりしだいにということもするわけもなく、こうして少しずつ新しい自分を受け入れている次第です。
人間って……むしろ男っていろいろと面倒な生き物なんです。
いっそ獣のように出来たら楽なんでしょうね。
でもそれは俺自身が嫌なのでご勘弁願いたい。
そういった理由もあって、大人になってからの美羽は七乃と同じ部屋で寝てもらっているわけだが……今の俺は思春と同じ部屋で寝ているわけで。それに対して美羽が不満を口にしていたものの、七乃の巧みな話術で首を傾げながらも納得していた。
それはそれで、なんだが……最近おかしなことがあった。物心ついた頃から思春が俺と目を合わせようとしない。無理矢理合わせようとすると顔まで背ける始末で、なんとなく面白くなって視線を追いまくってたら鈴音を突きつけられたのでやめた。
これって前に霞が言ってた“様子がおかしい”ってことと関係があるんだろうか。
「穏、絵本はどう?」
「絵本ならまだ大丈夫なほう……ですかねぇ〜……」
俺が机で仕事をする中、穏は俺が買った絵本を手にうっとりした顔をしている。
知識の宝庫である書物に囲まれるといろいろと大変なことになる穏。そんな彼女をなんとか出来ないものか作戦2として始めたことがこれ。
文字だらけの本に囲まれるとアレなら、絵もついている絵本に囲まれるのはどうかということで。……それでも“本”という印象があるだけで顔がとろけてらっしゃる。危険だ。
「それでそのぅ、一刀さん? もしも穏が熱に負けてしまったら、なんとかしてくれるんですよねぇ……?」
「ああっ、任せとけっ《ゴキベキバキゴキッ!》」
「なんでそこで指を鳴らすんですかー!?」
え? なんでって。痛くなければ覚えません! なのでこの北郷めも心を鬼神にして容赦なく力ずくで止めてみせよう! ……べつに穏が嫌いとかではなく、本でとろけた熱で誰かを襲うというのをやめさせてあげたいだけだ。ちなみにゴキベキという音は、氣を弾けさせて鳴らしているだけであって軟骨をすり減らしているわけではないので安心してほしい。
大体、もし穏と“そういうこと”をするのだとしても、好きになったからとかそういう理由じゃないと受け入れる気にもなれない。だって、本を使って自分を襲わせたみたいで嫌じゃないか。……こんなこと思っている時点で、好き合えば受け入れる気満々みたいで嫌なんだけどさ。
「そこで“俺が居るから”に逃げられても困るって。はい、ちゃんと慣れていこう。呉では途中になったけど、いい加減自分で倉に行けるようになりたいだろ?」
「あぅう……それは、そうなんですけどぅ」
しょんぼりとする穏はここでは……正直な話、あまり積極的な役には立てていなかったりする。
何故ってそりゃあ、自分で書物を取りに倉にも行けないし、書簡整理のために俺が持ってきた本にも息を飲んでうっとりして集中できなくなるし、それが行き過ぎると人の部屋だというのにおもむろに───っていやいやなんでもないよ!?
「とにかく! 目に毒! 集中出来ない! 他国に来てまですることがそういうことに向かうなんて哀しいだろ! 都に自分を慰めに来てるわけじゃないんだから、とにかく頑張る!」
「あぅう……」
ぐったりとした表情を向けられるが、これはもういい加減に直すべきだろう。
各国の交流の度に各国で“倉には近寄れません”とか“書庫だけは勘弁したくださいぃ〜”とか言っていたんじゃ、いい加減怪しまれる上に……魏に行ったら絶対に華琳に捕まる。
それは穏としても俺としても避けるべきだろう。……あれ? これって嫉妬か?
……なんとなく顔が赤くなるのを感じつつ、仕事と書物鍛錬に戻る。
ようは本に慣れてしまえばいいのだから、以前は出来なかった方向でいろいろと考えてみよう。そう、たとえば……本に囲まれて熱に浮かされそうになったら、氣でもって落ち着いてもらうとか。
そうと決まれば早速実践。
穏を都の書庫の前へと連れていき、びくりと肩を弾かせながらも顔は期待に満ちている穏を───おもむろに中へとご招待。……は、あまりにいきなりすぎるので、書庫前の木の幹に待機してもらって少しずつ本を持ってくるというカタチで。
「大丈夫か?」
「うふふふぅ〜? いくらわたしでもこれくらいの量ではどうということはありませんよぅ?」
言葉の割にはうっとりしていた。
一言で言うと既に駄目そう。
なのでちょっと失礼して肩に触れ、氣を送り込んでみる。
冷静な自分をイメージして、それで包み込むような感覚だ。
……冥琳が言うには、本の“質”でぶっ飛ぶのが主な症例とのことだが……症例? ともかく、何処にでもあるような書物ではそうそう発作は起こらないようだ。
ようするに新たな知識や己が思わず感心してしまう知識が書かれた、大変貴重な書物にこそひどい反応を見せるのだろう。そしてそれは、他国の見知らぬ書庫に入るのならば未知の知識世界となるわけで、興奮は相当なものに…………あ。とかなんとか思ってたら、倉のほうを見ながら涎をたらして───涎!?
「穏! 口! 口!」
「へわうっ!? は、あわっ!」
ごしごしと口元を拭う穏さんの図。
ああもうなんだろうこの気持ち……稟と同じで治せる気がしない。
……まあいいや、慣れさせるためにも次々と本を置いていこう。
一応大体の書物には目を通したけど、どんなものが穏の琴線に触れるかなんてのは俺には解らない。
予想としては恐らく“古いもの”。歴史を感じさせるなにかしらが書かれたものとかが利くんじゃないかと思うのだが。
……華琳が書いた孫子の注釈本なんてどうだろ。
歴史は…………ううむ、残念ながらそうまで長くない。
でも珍しさでいえば随分だよな。
あ。華琳が書いたで思い出したけど、四時食制って完成したのかな。
もし完成してるなら、それに乗ってる料理とか食べたいな───……って、思えば華琳と書物の関連って、大体が春蘭が原因で振り回されてばっかりだったよなぁ。
四時食制も、孫子注釈本も、韓非子の孤憤篇も……いや、ひとつひとつ上げてたらキリがない。本に限らず、とにかく振り回された記憶ばかりだ。
それを考えれば今さら、本に興奮する人のことくらいどうってこと───
「〜〜〜……!!《ぱああああっ……!》」
「あ」
……ないって言いたかった。
言いたかったけど、苦笑しながら見つめた先には俺が持ってきた書物のひとつを手にとって、目を輝かせる陸遜さん。
いやあまあそのう、輝いているだけならよかったよ? それはさすがに俺も否定なんかしない。実際七乃が人をからかってる時なんかよく輝いてるしさ。見慣れたもんさ。
でもその輝きが途端にとろんととろけ、書物に顔をうずめてクンカクンカしだして怪しく腰を振り始めるのを目の当たりにするとさ、ほら…………ねぇ?
だが待とう。ここで逃げるのは簡単だが、治せるものは治してみせようホトトギス。氣を送り込んで昂ぶりを沈静化させるのだ。
「はい落ち着いて落ち着いてー……」
「あう!? あ、あぁああぅうう……!?」
心が落ち着きますようにと自分のイメージを込めた氣を変換しつつ、穏の気脈に流してゆく。
するとどうだろう、あれだけ熱っぽくうごめいていた穏が、ゆっくりと俺へと向き直りつつ、余計に熱っぽい顔で俺を見つめて……あれぇ!?
「あ、ぁああん……! 一刀さんが入ってくるのが解ります……! これが殿方と一つになるということなんですねぇ〜……」
「逆効果だコレェエーーーーーッ!!!《がーーーん!》」
なんたること!
だが大丈夫だ、まだ逃げ出すには早い!
ここで俺が無意味に慌てたりすれば、どうせ俺だけが悪いことにされるいつものその後が待っているに違いない! ……や、そりゃあ急に克服しようとか言い出してここに連れ込んだ俺が悪いんだけどね?
だが……そう、大丈夫だ。それを理由に性癖みたいなものなら仕方ないねとか言って女性を抱くほど、獣な種馬を名乗ってはいない! ……ごめん、なんか虚しい。そもそも種馬なんてことさえ名乗ってもいないよ。
「穏! そこで耐えて! 耐えられる時間が増えれば増えるほど、貴重な書物が気兼ねなしに読めるようになるんだぞ!」
「はうぅっ! そ、それはなんと魅力的な……! 一刀さんはわたしを悶絶死させる気ですかぁ……!?」
「なんでそうなるの!?」
「でもでも、我慢するよりも既に袁術ちゃんに手を出してしまった一刀さんが、わたしの昂ぶりを鎮めてくれれば、なんの問題もありませんよぅ……?」
「本で昂ぶった気持ちは本で解消しなさいっ!!」
ぴしゃりと言いつつ、穏がクンカクンカしている本をシュバッと取る。
すると“戦術原論”と達筆で書かれたそれを、まるで我が子を奪われた母のような顔で“ビワー!”と泣きながら、両手を伸ばして取り戻そうとする呉の軍師さん。
「あぁああん返してくださいぃいい!! まさか! まさか都にそれがあるなんて、穏的に言いますととてもとっても予想外だったんですよぅ!?」
「予想外だと泣くの!? ととととにかく落ち着く! ていうかね!? 警備の兵が居るから本に欲情してる姿なんて見せないで!? そういう緊張も持ってもらうためにそのまま立ってもらってたのに!」
見れば、兵がおほんおほんと咳払いをしてそっぽを向いた。
……顔は、真っ赤でございました。なんかごめん。
「“先に”って言っていいか解らないけど言っておくな。本に興奮した穏にそういうことをして鎮めるつもりはないからな。そういうのはきちんと好き合ってから───」
「うふふ、一刀さんたら照れちゃってますねぇ。まるで亞莎ちゃんみたいですよ〜?」
「………」
「《ゴリゴリゴリゴリ》いたぁーーーたたたた!? いたいいたいいたいですよぅうう!!」
両のコメカミをゴリゴリした。世に言うウメボシである。
そういえばコレ、どうしてウメボシっていうんだろうか。アレか? コメカミに梅干を貼ると風邪が治るって話からか?
ああいや、それはともかくいい加減に離してあげよう。
「うぅうう……急になにをするんですかぁ……」
……涙目で見上げられた。
急にあんなことされたのに、べつに恨みがましい視線じゃなかったのが意外だった。
「いきなりやったのはごめん。だけど、本についてのその病気ともとれる行動については、冥琳に“治せるのならば何をしてでも治してくれ”と言われててなー……」
「ぇえええええっ!!? めめめ冥琳さまひどいです〜!! いつもいつもそうやって人に無理難題を! ……そりゃあ、祭さまよりはマシですけど」
祭さんはもっとひどいらしい。まあ、解るけど。
「いいからほら、慣れる準備。ていうかなんで知識に触れて性的に興奮したりするんだ?」
「うう……それは、わたしにも“そういうものでした”としか言いようが……」
「……やっぱりそうなのか」
でも昔から……ともすれば子供の頃からこんな性癖……性癖? まあいいや、性癖を持って勉強してきて、よくもまあ軍師になれたなぁ。
や、大変だったんだろうなぁとは思うぞ? 主に周りが。冥琳なんて、興奮した穏の相手とか溜め息吐きながらやってたんじゃなかろうか。
実際、今もどうしたものかと悩んでいる俺の腿に手をさすりと滑らせてきて、ってなにしてんのちょっと!!
「ボディタッチはやめて!? むしろ勉強してるんじゃなくて克服しようとしてるんだから、妙な興奮はいらないだろ!」
「一刀さんが慰めてくれないのでしたら、穏が勝手に───」
「しちゃだめでしょ! だからそういうのは好き合ってからだって言ってるでしょーが!」
「それじゃあ穏ひとりで───」
「うわぁあああああこんなところで始めようとするなぁああああっ!!!!」
興奮に頭をやられて周りが見えてないんですかこの娘ったら! いや、“この娘”って呼ぶには大きすぎますがね!?
とにかく脱ごうとした穏をガッシと押さえ、正座させてからガミガミと説教した。
……前略冥琳さま。
はやくも心が折れそうです。
───……。
…………ぐったり。
そんな擬音がよく似合いそうなほど疲れた俺は、厨房の卓に突っ伏していた。
「どうした、北郷。食べないのなら貰うぞ」
「ああいや、食べる、食べるんだけどね……」
隣でがつがつと食事をしていた華雄が人の皿へと箸を向けるのに待ったをかける。
さて……穏が都に着てから何日目か。
今日も元気に克服のための行動の様々を取っていたんだが、興奮は治まるどころか日々増してゆくばかりだ。
さっきだって仕事がひと段落ついたから、たまには軍師から教えてもらえる勉強でも、って穏に授業の依頼をしてみれば……部屋に入ってくるなり椅子に座ってる俺の足に座って、妖艶に笑んで体を押し付けながらの授業を始める始末で…………あ、あれー……? 俺種馬とかなんとかいろいろ言われてきたけど、それってまだマシなあだ名だったりしたのか……?
「あー……なぁ華雄……? 霞は、まだ戻ってないのか……?」
「む……この間会った時は、“やっぱり体動かしとる方が性に合っとるわー。んで、ええ米できたら一刀に酒作ってもらうんやー、っへへー”と笑っていたが」
「………」
なんと言えばいいのか。
まあ……霞らしいのか?
「私もいっそ、そういった生産的なものに身を向けたほうがいいのかもしれんな」
「華雄が田畑の開墾か……」
開墾……かいこん。
山野を切り開いて新しく田畑にすること。
他にも意味はあるが、つまりは田畑などを作ることだ。
…………どうしてだろう、それを華雄がするイメージをしてみたら、しなくてもいい場所まで田畑となる状況が想像できてしまった。
なのでこう言った。
「……その時は俺も手伝うよ」
「そうか」
なんでもないように言うが、結構大変なことだよな、それって。
まあ、いいか。メシを食おう。
いただきますと手を合わせて食事を開始する。
華雄はもう食べ終わってしまったようで、ちらちらと俺が食べているものを見てくる。
……鈴々や恋じゃあるまいし、やめなさい。
「北郷。お前はこのあとどうするんだ?」
「ん? んー……仕事も終わったし、しばらくは大掛かりなこともないからまとまった休みが取れそうなんだよな。といっても、小さな仕事は回ってくるだろうけど」
それも早いうちに片付ければどうってことない。
なのである意味では休みが続くようなものだ。
「そうか。ならば久しぶりにどうだ?」
言いながら武器を構える格好をする。
それを見ればなにをしたいのかなど解るってもので、少し焦りながらもしっかりと頷いた。
「解った。中庭でいいか?」
「フッ……ああ、構わん」
ニヤリと笑う華雄は嬉しそうだ。
そんなわけで華雄と戦うことになりました。
あくまで鍛錬の一環……だよな? 真剣勝負ってことにはならないように願おう。
「……はふ。ごちそうさまでした」
ゆっくりと噛んで食事終了。
食器を片付けて、律儀に待ってくれていた華雄と一緒に中庭へ───向かおうとしたまさにその時。
「我を倒せる者はいるかーーーーーーっ!!」
中庭から、聞き覚えのある声が響いてきた。
それちょっと違うだろうとツッコミを入れつつも、柱の影から中庭を覗いてみれば……いつの間に来たのか、槍を天に突き上げながらエイオーと叫ぶどこぞの誰かさんが。
「あ、やほ〜っ♪ お兄様っ!」
そしてあっさり見つかる俺。
うん、まあ……呼び方で解る通り、馬岱……蒲公英だった。
「蒲公英……いったいいつ来たんだ?」
「え? ついさっきだけど。蜀が誇る軍師さま(はわわ)にお兄様を驚かせつつ都に到着するにはどうしたらいいかなって訊いてみたら、出発を告げずに訪問するのが一番ですって言われたからやってみた!《どーーーん!》」
「いやどーーーんじゃなくて」
元気だ。
鈴々と翠が合わさるとこんな感じなのかなーとか思えそうな、相変わらずの性格のようだった。
「それでお兄様の部屋に行ってみたんだけど居なくて、これじゃあ脅かし甲斐がないなぁって思ってたんだけど……お兄様のことだから今も鍛錬馬鹿に違いないと思って中庭で待ち伏せをしてたんだよね。そしたら見事にお兄様が!」
「………」
ええ、来てしまいましたよ。
鍛錬馬鹿でごめんなさい。
「……で、蜀から一人で来たのか? 危ないだろ」
「伝令に使う早馬とそう変わらないって。お兄様ったら心配性だなぁ」
「いーから。とにかく一人で来るのは危険だ。商人あたりに書状でも持たせてくれれば、俺が片春屠くんで迎えに行ったのに」
「えー? それだといつ商人さんが都に着くか解んないじゃん。すぐ来たかったからすぐ来たんだし、商人が大丈夫なのに将がびくびく怯えるなんて、格好悪いよ」
「うぐ……」
それはまあ確かに。
そう考えると商人のなんと逞しいことよ。
「それに馬に乗ってきたし、馬術でそこいらの賊に遅れを取るほど、馬一族は弱くなんてないのだー!」
またもや元気に手を天に。
ほんと、元気でいらっしゃる。
と、そんな俺の後ろから「ふむ」という声。
そうだ、俺、華雄と鍛錬することになってたんだ。
「あ、じゃあ悪いんだけど……蒲公英、華雄の相手をしてもらってていいか? 俺ちょっと部屋から道着とか木刀持ってこないといけないから」
「…………《ちらり》…………この見るからに脳筋な人と?」
「《ぴくり》……ほう? 貴様、この華雄の武を馬鹿にして見るか」
「どうして会って間もなく剣呑な空気を作れるかなぁ!! ただ相手しててって言っただけだよね!?」
「だって蒲公英はお兄様といろいろ話をする気でここで待ってたのに」
「生憎だが北郷は私と決闘をするつもりでここに来たんだ。貴様とじゃれている時間など無いな」
「………」
「………」
「あぁああもういいから冷静に! 落ち着いて話を───決闘!? えっ、けっ……え、えぇえ!? 決闘!? ちょ、華雄!? 鍛錬じゃないの!? いつから決闘って話に!?」
「うん? だから食事の時に言っただろう」
「言ってないし聞いてないんだけど!?」
構えただけだよね!? 言ってないよね!?
つか、もうどうして蒲公英はこう、パワフルなお方たちと折り合いが悪いかなぁ! ……間違い無くこの性格の所為ですね! こんな状況ならいっそ焔耶が来てくれたほうが───……ほう、が…………あ、あれ? なんだろう。自分がぼろ雑巾のように空を飛ぶイメージしか湧いてこないや……!
「とにかく! すぐに戻ってくるから喧嘩はしないように!」
「ああ解った。我が全力を以ってこの小娘を叩き潰しておこう。北郷との決闘の前のいい準備運動だ」
「へー。じゃあたんぽぽは、お兄様が戻ってくるまで脳筋さんから頑張って生き延びなきゃいけないんだ。あははっ、準備運動にはなるだろうけど、たんぽぽを倒せなきゃ格好悪いよー?」
「…………《ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!》」
「…………《ドドドドドドドド……!》」
「睨み合いやめて!? なんでみんなそうやってすぐに喧嘩を始めようとするかなぁ!」
しかもなんか無駄に迫力があって怖い!
い、いや一刀、落ち着くんだ。
今は一刻も早く自室に戻って木刀をだな……!
「じゃ、じゃあ行ってくるな?」
『───!』
スチャリと軽く手を上げて行動した途端、二人の気迫がぶつかり合い、同時に武器もぶつかり合った。
やめて!? 人の出発を合図にとかやめて!? 心が痛い!
あぁああほら! 見張りの兵も戸惑い始めたじゃないか!
ごめん! すぐに戻るから少しの間だけ我慢してて!
「ちくしょう最近こんなんばっかだ! ───最近どころじゃなかった!」
魏に居た頃からですねちくしょう!
俺って何処に居ても、あまり境遇変わらないんだなぁと改めて思った瞬間でした。
ネタ曝しです。
*カーボン
料理がカーボンって、どうしても夜明け前より瑠璃色なを思い出します。
鷹見沢菜月。ミス・カーボン、マスターカーボンの異名を誇る人物です。
*黒髭危機一髪
今さらなものではありますし、ネタとも言えるのかどうか。
ナイフを樽に刺して、中心のおっさんが飛んだら負け。
一家に一つはある気がするが、いつの間にか消失する。
我が家にもあったのだが、いったい何処へ行ったのやら。
*氣の入れ具合で田んぼを爆走する絡繰
文字通りに受け取らないで結構です。
ただ思い出したのはサイボーグじいちゃんGの農作機械。
あれがあれば“糧の繁栄どころか本当に滅びにしか向かえそうにない”って言葉が合いそうな気がするんですよね。
案山子でさえガトリング搭載してますし。
*ゴキベキバキ
拳を鳴らす音。北斗の拳などでよくありましたが、あんなふうにコロキキキと鳴らすのはまず無理かと思う。
拳を鳴らすといえば、小学の頃にこの音を舌を鳴らす音で再現していた人が居た。
拳を動かしながらやるもんだから、結構騙されましたよ。
*ウメボシ
体罰の一(?)。
両のコメカミに拳を当て、ぐりぐり〜っとねじりまくる痛いもの。
おばあちゃんの知恵袋的な“梅干をコメカミに貼ると風邪が治る”から来た民間療法ならぬ民間体罰。(嘘)
罰の名に相応しく、地味に痛くて地味に効果的。
*ゴゴゴゴゴゴゴドドドドドドドド……!
ジョジョ的擬音。
睨み合いなどによく使われる。
その際の表情はジョジョチックに思い浮かべると、なんかほっこり。
どうも、100話目にてございます。凍傷です。
とうとう100話……長くても100だろうって思ってた自分へ王馬鹿野郎。
大馬鹿では足りないくらいの王馬鹿野郎ですよちくしょうめェェェ!!
本当に計画性ってものがないんだから……はぁ。
ええと、本当にこんな長ったらしいばかりの小説ですいません。
短く纏めようとすればするほどただの状況確認の羅列になってしまい、これ小説じゃないよ!と自分でツッコミを入れつつ書き直すということが何度もありました。
あとはじっくり書けば書くほど長くなってしまい、現在に至ります。
ええ、一話から読み直してみれば、似たような場面や問答が結構目立っていて、これは見てて疲れるだろうなぁと自分でも思ってしまう有様。
何度も読み返して楽しんでますと言ってくださった方。本当にありがとうございます。
さて、質問が飛ばされてきたのでここで返事を書こうかと思います。
Q:もう何処かの小説ページへの投稿はしないの?
A:しません。
一度は考えましたが、なにせ自己満足小説の延長です。
高度な駆け引きや謎にドキドキワクワクするような小説ならまだしも、
ねちっこくて無駄に長いだけの凍傷小説ですからね……。
よく見る“自慰小説は自分のHPかチラシの裏にでも書いて、
それで満足してろや”というどっかの誰かの言葉に習い、そうします。
ですからここでひっそりとやっていきますね。
このHPでは読めないという方には申し訳ありませんが、ご了承のほどを。
《追記》……と書いておいてなんですが、しばらく考えてみたら“なろう”にまた投稿できるようになっているみたいだし、いいかなぁと優柔不断を起こしました。
どうせ考え出したらモヤモヤする凍傷です。
もういっそ投稿してしまいますね。
あっちいったりこっちいったりで申し訳ありません。
そんなわけで、100話だったわけですが。
べつに100話記念の番外などをやったりすることもありません。
そんなことをするくらいならさっさと次話をあげろって話ですよね。
中々難しいです。
最近久しぶりに軽い脱水症状になったっぽいです。
足がゴリゴリと固まってゆく感覚、忘れもしません。
大したことしてないのに足がすごい疲れるんですよね。
いえ、病院行ったわけではないのですが、なんとなくで。
なので吸収力の高い飲み物を飲んで出来るだけ換気をよくしてさっさと寝ました。
今現在は……そこまでひどくはないです。
この調子で早く治ればいいのですが。
病院に気軽に行けるほど時間とお金が足りてないんですよね。
さあ、仕事だ。
それではまた次回で。
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